今回はいつもと書き方を模索してみたので違和感などがあるかと思いますが、楽しんでいただけたら幸いです。
あと晄輪大祭の話(その19)が話の根幹の晄輪大祭の設定を思いっきりミスってたことが発覚しました。どこかのタイミングでいい具合にしれっと修正しておきます。
この作品は、Pixiv様にも投稿させていただいています。
「私のミスでした…」
少女はうーん、となんとも言い難い微妙な表情で少し唸りながら呟いた。その声には不服や憐れみといった様々な感情が載っている。
「私の選択、そしてその選択によって招かれたこのすべての状況…」
「この結果にたどり着いて初めて、私のあの選択が間違っていたことを知るなんて…」
「図々しいお願いですが、お願いします」
少女──連邦生徒会長は何とも言えない表情のまま、周囲に座る人物たちにひとつとある提案をした。
「…同一の人に連続で質問するのは二回か三回までにしませんか? ユメ先生がすごい顔してますし、私に対しても質問が多いような気もしますし…」
連邦生徒会長がそんな提案をしてみると、隣に座るユメが涙目でこくこくと凄まじい勢いで頷きはじめた。
なんかそういうおもちゃだか郷土品だかがあったなと内心思いながら、連邦生徒会長は周囲の反応を静かに待つ。
他の参加者たち…先生、プレナパテス、ノア、ユウカは簡潔な議論を交わし、そして出された答えは。
「うん、まぁ…うん。やめて、おこうか…?」
「なんで不満気なんです…?」
若干不満が滲むふわっとしたルール改定に対し、悲壮感を漂わせながらユメは限りなく控えめに抗議を行うのであった。
現在、シャーレに集まった者達は
事の始まりは連邦生徒会長が仕事についての連絡のためにシャーレに立ち寄った際、年末のミレニアムパジャマパーティの件で先生がユウカによって詰められているのをノアとユメが苦笑し、プレナパテスがわずかに震えながら見守っているところからである。
連邦生徒会長が業務のついでに何があったのかを聞いてみると、年末調整を放り出して遊んでいた件でお説教されていたとノアが教えてくれた。
あぁなるほど、と連邦生徒会長は納得したあと『ちなみにパジャマパーティって何をしていたんです?』と聞いてみれば、色んなゲームで遊んでいたりお菓子をつまんだりしたとのこと。
その一つが
ゲームが始まり序盤では、
『じゃ、じゃあ私はプレナ先生に質問しようかな。…こほん。プレナ先生ってあんまり濃いものが食べられないって言ってたけど…この前ラーメン三杯くらい食べてたよね? しかも大盛りのをさ』
『プレナ先生は黙秘権を行使すると言っています。…ちなみに補足ですが、プレナ先生はそれに加えて餃子を二皿食べていました。それと、これは私の補足です。プレナ先生が真実を正確に話したわけではありません』
プレナパテスが先生のその質問に黙秘を行ったとプラナが通訳した結果、今回の罰ゲームである足つぼマットに連行されて悶絶したり。
『じゃあ私は先生に質問を。…今回の件、反省してますか!?』
『は、はい! ごめんなさい!』
ユウカから先生へのそんな脅迫まがいの質問が飛んで、先生が小さくなりながらも返答したりと極めて和気藹々とゲームは続いていったのだが。
『では、連邦生徒会長に。…実は厄介事を抱えていたりしますか?』
というノアの質問を皮切りに、なぜか連邦生徒会長に質問が集中。一応最初のノアの質問には機密事項であることを前置きしてからちゃんとイエスと答えたのだが、『リンちゃんにばれてないイタズラとかあったりするの?』『また何かどこかで問題を作ってない?』『目の下が微妙に黒いけど、今何徹目?』『この前リオ会長が柄にもないことやってましたけど、リオ会長に妙なことを吹き込んでましたよね!?』と連続で質問を受け、足つぼマットに足を押し付けまくる羽目になった。
そして、今度は二週目の連邦生徒会長のターン。足の裏をさすりながら、連邦生徒会長が口にしたのはというと。
『…ユメ先生って、先生のことどう思ってるんですか?』
という、この時点では特に何の気もないただの質問。だがしかしこれにより一瞬で場の空気が変わったことを連邦生徒会長はユメが質問に返答している際に理解し、同時に言い方が悪かったことを察した。
というのも相手も同じ花の女子高生二人に、そういうこととはかなり遠いところから来た別世界の大人の人。朴念仁気質の先生はどう動くかは想像がつかないが、しかし先程の三人についてはどう反応するかは火を見るよりも明らかだ。
つまり、どうなるかというと。
『ユメ先生は正直後輩の皆に嫉妬してるときがあるでしょう? とのことです。…どうなのですか?』
『ユメ先生は、その…せ、先生のこと…いいなぁって思ったこと、あるんですか!?』
『ユメ先生、先生の一番好きなところを教えてください♪』
という、なんとも下世話な質問がユメに向けて飛び交う羽目になったのだった。しかもこれらに対するユメの返答が微妙に下手で、
『…………も、黙秘しますっ。皆にそう思うのは先生として、先輩としてよくないですからっ』
『い、いいなぁって…あっ、そういえばホシノちゃん…アビドスの後輩の先生への対応を『羨ましい〜っ!』って思ったことはあるかなぁ。…えっ、そういうことじゃない…? どういうこと…!?』
『……えっ? えー、うーん…皆に優しいところ、かなぁ…? 』
と、恐らくは本当になんとも思ってはいないのにも関わらず微妙にズレた返答をした結果『なんか嘘っぽい』と判定され、足つぼマットに連行されて何度も悶絶するという可哀想な目にあっていた。
ちなみに当の朴念仁こと先生の行った質問はというと。
『……梔子先生って時々何もないところで転んでる時あるよね?』
ご覧の通り、かなりしょうもない質問である。これをプレナパテスの後、ユウカの前にユメにぶつけた結果連邦生徒会長を除く他の皆に白い目で見られて少し狼狽していた。
『ひぃん…私嘘ついてないのに…』と涙目で呟くユメの姿を見かねて連邦生徒会長の冒頭の提案が行われ、そしてふわっとした空気でふわっと承認されたのだった。
「では、ルール改定ですね。これからは同じ人を三回指名したら三回目に指名した質問者が問答無用で足つぼマットを受けることになり、一方の質問された人は答えなくてもよくなりました。…ふふ、面白くなってきましたね」
「面白くなってきたって…。今こうやって宣言したんだから、この追加ルールに引っかかる人は流石にいないんじゃない?」
ノアのルール改定の宣言ついでの感想にユウカが訝しげに聞き返すが、しかしそんなユウカに「ふふ、わかりませんよ?」と笑いながら返答する。心底楽しそうなその表情は、連邦生徒会長に嫌な予感がするなぁ…と思わせるのには十分すぎた。
そんな予感を抱きながら、しかしその後も特に何も起きずにゲームは進み五週目。ここに至るまでノアを除く各々がなんだかんだで足つぼで悶絶したりしなかったりしたのだが、ここで事態は急変。
きっかけはプレナパテスのこんな質問だった。
『ノアさんは先生の寝顔を楽しそうに見つめていますが、そんなに楽しいものなの? とプレナ先生は言っています。…私も個人的に興味があるので、ぜひ回答を要請します』
「ねが…っ!?!?」
プラナが代弁したプレナパテスの質問にユウカがばっとノアの方を見れば、彼女はにこにこと変わらず微笑みながら。
「ふふ。先生の名誉のために黙っておきますね」
とプレナパテスの質問を露骨に、しかしあっさりと誤魔化した。ルールに則って言うのならば、これはつまり。
「あら、ノアさんは今回初めての足つぼですね?」
連邦生徒会長のそんな確認に、そうですねぇとのんびりと言いながら足つぼマットへと向かっていくノア。いたた、とかわいらしい悲鳴を数秒あげた後、彼女が再び微笑を浮かべながら何事もなく座りなおしたところでゲームは再開。『言うほど痛そうじゃなかったなぁ…』とその場の全員が思ったのは言うまでもないだろう。
そんな微妙な空気の中、次の質問者は先生。彼の質問はというと。
「…そういえばプレナ先生の質問で思い出したんだけど、なんでノアって私がソファで仮眠をとってるといつも膝枕してくれるの…? ちょっとその、教師的にはかなり複雑なんだけど…」
「ひ、ひざまくら…!?」
嘘でしょう、とばかりにノアに再び視線を送るユウカ。その様子を見て、連邦生徒会長はようやく今回のノアの真の目的に気づいた。というか、深く考えてみれば即座に理解できたのかもしれない。
彼女の目的はいつも通り、ユウカをからかうことに他ならない。
それに気づいた瞬間、連邦生徒会長は──ノアの悪企みにノり、ついでに先生をイジることを即座に決めた。それと同時に誰にも気づかれないように密かに…そして邪悪に口元を歪め、状況を見守る態勢をとった。
先ほどの質問に対してとったノアの対応はやはりというか、秘密。わざとらしく悲鳴をあげて、そして戻ってきたところで今度はユウカの番。そうなった瞬間、彼女は食い気味にノアに質問をぶつける。
「ちょ、ちょっとノア! さっきの二人の質問の内容って本当なの!?」
「ゆ、ユウカちゃんユウカちゃん…。その、言いづらいんだけど…三回ルール…」
「あっ…!」
ユメのやんわりとした指摘に、ユウカはしまったとばかりに口を抑える。そんな彼女の反応を見た瞬間、ノアと連邦生徒会長はにっこりと笑みを浮かべた。もちろん、ユウカの反応を楽しんでのことである。
ユウカはその後何かをノアに対して言おうとしていたものの、とりあえず足つぼマットに足を押し付けてそれなりに大きめの悲鳴を上げ、そして戻ってきた後ノアに改めて問い質しにかかる。
「…はぁ…。で、ノア? 本当なの?」
「ふふ、先生もお疲れのようでしたから。少しでも休んでくれればいいなぁ、と思っただけですよ?」
「じ、事実なのね…!?」
ちょっとだけ赤面してノアと先生を交互に見つめたあとに色々と問い詰めようとしたのだろうが、結局言葉が出てこなかったのか「はぁぁぁぁぁぁ……っ」とかなり深い溜息を吐くユウカ。
そんな彼女の様子を見ながら自分のターンになったノアは、更にユウカをからかう為に先生に気がある生徒ならば絶対に気になる質問を先生自身にぶつける。
「先生の好みの女の子のタイプを教えていただけますか?」
「えっ」
思わぬ質問によって巻き込まれた先生。連邦生徒会長は多分誤魔化すだろうなぁ…とぼんやりと、しかし確信しながら先生とそわそわしているユウカに視線を送り続け──そしてあることに気づいた。
先生の隣に座っている別世界線上の同一人物であるプレナパテスが『お前言ったらわかってるよな…?』とばかりの圧を全身から醸し出し、それに気づいた先生がだらだらと滝のような冷や汗を流しまくっているのである。芋づる式に性癖がばれるのが避けたいのだろうが、それにしてもプレナパテスの圧は半端な物ではない。ナラム・シンの玉座でも見せなかった圧に、先生は。
「…………秘密、です…ッ!」
ものの見事に敗北した。足つぼマットに向かっていく先生の姿をプレナパテスは満足げに見守っており、ユウカはちょっと残念そうに見つめていた。
先生が足つぼに痛みで絶叫した後、とぼとぼと戻ってきて席についたのを確認した後に連邦生徒会長は。
「ぶっちゃけ先生って肌の色が白い子よりも褐色の子が好きですよね?」
と容赦なく追撃を加え、そしてその結果。
「解散! 解散しよう! もう勘弁して…!」
という先生のギブアップ宣言によって、今回のゲームはあえなく強制解散の憂き目にあってしまったのだった。