シリーズ「私のミスでした」   作:竜田揚げ丸

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こんにちは。ゲブラがなんかクッソ強いので投稿します。なんなのアイツ。
今回のイベントを見てアバンギャルド君が思ったよりもデケェな…と思ったのは私だけでしょうか。

こちらの作品はPixiv様にも投稿させていただいています。


「私のミスでした…」リオ「その25よ。…これ以上必要かしら?」

「私のミスでした…」

 

少女はなんとも言い難い感情に表情を引きつらせ、目の前に映る光景に後悔とも困惑ともつかないなんとも微妙な声をあげた。

 

「私の選択、そしてその選択によって招かれたこのすべての状況…」

 

「この結果にたどり着いて初めて、私のあの選択が間違っていたことを知るなんて…」

 

少女──連邦生徒会長の眼前に映っているのは、とある図面が描かれた多数の紙束。

それに描かれた絵を改めて見た連邦生徒会長は、またも微妙な声を上げた。

 

「…リオさんのデザインセンスがまさかここまでだとは…」

 

連邦生徒会長が眺めている図面──それは連邦生徒会の新型警備ロボット案についての資料である。

これは新しくミレニアムのエンジニア部に依頼しようとしているものであるのだが、エンジニア部に図面から設計させると大変なことになると役員たちに危惧され、それを受けた連邦生徒会長がミレニアムでの仕事にて相対することになったリオに本来の要件のついでに相談したところ彼女の善意によって送られてきたものである。

ミレニアムのビッグシスターが設計したものだけあって設計図だけで見ても機能性は抜群…なのだが、あまりにもデザインがこう…アバンギャルドがすぎる。

量産を見据えてコンパクトサイズにしているが故に元祖アバンギャルド君と比較してもデザインが7倍ほど前衛的であるため、どちらかと言えばAMASのようなシンプルなデザインで来ると思っていた連邦生徒会長の正直な感想としてはリオには大変申し訳ないが『こういうタイプで来たかぁ…』というのが正直なところである。

軽く模型を作ってみた上でこの図面についてリンや先生たちに相談したところ、

 

『……機能性には問題はないとは思いますが…。…その、デザインがですね……しかし機能性さえ確かならばデザインはまぁ……。いえ、ですが……。……その、申し訳ありませんがこの件については会長にお任せしてもよろしいでしょうか。これ以上私の口から出てくるのは恐らくデザインについての不満だけだと思いますので…』

 

『………えっ、これを警備ロボに? いやリオが設計したんなら間違いはないと思うんだけどね…? ……これが連邦生徒会中を練り歩くのかぁ…。……………そっかぁ……』

 

『えーっ、と…独特な、デザインだね…? えっ、これを警備ロボットにするの? ……ってことは、これを連邦生徒会の建物にみっちり配備するってこと…? ……や、やめておかない…?』

 

『…連邦生徒会長。プレナ先生がお腹を抱えて死にかけたあと、調月リオ会長が図面を引いたと知ってずっと申し訳なさそうにしています』

 

とやはり困惑ないし爆笑を受けたためにこれを素通りで通すのはちょっとどうだろう…という判断に至り冒頭に至る。

明らかに機能性は半端な物ではない。半端な物ではない…のだけれどこれを量産して配備するのはなにかこう、絵面が酷いような気がしないでもない。侵入者対策として考えるならばデザインを考えるのは野暮なのかもしれないしこのデザインはむしろ威圧効果としては優秀なのかもしれないが、しかしこれを量産配備なんてした暁にはその侵入者にすら『もしかして連邦生徒会って結構アレな組織だったりするのか…?』とか思われかねないだろう。それにもしこれを通したが最後、残念ながら連邦生徒会の役員の面々にもデザイン的な面で批難をくらうのは目に見えている。

なので却下したいところではあるのだけれど、リオは完全な善意でこの設計図を送ってきてくれたのだしそれを却下するのはなんだか心苦しい。

どうするべきか連邦生徒会長がかれこれ何時間も悩んでいたところ、彼女の携帯電話が震え始めた。

 

「着信…いったい誰から…。……うーん、何とも言えないタイミングで…」

 

発信者の名前は調月リオ。件の設計図を送ってきた張本人だ。

どうしようかほんの一瞬悩んだが、とりあえず連邦生徒会長は電話をとってみた。もしかするとこの量産型アバンギャルド君以外の要件かもしれないからだ。

 

「…もしもし、リオ会長ですか?」

 

『…連邦生徒会長? 例の設計図、まだ手元に残しているかしら?』

 

リオからの連絡の内容はというと、やはりというか量産型アバンギャルド君についてのお話らしい。連邦生徒会長は密かに冷や汗をかいたが、しかし同時にとあることに気がついた。

…リオのテンションがいつもと比べるとなんとなく低い、ということに。

 

「…まだ手元には残していますが…その、何かありました?」

 

取り敢えず連邦生徒会長はリオの要件に答えつつと、彼女に何があったかを探るために近況について聞いてみることにした。

いつもよりも声のトーンがなんとなく低い彼女の返答はというと。

 

『……例の警備ロボットについてなのだけれど…申し訳ないけれど、一旦図面を回収させてもらっても構わないかしら』

 

という意外なものであった。

連邦生徒会長からすれば願ったり叶ったりなのではあるが、しかしながら図面を渡してきた時に『これなら問題はないでしょう』とほんの僅かにドヤ顔を浮かべていたリオからそのような提案を持ち出されるとは全くもって思っていなかったために連邦生徒会長は思わず「何か問題があったのですか?」と聞き返すと、彼女は溜息交じりにその理由を告げた。

 

『……例の図面についてだけれど、重大な欠陥が見つかったのよ』

 

「欠陥…ですか。穏やかではありませんね…」

 

欠陥があったらならば量産も何もあったものではないので仕方がない。連邦生徒会長はそう思いながら先程から机に広げていた量産型アバンギャルド君の設計図を回収しながらも、『重大な欠陥』が気になったのでリオに聞いてみることにした。

 

「あの、リオ会長。このアバンギャルド君…失礼、新型警備ロボットに見つかった『重大な欠陥』とは何でしょうか」

 

『……どうしてそんなことを聞くの?』

 

「いえ、聞く必要は特にはないのですが…強いて言うのならば、ただの興味です。ざっと見ただけの素人所感ですが、リオ会長が設計したロボットに欠陥があるとは思えなかったので興味深いなぁと思いまして」

 

『……そう』

 

リオは素っ気なくそう返すと、それからは口を噤んだ。それと同時に連邦生徒会長は『やっぱり聞いたのはよくなかったかなぁ…』と内心後悔していたが、しかしそう思った瞬間にリオが『………を………………よ……』と何かを呟いたのが聞こえた。

 

「……リオ会長? 今何か…」

 

連邦生徒会長が聞き返したその瞬間。リオははぁーっと限りなく深いため息を吐いたあとにその理由を今度ははっきり聞こえるように伝えてきてくれた。

 

『……例のデザインをトキに悪気なしで散々言われた上に、ユウカとノアに修正するようかなり強く念押しされたのよ…』

 

「………はい?」

 

『何度も言わせないで…。これでも結構落ち込んでるのよ…』

 

リオはかなり疲れたようになんとか声を絞り出す。どうやらかなりの自信があったが故にアバンギャルド君が結構なことを言われたのが相当堪えたらしい。

連邦生徒会長はリオの話の続きに耳を傾けていたが、続きを話す様子はないのでどうやら彼女の話はここで終わりのようだった。

 

「………あの、つかぬことをお聞きしますが」

 

『…何かしら?』

 

「欠陥って…もしかして、それだけ…ですか?」

 

『……えぇ。機能や回路に欠陥はないわ』

 

……どうやら、リオの言う『重大な欠陥』とはデザイン面でのことだけらしい。

それを理解してしまった連邦生徒会長とリオの間には何とも言えない妙な空気感が流れた。

しかしいつまでもそうしているわけにはいかないのは二人ともわかっているので、とりあえず連邦生徒会長はそれを振り払うようにアバンギャルド君の資料をかき集め、まとめあげた。

 

「……わかりました。資料は郵送しましょうか?」

 

『いえ、私がそちらに赴いて回収しに行くわ。…私が自分で撒いた芽なのだし、…デザインに難があるとは言っても悪用されると困るもの』

 

「承知しました。お待ちしていますね」

 

連邦生徒会長がそう言うと同時にリオからの連絡は途切れた。連邦生徒会長は通話が切れた携帯を置いて再びアバンギャルド君の資料を封筒に突っ込み、最高機密として金庫の中に入れて保管しておいた。

後日。金庫を開けるとアバンギャルド君の資料が消えていた…ということは別になく、連邦生徒会に現れたリオが書いていてくれたデザイン改修が成されたロボットの設計図と交換する形でアバンギャルド君の設計図は問題なくリオに返却された。

そして今回新規作成されたロボットについて、連邦生徒会内で念のために確認してもらったところ高評価をもらったためにこれでエンジニア部に話を通してプロトタイプを作成してもらった。

そうしてリオとエンジニア部の助力を得て作られた新型警備ロボットはというと。

 

 

──────案の定暴走した。その原因はというと、本体を作成したエンジニア部が余計な機能と余計なプログラムを付け足したことにある。

今回の連邦生徒会のセキュリティ強化プランは失敗・凍結。セキュリティ強化どころかとんでもない被害を齎し、連邦生徒会長はしばらく半泣きで後始末に奔走する羽目になったのだった。

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