個性〝悪役令嬢〟のヒーローアカデミア 作:匿名の悪役令嬢
世界人口のおよそ八割が何某かの特異能力〝個性〟を持つ超人社会となった現代。
超常黎明期に次々と人々が特異体質となり、これまでの規格が意味を失い、社会は混沌とした。
そんな中、義勇の心をもって人々を助けようと、〝個性〟を活用する人々が現れた。
その姿はまさにコミックに登場するヒーローのようであった。
そして時代は進み、ヒーローは公職としてその活躍に応じ、金銭と名誉を与えられる、人々の憧れる職業となった。
「
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掘須磨大付属中学校。
俗に言う、お嬢様学校である。
ここにいる生徒は正真正銘、一流企業や資産家の娘で皆大事に育てられてきた。
しかし、ここに一人例外がいる。
その在り方は貴婦人、というよりも貴腐人であり、FPSやらネットミームやら文明の利器に浸りまくった家柄だけみれば完璧なお嬢様がいた。
「聞きましたわ!
ここに、その家柄だけは完璧なお嬢様である
実際周囲からみたら、絡まれる、というようなガラの悪い行為ではないが、人見知りの芋女である痾苦嬢にとって、キラキラ無垢の一軍女子が近くにいてプリプリと、陽の力を発してくるだけで除霊されそうな気持ちだった。
「ややや、八百万しゃん……な、にを聞いたんですか……」
手を握られブンブン、と振り回されながら痾苦嬢は声が小さくしどろもどろになりながらも、何とか八百万の声に返す。
「ハッ! 私としたことが……申し訳ございません。つい、気がせいてしまって……お恥ずかしい」
「い、いえ……だい、じょうぶです…………」
「ありがとうございますわ! えっと、お話しようとしたのは、痾苦嬢さんも雄英高校のヒーロー科を受験なさると担任の先生から私お聞きいたしましたの!」
そう言われ、痾苦嬢の心のうちを占めたのは「何言ってんだオメェ」という言葉だけだった。
確かに、少し前に進路調査の書類提出があり、雄英高校の名前を書いた記憶が
ただし、
「?」
「?」
思わず首をかしげてしまう痾苦嬢の動作をついつい真似してしまう八百万に、かわいいな、と思いながら何とも言えない空気が流れる。
「か、書いた覚えが……その」
「? 進路調査票を拝見させて頂いてしまったのですけど、第一志望に書かれておりましたわよ?」
「えっえ??」
「あっ……もしやレイさんではありませんか?」
「…………れ」
「? ごめんなさい、よく聞き取れませんでしたわ痾苦嬢さん。なんておっしゃいまして?」
手を握ってプルプルと痾苦嬢が震えている姿に思わず具合でも悪いのか、と心配する八百万だったが、突如勢いよく痾苦嬢は席を立ちあがる。
「ッ!! レイちゃん!! な、なんてことを!!」
「はぁ……全く。相変わらず落ち着きが欠けてますわね
「そ、そうじゃなくて……」
「それに、お父様とお母様から許可は頂いておりますわよ」
「わ、私たちの進路なのに私の意見は不採用ですか!?」
「適材適所。ノブレス・オブリージュですわ。力あるものはそれだけの責を負うべきものです」
「貴女、悪役令嬢ではありませんの! なんで変な所でまともなんですの!!?」
「? 当たり前でしょう。悪役令嬢の前にワタクシは貴族。高貴なる者として、祖先が築いた地位に胡座をかくことなく、下賤の者達を導き、そして護る責務があるのは当然のことですわよ」
突然立ち上がり、一人芝居を初めて頭大丈夫か? と思わないで欲しい。
これは彼女、痾苦嬢
痾苦嬢
この個性は発動型と異形型の複合個性になっており、痾苦嬢
「ふふ。痾苦嬢さんとレイさんは本当に仲がよろしいんですのね。痾苦嬢さん、口調が混ざってしまってますわよ」
「ッ!? あ、ごめんなさい八百万さん私たちだけで話してしまって」
「? 何を言ってますの百。
痾苦嬢の〝個性〟は
といっても、レイが勝手に出てきて好き勝手やった結果、知られてしまったのである。
とはいえ、あくまでも〝レイ〟は痾苦嬢
つまり口を塞ぐくらいは簡単に行える。
もっとも、普段の
「まぁ、今更
「?? え、単願?? ななぜそそそそ、そんな無謀なことをなさったのでしょうか……レイ様??」
「偏差値的には貴女、余裕でしょう。まぁ、実技は〝
「まぁまぁ! 確かに。痾苦嬢さんの学力テストの順位を見ると、筆記は心配なさそうですし、実技もレイさんがいらっしゃれば安心ですわね!」
「あら百。いいこと言いましたわね。えぇ、
「ありがとうございますわ! レイさん!」
ともあれ、〝個性〟悪役令嬢を持った少女、痾苦嬢
プルスウルトラ!!!