真剣で世界を変えてみなさい!   作:アイン会長

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亜美の懐中時計が光をだして五人全員を包み込み、気づくとそこは全く未知の場所であった。
空は暗く、辺には複数の建物があって光があるが人の気配が全くしない場所。
「さぁ・・・調教の時間だよ?」
亜美は舌を舐めずり、蛇で獲物を見るような目で神羅を見る。
「ここは・・・?」
「亜美姉が時計の力を使用して、世界を作ったのさ」
竜兵が彼女の作った世界を見渡し、少しため息をつく。
「・・・が、やっぱりここは好きにはならねぇな。この世界では亜美姉が神だからもあって」
竜兵の『神』というワードにピクリと結城の眉が動く」
「神だと? 一体何の神だっていうんだよ亜美さん」
視点を亜美に向けると彼女は座っていた。
ただし、座っているのはただの椅子じゃない。黒タイツを被った人間の背中の上を椅子として座っている。
「まぁー・・・簡略的にいうと『亜美の世界』かね」
簡略しすぎで、どういう世界なのか全くわからないし、それは竜兵から聞いた答えだ。
でもよくよく考えて見れば少しづづ、この『亜美の世界』がどんな世界なのか予想がつく。
まず、亜美が座っている人間は能力で生み出された影人間。つまりは亜美の人形兵隊の一人だ。あれからは生気を全く感じられず、ただ亜美に従う機械的意志しか感じられない。
そして、それに座る亜美。女王様をイメージした構図といえば早いだろう。
時計は相手の能力を具現化する能力。亜美は自分の職業上を元に『豚を調教する女王様』的なものを具現化したのだろう。そうなるとこの世界も合点がいく。あういう仕事は夜が基本。空が暗いのは夜をイメージにしているのも理解出来る。
この『亜美の世界』がどんな世界なのかは理解した。問題はこの先。
「さぁー出てきな! 豚ども!!」
亜美が黒いムチを時計から召喚して、一度地面を叩いた。
するとゆっくりと大勢の黒いタイツを被った巨漢男達がゾロゾロと姿を現れた。彼らも先ほどと同じく影人間だろうが、体格そのものが脅威的で、あれだけの数を襲われたら天使を守りながらでは分が悪い。
「・・・・」
チラリと天使を見る。彼女は幻術にかかってまだぼーと立っているだけだ。
「ふふ・・・さぁ、どうする神羅?」
亜美は再び舌を舐めずり、蛇で獲物を見るような目で神羅を見た。
その返答は。
「どうもしないさ。豚には豚らしく美味しい餌を与えるだけだよ」
神羅は腕時計のネジを回して『4』という数字に設置した。
「ん?」
「第4を発動させるだけ。能力は召喚・・・人間や武器を強制的に自分の場に呼び出すことができる能力さ。ただし、人の場合だと契約した側にも都合があってあまり意味がない時もあるが・・・」
「人間を召喚だと・・?」
亜美はふと気づく。もしも、もしもその召喚に来て欲しくない人がきたらどうなるのかを。
「こんな状況化なら、OKだぜ!!」
新羅の腕時計から何十の光の輪が飛び出していく。そこからぬっと人が現れて。
「川神百代、契約により召喚しましたー!!」
笑顔と共に世界最強の武神である川神百代が召喚された。
「なっ!?」
驚愕する三人の他所に百代は結城を見る。
「契約話は聞いていたけが、まさか本当にこんな日が来るとはな」
「すいませんモモ先輩」
結城は頭を下げたが百代は微笑んだ。
「いや、ちょうどジジイと一緒に結界に閉じ込められて困っていたところだったんだ」
ということは川神鉄心は、まだ結界内にいることになる。惜しいことをしたが仕方がない。
「馬鹿な・・・貴様、いつ結城と契約を? それに武神も」
動揺する亜美に百代は、また微笑む。
「何、簡単な契約さ。『強い奴と闘える時のみ』に召喚に応じるという形式。おまえが弱い奴だったら出てくる気はなかったさ」
「・・・おお」
影人間達が後ずさりする。百代の闘気の前に怯んでいるようだ。
「くそ、まだ・・・!」
亜美はムチで怯え消そうとするが、影人間達に効果はない。
「さっさと片付けさせてもらうぞ。事態は結構深刻化しているからな」
そして、武神無双が開始された。


第十話 『板垣』

『亜美の世界』での亜美との勝負は結城の川神百代の召喚によって勝利を得た。

亜美の時計も破壊され、世界も消滅した。

「ありがとうございます。モモ先輩」

結城は改めて礼を言う。

「少しはストレス発散もできたし目的も果たせた。それでいいさ」

そして、百代は板垣辰を見た。

「さーて・・・それじゃあメインといこうかな?」

「・・・おい、待てよ武神」

いつの間にか天使が幻術から抜けだして、百代を制止していた。

「天使!?」

結城は抜け出せるはずがない幻術をどうしてと驚く中で、天使は百代に話かける。

「これはウチらの問題だ。これ以上、こっちの関わるなよ」

「・・・ふーん」

百代は目線で結城に”それでいいのか”と問う。現状を把握している彼だからこそ、家族やなんやといっている場合ではない。あくまでも勝利するために彼女の力は必要不可欠。

「・・・これで2対2ですから。もう、大丈夫です。モモ先輩は他の場所の応援へ行って下さい」

これ以上の介入は天使にとって喧嘩のプライドが許さないだろう。それが例えどんな結果であっても。それにお互いに姉と兄の血の繋がった喧嘩。ましてや真剣に闘えるなんて機会はそうはない。

「そうか・・・わかった」

百代は頷くとポンと結城に肩を置いて他の戦場へと去っていく。

「おい、結城!」

「痛っ!?」

百代が立ち去った後に、天使の蹴りが結城に炸裂する。

「なんで、ボクが怒っているのかわかるか?」

「・・・」

結城はあえて何も言わずに、辰と竜兵の方へと視野を向ける。

「・・・ボクは辰姉と闘う。お前は竜兵と戦えよ」

「なっ!?」

天使はあまりに無謀なことを発現していた。

むしろ逆でなければいけないほどにレベル差があるというのに。

「ふーん・・・天ちゃんは私と戦うんだ」

辰は眠そうな顔で言い合う二人を見る。

「俺もそっちの方がいいぜ。妹とはいえ、女は嫌いだからなぁー」

竜兵は一歩前に出て、先攻するという意思表示を辰にアピールし、辰も承諾したように視点を天使に定めている。

「さて・・さっそく見せてもらおうかなこの時計の力を!!」

竜兵の叫びと共に懐中時計は光だし、彼を包み込む。

そして光が消えた先には。

赤色の武者鎧を装着してオーラを備えた板垣竜兵がそこに立っていた。

「さあ・・・始めようか、神羅結城!!」

彼の咆哮が結城へと襲いかかってくる。

「・・・天使!!」

結城の叫びに天使は笑顔で微笑んだ。

「大丈夫だよ。本当に心配ならさっさと片付けて助けにこいよ?」

「・・・・!!」

竜兵の拳が両者の間に割り込みつつ、地面にパンチする。地面は一瞬で粉々になって大きな穴となり二人を分断される形となった。




分断された二人。
天使はお望み通りに辰と対峙していた。
「さて・・・いくぜ~辰姉!!」
意気揚々と愛用のゴルフクラブを武器に辰に走っていく。それを辰は眠たそうな顔でただ見ているだけ。
「おりゃ!!」
無防備であろうがなんだろうが関係なく、天使の渾身の一撃が辰の右肩に直撃した。
だが。
「!!!?」
ボキッと折れてしまった。
確かに武器自体は何の変哲もないただのゴルフクラブだが、これには天使の闘気が備わっており、逆に壁やら地面などを叩けばあちら側にヒビが入って折れることなどない。
それが簡単に折れてしまった。
「・・・はい、おしまいだね天ちゃん」
辰が天使の腹部へアッパーを喰らわす。
「がっ!?」
その圧倒的までの威力に耐えられず、天使はたった一撃で気を失ってしまった。
「ごめんね~天ちゃん。私の時計の力は『制御』なんだ~」
板垣辰は武神級の実力があった。
しかし、それはあくまで『自身の自我を暴走』させた場合のみのため、通常時はそれほどの力はなかった。
だが、時計の能力を借りることでその暴走を通常時でも発動することが可能となった。
今の彼女は通常時でも『武神』クラスの板垣辰になっており、天使の渾身の一撃も今の彼女にとって蚊にさされた程度の威力でしかなく、その発せられたオーラは天使のゴルフクラブのオーラを跳ね除けて、ゴルフクラブが逆に折れてしまったという結果である。
「さて・・・一人確保だね。あっちはどうかな~」
辰は天使を抱えながら、飛んでいった竜兵と結城の方角を見るのだった。
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