真剣で世界を変えてみなさい!   作:アイン会長

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直江あずみ対葉桜清楚の闘いは、直江あずみの勝利で終わった。
勝因はいくつかあるが、一番の理由は彼女が九鬼に単身で攻め込んできたことだろう。
確かに彼女はとても強くて武神級ほどの実力があった。とてもあずみだけの一人では勝てなかったが、他の従者や夫の大和との策によって勝利を得た。個の力では必ず限界があるということの証明でもある闘いの結末だった。
しかし、彼女の所持する懐中時計は壊してはいない。いや、壊そうと思えば壊せたがある理由で壊すことが出来なかった。
武士道プラン。
九鬼が内密に研究している一つで、昔の英雄達の遺伝子を組み込んだ人間を現世に誕生させようというプラン。この葉桜清楚もそのクローンの一人なのだが、寿命が短く20歳前後で死ぬ運命の少女。
本来なら、既にベットの上で生活しているはずなのだが、魔繰家が誘拐しこの時計を所持させたことで、その運命を回避するほどの健康体になっていた。
そのため、この時計を壊すということは彼女も命を奪うという意味でもあり、それをあずみ達の独断で奪うことは出来なかった。
「・・・とりあえず、拘束して帝様達の判断を仰ぐ。アタイだけの判断じゃコイツの命を奪えねえよ」
「わかりました。あずみさん」
大和は部下に彼女の拘束を指示しつつ、携帯を見る。
「やっぱりダメですね、圏外になっている。この結界に入ってからは通信手段が全く使えなくなっている」
結界に入ってから一切の電子器具が使用不可になっている状態が続く。これでは外部との連絡は一切とれない。
早く大元を叩く以外は解決方法はないだろう。
「仕方がねぇ・・・。大和と数人は葉桜の監視を、アタイと椎名は街に行って大元を探して倒してくるわ」
「いや、あずみさんはここに居てください」
「あん?」
「葉桜との闘いですでにボロボロです。だから休憩も込めてここにいてください」
「・・・」
あずみは大和を見る。
大和の目は真剣で表情だが、どこかしらあずみに対して心配する顔が見られた。
「・・・はぁー。わかったよ」
あずみは一時的に現場の指揮権を大和に渡し、大和は笑顔で見せて街へと走っていった。
「甘いなアタイも・・・」
あずみは彼がどんな存在なのかを知りつつも、やはり惚れてしまった男に対しての笑顔や声かけに弱いなとため息をつきつつも思ってしまうのであった。


第十一話 『誇り』

板垣竜兵の人生は若くして死ぬ可能性が高い。

彼はそれでいいと思っているしそうして生きていこうと思っていた。それが彼の生き方であり、誇りでもあったからだ。

そして、結城と闘うのもその一興。

その先に、自身が何があろうと今の自分が満足して闘えるならそれで十分であった。

「否定はしない。それがアンタが望んだ行き着く先なら・・・」

結城は闘う前に、竜兵に今後の未来について問いた。そして、彼が答えたのが『永遠の喧嘩』という己の武を示し続ける未来との答えが返った。ある意味で彼の立ち位置は敵でもあり味方でもあるような人間。

「そういうテメェはどうなんだ?」

竜兵の問いに結城は即答で答える。

「俺は天使と共に道を歩んで行く。それ以外に道はない」

「・・・天使の気持ちは無視か?」

「こうなる前に、いくつかの選択を天使に選ばした。そして、その結果がここにいる」

彼も天使の意思を無視はしていない。というよりもそもそもそうなる前に、かなり選択肢を用意していた。しかし、彼女は結城を選び一緒に行く道を選んだ。そうなった以上は、結城に迷いも他の道もない。

ただ、板垣天使を守る人間であり恋人であり未来の夫として先に歩くだけだった。

「・・・ふーん」

竜兵は少しニヤリと微笑む。

その笑みにはどんな感情が含まれているのかは結城にはわからない。

「まぁ・・・いいさ。俺は今、この時を! 楽しむことが出来るならば!!」

叫び声と共に竜兵が突進してくる。結城は腕時計の針を『1』の数字にセット。

「第一の能力、幻術を発動!!」

宣言と同時に結城の瞳が時計のような瞳に変わり、竜兵に幻覚をかけようとする。

「無駄だ!!」

バチンと何か弾かれたような音と共に、結城の瞳が元に戻ってしまった。先ほどと同じように、幻術を弾かれてしまったようだ。

「なら・・・っ!」

結城は突進する竜兵から後退しつつ、腕時計の針を『2』の数字にセット。

「第二の能力を発動させる!!」

自身の両手を上げ、竜兵に狙いを定めた。

「神羅風強(しんらふうきょう)!!」

強い突風が結城の両手の手の平を通して竜兵に襲いかかる。

「・・・っ!」

これは止まらざる負えないか竜兵は立ち止まる・・・・が。

「はぁ――――――――――――!!!!!」

先ほどよりも大声で上げて、突風をかき消してしまった。

「・・・っち!」

舌打ちをする結城を他所に、再び突進して突っ込んでくる竜兵。今度は避けることも後退することも間に合わない。そう判断した結城は腕時計の針を『5』の数字にした。

「オラッ!!」

竜兵の拳が結城の顔面へと直撃した。

「!!!!」

直撃した顔面は体ごとそのまま壁がある所まで吹き飛び、ぶつかって壁が崩壊する。

普通の人間なら即死。確かめる必要もない。

ただし。

この川神市に住む武道を学ぶ者たちに限ってはそれだけでは死なない。

神羅結城もその一人。

「ふん。・・・そうでないとつまらん」

彼がまた、特殊的な人間だと認識できた竜兵は微笑んだ。

結城が発動したのは『不死』。

あらゆる攻撃であろうと絶対に死なない体に一時的に肉体を変えたのである。ただし、痛みも怪我もそのままのために、あまり意味もなくただの防御でしか役に立たない。つまり、先ほどの攻撃が回避不可能と判断して発動させていたのだ。

「第六の・・・能力を発動・・・っ!」

第6は再生。回復でしかも限度がない便利な能力。しかし、傷の痛みもかなり堪えるため不死の能力を使用後でのこの能力は精神面で参ってしまう。

そのため、全回復しても息切れを起こして疲労感はどっと増してしまうのが弱点。

「はぁ・・・はぁ・・・」

結城は今度は時計を『9』に合わす。

「痛みを・・・返すぞ」

第9の能力は呪怨。相手に呪いをかける。しかし、そのリスクは当然ながら結城にも与える一番の禁術能力。

ただし、今回は竜兵に与えるのは『疲労感』という呪い。これは疲労している自分を相手にも同じように疲労させる呪い。これなら自身の命のリスクも低いし、相手に精神的ダメージを与えられる。

「・・・っ!」

竜兵も自身の違和感に気付き、再び立ち止まった。

「こしゃくなマネを・・・」

舌打ちをする。

自身の身が少し疲労していることが、結城の能力だと確信しているためである。

「だが、この程度の疲労感じゃぁ・・・足りないな」

結城は竜兵の言葉に微笑む。

「わかっているさ・・・」

結城は時計を『4』に合わす。

「第四の能力を発動・・・召喚!」

結城の体全体を隠すほどの大きな盾が召喚される。

「無駄だ!!」

だが、一撃で破壊された。

「・・・」

竜兵はここで結城の能力に違和感を覚えた。

結城は闘うたびに時計の針を合わせて戦術を変えて闘っている。だが、どれもこれも自身の決定打になるような能力ではない。それなのに結城の瞳は勝利を確信したような瞳をしている。

「・・・」

竜兵は自身の所持する時計を見た。

自身の時計の能力は『暴神』というテーマにして、闘えば戦うほど自身の戦闘オーラを強くさせる強化系の武器にした。

だからこうして喧嘩を続ければ続けるほどパワーも速さも肉体も強くなっている。

でも、相手でも感じられるほどのレベルアップ感を感じるリクスがあり、速攻系の強い一撃を直撃した場合などで、気を失ってしまうとリセットしてしまうリスクもある。

そして、同じ時計の所有者であり自身よりも頭脳が良い結城がわからないはずなどない。

「何を狙っている結城?」

竜兵の疑問に結城はただ。

「お前を倒すための準備だ」

微笑みつつ時計を今度は『7』にした。




ヒュームに受けた傷が深く、傷を癒さぬまま闘ったために沖田は黛に敗北した。しかし、ただ敗北とは行かず相打ちという選択肢で、あとのこと全てを魔繰稟に託して気を失った。無論、黛が気を失っているのを確認してから。
その結果、魔繰稟と川神一子の一戦で終局となる所まで追い詰めていた。
「・・・っ!」
ボロボロになりながらもなんとか立ち向かう川神一子。
「ふふ・・・」
余裕で笑みを浮かべる魔繰稟。
だが、川神一子では魔繰稟に勝利することは不可能と言わざる負えないほどの力量の差があった。
「どうしたの川神さん? 私はまだ、この場から一歩も動いていないわよ?」
彼女の薬指にはめている黄色の魔石が光る。
「!!」
川神その場を離れる。
その瞬間、上空から雷が落ちてその場の地面を一瞬で黒焦げにしてしまった。
「貴方は近距離系タイプ。私は遠距離タイプの戦術を使う以上、これ以上の相性の悪さはないと思うのだけど?」
「・・・」
川神は沈黙する。
「・・・ふふ」
それを笑みを浮かべる魔繰稟は、次にどんな手を使ってくるのかわかっていた。というよりも、彼女のようなタイプはそれしかない。
だから、すでに勝敗は決していた。
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