真剣で世界を変えてみなさい!   作:アイン会長

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第二次武神大会の前日。
武神として出場する黒桜は多馬川に来ていた。
理由は、ある一本の連絡からだ。
「大会の前に合わせたい奴がいる。夕方頃に多馬川に来てくれないか?」
相手は釈迦堂。黒桜も釈迦堂が破門されたことは昔から川神院で暮らしていたおりに、知ってはいた。
しかし、問題はそこではない。釈迦堂が自分の連絡番号を知っていたことが問題だ。黒桜は釈迦堂とは、何度か顔を合わしたことはあるが連絡交換はした覚えはない。
なら、自分と連絡交換した相手が釈迦堂を通して呼んでいるということ。しかもこんな方法で連絡するということは完全に良い話ではない。
そして、そんな行動をする相手を黒桜が考え得る相手はたった一人。
「・・・百代」
多馬川に釈迦堂と一緒に現れる川神百代。
「・・・久しぶりだな、黒桜」
黒桜は一瞬で百代の変化に気づく。
服装は学園の制服を着ていたが、髪は以前は伸ばしていた長髪をばっさりと切り落としてシュートヘアになり、目も輝きがあった漆黒の瞳が消えて真っ黒な瞳へ。
そして、何よりも百代から放たれている気のオーラが完全にドス黒く、正に『悪のオーラ』という言葉に相応しいほどの気を放出させている。禍々しいほどに。
「・・・探していたんだよ」
連絡があった時点で、予測は出来ていたが、本人から直接聞かなければ意味がない。
「簡単なこと・・・私は武神を剥奪された。だから武神を取り戻すために修行の旅をして来たんだ」
ここまでは嘘はない。確かに武神の称号を剥奪された以上、それを取り返すために修行の旅に出るという言い分はわかる。現に、百代の両親もリー師範代に負けたために、再び師範代を取り返すために、百代を川神院に残して修行の旅に出ている。
「でも、学園をやめる必要はなかったはずだよ。だって、学園生活なんて今しかできないじゃないか!」
百代はなんだかんだでまだ子供。ましてや学生ならば武神以外での学園生活を見つけて過ごすことも出来たはずだ。
「無理だな」
それを百代は即否定し、百代の気が上昇する。
「黒桜。私は武神しかなかっただよ」
「え?」
「武神という最強の称号が、周囲から認められて『私』という存在を許していた」
確かに彼女に友と呼べる存在は少ない。
いや、そうしてきたのは黒桜と恋愛した影響で、周囲に無用な悪意を百代に生み出させてしまい、友達というきっかけさえも奪ってしまっていたかもしれない。
「俺じゃ・・・駄目なのか?」
正直な思いをぶつける。今更なのかもしれないが、ここまで百代を変貌させてしまったのは他でもない黒桜だ。
「黒桜。明日、私も第二次武神大会に出場する」
「・・・!」
大会前夜でのこの場。
百代がこんな状態で現れた時点で黒桜としては予想範囲内。むしろ外れて欲しかった。
「そこでお前を倒して、私が武神に返り咲く。『私』を取り戻す」
百代からの気のオーラが禍々しいほどに放出させている。
「・・・無理だよ。百代」
だからこそ武神として宣言した。
「今の川神百代じゃ、武神どころか武道家でもない」
そこ瞬間、百代の目が悪意に変わる。
「黙れ。私の全てを奪った貴様を私は許ない!!!」
「・・・」
狂気に満ちる百代。その姿に黒桜はゆっくりと言った。
「覚えている百代。昔、俺が宣言したこと?」
「・・・何?」
彼女をこうしてしまったのは自分の責任だ。だからこそ、もう一度はっきりと宣言したほうがいいだろう。
過去がどうあれ、黒桜は約束ごとを破ったことは一度だってないのだから。
「百代。お前は俺の将来の妻だ。そんな妻の暴走を黙って夫が見過ごすわけないだろう?」
「!!?」
百代もその場にいた釈迦堂もいきなり嫁宣言に驚愕した。いや、百代自身は覚えてもいるし、こういう道を歩いてきたのはそれが原因だとも言える。
「ふざ・・」
「あーははははっ!!」
動揺する百代に対して釈迦堂は大笑いする。
「そうか、アンタはこんな百代でも嫁にするかぁ~」
「ああ。そうだ。もう決めたし、決心した。この大会が終わったら百代は永遠に俺の所有物だ」
「貴様・・・っ!」
ぎりりと唇を噛み締める百代。
しかし、釈迦堂はそれを聞いて安心したのか微笑んでいた。
「そうかそうか。なら、頑張ってくれよ武神さん。今回の戦いは前回の闘いよりも数ではなく質の闘いへと変わっている。」
数ではなく質。つまり、黒桜が想像する以上に強敵なライバルがこの大会に参加してくるということ。
前回の闘いでは、無造作に武神宣言をした者たちが無作為に世界中を困らせ、そして暴動化させた。しかし、今回の大会は優勝すれば『武神』という賞品がくる。
「きっと、全大戦よりも牙を隠して色々な奴らがお前を倒しにくる。それを全て倒せるのかな?」
黒桜は釈迦堂に質問ににやりと微笑み宣言した。
「無論だ。誰であろうと全てを倒す」
ちらりと百代を見る黒桜。
「それに、俺はすでに3代目の武神を考えている。あとは全てをそいつに投げる」
「!!」
武神をやめる。
百代も含めて釈迦堂も再び驚愕した。
「だって、武神なんかしていたら百代を支配できないだろ?」
黒桜は微笑えんだ。


第七話 『参加者達の思想』

第二次武神大会が開幕した。

世界中の力に覚えがある武道家達が三代目の武神になるために激突する。ただし、鉄心がいくつかの参加資格があり、それに当てはまる人間以外は参加は出来ない。

それは、学園の生徒と成人を迎えていない者しか参加出来ないこと。

これには理由がある。

1つは前大戦で、大人の横暴に呆れた鉄心達が未来の若者に託すために限定した。

2つめはこの大会を通して、様々な見知らぬ武道家や関係者と出会い、未来の先を見るため。

3つめが重要で、この闘いで武神騒動を終幕すること。

全ての始まりは武神争奪戦などと名称程度で始まってしまった闘い。そのせいで、戦争が始まったり、百代が学園をやめて黒桜が二代目と無関係な人々が傷ついたこと。

鉄心を含めてあの前大戦で経験した者はこの大会で終止符を打つことを望んでいる。だからこそ、それに共感した九鬼財閥が金に糸目を付けずに大規模な武道大会に仕立て上げた。

もちろん、大規模すぎる大会はメディアも動き、それが世界中へと配信されて再び武神が決まれば武神を奪いに大人達はここへやってくるだろう。

しかし、この大会に参加する者は全て承知の上。そして、参加者の誰もが二度とあの前大戦ようなことにはしないと思っている。

それだけ武道を覚える若者達にとって、前大戦は酷くて許せない闘いだったのだ。

その中心にいる川神百代も含めて。

 

★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 

参加者は予想よりも多く、4日間を通して行われることとなった。

1日目は予選。

ただし、武神の黒桜はシードして決勝トーナメントに進出している。

残りの参加者は九鬼が用意した無人島で、一人だけが決勝トーナメントに進めるバトルロイヤル形式の予選に参加する。

枠は全部で16だが、すでに黒桜が確定しているので残りは15枠。

参加者はまずは予選突破を目指して闘う。

ちなみに、この闘いの監視や場所提供者は九鬼や川神院のため、この人達の前にズルは通用しないので、間違いなくあからさまな反則行為は不可能だと断言はしておこう。仮に反則行為が成功しても、すぐにバレて粛清されるし、それに『子供』が『大人』に勝てるわけないので意味なし。

 

★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 

結果的にいえば予選は無事に終えて、15名が決定した。

予選は死んでもおかしくないほどの戦闘激突はあったりしたが、危険な状態と判断すれば鉄心達が審判員として乱入し、その者の戦闘不能と判断してその場を収めたり、大怪我をすれば九鬼の最新医療や川神院の専属医師が治療をしてくれたりしたので、参加者全員が無事に明日を迎えられる状態で一日目を終えていた。

そして、その日のうちに決勝トーナメントの組み合わせが決定される。

第一試合 黒桜夜叉VS椎名京

第二試合 沖田三成VS黛由紀恵

第三試合 真田一子VS大友焔

第四試合 川神百代VS板垣辰子

第五試合 魔操忠勝VSクリスティアーネ・フリードリヒ

第六試合 直江あずみVS九鬼揚羽

第七試合 松永燕VS不死川心

第八試合 魔操稟VS榊原小雪

決定された組み合わせは、観客に様々な驚愕と衝撃を生みだしつつも2日目へと人々の視点は変わっていく。




忠勝は組み合わせに予想外の名前が入っていることに驚き、すぐにその者へと接触した。
「稟姉義さん・・・」
子供の頃に魔繰家に引き取られた忠勝は、その家の娘の義理の弟になった。
義姉は常に屋敷で生活して、雑務や用事は全て従者として雇われた沖田三成がしている。それに大会なんか興味があったとしてもテレビ中継されているのだから、わざわざ表に出てくる必要もないはずだ。
「あら? 意外そうな顔ね忠勝。私がいつ屋敷で一生過ごすお姫様なんて言ったかしら?」
「・・・」
傍には沖田がいるが、彼は何も話さない。
恐らくこれは彼女の意思での行動。ならば従者の沖田には口出しする気は一切ないのだろう。
「それにこんな大会。逃したら二度と楽しめないし、色々と調べるのに出場するのが一番だったのよ」
「調べる?」
彼女は以前からあることを調べている。ただ、何を調べているのかは義弟である忠勝さえ知らない。
「まぁ・・・とりあえず武神なんかになるつもりはないから、戦いは途中で棄権すると思うわ」
彼女はそう言うと立ち去っていき、それについて行く沖田。
「おい、沖田・・・」
忠勝は沖田を呼び止めようとする。
「すまないな、忠勝様。私もこの件に関しては教えるわけにはいかない」
「・・・っ!」
ぽんと沖田は忠勝の肩に手を置く。
「そんなことより、お前は自分の目指す道を進め。私も稟様もそれを望んでいるのだから・・・」
気にすることは何もない。ただ自分のことだけを考えろと言う沖田。
「・・・ああ、わかった」
忠勝はただ、頷くしかなかった。
「・・・」
おいて行かれた感じのように、その場に残された忠勝は一抹の不安が生まれる。
「俺たちの魔法技術は、決して表に出すことを禁止していたはず。それを破ってまで、何を調べようとしているんだ義姉さんは・・・?」

・・・果たして、彼女の調べものとは?
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