それもとても鮮明的な夢だ。
自分と愛する人が一緒に姉の暴走を止めようとしたら殺される夢。
まず、愛する人が殺された。抵抗したけど残虐的に。次に自分は一度、姉の『玩具』になってしまった。
そして気が済んだところでこんなことを聞いてきた。
「姉弟の愛も悪くないでしょ?」
俺はそれを否定した。愛する人を事した姉などに愛などない、と。
「そう、残念・・・」
そう言って、姉は俺の首を切断した。
多馬大橋付近の野原。
椎名は15人ほどの知らない男達に囲まれていた。
きっかけはこうだ。
多馬大橋を渡っていた椎名にいきなり後ろから蹴りをいれてきたのである。当然、油断していた椎名はこけた。
それを蹴った本人を含めた15人ほどの知らない男達がその光景に嘲笑う。
「・・・何をするんですか?」
椎名は感情を殺して、あくまでも冷静に相手に質問する。
「ごめんごめーん。ちょっと、足が滑べちゃったわ」
相手は微笑み、周りも大笑いしながら「すまんすまん」と言う。
「・・あ? なんか可愛い顔しているなおまえ。オカマみたいだな」
「・・・」
完全に喧嘩を吹かっけられている考えていいだろう。
問題はそれをどう対処するか。今は相手がなんで自分に喧嘩を挑んできたなどはどうでもいい。
逃げるか反撃するか。
手を出せば学校側にもファミリーのみんなにも迷惑がかかる。
「なら、可愛がってもらえるんですかね?」
「あ?」
自分には『闘う力」がある。
だから・・・『勝てばいい』だけの話。それが椎名の結論。
そして、椎名は多馬大橋から飛び降りて下へ。
「来なよ?」
今度はこっちが喧嘩をふっかけた。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
一人の少女はそれを見て、加勢しようとした。
だが、それを遮る者が目の前に現れた。
「邪魔するな! そこを退け!」
「なぜだ?」
「大切な仲間がピンチな時に、どうして助けようとしない!」
「仮に私が、あれの一味だとしたら?」
彼女はだんっと相手に突っ込んだ。
「成敗して、椎名を助けるだけだ!」
「・・・」
相手は腰に差していた鞘に手をかける。
「!!」
彼女は一瞬に後ろへ後退した。別に鞘自体に警戒したわけではない。鞘を手にした瞬間に発した相手の殺気に驚き、後退してしたのだ。
「お前は、一体・・・?」
「・・・問おう。お前にとって正義とはなんだ?」
「愚問だな。悪に走る奴らを成敗することだ」
彼女の正義とは善悪の区別というよりも人を困らせている悪を成敗すると考えている思考があるようだ。要するにテレビ影響が強い正義系であり、現実味の正義ではない。
「・・・わかった。負けを認めよう。だが、また再び彼を狙わせてもらうので『君』が守って上げるといい」
「なっ!? そうはさせないぞ! 何度来ようが椎名は私が守る。このクリスティアーネ・フリードリヒの名をかけて!!」
相手は「そうか」と呟き、警戒するクリスを他所に横を通り過ぎて去っていってしまった。
「・・・? なんだったんだ一体?」
クリスは疑問の念が残る形となるが、それも椎名を助けることを思い出すとすぐに駆け出した。
「ふざけるな!!」
どんと彼は机を叩いた。
「中将、落ち着いて下さい!」
傍にいた部下が彼を落ち着くよう説得させるが、それは不可能かと内心は思っていた。
二人の目の前の机あるのは二枚の写真。
一枚は少女と青年が互いに抱き合い支えあっているところと、もう一枚は青年とクリスが互いにキスをしている写真だった。
問題はその少女が中将の娘であったことである。
相手は椎名吹雪。クリスと同じクラスで風間ファミリーという仲間達と一緒にいる一人だ。
「偽造、捏造ではなく本物です。中将・・・」
「マルギッテ! 君がいながらなぜ・・・!?」
そこで傍にいた彼女の異変に気づいた。彼女の首にチョーカーがあることに。
以前までは、そんな者は一切つけていなかったはず。
「まさか・・・君は」
「・・・」
彼女は頭を下げてこういった。
「申し訳ありません中将。どうか、お嬢様と彼との交際だけでも認めてもらえないでしょうか!!」
「・・・・」
自分が知らぬうちに、椎名は娘も娘のように可愛がっていた部下も手に収めて挙句の果てに二股恋をしていたのだ。
「ふざけるな!!!」
どんと彼は再び机を叩き、そして銃を彼女に突きつけた。