なお、半分くらい脳死で作ったのでちょっとアレなことになっていますのがそこはご容赦を。
この作品は、
・ハーメルン様(ココ)
・Pixiv様
の二つのサイトで投稿させていただいています。
「私のミスでした…」
少女はやっちまったとばかりに頭を抱え、そして後悔の声を吐き出した。その瞳はしかし、どこか楽しかったなぁ…という懐古もまた垣間見える。
「私の選択、そしてその選択によって招かれたこのすべての状況…」
「この結果にたどり着いて初めて、私のあの選択が間違っていたことを知るなんて…」
そう言いながら、少女──連邦生徒会長はスマートフォンが写す雑誌の記事に改めて目を通し、ふぅと息を吐いた。
「ハナコさんとちょっとした考察をしていたらまさかこんなことになるとは…」
連邦生徒会長が眺めていた記事の小さな欄には、『連邦生徒会、その長が抱えていたドス黒い性事情!?』という見出しから始まる連邦生徒会に対する疑惑を記したコラムのようなものが書かれていた。
断っておくが、連邦生徒会に関する疑惑の真実性も連邦生徒会長が抱え込んでいたドス黒い性事情というものも一切ない。連邦生徒会長に関しては良くも悪くも年相応の思春期の女の子といった具合である。
しかしながらそんな根も葉もないうわさ話を大々的に書かれてしまったのは、以前の出来事が原因であった。
時は僅か一日前の事。連邦生徒会長がトリニティに訪れた時の事である。
いつも通りティーパーティの面々との会談の後、ふらふらと特にあてもなくトリニティ自治区を歩き回っていた連邦生徒会長。
特に理由もなく古本屋に踏み入ってみた連邦生徒会長は、そこでとある生徒と遭遇した。
『あら…会長さんですか。奇遇ですね』
『おや、ハナコさん。えぇ、奇遇ですね』
浦和ハナコ。トリニティどころかキヴォトス屈指の頭脳を持ち、トリニティ内部の様々な勢力が喉から手が出るほど欲しい人材だが、しかし誰よりもそんな『トリニティらしさ』を厭ってただの一生徒としてありたいトリニティ生である。
連邦生徒会長も先生からハナコのそんな事情を聞いたために、よっぽどのことがない限りは政治的な話で頼ることはせずにただの一生徒としてかなり粘り強く接した結果、彼女とは積極的に遊びに行くというほどではないものの確かな友情を持つこととなった。
『会長さんはどうしてここに? もしかして、『保健体育』のお勉強のために…?』
『残念ながら違います。視察のついでに無軌道に歩んできた結果興味を持ったのがこの古本屋さんだっただけですよ』
『残念ながら…ということはつまり、『そういう』気分の目的を持ってくる場合もあったりするんですか? よ・け・れ・ば…おすすめの本をお貸ししましょうか?』
『うーん…この前貴方に嵌められて渋々お借りしたのが凄まじくハードなものでしたし、しばらくは結構ですかねぇ…』
『あら、ハードなモノでハメられてだなんて。会長さんったら、大胆ですね♡』
『今日も絶好調ですねぇ…』
若干遠い目をしはじめた連邦生徒会長の表情を見て、くすくすと上機嫌そうに笑うハナコ。二人のコミュニケーションは、実のところこういう会話が大半を占めている。隙あらば下ネタをぶち込むハナコと真っ向からそれを受け止めた上であしらったり、時々悪ノリして大暴走する連邦生徒会長。キヴォトスでもかなりの頭脳派二人組だが、しかしながらこの二人が揃ってやることなすことは意外にもちゃんと高校生なのである。…先生曰くどちらかというと男子高校生寄り、とのことらしいが。
『ところでそんなハナコさんはどうして…というのは野暮ですね。どんな本をお探しですか?』
『実は目当てのものは手に入ったんです』
そう言ってハナコは先ほど購入したであろう、それなりの厚さを持つ本を視線の高さまで掲げた。
『辞書…いえ、歴史書? それならウイさんに協力を仰いだ方が…』
『もちろんそうしたのですが、用途を説明した途端にすごい剣幕で追い出されてしまって…』
しゅん、と珍しく悲し気に目を伏せるハナコ。連邦生徒会長はそんな彼女の様子を若干珍しく思いながらも『…何に使うつもりだったんですか?』と興味本位で聞いてみた。
連邦生徒会長のそんな問いに、ハナコは笑みを浮かべて妖しい視線を彼女に向けてきた。…その瞬間、連邦生徒会長は察した。どうやらトラップだったらしい。
『これの解読、です♡』
そう言ってハナコが先程の本と共に購入したであろう本は、先程のものとは違ってそれなりの厚さを持つ本。それは連邦生徒会長も名前は聞いたことがある、流通数の割に結構謎が多いがアレな内容であることだけはわかる本であった。
『…なるほど、そうでしたか。解読、頑張ってくださいね。応援はしていますから』
嫌な予感がしたために巻き込まれないように踵を返してその場からなんとか逃れようと画策した連邦生徒会長だったが、しかしハナコはそれを予期していたのか連邦生徒会長が動くよりも先にがしっと腕をつかんでそれを引き止めた。もちろん、その表情はからかうように満面の笑みである。
『…ハナコさん。他のことならまだともかく、それを解読するのに協力すればいろんな意味で多大なダメージを負うのが目に見えているのに付き合う道理は私にはありません』
『まぁまぁそう言わずに。解読が終わればいろんな意味で仲良くなれると思いませんか?』
『それをやるくらいなら喫茶店で一緒にパフェでも食べたあとカラオケとかにしましょう、それだけでも多分仲良くなれますって…!』
『それもそうですね。ではそうした後で一緒に解読、ということで♡』
『いーやーでーすーっ! 離してくださーいっ!』
なんとかハナコから離れようとする連邦生徒会長だったが、しかし場所が古本屋であったために店主からちょっとばかり小言をもらってしまったために抵抗が途中からできなくなった結局連邦生徒会長はハナコによってずるずると引きずられるかたちで退店する羽目となったのだった。
そして、その数時間後。カラオケのとある部屋の中にて。
『…まさか本当にカラオケに来ることになるとは…。しかもわざわざフリータイムで入るなんて…』
『あら、会長さんの提案ですよ? 密室で私と二人で濃厚で濃密な時間を過ごしたい、と言っていたではありませんか♡』
『そんな提案はしてません。あと濃厚で濃密な時間については貴方と一緒にいたら大体そうなりますので私からわざわざ提案することは絶対にありませんから。多分貴方が意識して言っているものとは違うと思いますけど』
そんなことを言いつつ、せっかくカラオケに来たのだからと二人はテキトーに曲を入れて歌っていく。真面目に歌ったり、あるいは全力でネタに走ったり。とにかく歌いに歌って、そしてある程度満足したところで、ハナコは先程の本を開いて『さて』と本格的に解読の体勢に入った。
『本当にやるんですか…?』
『本当にやっちゃいます♡ うふふ、この本にはどのようなことが書かれているのでしょう…♡』
まるでSRTの風倉モエが火薬をいじるときのような危ない顔で本の表紙を撫でるハナコ。
このような表情をしている人間に何を言っても無駄だと知っている連邦生徒会長はもはや止める気も失せ、静かに溜息をついた。
『…はぁ…仕方ありません、わかりました。協力します』
と逃げようとしても多分逃してはくれないために諦め半分でハナコの解読作業に付き合い始めたのだが。
アレな本は案の定『アレ』関係の本であり、色んなシチュエーションの『アレ』が記されていることが解読していく内に判明。
最初は連邦生徒会長も乗り気ではない上に引き気味かつ照れも垣間見せていたが、しかし解読を進めていく内にその表情が変わっていった。
『…ハナコさん、これはどういうことだと思いますか? 普通ならば■■を■に■■■した方が■■の確率は上がると思うのですが。もしかして、私の知らない民俗学的な何かがあるのでしょうか。…そういえば、あの辺りの地域に似たようなものがありましたね。あれは確か■■を■■■ではなく■■していたとの記述があったはずですが…。分岐して伝わった可能性があるかも…』
真剣な表情を浮かべ、まさかの民俗学的見地でハナコの購入したアレな本を読み解こうとしていたのである。
これには連邦生徒会長をからかう気満々であったハナコも一瞬目を丸くし、そして一旦目を伏せた後にいつも通りに微笑むと目を開く。もう一度開いた目つきは若干いつもと違ってほんの僅かに鋭く、才媛としての風格を顕にしていた。
『…なるほど、そういう見方もあるのですね。でしたら少しばかり本気で考察してみましょうか』
そうして才媛・浦和ハナコと超人・連邦生徒会長の交わし始めた議論のダイジェストが以下のものである。
『そもそも■■■は■■■に■■するものであって、■■■するものではないのでは?』
『■■■は■■■の為のものだけではありませんよ。■■■して■■■■を■■■することにより■■■■■■に■■■るために■■■することもあるのです』
『……■■■■が、■■■■に…まぁ、そんなことを…』
『…なるほど、そんなことが…。ですが■■■■を■■■■にしたら■■■で■■■■になるために■■■■とはならないのでは?』
『あぁ、確かにそうですね。…あ、待ってください。もしかすると、■■■■■を■■■■にしているために便宜上■■■■と言っているだけなのかもしれませんね』
『なるほど、確かに。それならば■■■■が■■■■していることに矛盾はありませんね』
『…■■■■を、■■■■に…。これは何と言いますか…』
『…流石にこれは…もしキヴォトスに■■■が知られるようなら、連邦生徒会として対処する必要がありそうですね…』
カラオケルームで飛び交う、ここに記すことさえ憚れるとんでもない重さの下ネタの数々。しかしながら連邦生徒会長もハナコもまたこれをシモの話であるという意識すらなく時間も忘れて話し合い、時々リフレッシュに曲を歌ったり、あるいはドリンクを頼んだりしながらも考察を進めていったのだった。
そして、なんだかんだの末に。
『…あくまでも推論にすぎませんが、この本はあまり褒められたものではない可能性が高いですね。時と場合によっては回収も視野に入れなければならないかも…』
『ですね。確証こそありませんが、どうやら私が求めていたものとは少し違いそうです。しばらくは動きはないでしょうが、動向は見守っておく必要はあるかもしれません。あるいは先手を打っておくことも視野に入れておくべきです』
連邦生徒会長の神妙な表情を受け、恐らく性的なものを求めていたであろうハナコもまた神妙な表情を見せる。この本の処遇についてはどうするかや、もし内容が知れたらマズいだろうということで意見が合致しいざと言うときの為の取り決めを先生も含めて考えておこう、ということでその場は解散した…のだが、カラオケで解読を行ったのが災いしたのかその時の会話を誰かに聞かれていたらしく、冒頭の記事が執筆されていたことを連邦生徒会長が知ったのが冒頭の事である。
「どうしましょうねぇ、これ…」
この際個人的な性癖を誤解されるのは構わないが、しかし連邦生徒会の方針と例の本の内容が広まることは避けたい。それに本業がそちらではないハナコや連邦生徒会長が解読できたということは、それ即ち本業の者が解読すれば確実に解読されてしまうというわけで。
連邦生徒会長はその日から数日に亘って若干偏見の目で見られながらもうーんうーんと考え続け、そして出てきた答えについて、先生に相談してみた。
「私は自分の性癖を詳らかに暴露した上で例の本を回収・処分したほうがいいと思うのですが、先生はどう思いますか?」
「組織と治安を守るためとはいえ、身を削りすぎじゃないかなぁ!?」
連邦生徒会長のそんな発言に先生は思わずツッコんだものの、しかしながら先生も良い案が見つからなかったのかかなり渋々ながらも「そう、するしかない…のかなぁ…?」と連邦生徒会長の決断を肯定。
そして連邦生徒会は件の記事を書いた記者とその発行元へ正式に抗議を表明した。なお、その抗議文にはこんな一文が含まれていた。
『連邦生徒会長は恋人同士が手を握って愛を囁きあうようなべったべたで甘ったるくて王道なシチュエーションを最も好み、この記事に書かれているような行為は守備範囲外であるためこの記事には真実性が欠けるものと言わざるを得ません』
自身の性癖を電子の海に垂れ流すというこの新手の自傷行為の結果、連邦生徒会長には惜しみない賛辞と敬意、そしてある意味での畏怖が集まったのだった。
なお、風の噂に聞くところハナコはこの行為に謎の敗北感を覚えていたらしい。
ちなみに今回の伏字は何も考えずテキトーに打ったので意味も文字数も特に関係はありません。好きな文字を入れてお楽しみください。