シリーズ「私のミスでした」   作:竜田揚げ丸

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どうも。言うことは特にありませんがとりあえず投稿します。

作中のタロット占いの内容について、色んな所を調べたところ意味合いが違うところがちらほらあったのでそれっぽいことを書いてるタロットエアプの妄言と考えて深くは考えないでください。
あとエリのキャラがちょっと解釈違い起こしてるかもしれませんのでご注意ください。

この作品は、
・ハーメルン様(ココ)
・Pixiv様
の二つのサイトで投稿させていただいています。


「私のミスでした…」エリ「その55! ですっ!」

「私のミスでした…」

 

少女は彼女史上一番の引きつった笑みで机上のカードの絵柄を見つめている。彼女のその表情は、これは流石に嘘であってほしいという現実逃避とこれから何が起きるというのだという未来への不安感が滲み出ていた。

 

「私の選択、そしてその選択によって招かれたこのすべての状況…」

 

「この結果にたどり着いて初めて、私のあの選択が間違っていたことを知るなんて…」

 

そこまで呟いた少女──連邦生徒会長は錆びたおもちゃが如くぎぎぎと音が聞こえそうなほどにゆっくりと、しかしながら確実に顔を上げて眼前に座っている、連邦生徒会長と同じく凄まじく引きつった笑みを浮かべている少女に向けて声をかけた。

 

「あの…疑う訳ではないのですが…。タロット占い、って…。イカサマとか、ないですよね…?」

 

声を掛けられた少女…白尾エリは、連邦生徒会長のそんな問いに対して引きつった笑みのまま静かに首を横に振った後に、極めて言い辛そうに連邦生徒会長に対して「…アルカナの導きに、イカサマなんかできません…」と告げた。

机の上に置いたその手が触れていた表向きになっているカード──タロット占いにおいて数少ない正位置・逆位置の両方がネガティブな意味である『塔』のカードは、塔の他に連邦生徒会長の内心を象徴するかのように落雷が描かれているのであった。

 

現在地、連邦捜査部シャーレ・執務室。時間は少し遡り、連邦生徒会長が塔のカードを目にして半ば顔芸じみた表情を浮かべる少し前のこと。

先生達はエリ主催で行われているタロット占いに参加し、そして一喜一憂していた。

 

『『魔術師』の逆位置ですね…。色んな事があるのか、どうも計画通りに事が進まないみたいです。気を付けてくださいね。マスター!』

 

『なるほどね。じゃあ…そうだね、ちょっとやり方を変えてみようかな…?』

 

『『力』の正位置ですよ、アナザー・マスター! 目標を立てて頑張っていくと、なんだかいいことが起きるかもしれません!』

 

『困惑…。プレナ先生のテンションの上がり方がすごいです…』

 

『『運命の輪』の正位置…! ユメ様、これはとても珍しいことですよ! 色んなチャンスが舞い込んで、しかも大体上手く行っちゃうんです!』

 

『そうなんだ…! もしかしたらアビドスをなんとかできるチャンスが来るのかなぁ…! 私、チャンスを棒に振らないように頑張るね! …それはそれとして、ユメ様っていう呼び方はやめない…?』

 

と、そんな具合で盛り上がっていた現場に連邦生徒会長はいつもの如く仕事の関係でシャーレの執務室に訪れ、そしてタロット占いで盛り上がっていたことを目撃し、タロット占いに神秘的なイメージを抱いていた彼女は内心『タロット占いかぁ…人生で一回はやってみたいなぁ…』と思いながら先生と仕事の簡単な打ち合わせをしていたのだが、打ち合わせが終わった後に連邦生徒会長の羨望を見抜いたであろう先生が彼女に声をかけた。

 

『せっかくだし、君も占ってもらったら?』

 

『えっ?』

 

『エリ、いいかな?』

 

『は、はい! 勿論です!』

 

というエリの緊張が混じった元気な承諾の声に、連邦生徒会長は若干の申し訳なさを覚えつつも。

 

『えぇー? いいんですかぁ?』

 

喜びを隠しきれていなかった。

それを示すかのように彼女にしてはかなり珍しくテンション高めにどかりと椅子に座った連邦生徒会長は何について占うかと問われて暫し考えた後に、『ではとりあえず、今日の運勢についてを』と口にしてみた。

さて何が出るのかなぁと瞳を輝かせながらこの後を楽しみにしていた連邦生徒会長だったが、しかしエリの手によってオープンされたタロットの内容はまさかの『塔』の逆位置。エリが言うには連邦生徒会長は予期しない不運に巻き込まれて大変なことになるらしい、とのことである。

憧れのタロット占い、その初めての結果がこんな結果であった連邦生徒会長だったわけだが、そんな彼女に気を遣ったのかエリは、

 

『せっかくですし…別の事を占ってみませんか?』

 

と提案してくれたのである。彼女のそんな気遣いを受け取った連邦生徒会長は、その提案に乗って今度は仕事運について占ってもらうことにした。

そして、その結果。

 

『と、『塔』の逆位置ですね…。え、えぇっと…』

 

『…エリさん。おおよそ察しはついていますのでその先についてを口にするのは、ちょっと遠慮させていただきたく…』

 

『そ、そうですか…。じゃ、じゃあ…そうですね…。…あの、じゃあ…れ、恋愛運…なんてどうでしょう…?』

 

『…とりあえずやってみましょうか』

 

なんだか申し訳なさそうな様子のエリによって、再びタロット占いが始められる。なんだか嫌な予感を覚えつつも、連邦生徒会長は震える手でカードを持つ顔面蒼白なエリの様子を見つめ続けた。

やがてエリはタロット占いにおける全行程を終えて一枚のカードだけを机の上に置き、そして開かれたそのカードはというと。

 

『…と、『塔』…ですね…』

 

もはやすっかりおなじみとなってしまった例のカードを目にして大した覚悟もなく安易にタロット占いをしてもらったことを後悔し、そしてその上でイカサマを疑ってしまった連邦生徒会長は恐る恐る冒頭の問いをしてしまった、という訳である。

イカサマが無かったことを聞いた連邦生徒会長は静かに机の上に肘を置いて手を組み、眼光鋭く視線を落とし思索の海に沈んでいった。向かいの席に座っているエリや彼女の近くに立っていたユメはそんな彼女の様子を見て「ひぇっ…」「ひぃん…」と小さな悲鳴をあげたが、しかし当の連邦生徒会長の耳にはそんな音は聞こえていない。如何なる『想定外』が来るかを想像し対策していくかで忙しく、脳内リソースをエリに割いている余裕がないのだ。

テロか、デカグラマトン等の甚大な被害が起きる戦闘が起きるのか、あるいは政治上での問題が発生するのか。そしてそれらにはどう対応するべきか。脳内で様々なシミュレーションを立てていたところで、連邦生徒会長の肩に先生の手が置かれて彼女は思索の海から浮上した。

 

「…先生?」

 

「占いを否定するわけじゃないけど、あんまり悪い結果について考えすぎちゃだめだよ。悪いことは気にし始めたらきりがないからね」

 

「それに、アルカナは悪いことだけじゃなくて状況打開の方法も教えてくれるんです! 例えばですね──」

 

エリが意気揚々と状況打開の方法を説明しようとした刹那、ドカンと外で爆発音が鳴り響いた。それと同時に室内はしんと静まり返り、連邦生徒会長に視線が集まった。言うまでもなく『もしかしてこれ、前触れじゃない…?』の視線である。

しかしながら当の連邦生徒会長はというと視線だけで『いえ、これはキヴォトスではよくあることですし…』と訴え、あくまで表情を変える気配はない。

だが、そんな彼女の携帯は主のそんな態度を諫めるかのように震えた。発信者名は七神リンと表示されている。

連邦生徒会長はちらりと周囲を見て皆の表情が強張っているのを確認した後に、恐る恐るといった具合に電話をとった。

 

「…もしもし? リンちゃん、なにかあったの?」

 

『連邦生徒会長の耳に緊急で入れておきたいことがいくつかあります』

 

いくつかあるんだ…と内心思いつつも、連邦生徒会長は応答を続けたところ、どうやら以下のことが起きたらしい。

一つ目。ヘルメット団とスケバン、全面抗争。あちこちで戦闘が起きているらしく、先ほどの爆発はこれだった模様。

二つ目。ゲブラとビナーとコクマー、仲良く大暴れ。割と被害がシャレにならないらしい。

三つ目。レッドウィンター、まさかの連邦生徒会との条約破棄。クーデター成功とかなんとか、とのこと。

当然ながら連邦生徒会長からすればすべて想定外も想定外。どれも『なんで今やねん』が連邦生徒会長の心情だったが、しかしながら対応しない訳にもいかない訳で。

 

「…対応指揮に行ってきます」

 

と半ばキレ気味に連邦生徒会長が席を立てば、

 

「あ、うん…。私達も頑張るから、一人で抱え込まないでね…」

 

「あ、あの…。私でよければですけど、何か悩み事とかあったら言ってください…。その、アルカナの導きとかで色々とお力になれるかもしれませんから…」

 

と先生やエリは労いの言葉をかけてくれるのだった。

そして、そこから十数時間後のこと。三件の無茶ぶりを先生達とともになんとか解決した連邦生徒会長だったがその後幾度かの夜を超えてながらもそれらに関する書類をまとめ、復興指揮を含めたすべてのことが終わった後は比喩表現抜きで死にそうな顔をしながら帰宅し──後日、復興予算を組んだ被害地域で爆破テロが起きたため、連邦生徒会長はとうとう無表情のままぶっ倒れたのだった。

ちなみに、彼女が倒れたあとに精神的に問題はなかったかの為に調査された連邦生徒会長の手記には『タロット占いは本当に当たる』と書かれていたらしい。

その一文を読んだリン達はわざわざ残すことなのかそれは…とつい思ってしまったのだが、また別の話である。

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