「・・・ここはこっちか?」
2つの分かれ道、俺は左を選択した・・・少し進む、そして映し出されるゲームオーバーの画面──
「くそっ、右だったか」
俺が悔しがっているその様子をモモイはニヤニヤしながら見てきていた。
もう一度同じ場所まで戻ってきたので、今度は右を選択した、そして・・・またもやゲームオーバーになった。
「なんで!?」
「ふっふっふ、ヒントをあげようか?」
「・・・お願いします」
「道というものは自分で切り開くものなんだよ!」
・・・ああ、なるほど!つまりそういうことか、俺は何も無いはずの真ん中を調べてみた、すると主人公は剣を振り始め、そこに道が出来たのだ!
「天才か!?」
「でしょー!ほらミドリ、私の発想が天才だってさ!」
「・・・そう、かな?」
*
あの後も次々と奇抜なギミックをクリアしていき俺たちは遂にラスボスがいる場所まで辿り着いた。
「ラストバトルだよ、頑張って!」
攻撃を繰り返して、ボスのゲージが残り一つになった時、相手が必殺技を準備しているとのメッセージが表記される
「これは即死技だよ!対処できるアイテムを持ってないとゲームオーバーになって最初からやり直しになるから気をつけて!」
「対処できるアイテム・・・もしかして!」
ちょっと前に拾った「エリクサー」か?、死んだ時に一度だけ復活できるアイテムだけど、勿体なくてずっと使ってなかったのがここで役に立つのか
《魔王の攻撃、あなたは死んだ》
《「エリクサー」が使用可能です、使用しますか?yes/no》
「よしっ、YESだ!」
カーソルを左に寄せ決定ボタンを押す
そして復活した俺は、魔王に最後の攻撃を与えた
《GMAE CLEAR !》
この文字が出た後、エンドロールが始まったので本当にクリアしたんだろう
「よっしゃー!」
「凄いよ!ヒントがあったとは言えこんなに早くクリアするなんて!」
モモイが飛び跳ねながらそう言った、確かに二人が居なかったらもっと時間が掛かっていたはずだ
「それにしてもこのゲーム、予想外の事ばっかりで面白かったな!」
ストーリーは訳が分からなかったが、ギミックが豊富で絵も綺麗だった。
「でしょ!やっぱりこのゲームの面白さが、わかる人にはわかるんだよ!」
「お姉ちゃん、作ってよかったね」
二人が嬉しそうにはしゃいでいる、俺がその様子を見ていると視界の端で先生がもぞもぞと動いているのがわかった。そういえば起こすの忘れてた
"見慣れない天井・・・ここは、どこ?"
目を擦りながら先生が体を起こす
「あっ、目覚めた!?」
「気がついたか?君は運がいいな!」
上機嫌なモモイが先生に向かってゲームっぽいセリフを吐く
「お姉ちゃん、変な喋り方しないで、先生が戸惑ってるでしょ」
「へへっ、嬉しくってつい・・・先生、大丈夫?このまま目を覚まさないのかと思ったよ」
「どうせ忘れてたくせに・・・」
「そ、そんなこと無いよ!」
「えっと、この子が窓の外に投げたプライステーションが偶然下にいた先生の頭に当たったらしいですよ、まだ痛みますか?」
俺がモモイを指指しながら先生に向かって事の顛末を説明した
"もう大丈夫だよ"
「本当にごめんっ!先生」
モモイが先生に向かって手を合わせて謝罪をする
"危ないから次はしないようにね"
「うん!」
先生は相変わらず許すのが早い・・・そういえばシッテムの箱のバリアってああいう場合は防げないんだろうか、充電無かったのかな──
そんなことを考えているとミドリが口を開く
「先生は、あのシャーレから来たんですよね?」
「うわっ、本当に!?じゃあ私たちが送った手紙、読んでくれたんだ!もし読んでくれたとしても本当に来てくれるなんて思ってなかった!」
"手紙の内容だけど・・・"
「あ、それは後で説明するよ!まずは──」
「あらためて・・・ゲーム開発部へようこそ、先生!と──」
そういえばまだ自己紹介をしていなかった・・・
「俺はサトル、今は先生の手伝いをしてるんだ、よろしくな」
「そうなんだ、よろしくサトル!」
「よろしくお願いします、サトルさん」
「私はゲーム開発部、シナリオライターのモモイだよ!」
あー、ストーリーはモモイが作ってたっけ・・・何処からあの発想が出てきたんだろう
「私はミドリ、イラストレーターで、ゲームのビジュアル全般を担当しています」
「あと今はここにいないけど、企画周りを担当している私たちの部長、ユズを含めて・・・」
「私たちが、ミレニアムサイエンススクールのゲーム開発部だよ!」
二人とも双子だから息ぴったりだ、服を交換したらほとんど見分けがつかないかも知れない、よく見たら目の色が違うけど・・・
「よしっ!じゃあ二人も来たことだし、「廃墟」に行くとしよっか!」
お!結構早かったな、ワクワクしてきた!
"廃墟・・・?あの、もうちょっと詳しく説明してくれる?"
先生がそう言う、確かに一応理由を聞いとかないとな・・・
「あ、じゃあ最初から説明するね」
そう言ってモモイが話し始めた
「えっとね、まず私たちゲーム開発部は今までずっと、平和に16ビットのゲームとかを作ってたんだけど」
「ある日・・・急に生徒会から襲撃されたの!」
「一昨日には、生徒会四天王の一人であるユウカから最後通牒を突きつけられて」
四天王?魔王がリオ会長だとすると・・・ユウカ、ノア、あと二人は誰だろう・・・三人目はコユキか?分からないな、まあ今は関係ないか。
"最後通牒?"
「それに関しては、私から直接ご説明しましょうか?」
「こ、この声は!?」
入口の方から声がした、振り向いてみるとそこにはユウカが立っていた
「出たな、生徒会四天王の一人!「冷酷な算術使い」の異名を持つ生徒会の会計、ユウカ!」
この異名を付けた人、センスいいな・・・もしかしてモモイ?
「勝手に変な異名を付けて、人をモンスターか何かみたいに呼ばないでくれる?失礼ね」
持っていた紙でモモイの頭をパシッと叩く
「それよりも・・・」
ユウカが先生の方へ体を向ける
「・・・先生、それにサトルも」
"やあ、ユウカ"
「どうも」
「・・・はあ、こんな形で会うなんて」
「二人とは色々と話したいこともありますが、それはまた後にするとして・・・モモイ」
「本当に諦めが悪いわね、廃部を食い止めるために、わざわざ「シャーレ」まで巻き込むだなんて」
「けど、そんなことをしても無意味よ」
「例え連邦生徒会のシャーレだとしても・・・いえ、あの連邦生徒会長が戻ってきたとしても!」
「部活の運営については概ね、各学校の生徒会に委ねられてるんだから」
「ゲーム開発部の廃部は決まったことなの、これはもう誰にも覆せない」
「そ、そんなことはない!」
さっきまで涙目だったモモイが目を見開いて、ユウカの言葉に反応した
「言ってたでしょ、部員が規定人数に達するか、ミレニアムの部活として見合う成果を出せれば・・・」
「・・・それができれば良し、もしできなかったら廃部、部費はもちろん部室も没収する、私、そこまでちゃんと言ったわよね」
「あなたたちは部員数も足りない上に、部活としての成果を証明できるようなものも無いまま、もう何ヶ月も経ってるんだから・・・」
「廃部になっても、何も異議はないはずだけど?」
ユウカの言葉に負けじとモモイも反論する
「異議あり!すごくあり!私たちだって全力で部活動をしてる!」
「だからあの、なんだっけ・・・上場閣僚?とかいうのがあっても良いはず!」
・・・この頭でどうやってミレニアムに入ったんだモモイは、ここ偏差値結構高かったぞ?
「それを言うなら「情状酌量」でしょう、それより今なんて言ったかしら?全力で部活動してる?」
「笑わせないで!」
「校内に変な建物を建てたと思ったら、まるでカジノみたいに装飾してギャンブル大会を始めるし、レトロゲームを探すとか言いながら古代史研究会を襲撃するし・・・」
「おかしいでしょう!?「全力」かもしれないけど、部活動としては間違っているわよ!それに、これだけ各所に迷惑をかけておいて、よく毎度のように部費なんか請求できるわね!?」
「真っ当な言い訳くらいしてみたらどうなの!」
「と、時には結果よりも、心意気を評価してあげることも必要・・・」
「負け犬の言い訳なんて聞きたくない」
ユウカが先生の前なのに怖い
「聞きたいのか聞きたくないのかどっちなのさ!」
「無意味な言い訳は聞きたくないってことよ、ミレニアムでは結果が全て」
「け、結果だってあるもん!私たちも、ゲーム開発してるんだから!」
「そ、そうですよ!「テイルズ・サガ・クロニクル」はちゃんと、あのコンテストで受賞、も・・・」
"テイルズ・サガ・クロニクル?"
「・・・そうね、確かに受賞、してたわ」
「あのゲームやっぱり受賞したんだ?結構面白かったもんな」
「・・・面白かった?あなたがプレイしたのは多分、
別のゲームよ」
「え?」
「ちゃんと私たちの作ったゲームをやらせたよ!サトルは面白いって言ってくれたもん!」
「そう・・・可哀想に、ゲームのやりすぎで正気を失ってしまったのね」
そこまで言う?
「・・・分かった、全部、結果で示す」
少し怒りがこもった声でモモイがそう言った
「へえ・・・?」
「そのための準備だって、もう出来てるんだから」
「え?」
「そうなの!?」
「なんでミドリが驚くのさ!?」
「とにかく、私たちには切り札がある、その切り札を使って今回の「ミレニアムプライス」に私たちのゲーム──」
「「TSC2」・・・「テイルズ・サガ・クロニクル 2」を出すんだから!」
"ミレニアムプライス・・・って何?
「ミレニアム中の部活が各々の成果物を競い合う、ミレニアムでも最大級のコンテスト!ここで受賞さえすれば、いくらなんでも文句は言えないでしょ!」
「・・・まあ、そうね」
「受賞できたなら、の話だけど」
「けどねモモイ、今あなたが言っているのは運動部がインターハイに出場するとか、そういうレベルじゃなくて・・・」
「高校野球児がいきなりメジャーリーグに出る、みたいなら雲を掴むような話よ」
「・・・まあ良いわ、なんでだろ、私もちょっと楽しみになってきたし」
「分かった、じゃあそこまでは待ちましょう」
「今日からミレニアムプライスまで二週間・・・この短い時間でどんな結果が出せるのか、楽しみにしてるわ」
そう言って、ユウカはゲーム開発部の部室を出ていった
「お姉ちゃん・・・」
「どっちも確率は低いだろうけど・・・今から私たちがゲームを作るより、部員を募集する方がまだ良いんじゃないの?」
「それならこの一ヶ月、散々やってみたでしょ・・・結局、誰も入ってくれなかったし」
「「VRですら古いのに、何がレトロゲームだよ」ってバカにされるのは、もううんざり」
「ユウカの卑怯者め!私たちみたいなオタクは友達が少ないってことを利用するなんて!許せない!」
「いや・・・それはユウカじゃなくて、100%私たちの自業自得だと思うけど」
「とにかく、これ以上部員の募集をしても明るい未来は見えない、それにまだ他に希望はある」
「そういえばさっき切り札があるって言ってたよな?」
「それはね、先生のことだよ」
"・・・私?"
「話を戻すと、私たちの目的は廃墟にあるの」
「廃墟っていうのは・・・元々連邦生徒会が出入りを制限してた、ミレニアム近郊の謎の領域」
「出入りを制限してたのは「危険だから」って言われてたけど・・・実際のところ、具体的にどう危険なのか誰も知らない」
「あー、あそこは変なロボットが多いからかな」
「えー!?」
"サトルは知ってるんだ?"
「訓練場所に良く使ってました、もちろん許可は貰ってましたよ?」
最初の一回以外は・・・
「じゃあG.Bibleって知ってる?」
「ずっと外にいたから建物の中とか入ったことないんだ、だから知らないな」
「そっかー、楽に見つかると思ったのに・・・」
"G.Bible・・・?"
「それについては向こうに着いてから話すよ!とりあえず出発しよう!」
先生は強引に引っ張られ、俺たちは廃墟へと向かった──
新しく投稿するならこの小説は残しておきます、タイトルは変えますが・・・上書きだと残念ながら元の話を読み返すことは出来なくなります
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