真剣で世界を変えてみなさい!   作:アイン会長

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「武神目的ではなく、一体なんの目的で大会に京は参加したんだ?」
武神になるつもりはないなら、どんな理由でこの大会に参加したのかと黒桜に尋ねられる椎名京。
「・・・それはね」


虚構の世界編
第一話 『椎名京』


川神百代を殺したいと思った。

理由は簡単。自分が欲しいものを彼女は奪ったから。

大会に出場したのも百代を黒桜の前で殺して、彼の心は自分のものと証明したかったからで、その後の結末など京にとってどうでもよかった。

でも、結局はその望みは叶わず二人は結婚して子供まで出来て暮らしている。

「・・・もう、疲れたよ」

彼女はその結末にウンザリし、手首を斬って自殺した。しかし、一瞬だけ痛みと意識が遠くなった後に、気が付けば無数に広がる時計塔が並び立つ場所にいた。

「・・・ここは?」

迷宮のように数多くある時計塔。その中に、一つだけ眩い光輝く時計塔があった。

行き先のない京は、そこへ近づいて時計塔を見上げる。

「待っていたわ『私』」

「え・・・?」

声がした。しかも自分と同じ声が。

「ここよ。貴方の目の前にいるよ」

光り輝く時計塔が消え去り、目の前に自分と同じ姿をした自分が現れた。

「あなたは・・・?」

彼女は微笑みながら答える。

「私は椎名京。貴方の心の一部よ」

「一部・・・」

確かに言われてみればそんな感じがすると、自身の心が答える。

彼女もまた、自分自身だ・・・と。

「だからこそ、わかるよ。モモ先輩に対する憎悪と黒桜に対する愛する気持ち」

「!!」

心の一部とする京が、肉体を持つ京に抱きついた。

「もう我慢することもないの・・・。思うがままに望みなさい。そして、貴方はあるべきことを気づくべきなんだよ」

「・・あ・・るべきこ・・と?」

抱きつかれた瞬間、肉体側の京が薄くなっていく。

「彼は黒楼夜叉なんて名前じゃないの。彼の本当の名前は『直江大和』。そして、『私』は一度彼と結ばれたことがあるよ」

「・・・」

肉体側の京に反応はない。

「でもね、やっぱり死んだ時思ったの。『全ての』大和が欲しいって・・・」

そして、もう一人の京は消滅した。

いや、心側の京に取り込まれたと言い換えるべきだろう。『椎名京』自体には何の変化はないのだから。

「ふふふ・・・これで、私が」

京はそう微笑みながら、その場から消えた。

 

★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 

その一部始終を見ていたこの世界の管理人と鉄心。

「さて、お主はどするつもりじゃ? すでに第二幕は始まったようじゃ。確かにモモの時計塔は直ったが、今度は別の時計塔が壊れて暴走しまったようじゃぞ」

「・・・」

管理人は一つの懐中時計を取り出す。

「ならば今度は、ネジを回しを入れてみよう。そうすることで、これ以外の他の時計塔も直せるかもしれないからね」

鉄心は何も言わない。

管理人がこれから起こそうとする世界の誕生をただ見守る。

既に『あちら側の自分』との繋がりが切れた今、自分がするべきことはこの無数の時計塔を直す管理人の手伝いをすることだと鉄心は思っていた。

そして、『あちら側の自分』との繋がりが切れたこそ見えるものもあった。

「・・・この世界は」

この無数に広がる時計塔の世界の存在理由は・・・。




交通事故があった。
飲酒運転らしく撥ねられた母親と娘は死亡した。
父親と息子だけが残り、父親は男で一人で彼を育てることに。やがて、その息子も一人暮らしが出来るくらいまで成長して、遠い私立の学園へ入学することとなった。
場所は川神市にある私立川神学園。そこは学園も含めて街全体が武道が盛んであり、武芸を習っていた息子にもぴったりな所であった。

――息子の名前は椎名吹雪(しいなふぶき)。
事故死した椎名京の双子の弟である。
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