限定ガチャの後に限定ガチャを重ねられると…少なくとも、私の石は終わります。
諸般の事情でこの時間となりました。時期は未定ですが、投稿がされる場合しばらくはこの時間から二時間程前後するかなぁくらいになります。……不定期更新なのに。
この作品は、
・ハーメルン様(ココ)
・Pixiv様
の二つのサイトで投稿させていただいています。
「私のミス、でした…?」
少女は手土産のお菓子を手にしたまま困惑に満ちた様子でそう呟くと、視界に映る面々を見渡してからなんだこれは、どういう状況だと言いたげな様子で更に言葉を続けた。
「私の選択、そしてその選択によって招かれたこのすべての状況…」
「この結果にたどり着いて初めて、私のあの選択が間違っ…まちっ…。え、いやこれは私の責任なんですか…?」
そこまで言った後にまぁそこはいいか…と呟いた少女──連邦生徒会長の、その空が如き透き通った彩をした瞳にはただただ「
そんな感じで疑問に満ち溢れて立ち尽くしていた連邦生徒会長だったが、もう一度その場にいる面々を見渡してから再び息を吐いた後にとりあえず問いかけてみた。
「何がどうしてこうなったんですか…?」
そんなことを問いかける連邦生徒会長の眼前には、いつものシャーレの面々がそこに居た。…否。いつもの、というには多々異なる点がある。
第一に、彼らの格好。色違いではあるが、デザイン自体はお揃いのパーカーを身にまとっている。
第二に、彼らが身につけていたり、あるいは手に持っているもの。それは楽器であったり、あるいはそれらの音色を奏でるものだ。
第三に、場所。いつものシャーレの執務室ではなく、キヴォトス某所のスタジオである。
そして。連邦生徒会長の疑問の籠った視線はというと。
「いやぁ…なんていうか、その…。テンション、上がっちゃってね…?」
ベースを手に持ったまま視線を極めて歯切れ悪く連邦生徒会長に言い訳じみたことを抜かす先生の隣、ギターを掛けたままおろおろしているユメではなく肩から首にかけて湿布を貼りまくった上でなぜかドラムスティックを持ったまま痛みに悶えてじたばたしているプレナパテスに向けられていた。
──ここまで書いたところでお察しの方もいるかとは思うが。
連邦捜査部
なぜこうなったのか。これにはこんな経緯があった。
『シャーレの皆さんでバンド活動…ですか?』
『うん。この前放課後スイーツ部がバンドやってたんだけどね? その時のことを思い返しながらクラフトチェンバーで遊…色々やってたらね、楽器…ベースとかギターとかドラムセット一式とかキーボードとかができたんだよ』
『クラフトチェンバーって楽器もできるんですね…』
『結構色んなものができるよ。この前ピアノも作れたし、DJステージなんかも作れたね。あぁ、この前はアイドルステージなんかも出てきたっけ』
『…この話は後にして、本題に戻しましょうか』
クラフトチェンバーに関して以前の管理者であった連邦生徒会長は、胸に芽生えた興奮を抑えて本筋から逸れた話題を元の路線へと戻す。楽器どころかステージが作れたとなれば、クラフトチェンバーは逆に何を作れないのかという連邦生徒会長が持つ知的好奇心からの議論で丸一日潰れかねず、シャーレのバンド活動に関する話が聞けなくなると判断したのだ。
彼女のそんな意図を察してか、先生も特にクラフトチェンバーについては深掘りをせずシャーレバンド結成の経緯についてを話を続けた。
『話はここからなんだけど…実は皆で楽器持って遊んでたところを生徒達に見られちゃって。シャーレの皆はバンドやる気は全くなかったんだけど、なんだかいつの間にかバンド活動をするってことが生徒たちの間で決定事項になっちゃっててさ…』
『やむを得ずバンド活動をすると約束してしまった、と…。なるほど、状況は理解しました』
そう言って顎に手をあてて、暫し連邦生徒会長は天井に目を向ける。如何にも悩んでいるというビジュアルなのだが、しかし連邦生徒会長はすぐに天井から先生に視線を戻すと歯を見せたいたずらっぽい笑みを浮かべて
『楽しそうでいいじゃないですか。それくらいのことなら別に私の許可なんていらないですよ?』
『あはは…。シャーレ全体で動くから君には一応話を通しておいた方がいいかなぁと思ってね』
『先生は律儀で誠実ですよねぇ…。まぁそういう人だからシャーレを任せているのですけれど…』
連邦生徒会長は先ほどとは打って変わって苦笑を浮かべ、しかしその次にはにんまりと意地の悪い笑みを浮かべた。良いイタズラを思いついたから実行に移してしまおう、とでも言いたげだ。
『ふふ、せっかくですから配信とかしちゃいましょうか。せっかくチャンネルもあることですしね?』
『あー…。そっか、そうだったね。うーん、映像に残るとなると下手なことはできないなぁ…』
『先生たちのバンド活動なら一生懸命やっていれば皆大体高評価を入れてくれると思いますが…』
『せっかく見てくれるんだから、まずは私達自身が納得できるようなものにしないとね』
先生がどこか燃える瞳で放った、責任感の籠るそんな発言に連邦生徒会長は安心したようにふふと優しく微笑んだ後に『頑張ってくださいね。私も陰ながら応援しています』とただでさえ多忙な先生達を止めず、むしろ焚きつけると彼女はその日はシャーレから立ち去った。
そして、幾度か様子を見たりして一カ月ほど後の事。差し入れを片手に連邦生徒会長がスタジオに訪れたところ、満身創痍のプレナパテスが目に入って冒頭に至る。
「テンション上がったって…なにをしたんですか…? いやまぁなんとなく察しはつきますけど…」
「察しはついてるんだね…」
先ほどまでおろおろしていたが冷静さを取り戻したらしいユメがプレナパテスの介抱をしつつ、連邦生徒会長の慧眼に若干困惑というか引き気味の様子で呟いた。
察しの良さをこんなところでも見せる連邦生徒会長だったが、しかしながら生徒のそんなところに甘えることはなく先生は恥ずかしさに重くなってしまった口をなんとか開き、事の経緯を話してくれた。
曰く。先生たちのバンド練習は小さな問題こそあれど総合的に見れば極めて順調に進んでいたらしいのだが、しかしそれ故の慢心が仇になったらしく。
『プレナ先生が一度ライブ本番のつもりでやってみましょうとの提案をしています』
『本番のつもりで、かぁ…』
『確かに、そろそろやってみてもいいかもしれませんね。…ちょっと自信ありませんけど…』
シャーレの面々はプラナ経由でされたプレナパテスのその提案に納得、本番のつもりで実際に演奏を行ってみたのだが。
ドラムをじゃかじゃか鳴らしていたプレナパテスが本番を想像してうっかりテンションを上げてしまったのか、どうやらヘドバンをしていたらしく首をぐきっと痛めてしまい、しかもそこからプレナパテスは痛みに耐えかねて椅子から転げ落ちてしまった為に連邦生徒会長が来た時にはプレナパテスはうつ伏せ状態でびくんびくんと満身創痍となってしまっていたらしい。……それでもドラマーの意地なのかドラムスティックだけは離してはおらず、プラナによれば大丈夫だと虚勢を張っているようだ。
そんな具合で、一通りの救護処置が成されているとはいえもう一人のシロコに見られたらどう説明していいのか全く分からない状況のなか、先生は困ったような表情を浮かべたあと息を一つ吐くとその場のプレナパテス以外の二人に問いかけた。
「うぅん…どうしようかなぁ…。…念のために聞いてみるけど、プレナ先生は当日復帰できると思う?」
そんな問いを投げかけられた連邦生徒会長の答えは。
「専門的な知識がないので何とも言えませんが…ちょっと難しいのではないのでしょうか」
彼女に続いて曇った表情のまま頷いたユメの意見はというと。
「プレナ先生、首を痛めただけじゃなくて椅子から転げ落ちてますからね…。やめておいたほうがいいんじゃないかなぁって私は思います…」
そして。
「ダメです。ただでさえ過労気味なのに、こんな状態でドラムを叩くのはお医者さんが許しても私が許しません」
「「「!!??」」」
いつの間にか現れた白衣の天使、鷲見セリナの断固たるドクターストップならぬナースストップ(彼女は救護騎士団の生徒であって今のところ別に正規のナースという訳でもないのだが)に一同は驚愕の表情を見せた。…断っておくが、一同が驚いているのはセリナがいつの間にか現れたことに対してであって別にドクターストップ自体に驚いている訳では決してない。むしろそこに対しての三人の感情は意訳すれば「せやろなぁ…」であり、そこに全く驚きはなかった。
「普段の過労っぷりを考えると本当は先生達のバンド活動は止めたいくらいなんです。なので今回は私も譲りません、何があってもプレナ先生はしばらく激しい動きは禁止です。バンドに参加するにしても、楽器はあんまり激しい動きをしなくて済むカスタネットとかトライアングルとかが許容できる限界ですよ」
「うぅん…まぁ仕方ないよね…。…でもどうしよう、バンド的にはドラムが居ないとどうしようもありませんし…」
「確かに…。やる前からバンド崩壊の危機だね…」
困った、どうしよう…なんて呟く先生の視線は、連邦生徒会長の顔を捉えてそこで止まった。それを見た他の面々の視線もまた連邦生徒会長に集まり、そして当の連邦生徒会長の背には一筋冷や汗が流れていった。
そのまま数秒程沈黙が流れ、そして先生はゆっくり口を開くと。
「……ねぇ、ドラムやってみない?」
「
「いや、ドラムをね…?」
「ドラムは…まぁできなくはありませんが…。しかしその、あまり言いたくはないのですけれど…私は連邦生徒会の生徒であってシャーレの生徒ではないので『シャーレのイベント』に飛び入り参加は少々厳しいかと…」
「でもシャーレを作ったんだからぎりぎりシャーレの生徒って言えたりしないかな…? …やっぱりダメ?」
「ちょっと無理があるのでは…?」
ユメのおっかなびっくりのその問いかけに、連邦生徒会長はやはりというか距離を置いてバンドには加わらない方針で乗り切ろうとしている。彼女とて手助けしてはあげたいのだが、しかしながら『シャーレの先生達だけで』行おうとしているコンテンツに生徒が…それも連邦生徒会の長が飛び入り参加すれば、それだけで職権濫用と捉えられて他の生徒達から暫く白い目で見られかねないだろう。故に、彼女は協力に慎重になっているのである。
そんな彼女の秘めたる事情に気づいているのかいないのか、顎に手をあてて何かを考え込む様子を見せていた先生は急に口を開くと。
「……そういえばの確認なんだけど、シャーレって超法規的措置で一時的にどこの所属のどんな生徒でも指揮下に置けるんだよね?」
「え? あぁ、まぁそうですね。確かにその通りですが…。…あの、先生? まさかとは思いますが…」
瞬間、先生の目の端がきらりと光った…ような気がした。
「うん、そのまさか。…連邦捜査部
シャーレの権限まで引っ張り出してきてまで頭を下げてお願いをしてきた先生の発言に連邦生徒会長とセリナは一度顔を見合わせた後、意味を理解した二人は揃って目を見開くと頭を下げている先生に詰め寄った。
「嘘でしょう先生!? その権限をここで、こんなことに使うんですか!?」
「そ、それも気になりますけど! 私、楽器の経験なんてありませんよ!?」
「大丈夫、なんとか易しい楽器を用意するから! この通り!」
「私からもお願い! このままじゃ皆をがっかりさせちゃうから!」
ユメのそんな発言に、二人の反論はうぐぐという呻き声と共に勢いがぐっと弱まった。…まぁ二人がいくら反論しようとしたところで連邦捜査部
その後も連邦生徒会長達と先生達の舌戦による攻防は続いたが、最終的に連邦生徒会長側が折れることとなり、二人は最後の抵抗として『連邦生徒会長と鷲見セリナの両名はシャーレの権限を以て参加しています』の一文を添えて『断固として自分の意思では参加していません』という予防線を張ることを条件に渋々バンドに参加。
なんだかんだの問題の末に結局バンドは好評に終わった…のだが、しかしながら全体的に好評で終わったはずのシャーレバンドの感想の中で少なくなかったのは、こんな感想だ。
『プレナ先生はバンドなのになんでビブラスラップで参加してたの…?』
絶対にバンドに混ざりたかったプレナパテスは、なぜか使用する楽器にビブラスラップを選択。それによって、感動よりもシュールな笑いを感じてしまったという生徒もまた、確実に存在してしまっていたのであった。