しかし、ほんの些細な出来事や言葉、行動がその後の人生を変えていくのは間違いない。
それが、その人間にとって不幸か幸運かはわからないが・・・。
椎名自身はそれに興味など一切なかった。
しかし、友人の誘いと都合と日取りや金銭の余裕があったため、一度くらいは行ってみるのもいいという興味心で行ってみた。
一言でいえばそこれは一種のお祭り。
人、人、人の人が数が沢山いて、あるゲームのチームを応援するためだけに集まっている。そして大声で者達の名前を叫び応援する。
応援することは素晴らしいことだ。応援は期待と自身の力となり自身の潜在能力に開花させる瞬間でもある。しかし、する側の奮起は理解は出来る。しかし、応援する側は理解は出来ない。
なぜ、応援するのだろうか。別に応援者全ての人間が、そのチームの一人と何かしらの接触か関係、繋がりがあるわけがないというのに。
「君は始めてここに来たのかい?」
知らぬ男が話かけてきた。
「はい。友人と一緒に来たんですが、その友人とはぐれてしまって・・・」
すでに携帯での連絡方法はとったが全く応答がない。恐らくはゲーム観戦に夢中で気がついていないのだろう。
「はは。そうかそれは災難だね。一緒に探そうか?」
「いえ、大丈夫です。お気遣いありがとうございまいす」
このどこかにいるのはわかっている以上、時間をかけて探せばいいだけの話。それに友人に誘われてこのゲームを観戦しにきたのはいいがやはり興味がでない。少し一人でゆっくりと観戦するのも手かもしれない。
「・・・そういえば、どうして私がここに始めて来たってわかったんですか?」
男は微笑みつつ、椎名の服装を指をさした。
「確信があったわけじゃないよ。ただ、ここはキミたち側からすれば敵の応援席なのにそれを来ていたからさ」
椎名の服装。
確かに辺りを見回すと自分とは違う応援ユニホームを着ている人しかないない。それなら確かに始めて来た人間とはいうのは思われても仕方がないこと。
知らないというのは無知であり、時には反感を買うこともある。これはその一つだろう。
だからわざわざ彼は、それを教えに来たというわけだ。
「でも、その顔を見ているとゲームそのものに興味がないという顔だね」
「・・・あ、いえ」
流石にこの場で『はい』というのは言えない。
「別にそれは構わないさ。でもさ、見てみなよあの子とか」
指を指す方へ視線を向けると同じ川神学園の女子生徒が大声で叫んで応援していた。
「あの子、学園では控えめなのにここじゃ全然違う人間になっている。あれここの応援団の鬼神だよな」
「・・・」
確か黛由紀恵と同学年の大和田伊予で野球が好きというのは知っていた。しかし、確かに学園とこことのギャップは違いすぎる性格だ。あっちが素なのだろうか。
「気になるなら、訪ねてみるばいいだけのこと。どうして応援しているのかとかね」
「どうして、それを貴方が?」
そういえばこの男の言葉に違和感があるこことに気づく。最初は、全く気に留めていなかったがどうして『大和田伊予』の普段の学園を知っているのか。
「怪しいやつさないさ。彼女に尋ねればそれでわかる。強いていえばここで答えても、俺が求める結果にならないからさ」
「・・・何?」
この男が求める結果。椎名はそちらの方に興味を抱いた。
「さっきも言ったけど、それを知りたいならこの場で彼女に尋ねればそれでわかる。逆に無視して友人探しを続けるのもよしだ」
挑発していると考えていいだろう。だが、『それだけ』の挑発じゃない。
「お前は今、いくつかの選択に選ぼうとしている。ファミリー、弓道、1年、野球・・・」
「!!」
今までの椎名の心を見ていたかのように話す男。
「そして、姉のこと・・・」
そして、知らぬはずの情報を口にした。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★
場は球場。
しかし、場は完全に二人の世界へ変化した。
「貴様・・・」
男は微笑み、そして5つの懐中時計を椎名に見せた。
「選べ。その懐中時計がお前の未来を決めてくれる・・・」
指定された選択と運命。
そんなものに興味は・・・。
「ないとは言わさいないぞ、椎名吹雪。お前は求めているはずだ『鎖』を」
束縛に対する『鎖』。永遠に消えることのない自分の『所有物』。
「俺は・・・」
正義とは何か?
悪とは何か?
その境界線はどこか?
それを決めるのは所詮は人間だ。
だからある人間がこう言った。
「椎名吹雪は危険な男だ」
彼の過去の経緯とこれまでの彼の度合いに危険を感じる男。
―――それは全ての始まり、そして彼にとっての楽園の始まりである。
第二部 『虚構の世界編』 完