生放送をちらっと見ましたが、なんというか…今年の水着キャラ、全体的に え っ ち でしたね。
この作品は、
・ハーメルン様(ココ)
・Pixiv様
の二つのサイトで投稿させていただいています。
「わ…私の、ミスでした…」
少女は息も絶え絶えで腰を抜かした様子でそう呟いた。その表情は疲労に満ちており、また同時に顔色も蒼くなっておりまさしく恐怖を味わっている様子であった。
「…ぜぇ、ぜぇ…。わたしの…。私の判断…そしてその判断によって…。はぁっ…はぁっ…招かれたこの…。この…すべての状況…」
「こ、この結果に…。この結果にたどり着いて、…はぁっ…はぁっ…初めて…。私の…あの判断が…。…ぜぇ、ぜぇ…ここまでのことになると…知るなんて…」
「…ず、図々しい…お願いですが…はぁっ…はぁっ…。お、お願いします…」
そうして蒼い顔をした少女──連邦生徒会長は眼前に立つおどおどとした態度の、しかしながら凄まじく恐ろしい様相の少女に向けて震える声を出しながら、震える手を伸ばしてある要求を行った。そんな彼女の隣では桜色の鮮やかな髪の色をした少女──不知火カヤが気を失っている。
「と、とりあえずお水と…休憩できるところを、お願いします…」
「は、はい…! えっと、えぇっと…!」
眼前に立つ恐ろしい様相の少女──血糊や特殊メイクによって凄まじいビジュアルになっている霞沢ミユがおろおろした様子で水を探しはじめ、しかし見つからず更におろおろしはじめたところに三人の少女…RABBIT小隊の残り三人が水の入ったペットボトルを手に現れた。その表情は様々で、ミヤコは若干表情は固いもののどこか楽しそうであり、サキは呆れが全面的に表情に出ており、モエに至ってはにやにやと明らかに楽しんでいたのが丸わかりな表情である。
そんな彼女たちに連邦生徒会長はペットボトルをもらいその場でガブ飲みした後ミヤコに向けて手を伸ばすと、彼女は優しい表情で肩を貸してくれた。そんなミヤコの行動と同時に、サキは連邦生徒会長とミヤコに対して困惑気味の固い声を投げかけた。
「…おい、防衛室長に至っては泡吹いて気失ってるぞ? これちょっとやりすぎたんじゃないか?」
「いやいや、今回はこういう趣旨なんだしこれはこれでいいんだって。むしろ高評価もらえるんじゃない?」
サキの心配げな声にモエの呑気ともいえる発言に、ミヤコと連邦生徒会長は同意するように頷いていた。
現在はミヤコに肩を借りている連邦生徒会長と泡を吹いて気を失いサキに担がれているカヤだが、そんな二人が訪れたのはSRTの隠密行動や罠を使った訓練も兼ねたレクリエーションで作られたお化け屋敷のとある一角である。
SRTという学園は正しく特殊部隊そのものではあるが、しかしながらそこに在籍するのは華の女学生。時に息抜きは必要なもので、今回は夏という季節もあってレクリエーションには肝試しがチョイスされた。
そんなSRTに送り込まれた被害者というか、立場上絶対に視察しなければならない連邦生徒会からレクリエーションに参加することになった哀れな犠牲者…もとい、参加者が連邦生徒会長とカヤである。
『なんで私がこんなことしなくちゃいけないんですか…』
『くじ引きとはいえまだ逃げ道があっただけカヤ室長はいいじゃないですか。私なんか強制出動ですよ』
などと言いながらSRTの建物へと入室した連邦生徒会長とカヤ。そんな二人のモチベーションにはかなりの差がある。カヤは渋々であるのが丸わかりな様子であり眉間に皺をよせ、一方の連邦生徒会長については口では嫌々みたいなことを言っているものの楽しみにしているのが明らかであった。
そんな凹凸コンビ、もとい連邦生徒会の二人はお化け屋敷という名の訓練場へと足を踏み入れては凄まじい声を上げて驚いたり驚かなかったりしたのちに出てきて『いやぁ大したことなかったですねぇ…』『あれちょっとすごかったですね』と互いに感想を告げたりしながら、しかし二人がとんでもないことになる直前に入ったお化け屋敷が思ったよりも怖くなかったので若干慢心した様子でRABBIT小隊が担当する区画に入ったのだが。
『…会長。ここだけレベルが違うのでは…?』
『…なんというか、かなり本格的な気がしますよね』
立地上から考えればSRTの訓練施設であることは間違いないのだが、しかしとてもそうは思えない薄暗い通路が続く入り口に立った途端中からうっすらと吹いてきた冷たい風に連邦生徒会長とカヤはこの時点で背中に冷たいものが奔る感覚があった。
しかしながら入らずここでずっと突っ立っている訳にも行かないので中に足を踏み入れた途端、恐らくはミヤコのものと思われるが普段の彼女とは打って変わって感情があまり感じられない平坦で冷徹な声が、どこかに設置されているであろうスピーカーから響いてきた。
『ようこそおいでくださいました、お客様』
彼女の声が伝えてくるのは、このお化け屋敷の進め方や世界観とそれに付随する一つの警告であった。曰く、この先には裏切りの末に殺し殺されをやってしまったとある女性がここに一時期いたとのことで、その最後はこう締められていた。
『何があっても、後ろを振り向いてはいけませんよ』
そんな彼女の言葉に連邦生徒会長とカヤは顔を見合わせた後に、覚悟を決めた様子で二人は一歩を踏み出した。最初こそ何もなかったが、先に進めば進むほどに異音が響き部屋の様子も禍々しく恐ろしいものへと徐々に変わる。
同時に道中に設置された備品から出てくる恨み事が書かれたり殺意が籠っているメモの内容、そして二人以外は誰もいないはずなのに耳元で言葉を囁かれることにより恐怖は徐々に増幅。
薄暗い通路の中を二人が若干不安ながらも進んでいくと、次第に『出口』の看板が見えてきた。ようやくこの恐怖感から脱することができると二人が思った刹那、背後で爆発音のような大きな音が聞こえたために連邦生徒会長とカヤが振り返ると、そこには。
『見つ…けた…!』
血濡れの女性──後々ミユだと発覚するが二人はその場ではわからなかった──が、同じく血濡れの刃物を手に血走った目で真後ろに立っていたのである。
瞬間、カヤは泡を吹いて卒倒し連邦生徒会長は突如現れたミユに腰を抜かし動けなくなったところで対応に困ったミユがミヤコ達に助けを求め冒頭に至る。
「…正直甘く見てました…。まさかここまでとは…」
「正直なところ最初はどうかと思っていたが、ここまで驚いてくれるとやった甲斐があったっていう気もしてくるな…」
「そんなこと言ってる割に最終的に一番ノリノリだったのがサキだったじゃん?『やるからには全力だー!』とか『SRTに任務失敗は許されないぞー!』とか息巻いてた記憶あるし」
「うっ…うるさいっ! 大体モエはだな…!」
言い争いを始めてしまった二人をよそに未だ連邦生徒会長に肩を貸しているミヤコは微笑を、ミユはおろおろとした様子でまだ少し顔が蒼い連邦生徒会長に声をかけた。二人のその表情はロケーションの暗さやシチュエーションとは違いものすごく晴れやかなものだ。どうやら任務…というか仕掛ける側が上手くいって割とご満悦のご様子である。
「ここまで来るのに色々と課題はありましたが…今回のお二人の反応で凄く自信がつきました。ありがとうございます、会長」
「あは、あはは…。私達はただ怖がって驚いていただけなので…」
「わ、わたしも…すごく自信がつきました…! ありがとうございます…!」
「あの、話聞いてました…? 私達はただ怖がってただけです…」
恐らくはその特技というか体質というかで気配を消して色々やっていたらしいミユにも感謝をされ、しかしながら誇るでもなければ謙遜するでもなくぐったりとした様子で連邦生徒会長はなんとか口にした。その表情はSRTに訪れた時とは比べ物にならないくらい疲労に満ちている。
そんな彼女に苦笑を見せたミヤコは未だ言い争いをしているサキやモエに声をかけると、とりあえず要人二人を連れて外に出るように促した。
「外に出ます。しっかり掴まっててくださいね」
「はい…」
RABBIT小隊に連れられ、連邦生徒会長とカヤは薄暗い通路からようやく外に出る。日の光に連邦生徒会長もRABBIT小隊もまた一瞬目を細めるが、少なくとも連邦生徒会長よりも早くRABBIT小隊は眩しさに慣れたようでまっすぐベンチへと向かっていく。
そんな彼女らに対し、一人のSRT生が声をかけようとして。
「あっ、ミヤコちゃ…。…えっ」
ぐったりした連邦生徒会長をミヤコが肩を貸し、気絶したカヤをサキが担ぎ上げ、そしてミユが血まみれになっているのを、彼女は目撃してしまった。傍から見ればかなり犯罪性が高いこの絵面を、である。
そして、SRT生として彼女は。
「じ、事件発生! RABBIT小隊、謀反ですっ!」
当然他の部隊への通報にかかり、そしてその後応戦するRABBIT小隊とSRTの小隊何名かと戦闘が開始しまさかのレクリエーションが中断、弾丸と爆薬が飛び交う中で連邦生徒会長は双方を宥めにかかるが、如何せん元気がなさ過ぎて誰にも聞き入れてもらえず戦闘は激化。気絶しているカヤにもいくつか流れ弾がぶち当たっていた。
その後騒ぎを聞きつけて介入に入った先生によりなんとか事態は沈静化したものの、しかしまさかの乱闘騒ぎになってしまったことによりSRTは一部の小隊と隊員を除き殆どにちょっとした謹慎や反省文などの処分を受ける羽目になってしまい、その結果犯罪率が若干増加。
連邦生徒会長は別の意味で顔を青くする羽目になってしまったらしい。
ちなみに、流れ弾をくらったカヤは目が覚めたら痣ができていたために数日大騒ぎしていたが、それは別の話である。