シリーズ「私のミスでした」   作:竜田揚げ丸

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どうも。ナグサとニヤ実装なので投稿します。
ナグサの右手問題はメインストーリー更新で解決するのでしょうかね…。それはそうと、ナグサの右とだけ書くとなんだかナグサの右ストレートパンチは強いみたいな書き方ですよね。
なお、今回も突貫工事です。お楽しみいただければ幸いです。

この作品は、
・ハーメルン様(ココ)
・Pixiv様
の二つのサイトで投稿させていただいています。


「私のミスでした…」アラタ「その41っ!」

「私のミスでした…」

 

少女は心底呆れたように、しかしながらどこか遠い目をしながら呟いてから目の前に映る光景に対してなんとも言えない微妙な声をあげた。

 

「私の選択、そしてその選択によって招かれたこのすべての状況…」

 

そうして少女──連邦生徒会長は目の前に倒れている面々に対して改めて声をかけた。彼女には特に傷らしい傷は特に見当たらないが、しかし連邦生徒会長の視界に映る黄色い法被の生徒達──魑魅一座は地に伏したまま時々ピクピクと痙攣していた。

しかしながら連邦生徒会長はそんな彼女たちに同情の一かけらさえも見せずに、ただ一言だけぼそりと呟いた。

 

「相手するにも慣れてきましたしそろそろ素手で制圧できるかなぁと思ってやってみたらまさか実際に制圧できてしまうとは…」

 

連邦生徒会長のそんな呑気な発言に対し、そんな彼女にまんまと制圧されてしまった魑魅一座・路上流を束ねる生徒であるところのアラタはここまでの惨状を思い返して腰を抜かしながら連邦生徒会長に恐怖の眼差しを向けて、こちらはこちらでぼそりと呟いた。

 

「ど…どこの世界に発砲してくる奴に対してプロレス技仕掛けて制圧するやつがいるんだよ…」

 

被害者であるアラタの言葉通り、今回連邦生徒会長が百鬼夜行でやらかした事象とはキヴォトスにおいても実はかなりレアな出来事である肉体言語を用いた諍いの調停である。

なぜそんなことをしたのか、であるが。

実は連邦生徒会長は百鬼夜行に赴くたびに魑魅一座の暴走に巻き込まれてはご丁寧にも彼女たちを撃破しているのである。それも一回や二回ではなく二桁回数を、だ。

何度も何度もやっていればそれは非常事態ではなくただの日常となる。『止めなければ』という当初の必死さはどこへやら、『またかぁ』『仕方ないからやるかぁ』と投げやりになって色んな方法を試そうとしてしまうのも致し方のないことな訳で。

今回はその制圧方法が柔術とプロレス技であった、というだけのことだ。

 

「どこに、と言われましても…。ここにいます、としか…」

 

「怖いって! 突然近づいてきてこっちの攻撃をいなしたと思ったらすーぐ後ろに回ってバックドロップしてくる奴が怖くない訳があるか!」

 

「銃で応戦してくると思っていたのに相手はまさかの素手で来るって、相手する側も案外楽しかったのでは?」

 

「は…?」

 

「意外な出来事で楽しかった…やろ?」

 

「とってつけたように陰陽部の部長みたいな言い方するなっての! あと楽しくない、怖いだけ!」

 

首を傾げ、何を言っているんだろうこの人は…と言いたげな様子を見せる連邦生徒会長に対し、アラタは腰を抜かしたまま涙目で吠える。今でこそ泰然自若で極めて穏やかな様子だが先ほど飛び蹴りで切り込んで一人をノックアウトさせ、そのまま様々な柔術とプロレス技で大暴れしていたのでアラタの反応は極めて当然のものである。

大暴れをして普段のフラストレーションをぶつけたのか若干すっきりした様子の連邦生徒会長はその瞳に呆れを灯してそもそもですね、とアラタに告げる。

 

「毎度毎度、私がこちらに訪れる度に暴れまわるからこういうことになるのではないですか?」

 

「だとしてもこう…手心とかないわけ!? シンプルな暴力で仲間がなぎ倒される恐怖がおまえにわかるのか!?」

 

「ちょっとわかりませんね…。ご存じの通りキヴォトスは銃撃戦が基本ですし」

 

「それ言うなら銃撃戦はしてくれよ、由緒正しい連邦生徒会の長だって言うんだったら基本に忠実であってくれよ!」

 

相変わらず半泣きで連邦生徒会長に吠えるアラタだが、やはりというかその言葉は未だに怪訝そうな顔をしたうえで瞳に呆れを灯して首を傾げている連邦生徒会長には全く以って響いていない様子である。そんな彼女に対し、アラタは「なんでここまで言ってもわからないんだ…」と色んな意味で頭を抱えていた。

 

「まぁ、とりあえず騒ぎは鎮圧したことですし。後のことは百花繚乱や陰陽部の皆さんに任せることにします」

 

「くっそぉ…。素手でやられたなんて知られたら他の皆やそれこそ陰陽部の部長にすら笑われるぅ…」

 

「誰も笑わないと…あ、いえニヤさんは笑いますね、絶対に」

 

アラタも連邦生徒会長も揃って『素手で魑魅一座を制圧した…? なんそれ、おもろ! にゃはははは!』と大爆笑するニヤを想像。ただでさえ連邦生徒会長によって屈辱を与えられてしまっているアラタはそれを想像して追加で苛立ちも募らせた。…まぁ、彼女にも(一応は)譲れないものがあったとはいえこうなったのは割と身から出た錆もいいところなのでアラタが連邦生徒会長にどうこう言うのは割とお門違いもいいところなのだが。

 

「それも罰ということで、しっかり受け入れて反省してください」

 

「あたしらが反省することなんて…」

 

「はい? 何か言いましたか?」

 

「何でもないです…」

 

口答えしようとしたアラタに対し、連邦生徒会長は威圧するような笑みを浮かべ全身から圧を出して問いかける。それはどこからどう考えても「まだ痛い目に遭い足りないようだな」という意味を言外に含んだ問いかけであることは明らかだった。

二人がそんなやりとりをしていると、先ほど連邦生徒会長の圧倒的暴力によってシバかれて気絶していた魑魅一座の生徒たちが次第に目を覚まし始めた。そして、連邦生徒会長の姿をその視界に認めると。

 

「リーダーがゴリラ女に襲われている…! あたしたちでリーダーを助けるぞ!」

 

連邦生徒会長に対して思いっきり暴言を吐いた上で銃を構える魑魅一座の生徒達。それに対してアラタは「あ、ちょっ、バカッ」と制止しようとしていた様子だったが、しかしその瞬間アラタの傍らの連邦生徒会長の気配が明らかに変化が生じた。呆れたような、どこかどうでもいいものを見るような雰囲気から──どこからどう見ても激怒しているのが丸わかりなものへと。

 

「そうですかぁ…。ゴリラ女、ですかぁ…。…うふふ、そうですかぁ…」

 

明らかに様子が変わり、昏い笑みを浮かべてうふふふと不気味に嗤う連邦生徒会長。そんな彼女の様子は、魑魅一座の生徒達からすればかの『百物語』にも勝るとも劣らない不気味なもので。

本能的なものなのか、身体を震えさせてまともに照準すらつけられなくなった彼女たちに対して連邦生徒会長は微笑を浮かべたまま。

 

「ゴリラ女らしく──もうひと暴れしましょうか♪」

 

そして。その次の瞬間から連邦生徒会長によって開催された華麗で圧倒的な一人武術大会によってこの場に居合わせた魑魅一座は決して消えない恐怖を植え付けられ、以降彼女たちは連邦生徒会長を目撃した瞬間に身体を震えさせることになったのだった。

なお、アラタを始めとした魑魅一座・路上流の生徒たちが連邦生徒会長と会話しなければいけなくなった場合彼女のことを「姉御」と呼んで全力で下手に出ることを余儀なくされるようになったのだとか…。

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