FOX小隊もプレイアブル化しないですかね…。(願望)
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「私のミスでした…」
少女は後悔に満ちた面持ちで彼女らを見る。その唇は後悔に震えている。
「私の選択、そしてその選択によって招かれたこのすべての状況…」
「…この結果にたどり着いて改めて、私のあれらの選択が間違っていたことを思い知るなんて…」
「図々しいお願いですが、お願いします」
そこで一旦言葉を切ると、彼女は真っ直ぐ相手を見据えた。その空のように青い瞳を震わせて近くに立っている『彼女たち』に声をかけた。
「…せめてこの毛布を剥がしてくれませんか?」
『彼女たち』──SRT特殊学園・FOX小隊隊長の七度ユキノと副隊長ニコは顔を合わせて困った表情を浮かべ、そしてその後ゆっくりと首を横に振った。
「申し訳ありませんが『救出された』扱いになるまでそうしていていただきます」
「要人拉致って実際やるとしたらかなり丁寧にやるものだと思うんですが…!?」
そう叫ぶ連邦生徒会長は現在、SRTの数ある訓練施設の内の一つに連れ込まれてそれなりに厚い毛布で簀巻きにされ床に転がされている。
傍から見ればかなり犯罪性が高い構図だが、実際に彼女らFOX小隊によって連邦生徒会長が拉致されたという訳ではない…こともないが、とにかく要人救出の訓練の為に連れて来られて簀巻きにされただけである。
どうしてこういう状況になったのかといえば、事の発端は数時間前に遡る。
あれは連邦生徒会長が仕事を放り出して他所の学園へと視察という名のサボりを行い、そして案の定リンにばれてがっつり絞られた翌日の事。
『そういえば会長は随分と他所の学園の視察がお好きでしたね』
『えーっと…。それは、その…ですね…』
『いえ、否定していただかなくともわかっています。…そんな会長にふさわしい仕事がひとつ舞い込んできまして』
『…? それはどういった…?』
『SRTの訓練、その実地視察です』
『……えっ』
SRTの役割を考えれば当然のことながらその訓練はかなり厳しいものである。なぜなら彼女たちが相対するのはヴァルキューレですらも手を焼く犯罪者たちであり、生半可な実力では話にならないからだ。
かなり苦しく、並みの人間では音を上げてもおかしくはないほどの過酷な鍛錬を毎日積みあげ、来るべき時の為に実力を磨き上げていく。それがSRT生の在り方だ。
が、しかし。それは視察というものとはきわめて相性が悪いものであった。
というのも、視察というのは本当にただ事象を見るというだけでは満足な結果を得ることは難しいものであるのだ。知識を得て、そして体感することもまた大事だというのを連邦生徒会長は既に知っている。
長々と説明して、結局何が言いたいかというと。
経験上SRTの視察はかなりしんどいのである。
ならば視察をある程度手を抜けばいいだろうと思うかもしれないが、しかしながら連邦生徒会長は仕事をサボったとしてもやると決めた仕事に手を抜くことはしたくないのである。
であるのだが、これはSRTの訓練に対しては死ぬほど相性が悪い信念であった。
なので、である。連邦生徒会長は、
『…えーっとぉ…。溜まってた書類があるでしょう? 私はそっちをやらないといけないので…』
と逃げの姿勢を取ろうとした。が、しかし。
『あぁ、それならもう済んでいますよ。皆に頼んで協力してもらったので』
と笑顔を浮かべたリンに逃げ道をつぶされてしまった。リンが業務中に笑顔を見せるときと言えば、大体の場合かなり怒っているときである。つまり、今のリンはかなり怒っている。
だがしかし、しかしである。SRTの訓練は本当にしんどいのだ。なにせ前回の視察が終わった後の連邦生徒会長は二週間と3日ほど筋肉痛に悩まされていたのだ。
本当にきついので、できれば避けたい仕事なのである。
なので、連邦生徒会長は次に。
『しゃ、シャーレの方に何か私の目を通す必要がある書類があるかも…』
と言うが、
『シャーレの先生方は有給休暇中です。有給がたまっていましたので無理やり休ませました』
これまた逃げ道をふさがれる連邦生徒会長。もはや彼女に打つ手はない。けれど、この程度で諦めるようならば連邦生徒会長の席に座っていられるはずもない。
『…デカグラマトンの預言者の襲撃とか七囚人が騒ぎを起こすとかあるかもしれないので! 私はここに居ます!』
と力強く宣言したのだが。リンはそんな彼女に呆れた視線を送った後に突如としてぱんぱんと手をたたいた。その瞬間、会長室にスモークがまかれた。連邦生徒会長が何が起きたのかを確認しようとした刹那、何者かによって意識が刈り取られていった。
その後目が覚めた後SRTの訓練に巻き込まれたことをユキノから聞いて、そして現在に至る。ちなみにFOX小隊はテロリスト役、救出役はRABBIT小隊が務めるそうであるが、しかし現在の連邦生徒会長からすればそんなことは些細なことである。なお、オトギとクルミは既に持ち場についているためここにはいないとのことだ。
「…元を正せば連邦生徒会長がサボったのがいけないのでは?」
「ユキノさん。正論は時に人を傷つけるのですよ、言葉には気を付けてください」
「会長が無茶苦茶なこと言ってるの初めて見た…」
ニコが連邦生徒会長の言動に軽く引き気味の表情を見せた。とはいえ、基本的に適切な指示を出す直属の上司が訳の分からないことを言い出しているのだからそれもまた仕方のないことでもある。
そんなニコの内心を知ってか知らずか、毛布に包まれているためいい加減暑くなってきた連邦生徒会長は簀巻きにされたまま話をつづけた。
「…わかりました、では私を解放してほしい理由をいくつか説明しましょう。まずは」
「いえ、結構です。もうそろそろ訓練の開始時刻なのでそのままになっていてください」
「説得すらもまともに聞いてくれないのは流石にひどいと思うのですが。ニコさんからもユキノさんに何か言ってください」
始まりそうになった連邦生徒会長のプレゼンを真顔でばっさりと斬り伏せたユキノに対し、連邦生徒会長もまた真顔で抗議の態勢をとってニコに対して話を振る。
「あはは…ごめんなさい会長、流石に作戦開始時刻をオーバーする訳にはいかないので私も持ち場に行きますね」
「ニコさん!? 待って、せめてこの布団を剥がしてから…。本当にお願いします戻ってきてください! 後生ですから! あっついんですこれ!」
「FOX2も持ち場についたようですね。…そろそろ作戦開始です。気を引き締めてください、会長!」
「うぅ…。まさかちょっと息抜きしただけでこんなことになるとは…」
連邦生徒会長は簀巻きにされたままがっくりと項垂れ、そして訓練は開始されると同時にユキノもまた連邦生徒会長がいる部屋から立ち去っていった結果、部屋には連邦生徒会長一人が取り残された。
その後銃撃戦が始まり、更にその数分後RABBIT小隊が突入してきたことにより連邦生徒会長はようやく簀巻き状態から解放され安堵することになった。…のだが。
「ここから立場を入れ替えての訓練です。会長、今しばらくお付き合いお願いします」
というミヤコの宣告を受けると同時に、連邦生徒会長の意識は軽く飛びかける。それと同時に、体は生きるために意志を超えて先に動いていた。
「嫌です! 簀巻きは勘弁してください!」
と逃走の為に暴れるものの、日頃からかなりの鍛錬を積んでいるSRT生徒に勝てるはずもなくサキとクルミによって連邦生徒会長は制圧されて再び簀巻き状態に戻され、再び要人救出の訓練に協力させられる羽目になったのだった。
そして事がすべて終わって視察に関するレポートを書き上げているときに聞いたのだが、布団で簀巻きにしろという指示を出したのはリンであり、その判断に至ったのはカヤやアオイを始めとする室長たちの入れ知恵があったかららしい。
どうやら想像以上に室長たちの怒りを買っていたらしいことが発覚した連邦生徒会長は、信頼回復のためにしばらくサボりは控えることにしたのだった。
…張り切りすぎて今度は過労を心配されることになり、それはそれでひと騒動起きてしまうことになるのはまた別の話である。