真剣で世界を変えてみなさい!   作:アイン会長

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棄権者が続出した準々決勝。
もちろんこれは操作された棄権でもないし、決勝に残った松永燕の策略でもない。彼らは自分からちゃんと口で棄権理由を鉄心達に話して棄権を認めてもらっている。


第九話 『仕組まれる闘い』

沖田三成の場合。

黛に斬られて、一瞬油断したが感情に走った彼女は沖田の敵ではなく、斬られた部分を利用して懐まで近づき、そのまま腹部を拳で殴って気を失わせた。

だが、勝ったのはよかったが黛に斬られた傷は深く、この状態で武神と戦っても無意味だと判断して棄権する。

 

真田一子の場合。

百代との再戦を彼女は強く望んでおり、棄権となっても本心としては戦いたかった。しかし、あの闘いで大友を助けたために一子は全身を火傷負ってしまって、とてもすぐに闘える状態ではなかったために棄権する。

ちなみに、助けた大友は多少の火傷程度で済んだ。

その影響か、それ以来大友とはよく会うようになって、やがて仲良くなり友情が誕生するのだが、それは別の話。

 

魔操忠勝の場合。

彼の理由は怪我も体調も問題はない。

では、なぜ棄権するのか不思議のためなぜかと理由を尋ねるとこう答えた。

「元々武神というものには興味はなく、自分を鍛えるために闘ってきました。ですが、今回ある理由で闘い続けることができなくなったので棄権します」

彼はそう言って棄権した。

 

直江あずみ場合。

「あたいは学園の生徒として出場したが、もうこれ以上戦ったら、規定違反するから辞退するわ」

直江あずみは大人。

学園に九鬼英雄がいるので、その従者として入学してきた。この大会も九鬼が関われる所まではどんどん闘っていいと九鬼側に言われていたが、さすがに九鬼揚羽を撃破した以上はこれ以上いるわけにはいかない。

「というか、アイツや帝様達の命令で揚羽様なんかに勝ってしまった時点で、もう充分なんだよ、あたいは」

要するにもう充分に戦えたということらしい。

九鬼の内部事情はよくわからないが、少なくとも彼女はこの先の闘いをするつもりはないということで棄権が認可されて棄権する。

 

魔操稟と榊原小雪の場合。

この試合開始は最初からおかしかった。

「・・・なるほどね」

稟は榊原をまじまじと見つめ頷く。彼女の何に頷いたのかはわからないがかなり不気味的な雰囲気を匂わせる。

「君・・・中に何を飼っているの?」

一方の榊原はそれとは裏腹に、稟に対して謎の質問する。

それを聞いた稟は微笑む。

「へぇ~・・・やっぱり、噂は本当だったんだ。貴方には何か不思議なものが見えるという噂」

「噂じゃないよ。本当に見えているもん」

「そう・・・」

彼女は右手を榊原に見せた。

「指輪・・・?」

「そう、これは魔法の指輪。しかもこう使うのよ・・・」

指輪が光だして、二人を一瞬で包み込む。

二人はその場から消えるが、数秒後に再びその場から現れて魔操稟が立ち榊原小雪は倒れていた。

 

勝者は魔操稟。

 

しかし、審判の元で闘っていないため反則行為として負けになる。

一方の榊原小雪もすぐに意識を取り戻すが、『もう僕、いいや』と棄権したため第八試合は勝者なしとなる。

このあとすぐに、魔操稟が何をしたのかを問い詰めようと鉄心達は動くが時に既に遅く、彼女はすでに会場を去った後であった。しかも、いつもの間にか屋敷に帰っており、屋敷に電話すると『話すことは何もない』と口を閉ざせてしまっていた。

また、手がかりとなる可能性があった沖田や魔繰の弟も既に前の試合で棄権して、その場を離れており、結局はその日のうちに謎を解明出来ずにこの場を終えるはめになった。




そうした経緯の元で始まる準決勝、黒桜夜叉VS川神百代。
大会の進行自体はこれ以上横槍はこないだろう。
なぜなら、どちらかが勝てば決勝で松永燕と闘ってそれで終わりだ。
すでに松永燕側には武神になった場合の想定たる覚悟や決意もすでに受け取っている。後はこの試合の結果試合で決勝の形がどう変わるかだけの話のみ。
「黒桜・・・待っていたぞ、この時を」
百代の気のオーラが増幅される。いつでも感情を爆発させて飛びかかる準備が出来ているようだ。
「・・・」
一方の黒桜も百代と同じように学生服で登場し百代と対峙する。
しかし、今までの黒桜と違う部分が1つだけあった。それは首から懐中時計をぶら下げていること。
「・・・黒桜。なんだその時計は?」
「これか? これは二代目、武神黒桜夜叉としての闘うための装備品なものだよ」
「・・・っ!」
つまりは今まで武神として一度も本気をだして闘ってこなかったという。だが、ようやくここで百代を強者と認めて闘う構えを見せたということにもなる。
「ふふふふ・・・いいぜ、見せてくれよお前の『武神』の力を!」
百代の気が爆発し、その風圧が黒桜に押し寄せる。
「・・・」
だが、彼の体は微妙だもせずにその場に立っている。風圧の影響を受けるのは髪と着ている服が流れていくのみ。
『始め!!」
試合開始の合図が鳴る。
「行くぞ!!!!」
どんっと猛スピードで百代は黒桜へ近づき。
「川神流・・・無双正拳突き!!」
百代の気が混じった拳が黒桜の顔面へと繰り出される。先ほどこの一撃で板垣を倒した全力の拳。当たれば吹き飛んでいくのは必然。
だが。
「遅い・・・」
ぺしっと黒桜は片手で軽く弾いてしまった。
外された拳は風圧と共に地面にめり込み、そのまま地面が揺れる。
「川神百代。教えてあげるよ、二代目黒桜夜叉の武神として力を・・・」
彼の目が漆黒に染まった。
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