シリーズ「私のミスでした」   作:竜田揚げ丸

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こんにちは。バレンタインが近いので投稿します。

短編集は「思ったよりも話が膨らまねェなァ…」「書いたはいいけどこれで一話はちょっとなァ…」「お蔵入りかなァ…」みたいな話を纏めた作品になります。

この作品は、Pixiv様にも投稿させていただいています。


「私のミスでした…」モモカ「短編集1だよー」

【よく考えたら】

 

「私のミスでした…」

 

少女は呆然とした瞳で眼前にあるどんぶりを眺める。その器は煤け、若干ひび割れているが、しかし少女の咄嗟の行動により幸いにも中身は無事だった。

 

「私の選択、そしてその選択によって招かれたこのすべての状況…」

 

「この結果にたどり着いて初めて、私のあの選択が間違っていたことを知るなんて…」

 

そこで一旦言葉を切った少女──連邦生徒会長。そして、先ほど起こった事実をしみじみと呟いた。

 

「…爆破される程の店を選んでしまうとは…」

 

事の発端は数分前。外に出る必要のある諸々仕事を済ませ、昼食を摂ろうと手近にあった店に入った事であった。

その店には以前に入ったということもなく、また口コミも見ずに入った店だったのだが。

 

『らっしゃっしゃっせぇー』

 

『…え? あ、えーっと、はい…』

 

言葉遣いに困惑しながらも案内されるままに席に座り、そしてそういう気分だったのでなんとなく親子丼を頼んだら雑な盛り付け方をされた親子丼が出てきた。

なるほど、こういうタイプのお店だったか。そう思いながら箸を手に取った、その瞬間に店内に閃光が走る。

瞬間的に高まる店内温度、響く爆音。爆破されたことは明確であった。

反射的に体でどんぶりを庇ったことによりそれは無事だったが、しかし店は完全に崩壊していた。

そういった状況を把握して、そして冒頭に至る。

取り敢えず親子丼を一口だけ口に含むと、なんとも言えない微妙な味が口中に広がった。

爆破の影響で余計なものが混じっているとはいえ、それは手放しで美味しいといえるものではなかった。

かちん、と箸を空になったどんぶりの上に置いてから、連邦生徒会長は素直に思ったことを口に出した。

 

「…冷静に考えたら私のミスではありませんね、これは…」

 

なお、件の飲食店爆破テロを起こしたのは案の定美食研究会だったそうで、連邦生徒会長が巻き込まれたことで大事になりかけたのは別の話。

 

──【よく考えたら】 終

【気になったから】

 

「私のミスでした…」

 

少女は痛む頬をさすりながら後悔混じりに声を出した。その空のように青い瞳は若干潤んでおり、痛々しさを全身から醸し出している。

 

「私の選択、そしてその選択によって招かれたこのすべての状況…」

 

「この結果にたどり着いて初めて、私のあの選択が間違っていたことを知るなんて…」

 

そこで一旦言葉を切った少女──連邦生徒会長は、静かに先程起こった出来事を呟いた。

 

「興味本位でワカモさんの尻尾をもふもふしたら拳が飛んでくるとは…」

 

「それはダメだよ会長ー。意外とこういうのはデリケートなんだからさ」

 

スナック菓子をぱりぱりと音を鳴らして食べながら、由良木モモカは連邦生徒会長の行動に非難の声をあげる。曰く羽や尻尾はかなり敏感だから人によっては触れられたくないんだよ、とのことらしい。

なるほど、そうでしたかと連邦生徒会長はモモカの話に相槌をうってから。

 

「でも仕方ないと思いませんか? 目の前でもふもふがゆらゆらふりふりしてるんですよ、気になるに決まってるじゃないですか」

 

と開き直っていた。普段ならばこの流れで「だって」や「でも」といった言い訳はしないのだが、よく見れば連邦生徒会長の目元にはうっすらと隈が出来上がっている。つまり連邦生徒会長は激務で思考が緩くなっているのである。

 

「寝ないからそういう思考になるんだって。一回寝なよ」

 

「モモカちゃんはこの状況で寝れますか?」

 

そう言って連邦生徒会長が視線で指し示しているのは書類の山。デカグラマトンだのヒエロニムスだのクロカゲだのセトの憤怒だのカイザーだのが暴れまくって出た被害の規模やその修理費用、SRTやヴァルキューレの弾薬費用請求といった書類の山である。これに加えて連邦生徒会の通常業務、ほかの学園との打ち合わせの資料といったものもあるため、彼女はここ最近は満足に眠れていないのが現状である。

なお、件のワカモを始めとする一部の七囚人も本来連邦生徒会長の頭を悩ませる側に入るのだが、ちょっとした契約と取引によって彼女たちはあまり連邦生徒会長の頭を悩ませることはしなくなった。…それでもやらかすときはやらかすのだが。

 

「あー…うん。ごめん、今のは私が悪かったかも。でも気をつけなよ? まーた病院送りになるのは会長も嫌でしょ」

 

「大丈夫ですよ、退き際は弁えてますから。…ミネさん達のお世話にはなりたくありませんし」

 

「あはは、大分効いたみたいだね。それじゃ、私もまだ色々あるから失礼するねー」

 

そう言ってモモカは会長室を後にする。それを確認した後連邦生徒会長は再び静かに書類と格闘し始め、そして陽が落ちてなお連邦生徒会長は書類の処理を続けた。

そして、翌日の昼。

 

「私のミスでした…」

 

連邦生徒会長は痛む腰をさすりながら後悔混じりに声を出した。その空のように青い瞳は若干潤んでおり、痛々しさを全身から醸し出していた。

 

「私の選択、そしてその選択によって招かれたこのすべての状況…」

 

「この結果にたどり着いて初めて、私のあの選択が間違っていたことを知るなんて…」

 

そこで一旦言葉を切った連邦生徒会長は、静かに先程起こった出来事を呟いた。

 

「たまたまいたアキラさんの猫耳と尻尾を興味本位でお触りしたら回し蹴りが飛んでくるとは…」

 

昨日よりも若干隈を濃くした連邦生徒会長の様子を見たモモカは溜息をついて、連邦生徒会長を静かに諭した。

 

「…会長、やっぱ一回寝た方がいいって」

 

──【気になったから】 終

 

 

【募集】

 

「私のミスでした…」

 

少女は冷や汗をかきながら眼前にいる人物達をちらと見やる。その瞳は揺れ、明らかに動揺が隠せていなかった。

 

「私の選択、そしてその選択によって招かれたこのすべての状況…」

 

「この結果にたどり着いて初めて、私のあの選択が間違っていたことを知るなんて…」

 

そこで一旦言葉を切った少女──連邦生徒会長。そして、目の前にある現実を噛みしめるかのようにしみじみと呟いた。

 

「…警備のスタッフを募集したらここまでの人材が集まるとは…」

 

面接を担当する連邦生徒会長と他の何人かの目の前にいるのは、アリウススクワッドの面々、アビドス廃校対策委員会の面々に、それから七囚人の一人・栗浜アケミ。

かなり濃いメンバーの上、実力が確かすぎる。多分正規雇用の警備スタッフよりも制圧力が高い。そしてなによりも、各々雇用するには問題がある。

(顔は一部の人たちにしか割れてはいないが)テロリスト、(誰にも顔が割れていないが)銀行強盗、(言われなければわからないが)七囚人。

雇用するには少ししんどい面子である…のだが、なまじ実力がある分問答無用で落とすには惜しい人材達でもある。

なのでとりあえず、連邦生徒会長は普通に面接を進めていく。

 

「えー…まず志望動機を教えてください…。まずは…錠前さんから」

 

連邦生徒会長はまずサオリに定番の質問を投げかける。すると彼女はいつも通りの凛とした声ではきはきと答えた。

 

「私は…いや、ここにいる私を含めここにいるアツコ、ヒヨリ、ミサキは罪を犯した。それしか知らなかったとはいえ、到底赦されるものではない。だが、こんな私達のことをお前たちは闇から引き上げてくれた。生きていていいのだと教えてくれた。だからせめて、お前たちの力になりたいと思い応募させてもらった。…これでいいだろうか」

 

「え、えぇ…。い、いい答えでした、錠前さん…」

 

サオリのその言葉に連邦生徒会長は微笑んだあとペンを手に取ってメモを取る…ふりをした。その手はぶるぶると震え、メモ帳に書かれたそれはおおよそ文字と読めるものではない。

 

(お、重い…! とてもアルバイトの志望動機とは思えないほど重い…!)

 

メモを取るふりを終えたあと、面接を進めるためにも連邦生徒会長はとりあえず顔を上げた。その後アリウススクワッドの残りのメンバーにも志望動機を聞いてみたが、態度は各々異なったが示し合わせたかのように似たような答えが返ってきた。

再び頭を抱えた後、今度はアビドス廃校対策委員会に向けて同じ質問を投げかけてみた。

 

「えー、その…。次は小鳥遊さん。お願いします」

 

「ん? あー、アビドスの借金返済のためだよ。そこにいるアヤネちゃんに行って来いって言われちゃったから来たんだ。まぁ会長ちゃんもわかってると思うけどね~」

 

その答えを聞いて、連邦生徒会長は再びメモを取るふりをして内心頭を抱えた。

 

(今度は綿埃のように軽い…! 落差が激しすぎて頭が痛くなってきた…!)

 

アリウススクワッドと同じく志望動機を聞いたが、セリカとアヤネ以外はこれまた先ほどのホシノと同じような返答が返ってきたことにより、頭どころか胃がキリキリと痛み始める。

最後に、アケミにも同じ質問をすると。

 

「はい。私には私を慕ってくれる後輩たちが居るのですが、彼女たちにその返礼をするために少々労働したいと思いまして。私は見ての通り体格もよく、また力も強い為に並みの相手ならば撃退が可能であるためお力になれると思い応募させていただきました」

 

「…なるほど。そうでしたか…」

 

再び文字にならない線を手帳にボールペンを走らせながら、連邦生徒会長はまたも頭を抱えた。

 

(まともすぎる…! その後輩が問題を起こすスケバン達でなければ完璧だった…っ!)

 

その後も面接は続いていくが、アリウススクワッドはどこかずれた回答を繰り返し、対策委員会は全体的にやる気のない返答を続け、アケミはまともな返答で面接官の心証を確保していた。

話は進み、なんなかんやで面接は終わりを迎えかけた頃。面接官を担当する連邦生徒会の生徒の一人がとある質問をした。地雷というか、爆弾的な質問を。

 

「一応聞いておきますが、皆さんテロ行為などは行っていませんよね?」

 

その質問に、連邦生徒会長は絶句した。それでもなんとかその質問への返答を阻止しようとしたその刹那、採用候補者たちはあっさりと答えた。

 

「…エデン条約調印を妨害したことがある。あれは我々アリウスも被害者という結論が出され、やったことに対してかなり寛大な処分を受けたが、それでも私達はあれ以上の罰を受けるべきだと思っている…」

 

「えー…その…。いやー…そういうのには、縁はない、ですかね…。あは、あははは…」

 

「…ご存知かもしれませんが、かつて七囚人と呼ばれていたこともありましたわ。今はシャーレや貴方がた連邦生徒会のご厚意でこうしてシャバに出させていただいていますが…」

 

それらを聞いた瞬間面接官の一人は息を呑み、声を張り上げた。

 

「面接終了! 警備を呼んでください、至急です! この人たちをつまみ出して!」

 

こうして面接は終了…というか中止。警備の生徒たちやヴァルキューレにSRT、アビドスやスケバン達を巻き込んだ大乱闘が始まった。連邦生徒会の建物には甚大な被害が出たことは勿論、各方面への配慮に連邦生徒会長が苦慮したことも言うまでもないだろう。 

 

──【募集】 終

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