魔法少女衣装が実装…ということはつまり、もしかするとルミやシュン、ハスミみたいな大人びた体格の子が着させられてめちゃくちゃ恥ずかしがる構図が見られる可能性が…?
…よし、頼んだぞ運営。できればミニスカで頼む。もしくは誰か書いてくんねーかな(他力本願)
この作品は、
・ハーメルン様(ココ)
・Pixiv様
の二つのサイトで投稿させていただいています。
「私のミスでした…」
少女はとんでもなく重い溜息を吐きながら、机上に置かれている書類を見つめている。その表情からは、やっぱやらなきゃよかったかもという後悔の念に満ちている。
「私の選択、そしてその選択によって招かれたこのすべての状況…」
「この結果にたどり着いて初めて、私のあの選択が間違っていたことを知るなんて…」
少女──連邦生徒会長はそう口にすると、机上の書類に置かれていた書類のタイトルを見てもう一度深くため息を吐いた後、突如として「ははっ」と乾いた笑いを口から漏らした。別にふざけているという訳では全く以ってない。ないのだが、机上の書類の内容に目を通すともうなんというか、笑っちゃうしかないのである。
その書類のタイトルは、連邦捜査部シャーレにおける一連の調査結果というもので。
「…シャーレのセキュリティにまさかこれだけの問題があるとは…」
そう呟いた連邦生徒会長は、静かに頭を抱えた。というのも彼女が目にしているその書類には、以下の事が書かれているのだ。
『換気ダクトに侵入者の形跡あり』
『盗聴器の反応あり』
『隠しカメラを複数発見』
『ピッキング形跡あり』
『以上のことより、セキュリティの見直しを強く推奨いたします』
…連邦生徒会長ではなくても頭の一つや二つ抱えたくなるだろう。シャーレという組織、というか先生達の存在は既に色んな意味でキヴォトスにはなくてはならないものであるにもかかわらず、あまりにもセキュリティが緩すぎるのだ。
これでは仮に悪意を持って先生に会いに来た人物…例えば暗殺などの目的でシャーレに立ち寄る輩がそれを実行に移す際に簡単に先生達に近づけてしまう。
故にこれに対する対策は連邦生徒会長にとっても当然必須なわけだが、しかしながらこれについての改善の権利はシャーレの職員…すなわち先生たちにあり、連邦生徒会長が勝手にセキュリティをいじっていいものではないわけで。
「…はぁ。行きますか」
相も変わらず山積みになってしまっている書類の処理の途中ではあるが、こればっかりは本当に仕方がないので連邦生徒会長は調査結果が書かれた書類といくつかのとある機器を手に渋々席を立つのだった。…もちろん、その内心はこの面倒くさい書類仕事から少しでも離れられると浮足立っているというのは言うまでもないことである。
◇ ◇ ◇
「あー…それかぁ…」
連邦生徒会長がシャーレに到着して例の調査報告書を見せると、先生たちは一様に苦い表情を見せた。連邦生徒会長がわざわざ持ってきて見せたそれはシャーレに送られたそれのコピーなので、先生たちもこれについては承知しているのである。
「会長ちゃんの言いたいこともわかるし、私たちもこれまでに何回も対策をとったんだけどね…」
『悲嘆。どうやっても対策の上を行かれるのです』
いつもの無表情で…というわけではなく、ちょっとだけしょんぼりしている様子のプラナはプレナパテスの代わりに嘆きの言葉を吐き出した。いつもは無表情で時々何を考えているかを量りかねることすらもあるプラナだが、その実アロナと同様にかなり高性能であることを(文字通り)誇っている彼女がここまでになるあたり、本当に幾度もセキュリティ改善に失敗したのだろうと連邦生徒会長は察した。
「…なるほど、そうですか」
「うん…。だから正直、私たちもここからどうすればいいんだって思ってるのが正直なところでね…」
「…そうですね。意気揚々とこちらに訪れた私も今のを聞いてどうすればいいのかわからなくなりました」
苦虫を噛み潰すかのような先生の告白を聞いた連邦生徒会長もまた困り顔を浮かべた。先生達が何も対策を打っていなかったとは思っていなかったが、しかしながら対策を打っては何度もそれを超えられるという事態に陥っていたとは心の底から想定外だったのである。
さてはてどうしたものかと頭を悩ませることとなってしまった連邦生徒会長だったが、とはいえ何もしない訳にもいかないだろうと思い本格的な対策会議を始める前にとあるもの──トランシーバーのような見た目の機材を取り出した。
「会長ちゃん、それって…」
ユメのそんな質問に対し、連邦生徒会長は人差し指を一本立てて口に当てた。そしてその後にぴーっと音を出す機材を手に室内をうろうろと歩き回っては色んなものを机の上に置いていく。それはコンセントであったり、あるいはぬいぐるみであったり実に様々だ。
数十分後、連邦生徒会長の手に持った機材が沈黙したときには机の上にいろんなものが…否。
「…あるんだろうなぁ、とは思っていましたが。いくらなんでも多くないです?」
いろんな盗聴器やカメラやらが積みあがっていた。連邦生徒会長が手にしていたのはミレニアム製盗聴盗撮機材用探知機だったのである。
「…………えっ、こんなにあったの…?」
『驚愕。記憶が正しければついこの間確認したばかりであったと思いますが…』
ユメとプラナから困惑の声が上がるが、しかし連邦生徒会長と先生は死んだ目を浮かべていた。これで全部ではないだろうと考えているし、というかこの場で取り外したところでまた後々取り付けられるのも目に見えているのだ。
「……。この際、どれだけあるかについては一旦忘れましょう」
「いやこの量はちょっと無理じゃないかな…?」
「いえ、忘れましょう」
『ですが流石に』
「現実逃避も時に大事なことです」
「あぁうん、そうだね…」
連邦生徒会長の謎の気迫に押され、先生達はいったん机上に置かれた盗聴器やら隠しカメラやらのことを忘れる…ことはできなかったが、しかしとりあえずそれの存在について考えるのを一旦後回しにして連邦生徒会長に『じゃあ…どうするの?』とでも言いたげな視線を向けた。
微妙に懐疑的な視線を受けた連邦生徒会長だったが、しかしながら彼女は怯まない。それらの視線を真っ向から受け止めた彼女は「今から少し抜けられますか?」と確認を取り、そして「抜けられる」と答えた先生達とともに連邦生徒会本部の会議室に移動した後にホワイトボードに手早く『対策会議』と書き記して先生達に向き直った。
「この通り。対策会議をしていこうと思います」
「対策会議…?」
「えぇ、先生達のプライバシーを守るための会議です。如何に盗聴器や隠しカメラを設置させないか、そして設置されたとしてそれを如何に無力化するかが議題ですね。対策はされているというのは聞きましたが、改めてです。三人寄ればじゃありませんが、改めて議論してみれば存外いい案がでるかもしれませんからね」
「…確かに。あの建物のことをよく知ってる会長ちゃんが参加してくれたら、私たちが思うよりも話の幅が増えていいのかも。…って私は思いますけど、先生たちはどうですか?」
「そうだね。とりあえずやってみようか」
その言葉にプレナパテスが頷くと同時に、連邦生徒会長と先生たちによるプライバシー保護に関する議論が始まり様々な案とそれに対する反論の応酬が繰り出されることとなる。
渡されたものはいったん通信遮断ボックスに入れて検査をするべきだとか、壁に電波妨害機構をつけておくべきとか、業務に支障が出そうとか、そもそもあんまり生徒たちを疑いたくはないといった様々な議論が交わされ、そして最終的にピッキング防止加工や簡易的な電波妨害装置の設置に通気ダクトへの鉄格子複数設置、それとシャーレ公式SNSにおいての盗聴・盗撮に関する注意文の投稿でとりあえずの合意、後は状況を見て追々対策ということとなった。
そこから僅かに三日の後。
「あれから三日ですが、お変わりありませんでしたか?」
シャーレを訪れた連邦生徒会長が先生に問いかけてみれば、先生は苦い顔をしながら無言でスマホの画面を連邦生徒会長に向けた。
どれどれと連邦生徒会長が顔を寄せてみてみれば、そこにはメッセージアプリが立ち上げられていて。
『連邦生徒会長もいらっしゃったので流石にある程度は対応していただけたかとは思いますが、しかしながら対策としては不十分です。その証拠にですね』
から始まる先生のとある一日の行動をとにかく仔細の仔細まで書いた、ミヨからのメッセージが表示されていた。どうやって把握しているのかはさっぱりわからないが、とりあえず盗聴はされていることは明らかだ。
ちゃんとシャーレでのことまで書かれている辺り、対策していたにもかかわらずしっかりシャーレは盗聴されているらしい。
そんなメッセージを見た連邦生徒会長は、静かに溜息を吐いた後に。
「…一回本気で取り締まりますか、少し失礼しますね。…もしもし、SRTですか? えぇ、私です。突然のことで毎回申し訳ないのですが、一個小隊…いえ、一個小隊と言わず六個小隊くらい動かせますか?」
「えっ、何しようとしてるの…?」
「あぁ、出撃の意図ですか。…シャーレが盗聴・盗撮されているようなので、ちょっと下手人を懲らしめようかと思いまして。えぇ、はい。…え、RABBIT小隊とFOX小隊がすでに飛び出してこちらに向かっている? あぁそうですか…なんか随分と動きが速いですね…。それはそうと、できればあと…できれば二個小隊ほどですね…」
「ちょっ、待った、ストーップ! そこまでしなくてもいいからね!? あぁ聞いてない、ユメ先生とプレナ先生も手伝ってくれないかな!?」
あまりにも改善しないこの状況に業を煮やしたのか、とりあえず下手人全員をボコって話を終わらせるかとキヴォトス住民の悪癖を完全発動しSRTを投入しようとする連邦生徒会長。そんな彼女を先生たちが止めるのに一時間と四十五分を要し、更に既に出撃していたRABBIT小隊とFOX小隊を止めるのに五十分かかったため、すべてが終わった時には先生たちの疲労は半端なものではなくなっていたのだった。
ちなみに、後日カメラや盗聴器を設置した生徒たちが後日みっちり怒られたことは言うまでもない。…ただし、お説教の甲斐もなく盗聴器やら盗撮カメラは変わらず設置されていたが。
更に余談だが、相も変わらずやたらと詳細に先生の行動を把握しているミヨと神出鬼没に現れるセリナ、その他一部生徒については物証がなかったために先生達も怒るに怒れなかったらしい。そのためミヨが先生の行動を把握していたカラクリもセリナがどうやって現れているのかも、未だ彼女たちだけが知ることである。