シリーズ「私のミスでした」   作:竜田揚げ丸

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こんにちは。セイア実装ということなので書いたら出るを信じて一本書いてみました。二次創作ssでも効果が適用されるのかは謎ですが…。
追記がなかったら察してください。

追記:セイア出ました。ある程度効果はあるようなのでほしいキャラが居るときはレッツライトです。

この作品は、Pixiv様にも投稿させていただいています。



「私のミスでした…」セイア「その24だとも」

「私のミスでした…」

 

少女は緊張した面持ちながらも、しかし口に三日月を作りながら言葉を絞り出す。その様子はまるで勝負師のようだ。

 

「私の選択、そしてその選択によって招かれたこのすべての状況…」

 

「この結果にたどり着いて初めて、私のあの選択が間違っていたことを知るなんて…」

 

少女──連邦生徒会長はそこで一旦言葉を区切ると、目の前に座る少女に心底意外だったとばかりに言葉をかけた。

 

「まさかセイアさんがナギサさんの新作ロールケーキでここまで熱くなるとは、予想外でしたよ…!」

 

連邦生徒会長のその言葉にセイアは「あぁ。正直なところ、私自身驚いているよ」と言いながら連邦生徒会長の手に握られていた二枚のカードの内、片方だけをするりと引き抜いた。

 

「──上がりだ。すまないね、連邦生徒会長。ナギサの新作ロールケーキは私がもらおう」

 

セイアは勝利宣言とともに残っていた手札をテーブルの上に置き、そしてそれと同時に連邦生徒会長は悔しさを滲ませながら無言かつ静かにテーブルに額を押し当てた。

 

現在連邦生徒会長はトリニティ総合学園、ティーパーティーが使用するいつもの部屋にいる。

いつもの如く連邦生徒会代表・トリニティ総合学園代表としての打ち合わせの為に集まり、そして特に問題も起きずそれ自体は終わったのだが、しかしそことは少し外れた所で事は起きた。

 

『新しいロールケーキが出来上がったので持ってきた、のですが…。手違いで三個しか用意できず…。大変申し訳ありません…』

 

ナギサが心底申し訳なさそうに出したロールケーキはとても美味しそうなものであり、しかも彼女によれば中々手に入らない材料で作った貴重品だそうだ。

そして、肝心なのはこの部屋にいる人数。ナギサ、ミカ、セイア、そして連邦生徒会長の4人がこの部屋に居る。

この内誰かがこのロールケーキを口にすることは叶わない。誰がどう出る、とその場の全員が様子を探る中、

 

『私は遠慮しておきます。いつでも食べられる…という訳ではありませんが、皆さんにお譲りするのが道理だと思いますので。大丈夫です、美味しそうに食べていただければ私はそれで満足ですので』

 

とナギサが突然遠慮をし始めた。これに他の三人は猛反発。

 

『いえ、ナギサさんが持ってきてくださったのですからナギサさんは口にするべきです』

 

『そうだよ〜…。ナギちゃんに遠慮されると私達もやり辛いよ〜…』

 

『あぁ。残り2つを誰が食べるかは私達で決める。これは私達の総意だ。だからナギサ、遠慮などやめてくれ』

 

三人の猛反発を受けてなおナギサは何かを言おうとしていたが、しかし三人の表情を見て素直に聞くことにしたらしく彼女はそれ以上何かを言うのはやめ、『ありがとうございます。でしたら、いただきますね』と優しく微笑んだ。

そして、残り二枠を残った三人で譲る譲らないを含めた議論の末に。

 

『勝負の方法は決まったね…! 勝ち抜きババ抜き対決っ!』

 

ミカのその元気な声とともに、ナギサを含めた四人の視線は卓上に置かれたトランプの箱に集まった。

ちなみに、この場の誰もトランプを持ってきていなかったのでこれはこの為だけにわざわざ補習授業部…というか、ヒフミから借りてきたものだ。なのでモモフレンズ柄である。

話は戻すが、このババ抜き対決は大変白熱。

 

『……! セイアちゃん、ババ引かせたでしょ!?』

 

『今のは引いたほうが悪いだろう。散々忠告はしただろうに』

 

『まぁまぁ二人とも喧嘩なさらずに、楽しくいきましょう。…うぐぅっ…』

 

『連邦生徒会長、声を出しては丸わかりですよ…』

 

とババは巡り巡る。そんな中、今回のババ抜き大会で一番先に上がったのはというと。

 

『あーがりっ! あははっ、二人とも頑張ってねー?』

 

ミカであった。ぴょんぴょん飛び跳ねて喜びながらもちょっとだけ煽りも入れてくる彼女に連邦生徒会長もセイアも思わず『ぐぬぬ…』と言わんばかりの表情を見せたが、しかしいつまでもそうやっている場合ではないので試合再開…の直前。

 

『悪いが連邦生徒会長。私も負ける気はないよ』

 

と彼女に啖呵を切られてしまい、そしてそれに少し動揺して冒頭に至り連邦生徒会長は敗北。机に突っ伏す羽目になったのだった。

 

「ふふ、中々に楽しかった。たまにはいいものだね、こういうのも」

 

「あははっ、なんだかんだでこういうことしないからねー、私達」

 

そう言いながら勝者たるミカとセイアは美味しそうにロールケーキを頬張り始める。

一方の敗者こと連邦生徒会長は手に残ったペロロの絵が描かれたジョーカーをかなり恨めしそうに睨んでいた。何せ絶妙に腹立つ表情をしているのでその怒りはご尤もだろう。

しかし。そんな彼女らの様子を羨ましそうに見ている人物が居た。

先程の一勝負において傍観者に徹していたナギサである。

そんな彼女の様子に気付いたのか、大きな耳を一度大きく揺らしたあとにピンと立てたセイアはというと。

 

「…ここで一つ提案なのだが、もう一勝負しないかい?」

 

そんなセイアの突然の提案に、その場の全員が彼女に視線を向けた。

視線が集まったセイアは全く物怖じせず、さらに提案を続ける。

 

「今度の一勝負はナギサも含めて、だ。そうだな…負けた人物は何かしらを奢る、というのはどうだろう」

 

「えっ? えーっと、セイアさん…? 私は、その…」

 

セイアの突然の提案にしどろもどろになるナギサだが、しかしミカは参加しない理由を探そうとするナギサが何かを言う前に先手を取った。

 

「セイアちゃんにさんせー! だってナギちゃんだけ見てるだけってズルくない? たまにはナギちゃんの悔しがる顔が見たいよ、私」

 

「み、ミカさん!? どういう理屈ですかそれは!? 私はまだ参加するとは一言も…!」

 

二人の連携によって徐々に押されていくナギサ。彼女は助けを求める様に連邦生徒会長に視線を向けたが、しかしその瞬間即座に後悔した。

なにせ彼女は再戦と聞いた途端にあたかも勝負師のような顔をしており、有無を言わせない強い表情で『勿論ナギサさんもやりますよね…?』という雰囲気を全身から醸し出していたのだ。

ちなみに、実際のところ連邦生徒会長はそこまで思ってはいない。シンプルに負けず嫌いが発動しているだけである。

 

「…はぁ…。わかりました、今度は私も参加します。…これでいいですか?」

 

仕方ないと言いたげなナギサだったが、しかしその表情は極めて楽しそうだ。

そんな和やかな空気とともに(一人だけお金を賭けてギャンブルしてるのかというぐらい妙に本気な顔をした生徒がいるが)、第二回戦が開始。

 

「私がセイアさんの手札を引くのですね。……ジョーカーはここ、ですか。ならこちらを……。…っ!?」

 

「あっ、ナギちゃん微妙に表情が変わったね。すごい分かりやすかったよ、今の」

 

「ふふ、引っ掛かったねナギサ」

 

「くぅっ…。…で、では連邦生徒会長。貴方の番です」

 

「えぇ、承知しました。……ここですっ!

……………まぁ、その、あの…はい」

 

「あ、こっちも分かりやすい…。そりゃわかるよ…」

 

と言った具合に、ババ抜きは和やかに進んでいく。そして、今回のゲームにおいて最初に上がったのはというと。

 

「ふふ、一番乗りだ。悪いね、三人とも」

 

セイアである。先程の試合で煽られたのを少しばかり気にしているのか、三人を煽る彼女の視線は結構な割合でミカに向けられていた。

そんな彼女にミカは「うわっ、性格悪っ…」と思わず毒づき、ナギサは二人のそんなやり取りに苦笑し、そして連邦生徒会長はというと。

 

「…………大丈夫、まだやれる。まだ二人いる…まだ勝ちの目はあります……!」

 

と未だお金を賭けてギャンブルしているのかと言わんばかりの気迫を身にまとっていた。

そしてそのまま勝負は再開、次にゲームから上がったのは。

 

「……危ないところでした。一位を取れなかったのには思うところはありますが、しかし全面的な敗北よりはまだいい結果でしたね…」

 

ナギサである。妥協するのにすらそれなりに決断がいる彼女は今回の勝負に結構集中力を使ったのか、その額には小さな汗が浮かんでいる。そんな彼女をセイアは静かに労った。

そして、残った二人──ミカと連邦生徒会長はというと。

 

「……あはっ、負けないからね」

 

「えぇ、私も負けるつもりはありませんよ…」

 

背後に龍と虎を幻視するほどにヒートアップし始めた。先に上がったナギサとセイアも思わず二人の勝負の趨勢を見守る体勢に入ってしまう。

一回、また一回と互いに手札を引いていき、それと同時にジョーカーは互いを行き来し続け、そしてその末に。

 

「………やったぁぁぁぁっ! 勝ったぁぁぁぁぁぁっ!」

 

「そ、そんな…っ!」

 

ミカが喜んで立ち上がり、連邦生徒会長は悔しげに俯いて自分の膝に拳を打ち付けた。この事から分かる通り、連邦生徒会長の敗北である。

これにより、連邦生徒会長はティーパーティの面々に対し奢りが決定してしまったのだった。

 

「うぅっ…またも敗北するとは…」

 

「だって分かりやすいんだもん、連邦生徒会長って」

 

「その割には結構ブラフに引っかかっていたがね…」

 

「むっ…。余計な事は言いっこなしでしょ、一応は勝ったんだし」

 

「そうですね、三位といえども勝ちは勝ちです。悪い結果ではないでしょう」

 

先程の感想を言い合うティーパーティの面々。連邦生徒会長はそんな三人の様子を、悔しがりながらも見守った。

三人とも政治のことで立場的にも肉体的にも苦しかったりするのだから、たまには間に入って何も考えずに息抜きさせるのも自分にもできることの一つだろう。

連邦生徒会長はそう思いながら、しかし。

 

「第三戦、始めましょう! 私が負ければシャーレの当番をねじ込む権利をあげます!」

 

とシャーレの当番権を餌に再び勝負に走ったのだった。

 

ちなみにこの三回目から連邦生徒会長とミカがそれぞれ徐々にイカサマを仕掛け始め、それに勘づいたセイアも密かに直感を解禁したためにゲームがおかしな展開に。

唯一何もしていなかったナギサだけが割を食ったが、しかし割を食ってしまったが為に展開を不審に思った彼女は第三者──ヒフミ達補習授業部を召喚。

彼女らによってイカサマが明かされ、そして三人揃ってナギサにお説教を受けてしまったのだった。

 

なお連邦生徒会長については勝手にシャーレの当番権を賭けたのがナギサによって密告され、先生達にも怒られてしまったのは別のお話。

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