シリーズ「私のミスでした」   作:竜田揚げ丸

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どうも。SSR二倍で思ったよりも新規星3が出たので投稿します(自慢)
話は変わりますが、ホド君とかのCCゲージ絡みだとCC持ちってツバキやホシノの他に誰がおったっけ…? って毎度なってます。

この作品は、
・ハーメルン様(ココ)
・Pixiv様
の二つのサイトで投稿させていただいています。


「私のミスでした…」カンナ「その51です。えぇ、ヴァルキューレにお任せを」

(私のミスでした…)

 

少女は口の中のものを咀嚼しながら、若干の悔恨というか恥ずかしさというかの何とも言えない感情に身を焦がしながら内心そう呟いた。しかしながら、そんな内心とは裏腹にその表情はというとあくまでも凛とした表情である。その内心を知らぬ者が傍から見れば、さながら今後のことを憂いているようにも見えるだろう。

 

(私の選択、そしてその選択によって招かれたこのすべての状況…)

 

(この結果にたどり着いて初めて、私のこの選択が間違っていたことを知るなんて…)

 

少女──連邦生徒会長はそこで内心での言葉を区切ると、内心を知らせぬように視線など気にしていませんよと言わんばかりに箸を進めて眼前の食事を平らげていく。しかしながら、何度も言うようにその内心は表情や態度程余裕綽々というわけではない。

というのも。

 

(まさかこの屋台がカンナさんの行きつけだったとは…)

 

連邦生徒会長の眼前には食べ終わった冷麺の皿が大量に積んであり、串入れには肝心の具材が食された焼き鳥串が大量に入っているのである。

現在、時計の長針短針の両方が頂点を指し示してから少しばかり経ち、辺りの光も街灯や自動販売機の人工的ながらもやたらと明るいものばかりのそんな時間。連邦生徒会長がそんな時間に訪れたのは、一軒の屋台だった。

 

『また来てしまいました、大将』

 

この屋台は連邦生徒会長が最近見つけたものであり、提供される焼き鳥やおでん、麺類などのメニューが軒並みとても美味しく、おまけに連邦生徒会長が訪れた時は大抵客が少ないためにお気に入りとなったものである。

故に連邦生徒会長が深夜作業をするときには最近はもっぱらこの屋台に入りドカ食いして作業に戻るという明らかに身体に悪い行動が常態化してきていたのだが、しかしながら冷麺と焼き鳥を大量に胃に収めたところで。

 

『ふぅ…。大将、いつものを』

 

どこかで聞いた、鋭い声が響いてきた。おや、私以外の新しいお客さんですかと連邦生徒会長が思いながらちらりと声が聞こえた方を見れば、そこには狂犬と呼ばれる事さえある公安局局長・尾刃カンナの姿があった。彼女が特製烏龍茶を啜っているのを目撃した連邦生徒会長はというと、手にした焼き鳥串を危うく落としかけるほどには動揺していたのである。

なにせ連邦生徒会長の最近の楽しみである深夜のドカ食いは誰がどう見ても身体に悪いため、職務に真面目なカンナによるその場での注意はほぼ確実にあるだろう。

勿論カンナに気づかれずにこの場をやり過ごせるのが一番だが、しかしこの狭い屋台で気づかれないようにやり過ごすのはほぼ不可能に近いために、カンナの注意だけで済むのが最良のパターンだろうと連邦生徒会長は考える。

しかしながら考えられる中で最も悪く、同時に可能性として一番高いのが彼女を通してリンに伝わる可能性だ。これが大いにあり、そしてその場合はほぼ確実にとんでもない長さのお説教が待っているだろう。連邦生徒会長とて彼女のお説教だけはあんまり受けたくはないのだ。

故に。冒頭において連邦生徒会長は表情にこそ感情を出してはいないが想定外のカンナの登場に戦々恐々としていたのだった。

 

「………」

 

連邦生徒会長は特に何も喋ることはなくただただ黙々と焼き鳥を食していたが、しかしながらカンナはどうやら連邦生徒会長に改めて挨拶をしようとでもしたのか声を掛けようとして、彼女の前に積まれている器を目にして硬直した後にゆっくりと着席し天を仰いだ後ゆっくり俯いた。どうも連邦生徒会長の眼前に積まれている器の量にドン引きしている様子である。

 

「………」

 

屋台に流れる、異様な沈黙と緊張感。

カンナからすれば上司の上司、その中でも最も偉い人が深夜の屋台で明らかに健康を損なうであろう上にそもそも屋台での食事の仕方としては恐らくは間違っているであろうドカ食いをしているのを目撃し、当の本人は『何かありましたか?』とでも言いたげな表情で自身を見ていたのでどうすればいいのか、何を言えばいいのかわからなくなってしまうのも致し方ないだろう。

一方の連邦生徒会長はというと、先ほども書き上げた通りここでのカンナがどうこうではなくこの先のカンナがどう動くかで内心かなりびくびくしているのである。勿論なんとかして口止めすることもできなくはないだろうが、しかしそれでカンナが止まるかはまた別の話だ。先生達との交流で正義感を改めて燃やし直した彼女ならば猶更である。

さてそんな彼女を相手にどう動いたものか、と連邦生徒会長が焼き鳥を口に運びながら考えていると。

 

「……会長、お疲れ様です」

 

「あぁカンナさん、お疲れ様です。こんなところで会うだなんて、奇遇ですね」

 

カンナからのアクションに連邦生徒会長はとりあえず偶然ですねとアピール。まぁこれ自体は本当に偶然なので全く以って嘘偽りはないのだが、この後が問題なのである。

連邦生徒会長は万が一でもこれからカンナがリンや先生に報告しないように立ち回らなくてはならないし、そのためには彼女の機嫌を損ねないように動くのはマストなのだ。

 

「えぇ、そうですね。…会長もよくここに?」

 

「あぁいえ…。私はここ最近見つけたので、そこまで深い常連という訳ではありません。そういうカンナさんはもうすっかり常連さんなのですか?」

 

「私は…そうですね。考えてみれば割とよく来ている気がします」

 

そんなカンナの返答に対し連邦生徒会長が「そうなんですか。いいお店ですしねぇ」と愛想よく返答しつつもカンナの視線を探ったところ、当然ながらちらちらと連邦生徒会長の食事後の空き皿に視線が行っていた。

ここで連邦生徒会長がとった行動はというと。

 

「あぁ…気になりますか? なんだかここのご飯は美味しくて、ついつい食べ過ぎちゃうんですよねぇ」

 

「…いえ、食べ過ぎというレベルではないのでは…?」

 

「あはは…リンちゃんや先生たちには内緒にしておいてくださいね?」

 

自分から空いた皿についての話題を持ち出し、そしてその上で口止めをお願いするというテクニックによって目的の交渉テーブルにカンナを着かせることだった。

そんな彼女の思惑に気づいているのかいないのか、カンナは溜息を吐いて。

 

「…わかりました。私『は』黙っていましょう」

 

「…! 助かります、カンナさん」

 

「ですが」

 

そう言っていったん言葉を切ったカンナは、連邦生徒会長の背後に視線をやった。連邦生徒会長がカンナの視線を追って同じく視線を送ってみれば、そこには顔面蒼白でとんでもない表情をしているユメの姿があった。

「あっ」と連邦生徒会長が声に出した瞬間に、彼女は。

 

「か、会長ちゃん…。…ダメ、ダメだよ…? こんな時間に、これだけ食べて…。た、体重とかとんでもないことになっちゃうんだからね!? お財布にも優しくないよ!?」

 

「く、梔子先生…? 待っ…ちょっ、話を聞いてくださ…」

 

連邦生徒会長はユメを宥めようとしていたが、しかしながらヒートアップしたユメは止まらない。連邦生徒会長の制止の声も届かずユメはお冠のままちょっとしたお説教をしはじめ、そして最終的に。

 

「最近また仕事を溜めて碌に寝てないみたいだし、それも含めて皆でお説教だよ!」

 

「それ先生が言えたことですか!? 待っ…梔子先生! 話を聞いてくださーい!」

 

連邦生徒会長の制止も届かず、彼女は翌日色んな方面からお説教を受けてしまったのだった…が、その経緯を聞いたところで先生が「…あれ? でも深夜に屋台を訪れたあたり梔子先生も夜食をしようとしていたのでは…?」といらんことに気づき、そしてそこからの尋問の結果ユメも割と人のことを言えないレベルで夜食をしていたことが発覚。

連邦生徒会長共々フウカやセリナ、そしてリンにお説教を受けてしまったのだった。

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