真剣で世界を変えてみなさい!   作:アイン会長

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時計塔の無限地獄。
来世の可能性を否定し、今の現世を何度も繰り返している者達のことを示す。
板垣天使もまた、幾度となく無限地獄にいる一人である。
彼女が無限地獄にいる理由はただ一つ。

『名前』

本当は自分に対して誇りを持ちたい心が、周囲の影響により歪み、反逆に変わってしまった。
でも、本心は違う。

『私の名前を愛して欲しい』

・・・それは『彼』でさえある意味で、救えていない彼女の願望。
名前は人の形の象徴であり、誇り。
その誇りを汚すのは、人であって人であらず。
板垣天使(いたがきえんじぇる)。

――人は、その名前を知った時、どう彼女に反応するだろうか。


第四話 『否定』

今日は川神学園の体育祭日。

毎年、普通の体育祭、水上体育祭、球技体育祭の3つのうちどれかが選ばれて実施されている。

今年度は球技大会となり球技種目は野球。

ただし、ただの野球ではなく川神式野球が適応されている。

川神式野球ルール普通の野球と違う部分は4つある。

1.勝負は5イニングだが、時間制限あり。そこで決着つかなければ延長勝負となる。

2.メンバーは試合ごとに変えられ、担任の先生も参加可能。

3.川神百代は不参加。

4.ベースを踏む時に先に相手がボールを持っていても、闘って勝利すればセーフとなる。

この4番目のルールが特に一番の注意点で一番に怪我がしやすい。

このルールによっては武道派揃いの連中がメンバーとして選出されることが多く、野球部員だけが有利とはならない川神学園特有の野球であり、むしろ武道系側の方が有利といってもいいと断言してもいい。

どちらにせよ、神羅のF組にはそんな有能なメンバーは数多くはいない。戦力になるのは神羅、板垣を含めて野球部員一人と野球経験の2名くらいで、逆に対戦相手側はF組からすれば最強揃い。勝負すれば敗北は必然的に見えた。

「それがどうした?」

しかし、神羅結城と板垣天使は落胆するクラスメイト達に言った。

「確かに優勝は難しい。でも、戦う前から諦めていたら勝てるものも勝てなくなるぞ?」

「そーいうこと。お前らは黙って結城の指示を信じていればいいだよ!!」

クラスメイト達は『そんなこと言っても』とやはり暗い表情を隠せない。

「大丈夫だって、だってこっちには・・・」

結城は天使の肩に手を置き。

「勝利の天使様がいるからね♪」

本気と冗談を混じりあった奮起をクラスメイト達に彼は与えた。

「五月蝿い。死ね!」

ただし、新羅自身は先に『天使』に施しを受ける運命になってしまうが・・・。

 

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 

1回戦の対戦相手は1年C組。

結果はF組の神羅達が勝利した。勝因は神羅の戦略と勝利への執念だろう。

1年C組には黛由紀恵という強力な剣豪がいた。正直にいって神羅でも板垣でも実力では勝てない相手。

だが、今回は野球ということもあってチームプレイを求められる闘いである以上、彼女を除けばF組とはほぼ同じくらいの実力だった。

「この闘いは1対2の闘いだ。後はみんなの勝ちたい心で勝敗が決まる」

神羅は徹底的に黛対策をして闘っただけで、それ以外は自分達のクラスを信じて勝負した結果である。

「・・・仮に彼女がS組にいたらどうあがいても勝てなかったけどね」

対戦した神羅は彼女がC組に居てくれたことを今はだけは感謝した。しかし、次の対戦相手はそうも言ってはいられない。

次のの相手は2年S組。

上級生でもあり今年のクラス陣営の中でもっとも、どの分野においても強いと言われているクラス。特にそのクラスをまとめているのが、あの有名な九鬼財閥の息子である九鬼英雄がいるため、その従者や友人達が数多く含まれていることもあって、より圧倒的な実力を備えている。

「さて・・・ここが正念場だな」

神羅は覚悟した。ここでの勝敗が間違いなく今後の人生にも変わっていく。そして、1年F組が2年S組を倒すことが出来れば、クラスの信頼度も結束度も間違いなく上昇して、残りの数ヶ月の学校生活もより充実したものとなるだろう。

「あれ?」

あることに気づく。別に大したことではないが気になった。

「直江大和、直江あずみ? なんで直江が二つあるんだ?」

姉弟か何かと一瞬思ったが、他のクラスメイトが教えてくれた。

「ああ、彼らは夫婦で九鬼の護衛として学校に来ているんだよ」

「な、なんだと・・・」

正直、S組のメンバーよりも夫婦登校をしていることに仰天してしまった。

なんせ、ここに入学してから今日に至るまでは、いつも天使とF組のことしか考えていなかったために他のクラスのことはあまり知らなかったので、夫婦登校しているとは流石に知らなかった。

というよりも、二人は一体何歳なんだろうか。間違いなく『18歳』は超えているのは理解できるが・・・。

「まぁー、とにかく勝つことのみを考えるとしよう」

それを含めて、正に大人と子供の差ほどあるこのゲーム。

どんな手を使ってでもゲームに勝利することに神羅は全力をかけた。




世界の狭間。
「なぜ、あの男がここにいる? 彼は俺の世界を除いて、存在出来ない者のはず・・・」
黒桜は神羅の活躍を傍観しつつ直江の存在に驚いた。
そもそも黒桜夜叉そのものが直江大和だ。魂は違うが肉体は直江大和であり、それが理由で前回まで椎名京に狙われたり、戦ったりしたのだ。
それに椎名は言っていた。
『どの世界を探しても、貴方以外大和がいないの』
それもそのはず、直江大和は存在していない。いや、ある理由によって存在そのものが出来ないのだ。
だからこそ各世界において選ばれし者達が彼女達を救っているのだ。
「・・・考えてみれば俺の世界にも直江の名前はあった」
第二次武神大会時に、直江あずみが出場して戦っていた。
結局は、彼女は準々決勝で棄権をして戦うことはなかったが・・・。
「・・・」
黒桜はある時計塔を探してみた。
「・・・っ!!?」

――そして彼は、また一歩この世界の秘密を知ることになった。
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