無下限アーカイブ   作:サリム

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第32話 最初で最後の

「けほっ、けほっ・・・うわぁ、ここも砂だらけじゃ〜ん・・・」

 

廊下を少し歩くと廊下に砂が増えてきた、対策委員会の部屋の周りは綺麗だったけど・・・ここら辺は掃除されてない

 

「ま、仕方ないんだけどね、掃除しようにも、そもそも人数に対して建物が大きすぎて・・・」

 

「砂嵐が減ってくれればいいんだけど・・・」

 

自然災害・・・それは俺にはどうにも出来ないかな、でも砂嵐を起こす原因には少し心当たりがある・・・あいつを倒せば、少しは収まるかな

 

「うへ〜、せっかくの高校生活が全部砂色だなんてちょっとやるせないと思わない、ねえサトル?」

 

「そうだな・・・砂嵐、・・・頑張るよ」

 

「あれ?そういう意味じゃないんだけど・・・」

 

"ホシノは、この学校が好きなんだね"

 

「今の話の流れで、本当にそう思う?うへ、やっぱ先生は変な人だね」

 

「・・・砂漠化が進む前、アビドスはかなり大きくて力のある学校だったって言われてるけど・・・そんな記憶も実感も、おじさんには全くないんだよね〜」

 

「最初から全部めちゃくちゃで、ちゃんとしたものなんて何一つない学校だった・・・よね?」

 

ホシノが俺を見る

 

"サトルは情報部だったからアビドスのことも知ってたんだ?"

 

「いや・・・」

 

「サトルはね〜、ユメ先輩のことストーカーしてたんだよ〜」

 

"サトル・・・?"

 

「いや違う!ホシノ、ちゃんと説明してくれ!」

 

「・・・ユメ先輩を助けるためにずっと見ててくれたって言ってたけど、なんでユメ先輩が危険な目に遭うのを知ってるのか聞いても教えてくれなかったよね〜?」

 

「それは・・・というか、今はホシノの話だろ?」

 

「ダメかー」

 

ホシノは動きを止め、振り返って話を始めた

 

「そうだね・・・正直に話すよ」

 

「私は2年前から、変なやつらから提案を受けてた」

 

"提案?"

 

「カイザーコーポレーション・・・」

 

「提案というかスカウトというか・・・アビドスに入学した直後からずっと、何回もね」

 

「そういえばついこの間もあったな〜」

 

「アビドスを退学してカイザーに所属する・・・その条件を呑むならアビドスが背負っている借金の半分を負担するって条件」

 

「・・・」

 

「それは誰から見たって破格の条件だった、でも、当時は私がいなくなったらアビドス高校が崩壊するって思ったからこそ、ずっと断ってたけど・・・」

 

「あいつら、PMCで使える人材を集めてるみたい」

 

"・・・その人は、一体何者?"

 

「私も、あいつの正体は知らない・・・ただ、私は黒服って呼んでる」

 

チッ

 

黒服という名前を聞いた瞬間、ムカついて舌打ちをしてしまった・・・そうだ、あいつはホシノを・・・

 

「サトル・・・?もしかして・・・」

 

「いや、別に・・・」

 

次会った時は・・・あの契約を破棄しよう、今思えばあいつに生活を補助されないと生きていけないなんて・・・反吐が出る

 

"サトル、大丈夫・・・?"

 

「大丈夫、ごめん話を遮って」

 

"・・・"

 

「・・・じゃあ続けるけど、あいつは・・・何となくぞっとするやつで、キヴォトス広しといえども、ああいうタイプのやつは見たこと無かったし・・・」

 

「怪しいやつだけど、別に特段問題を起こしたりはしなかった・・・」

 

「何なんだろうね、あのカイザー理事ですら、黒服のことは恐れてるように見えたけど」

 

"じゃあこの退部届は・・・"

 

「うへ・・・まあ、1ミリも悩んでなかったって言ったら嘘だし、ちょっとした気の迷いっていうか」

 

「・・・うん、もう捨てちゃおうか」

 

ホシノはビリビリと紙を破きゴミ箱に丸めて捨てた、でも俺は知ってる・・・明日手紙を残してここを去ってしまうのを

 

「うへ〜、スッキリした」

 

「余計な誤解を招いてごめんね、ただ、こんな話みんなにしたところで、心配させるだけで良いこと何もなさそうだったからさ」

 

「でもまあ、可愛い後輩たちにいつまでも隠し事をしたままっていうのも良くないし・・・明日、みんなにちゃんと話すよ」

 

「聞かされたところで困っちゃうだろうけど、隠し事なんて無いに越したことはないだろうし・・・」

 

「実際のところ、今はあの提案を受ける以外、他の方法は思いついてないんだけどね・・・」

 

"・・・きっと何か、方法があるはず"

 

「そうだよ」

 

「・・・そうだね、奇跡でも起きてくれれば良いんだけど」

 

「ホシノもついにユメみたいなこと言い始めたな」

 

「うへへ、まあね・・・さ〜てと、この話はこれでおしまいだよね・・・次は」

 

"サトルだね"

 

「そういえば先生、俺の用があるって言ってたな」

 

"うん、サトルも一応あの名刺渡してくれるかな"

 

「・・・記念に貰っとくだけなんで大丈夫ですよ、俺はホシノみたいに隠し事はしてないんで」

 

「ちょっと〜!?おじさんは今さっき全部言って捨てたじゃん、サトルも捨てないと不公平だよ〜?」

 

"そうだよ、私としては見逃せないかな"

 

「いいじゃん、カイザー理事の特別な名刺なんて売ったらいくらになるか分からないぞ?」

 

「サトル、売る気無いよね・・・?」

 

"・・・借金は私が何とかしてみせるから、サトルたちは何も気にしなくていいよ、だから・・・渡して貰えないかな?"

 

「わかったよ、これでいい?じゃあ俺は帰るから」

 

ゴミ箱に投げて学校から出ようと玄関の方へ走ろうとする

 

ガシッ

 

・・・ホシノに腕を掴まれた

 

「これさ〜、ただの紙切れだよね・・・もしかして本当にカイザーに行くつもり?」

 

さっき捨てたはずの紙切れをホシノが持っている俺がゴミ箱に投げた時空中で掴んだのか?

 

"私の事、信じて欲しい"

 

「わかりましたよ・・・」

 

今度こそ本物を渡した・・・これでもう追いかけてこないだろう

 

「確認したよな、じゃあまた明日」

 

"・・・待ってるからね二人とも"

 

「「・・・」」

 

俺は足早に玄関に向かっているとホシノも、着いてくる・・・まあ当たり前か、靴箱も同じ方向だし

 

「ど〜やら私たち同じこと考えてたみたいだね〜」

 

「そうだな・・・」

 

「私が黒服の名前を出した時・・・サトルは反応したけど会ったことあるんだよね?」

 

「・・・歩きながら話そうか」

 

「うへへ、私と同じこと言ってる・・・」

 

俺たちは外に出て道路を歩き出した

 

「・・・黒服と会ったのは、俺も2年前かな・・・初めて会った時俺は面識がなかったんだけど向こうは俺に会うのが初めてじゃなかったみたいで」

 

「・・・どういうこと?」

 

「俺をここに呼んだのはあいつらなんだよ、呼ばれた時は俺は記憶喪失みたいな状態だったらしい」

 

「記憶が戻って、あいつに再会した日、あの日からずっと、今もあいつと契約を続けてる」

 

「そうなんだ・・・契約ってどんな内容なのかな?」

 

「俺が呪力をあいつらに渡す代わりに俺の居場所を用意するって条件、あの時の俺に戸籍とか無かったから仕方なくその条件を呑んだ・・・」

 

「黒服のやつ・・・」

 

「まあ、あいつが居なかったら今頃俺はここに居ないだろうし少しくらいは感謝してた・・・ホシノに手を出すまでは」

 

「私に?それであんなにムカついてたの?」

 

「いや・・・俺は知ってたんだ、ホシノが勧誘を受けてることを、でもホシノが居なくなる寸前まで俺はその事について深く考えようとしなかった・・・そんな自分に嫌気が差した」

 

「知ってたって・・・?」

 

「・・・俺は、断片的だけど未来が見えるって言ったら信じるか?」

 

「信じるよ、あの不自然な行動もそれで何となく繋がったし」

 

「失望しただろ?未来を知ってるのに、俺は考えを放棄していた」

 

「何言ってるの?・・・ユメ先輩のことも助けてくれたし、今も私たちのためにカイザーの所に行こうとしてたんだよね?それで私は十分だよ」

 

「でも・・・」

 

「私はそんなことで失望なんかしないよ・・・あんなに酷いことした私を許してくれた、優しいサトルのことを信じてるから」

 

「だからさ、借金のことは明日またみんなで考えようよ・・・先生も手伝ってくれるみたいだしさ!」

 

「・・・ありがとう、そうだよな!先生も居るんだ」

 

「うん、じゃあ私はここで・・・また明日会おうね、約束だから破っちゃダメだよ?」

 

「もちろん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嘘つき・・・」

 

 

 

 




同時に2回約束を破りましたね

新しく投稿するならこの小説は残しておきます、タイトルは変えますが・・・上書きだと残念ながら元の話を読み返すことは出来なくなります

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