めちゃくそふわっとした話かつ微妙に解釈違いな気もしますが、お楽しみいただければ幸いです。
この作品は、
・ハーメルン様(ココ)
・Pixiv様
の二つのサイトで投稿させていただいています。
「私のミスでした…」
超人と称されるほどの明晰な頭脳と実行力を持つ少女はおだやかな、そして何かを諦めた様子でそう呟いた。口元こそ微笑を浮かべているが、諦念に満ちたその瞳からは『もうこの際なんでもいいかな』とでも思っているのが見え見えである。
「私の選択、そしてその選択によって招かれたこのすべての状況…」
「この結果にたどり着いて初めて、私のあの選択が間違っていたことを知るなんて…」
そうしていったん言葉を切った少女──連邦生徒会長は目の前の椅子に座っている二人に問いかけた。
「…結局のところ、誰が対象を爆破したんですか?」
正座している二人──ミレニアム学園C&C所属の室笠アカネと、一応ゲヘナ学園に籍を置いている便利屋68所属の伊草ハルカは互いに視線を合わせた後。
「…ハルカさんではないのですか?」
「…こ、こちらの方…だと、思っていました…」
互いに互いが対象を爆破したと主張し連邦生徒会長とアルは二人揃って頭を抱え、そして先生は苦笑を浮かべたのだった。
現在地、シャーレ執務室。その場には連邦生徒会長と先生に便利屋68の面々、そしてC&Cの姿がある。
それは何故なのかといえばシンプルに調査ターゲット被りが原因の一つであり、そんでもって現在の争点はどちらがそのターゲットの拠点を爆破したか、もっと言えば便利屋・C&Cの両構成員を極めて軽傷とはいえ負傷させたかというものである。
で。両組織がどちらが爆破したかで乱闘しているところで止めに入ってものの見事に返り討ちにあってしまったヴァルキューレの生徒たちの要請によって先生が出動、話し合いの末とりあえずシャーレで話を聞くという流れとなった。
そんでもってなぜかここにいる連邦生徒会長はというと、お昼ごはんにパン屋でパンを買ってさぁ連邦生徒会に戻ろうかというタイミングで極めて流麗な手つきでシャーレの中に拉致られた完全なる被害者であった。
「…な? 向こうがケンカ売ってきたから応戦したけどよ、発端がどっちかなんてもうわかんねーんだよ」
「そうなんだ、先生。個人的にはアカ…コールサイン03かと思っていたけど…」
「私も同じくです。…まぁ、正直真偽不明のままでも構いません。決着をつけられるので」
「へぇ~、そっちはそう思ってたんだね~。くふふ~、意外だよ~。…それと、ケンカならいくらでも買うよ?」
「ムツキ、落ち着いて。実際ハルカがやったとは限らないよ。…ケンカについては同意するけど」
「え、えぇ…。そっ、そうね…(ちょっ、ちょっとマズいんじゃないかしら、この状況…!?)」
意外にもカリンはアカネが、カヨコとアル(と恐らくムツキも)についてはハルカがターゲットを爆破したと思っていたらしい。ネルとトキに至っては理由は違えど犯人捜しを諦めているようだ。
なんとも味方に対して負の信頼が強いものだと連邦生徒会長は思いながらも意見を聞いていない残りの一人に話を振ってみると、意外な意見が出てきた。
「なんか、どっちも違う気がするんだよねー」
「えっ、どうしてそう思うの?」
「んー…勘?」
「ふむ、そうですか」
アスナの発言に、連邦生徒会長や先生はうーんと唸る。アスナの勘は大体当たるのだが、しかしながらそうだとすると誰が何のためにターゲットを爆破したのかがわからなくなってしまう。
もしかすると便利屋68かC&Cのどちらか、もしくは両方を消そうとするどこぞの勢力による罠だったのだろうか。となれば両組織に恨みがある組織なんて両手で数えても足りないので可能性もまたいくらでもできてしまい、犯人の特定にもかなりの時間がかかるだろう。さてはて、どう犯人をあぶりだしたものだろうか。
「うぅん、困ったね…」
「…もう面倒くさいだから殴り合いで決めない?」
「へっ、いいぜ? なんなら四対一でも構わねぇ」
「ストップ、ストップですよ。もしかしたら何らかの陰謀かもしれませんからね。それと、後処理に困るので本当にやめてください」
連邦生徒会長が血気に逸るムツキとネル、それに触発される両組織(ちょっとおろおろしているアル以外)を何とか収めながらなんとか大事にせず事態の鎮静化を図る方法を脳内で組み立てるが、しかしながらどうやってもどこかで綻びが生まれてしまう。
いっそのこと多少無理をしてでも真犯人を炙り出すか、いややっぱり失敗したときのリスクがあまりにも大きいかなと連邦生徒会長が一人思っていたところでシャーレ執務室の入り口ががちゃりと開いて黒い影が踊るように入り込んできた。
「貴方様、不肖ワカモが畏れ多くもこの前の約束を果たしに…あら? 随分と頭数が多いのですね…?」
黒い影──狐坂ワカモ。彼女が現れたところで、その場の全員の視線が彼女に集まった。なにせ高まってきた緊迫感の中で突如として現れた、どの人物から見ても要注意人物なのでそれもやむなしといったところか。
このタイミングで一体何しに来たのかと先生以外の全員が彼女に視線を送るが、しかし彼女はにべもなく一瞥した後極めて不服そうに先生に話を振った。
「まったく…先生を狙う愚か者の拠点をいくつか破壊している間に、まさかここまで人が多くなっているとは…」
「…愚か者の拠点をいくつか破壊…? あの、申し訳ないのですがワカモさん。もしかして、なのですけど…」
ワカモの発言にまさかと思い連邦生徒会長が破壊したポイントとその名前について告げてみれば、ワカモは心底面倒くさそうかつ嫌そうに、しかしながら律儀にも答えをくれた。
どうやらC&Cと便利屋68が狙ったターゲットが居たポイントと同じであったらしい。ということは、もしかすると。
「…ワカモさん、拠点の破壊に何を使いました? もしかして爆弾でも放り投げたりしました…?」
「そのポイントの前で頂戴したロケットランチャーで、薄汚い路地に花火を咲かせました。それが何か?」
瞬間、その場の全員が察した。さてはコイツ、人の事情など全く考えずにぶっ放して事態をややこしくしやがったな、と。
真面目に考えればアカネとハルカが用意した爆弾にワカモが外からぶっ放したロケットランチャーの爆風がまさかの誘爆、その結果ビルの一階層を丸ごと吹っ飛ばしたというのが事の真相だろう。
そこまで考えた結果溜息を吐いてこれは絶対に面倒ごとになると察した連邦生徒会長となんとも言えない顔をしている先生、あとやたらにこにこしてるアスナと白目を剥いているアルを除く全員がワカモを睨みつけ、そしてそれに対してワカモは。
「…先生と私の逢瀬の邪魔をしておいて生意気ですね」
「はっ、やろうってのか? いいぜ、ちょうど消化不良だったんだよ」
「今アル様に生意気だって言いました…?」
ワカモの挑発…というか心からの嫌悪に対してネルは不敵に笑みを浮かべ、ハルカは『こいつマジホンマ絶対ぶっ殺す』とばかりにワカモに敵愾心を見せると同時に先生と連邦生徒会長、アル以外の全員が戦闘の構えに入った。ハルカは懐から爆弾を取り出し。
「死んでください死んでください死んでください死んでください死んでください!」
それと同時に、ワカモは何処に隠し持っていたのかロケットランチャーを取り出し。
「いい度胸していますね、血の華を咲かせて差し上げます!」
おまけとばかりに、ネルは獰猛に笑うと。
「っしゃぁ、派手にやっか!」
「ちょっと待って皆お願いだからここで戦闘は…!」
先生の悲鳴が響き渡り、その場において戦闘が始まる…かと思えば、先生と連邦生徒会長以外のほぼ全員がそろって互いに挑発をしたり窓をぶち破ったりしながら地上へ降りていく。…ほぼ、と記載したのはハードボイルドを気取って「ここじゃ先生の迷惑になる、外でやるわよ」と言おうとしていたアルだけが皆と共に外に出るタイミングを逃し慌てて他の生徒を追って下に降りていったからだ。
あっという間に二人だけが残ったシャーレ執務室において、先生はしかしながら連邦生徒会長に言葉をかける訳でもなくぼそっと呟いた。
「ちゃんと下に降りてからやるんだね、皆…」
シャーレ執務室の玄関に目を向けながらそんなことを呟いた先生だが、一方の連邦生徒会長は紙袋からあんパンを取り出してそのまま齧り、口の中のそれを飲み込んでから遠い目で言葉を発した。
「これが連邦生徒会のオフィスならその場で始めてましたよ、先生」
そう言った連邦生徒会長は下で聞こえる爆発音と射撃音を耳にしながら、もしここが連邦生徒会だったときの惨状を思い浮かべて溜息を吐く。
元々連邦生徒会にさっさと帰る予定だった連邦生徒会長だったが、下の銃撃戦で更に大幅に足止めをくらい結局戻れたのは大体の人がおやつの時間としている時刻。事情を把握したリンやアオイに同情の眼差しを受けた連邦生徒会長は、テンションがだだ下がりの状態で書類を処理する羽目になってしまったのだった。
ちなみに。ワカモは先生に、C&Cはユウカにそれぞれめちゃくちゃ怒られたものの便利屋68だけはなぜか方々からのお説教を免れたらしい。アルは好都合だと口にはしていたが、それと同時に「なんで私達だけ怒られないのかしら…?」と疑問を口にしていたらしい。