・連邦生徒会長の性格はほぼ妄想
・原作でアレなことになっている人が生きていたりする。
・キャラ崩壊
以上のことをご留意してお読みください。
この作品は、Pixiv様にも同様のものを投稿しております。
「私のミスでした…」
少女は沈痛な面持ちで俯く。その表情は悔しさを堪えるように、唇をきゅっと縛っている。
「私の選択、そしてその選択によって招かれたこのすべての状況…」
「この結果にたどり着いて初めて、貴方の選択が正しかったことを知るなんて…」
「図々しいお願いですが、お願いします」
そこで一旦言葉を切ると、彼女は顔を上げた。その空のように澄んだ青い瞳を潤ませ、他に選択肢は無いとばかりに目の前に立つ頼れる『大人』に懇願した。
「…ゲーム開発部の部費増額の為に調月リオ会長や早瀬ユウカさんに頭を下げてきてくれませんか?」
「ごめんね、それはダメ。自分の言った事には責任を持たなきゃね」
大人──先生はあっさりと少女の懇願を断った。同時に少女…連邦生徒会長はぎゃあ、と大声をあげて頭を全力で下げる。そこにプライドなどは無かった。
「本当にお願いします! 連邦生徒会長が学園の一部活に賭けで負けた挙げ句その学園の首脳陣に頭を下げたと知られれば連邦生徒会の権威がガタ落ちなんです!」
「調子乗って『私に一人でも勝てたら部費増額嘆願のためにセミナーに頭を下げてきてあげます』って言ったのは君でしょ。ご丁寧にジャンルまで皆に選ばせてあげてさ」
先生は後ろをちらと見るとあからさまに調子に乗っているモモイ、どこか申し訳なさげなミドリとユズ、そして誇らしげに胸を張るアリスがそこにいた。
ちなみに連邦生徒会長に勝ったのはユズだけでそれも辛勝、調子に乗っているモモイと誇らしげに胸を張っているアリスはボロ負け、ミドリは防戦しながらもそれなりにいい勝負の末敗北という結果である。
「4人抜きできると思ってたんです! ゲームだって私の得意分野の一つですから!」
「勝負する前に私は言ったよね? 皆凄いけどユズは特に手強いから、君でも勝てるかわからないしやめといたほうがいいって」
「そんな具体的に言ってましたっけ!?」
「というかそもそもの話君がサボるのを止めればよかったんだけどね? 普段なら悪ノリするけどリンちゃんが最近書類が多いってボヤいてたから今回は止めたよね確か?」
「ぐぐぐ…!」
先生の絶え間ない口撃に反論できなくなった連邦生徒会長は唸りながら先生を睨みつけた。
先生もそれに対してさらに追撃を加えようと口を開いたが、その前にモモイがストップをかけたことでそれは中断した。
「えっ、連邦生徒会長のこれってサボりなの!? 抜き打ち視察って聞いてたけど!?」
「そうだよ? 対外的には視察ってことになってるけど、その実これはただのサボりなんだ」
「ちーがーいーまーすー! 人聞きの悪いこと言わないでください先生!」
「どこが違うの。『あの量の仕事なら2時間あれば終わりますのでよその学園に遊びに行きましょう(笑)』って言っていたのは誰だったかな」
「んぐぐぐ…」
そう、連邦生徒会長と先生が現在ここミレニアムサイエンススクールに居るのは連邦生徒会による抜き打ち視察という仕事などではなくただの怠慢によるものである。
そもそも連邦生徒会に抜き打ち視察などという制度はなく、仮に存在していたとしても会長と先生の二人だけということはまずあり得ない。最低でも行政官・七神リンやその部下を伴ってくるだろう。
「…なんか会長さんに親近感出てきたかも」
「お姉ちゃんと会長さんを同列に並べるのは失礼だと思うけど…」
「ミドリ!?」
モモイはミドリの毒に目を剥いたが、しかし当のミドリはそれを華麗に無視して連邦生徒会長に向けて話を続けた。
「でも驚きました。会長さんはゲームはなさらないとばかり…。あんなに上手なんて思いませんでした」
「私は確かに連邦生徒会長ですが、その前に一人の生徒でもあります。ゲームくらい嗜みますよ」
「嗜む、なんてレベルじゃなかったような…」
「アリス、本気のユズとあそこまで接戦に持ち込んだ人を初めて見ました…。まだまだ真の勇者には程遠いです…」
がっくりと肩を落として項垂れるアリス。そんな彼女にユズはオロオロしながらもフォローに回る。
「あ、アリスちゃん。私も会長さんがプレイングミスをしてくれなかったら多分負けてたから、そんなに落ち込まないで…?」
ユズのその発言のあと、ゲーム開発部の部室は微妙な空気感に包まれた。
一体いつどのタイミングでプレイングミスがあったんだという困惑であるが、その答えはユズと会長のみが知る。
しかし、その空気感もアリスの元気な声によってあっさりと吹き飛ばされた。
「…はい! 会長さん、もう一回です! アリスと勝負してください!」
「えぇ、受けて立ちます。ということで先生、私はアリスさんと再戦するのでリオ会長とユウカさんに…」
「ダメです。アリス、もうちょっとだけ待ってね」
「どっちでもいいけど、さっさと行ってきてよ! このままじゃゲーム開発できないよー!」
モモイがそう叫んだ瞬間、不意にゲーム開発部唯一の出入り口たる扉がガチャリと開いた。一同がその物音に振り返って確認してみれば、そこに居たのはセミナー会長・調月リオと連邦生徒会行政官・七神リン。
二人の姿を認めた瞬間先生と連邦生徒会長も「あっ」と声を出し、そこからはもうなるようになれとハンズフリーである。
「…随分と楽しそうですね、会長。それに先生も」
「り、リンちゃん…。どうしてここが…」
「アリスさんから連絡を頂きまして先程到着した次第です。あとリンちゃんはやめてください」
リンはその美しい顔に青筋を立てながら凄まじい圧を感じさせる凄くいい笑顔で言った 瞬間、リオとリン以外の全員の視線がアリスに集まった。当のアリスは限りなく困惑している。
「あ、アリスはリンに連絡してません! 本当です!」
「そうね、アリス「は」七神行政官に連絡していないわ」
リオが呆れた様子でアリスに視線を送ると、アリスは突如としてがくんと俯いて目を瞑った。
「アリス!?」
「「アリスちゃん!?」」
「あー、なるほどぉー…」
ゲーム開発部の面々は驚愕し、また先生と連邦生徒会長は納得の表情を浮かべていた。
そしてアリスはゆっくりと目を開くと、その瞳は赤みがかった紫色に染まっている。
「二人のことを私達に通報したのは貴方でしょう? …ケイ」
「その通りです、調月リオ」
「感謝します、天童ケイさん。連邦生徒会は会長のサボりによって業務に支障をきたしていましたので」
「私は天童などでは…。いえ、まぁいいでしょう」
ケイが呼び方について妥協をしたところ、はっとしたモモイはケイに詰め寄った。
「ちょっとケイ! あともう少しで部費がもらえたかもしれないのになんで通報なんかしちゃったの!」
「いえ連邦生徒会長にしろ先生にしろ頭を下げられたところであなた達の部費増額はしないわよ?」
そんな稚拙な計画などハナから成功しないぞという言外の通告をするリオの拒否を無視してモモイの問いにケイは真顔であっけからんと答える。
「このままやっても王女…アリスは連邦生徒会長には勝てませんので腕を磨く時間を頂こうと思いまして。えぇ、決してコテンパンにやられて不貞腐れたとかではありませんし、あとアリスが瞬殺されてイラッとしたとかでもありません」
「私情だ! 絶対私情で通報したよこれ!」
計画が私情で破壊されたモモイは頭を抱え、 その後ろでミドリは苦笑し、ユズは既にロッカーに引きこもっていた。
そしてこの一連の流れの中、連邦生徒会長と先生はというと。
「さて、会長。窓から逃走しようとしているところ申し訳ありませんが、仕事に戻っていただきます。既に逃走した先生はアオイが確保済みとのことですので、あとは会長が戻っていただければ全て元通りかと」
「や、やだなぁリンちゃん。私も先生も仕事に戻ろうとしてたよ? でもほら込み入った話だったし、この空気感の中で『ハイ帰ります』なんて言えないからこっそり失礼しようかと」
「言い訳中失礼します」
瞬間、リンの姿が消えた…と思ったら既に連邦生徒会長の目前まで接近、そして気づけば連邦生徒会長はリンに担がれていた。
そしてリンは窓の外に向けて叫ぶ。
「目標確保、撤収です!」
「あぁぁぁ離してリンちゃん、せめて自分の足で歩かせてーっ!」
最後にリオに一礼したのち、彼女達は極めて迅速にサンクトゥムタワーへの帰路について行った。
そして、部室に残ったのはリオとゲーム開発部の面々のみ。嵐が過ぎ去った後のなんとも言えない空気感の中で、モモイはというと。
「会長、部費増額してくれない?」
諦めずに嘆願し、それに対してどこか爽やかな笑みを浮かべるリオは、
「却下するわ」
とあくまでも冷徹に答えたのだった。
この一連のお話の後日談としてサンクトゥムタワーに戻った連邦生徒会長及びシャーレに戻った先生は反省文を書かされた。そして連邦生徒会長は華麗に定時での帰宅を決めたのに対し先生は残業させられたというのは、別のお話。
読了ありがとうございます。
前半6行はコピペできるので方向性が決まり次第書ける上に、物語全体の整合性を考えなくてもいいために比較的頻度の高い不定期更新になると思われます。
リフレッシュついでに書いてるので、各サイト(Pixiv様、ここハーメルン様)のメイン小説が滞っている間にも投稿されます。というかメイン小説は分量が長い上整合性を考えなければならないために長くなるので比較的分量が少なくできると思われるこちらが投下されることが多々あります。どうかお付き合いしてやってください。