シリーズ「私のミスでした」   作:竜田揚げ丸

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どうも。ハロウィンなので投稿します。

早速話は変わりますが、イェソドの情報をまったく集めてなかったのでギミックが全く分からず死ぬほど苦戦していました。
以下はコミカルにその様子を描いたものです。

イェソドくん「ヒウィゴー、カモン、ヒウィゴー、カモン…(地面をぶっ叩こうとする)」
ぼく「なんだコイツ~!(地面をぶっ叩かれたり同生徒で二つ灯火を以上破壊して全滅)」

この作品は、
・ハーメルン様(ココ)
・Pixiv様
の二つのサイトで投稿させていただいています。


「私のミスでした…」黒服「クックック、ハロウィンですよ」

「私のミスでした…」

 

黒いスーツに身を包んだ少女はその可愛らしくも美しい顔に露骨な嫌そうな表情を浮かべると、凄まじく苦々しく呟いた。

 

「私の選択、そしてその選択によって招かれたこのすべての状況…」

 

「この結果にたどり着いて初めて、私のこの選択が間違っていたことを知るなんて…」

 

そこまで呟いた少女──連邦生徒会長はたまたま遭遇した目の前の人物に一度視線をやった後、目を伏せて俯くとわざとらしい大きなため息を吐いた。

 

「…今年のハロウィンは地味目な仮装で過ごそうと思ってスーツを着てきたのに、まさか黒服の仮装という形みたいになるとは…」

 

「クックック…ちょっと散歩に出たら出会い頭に嫌がられるとは思っていなかったので私は些か驚いていますよ、連邦生徒会長」

 

本日はハロウィンなので仮装をということで黒のスーツを身に纏って露骨に嫌そうな表情を浮かべている連邦生徒会長の前に立っていたのは、同じく黒のスーツを着た(こちらはほぼいつも通りだが)長身の影のような存在…ゲマトリアのメンバーの一人、通称「黒服」であった。

黒服といえば神秘の研究と評して生徒たちにちょっかいをかけたりかけなかったり、あるいは先生たちの仕事を増やしたり先生たちを飲み会に拉致ったりするという困った大人であるということで各界隈で有名人な彼(もしかしたら彼女なのかもしれないが真相不明、ここでは便宜上彼とする)は、当然のごとくその存在を知っている人間からは警戒の対象となっている。

 

と、ここまで黒服の話をしたもののそれは一旦置いておいて、本日はハロウィンである。連邦生徒会長としては前年派手に仮装をしたので今年はあえて地味目に抑えるかと思い立った結果、スパイ映画よろしく黒スーツグラサンでと思い至りそれらを着用し連邦生徒会本部へと赴こうとしていたのだが、散歩をしていた黒服と偶然にも遭遇してしまい、自分の今の格好が彼とほぼ同じということに気づいて冒頭のものすごく嫌そうな表情を浮かべた、というのが現在のところである。

 

「こんなことならもっと仮装に力を入れるべきでしたかねぇ…」

 

「私としてはその恰好はなかなかお似合いかと思いますが…。…ふむ、察するに少し前に流行ったスパイ映画の真似事をしている…いや、それにしてはネクタイピンの装飾が些か異なる。であれば別の用事であると考えるべきか。…キヴォトスにおける政治活動の一環…否、であれば連邦生徒会の制服を身に纏っている筈。ならば考えられる可能性は…」

 

そこまで己の考えを口にした黒服だったが、そこで一旦言葉を止めるといつも通り「クックック…」と不気味に笑うと。

 

「…もしかして、私のコスプレですか?」

 

「もしもしプレナ先生ですか?」

 

「クックックックック…連邦生徒会長、通報は考え直していただきたいのですが」

 

黒服のちょっとした冗談に対し、連邦生徒会長は割と本気でプレナパテスに通報しようとしたため黒服は慌てて連邦生徒会長を制止した。いつも飄々として大人の余裕というものを体現している彼にしては「クッ」が多いので、どうも彼は割と本気で焦っているようである。そこまでプレナパテスの折檻が嫌なのだろうかと薄っすら連邦生徒会長は思ったが、その直後誰だっていつの間にかぬっと背後に立たれては関節技やプロレス技を極められるのは嫌かと思い直し、それによって氷解したこの疑問を即座に思考の深淵へと埋葬した。

 

「クックック、どうやら下手なことを言えばプレナ先生に折檻されてしまうようですね…」

 

「状況を理解されている様で何よりです。これからは口には気を付けてくださいね」

 

「えぇ、ここからは気を付けて喋るとしましょう。…ちなみに、答えを教えていただいても?」

 

「最初に貴方が言った、スパイ映画です。ネクタイピンは同じ意匠のものが手に入れられなくて」

 

「あぁ確か限定ものでしたね、であれば仕方がありませんか。私は運良く手に入れることができましたが」

 

煽るような黒服の発言が若干癇に障った連邦生徒会長がゆっくりと携帯を取り出すと、黒服は携帯をしまうように要求するボディランゲージを行った後、懐からすっと袋を取り出した。中には傍から見てもそこそこ良いものであることがわかるお菓子が詰まっている。

 

「連邦生徒会長。重ねて言いますが、プレナ先生への通報だけは勘弁していただきたい。そうですね、お菓子は入用ですか? せっかくハロウィンな訳ですしね」

 

「まだトリックオアトリートとは言っていませんし、言ったとしても貴方にはトリックを強制執行しますのでそのお菓子は必要ありませんよ」

 

「ちなみにですが、その場合はどのような悪戯をするつもりなのです?」

 

「プレナ先生、それともう一人のシロコさんに協力してもらってですね」

 

「ではこちらからお願いしましょうか。…お菓子を受け取ってください。後生ですので」

 

「お断りします。貴方から受け取ったものなど何が混入しているかわかったものではありませんので」

 

「クックック…これが日頃の行いですか」

 

「わかってるじゃないですか」

 

なんだか妙に息があった軽妙なやり取りをする連邦生徒会長と黒服だったが、念のために断っておくと別に二人は特段仲良しという訳では全くない。

連邦生徒会長側からすれば黒服は下手に触れたら何をしでかすかわからない要警戒対象の一人であるし、黒服から見た連邦生徒会長は先生とはまた違う意味でそこにいるだけで大っぴらに動けなくなるという目の上のたんこぶもいいところの存在のくせにあらゆる理由から下手に干渉できない面倒くさい存在である。

そんな水と油な二人だが、互いに互いを警戒して不思議と均衡が保たれている──というにはプレナパテス一行の存在によって些か連邦生徒会長側に天秤が傾いているが、まぁとにかく不思議と互いに抑止力となっている。

なので今回の様に街中でうっかり遭遇したところで、互いに警戒しながらそれとなく腹の内を探り合うだけで銃撃戦も拉致監禁すらも起きず解散するというのがこの二人…というか、一部ゲマトリアと連邦生徒会長のいつものやりとりであった。

 

「…ふむ。ならばここはお暇するしかない、というわけですね」

 

「その通りです。こちらも無理に貴方を捕縛しようとして大打撃を受けるのは避けたいですし、そちらも少ない手札を無為に切りたくはないでしょう?」

 

「…クックック、やはり貴方が居ると実にやりづらい。では、お言葉に甘えてここは失礼させてもらうとしましょう」

 

「また会いましょう、黒服。もし今度会った時も銃を交えず、ただ世間話をするだけで終わるといいですね」

 

「そうなることを私も心から願っていますよ、連邦生徒会長」

 

そう告げた後にわざわざ一礼した後に連邦生徒会長の傍を通りすぎ、そしてそのまま遠くなっていく黒服の背中を見送った後に連邦生徒会長は再び連邦生徒会本部へと歩を進める。

やがて本部に着いた連邦生徒会長だったが、彼女を迎えたのは。

 

「あ、会長。へへ、今日も運動日和だね!」

 

黒いタキシードを着たハイネと。

 

「おはよう、会長。今日もよろしく頼むわ。…あぁ、サボりは無しよ?」

 

コートを着てタブレットを抱えたアオイと。

 

「アオイの言った通り、本日もサボらずよろしくお願いします会長。…それと、このドレスはアオイに着せられただけですので。断じて私の趣味ではありませんから。…そこだけは、ご留意ください」

 

白いドレスを身にまとった、かなり華やかなリン。

そんな三人組の姿を目にした後、連邦生徒会長は下を向いて自分の姿を確認した。…今朝がた確認した通り、連邦生徒会長は真っ黒のスーツを身にまとっている。

タキシード、コート、ドレス、そんでもってスーツ。意匠や色合いは違えど、そこに共通点を見出してしまった連邦生徒会長はかなり複雑な表情を浮かべると。

 

(……なんか今日はやたらとゲマトリアに縁があるなぁ…)

 

遠い目をした連邦生徒会長の表情を見た三人は顔を見合わせた後、不思議そうな視線を連邦生徒会長に寄越したのだった。

 

◇  ◇  ◇

 

おまけ: ハロウィン当日、今年のシャーレ

 

「…せんせ…。えっ、いや…え? …あの、先生ですよね?」

 

黒スーツのままシャーレに訪れた連邦生徒会長だったが、しかし彼女はそこで何とも言えない表情を浮かべることとなった。

そこに居たのは、いつもの先生ではない。

 

「………」

 

赤いラインが入ったホッケーマスクを被り、「そうだよ?」とでも言いたげに無言でサムズアップしている恐らく先生であろう人物と。

 

「………」

 

白塗りのマスクと青い作業服を着て、机の上に明らかに作り物とわかるナイフを置いて無言で書類仕事を進めている恐らくプレナパテスであろう人物と。

 

「あ、会長ちゃん。ふふ、ハッピーハロウィン。…あと、私だけ仮装の毛色が違うのは気にしないでね…?」

 

一人だけファンシーな格好をして若干肩身が狭くなりながらもお菓子を差し出してくるユメの姿があった。どうやら仮装と聞いてファンシーにやってみたら思ったよりも二人が本格的なスプラッタ映画の殺人鬼のコスプレをしてきたために場違い感を感じているらしい。

そんな彼女からお菓子を受け取った後、連邦生徒会長は本来の用事を果たすために先生らしき人物に向き直った。

 

「…えーっと、先生。とりあえず、書類置いておきますね」

 

殺人鬼一号…もとい先生はゆっくりと頷くと、代わりにとばかりにお菓子が入った小袋をずいと差し出してきた。

なんだか取引しているみたいだなと思いつつも連邦生徒会長がありがたくそれを頂戴したのち、本来の業務に戻るためにシャーレを出ようとしたまさにその瞬間、明らかに生演奏ではないピアノの音が響いた。

どことなく不安になるその曲を耳にしながら連邦生徒会長が音源を探るために振り返ると、いつの間にやら青い作業服のプレナパテスが背後に立っていたため、驚きと若干の恐怖から連邦生徒会長は腰を抜かしてしまう。

そんな彼女に、プレナパテスはゆっくりとお菓子を差し出した。

 

『祝祭。ハッピーハロウィンです、連邦生徒会長。…それと、腰を抜かしたようですが大丈夫でしたか?』

 

プラナのそんな発言を受けた連邦生徒会長は、腰を抜かしたまま。

 

「大丈夫でしたが…その格好では無言で背後に立つのと子供たちに近づくのだけはやめておいたほうがいいですよ…?」

 

そう告げることしかできないのであった。

なおこの忠告はプレナパテスには届いていなかったのかうっかり忘れていたのかはわからないが、サービス精神旺盛なプレナパテスはこのまま子供たちの前に出て連邦生徒会長の時と同様の行為をしてしまった結果子供たちに死ぬほど泣かれ、先生達やいろんな生徒から引くほど怒られたらしい。

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