「???」
俺たちは廃墟からミレニアムのゲーム開発部の部室へと戻ってきていた、先生は用事ができたらしく途中で帰ってしまった。
「お姉ちゃん!この子を部室まで連れてきてどうするつもりなの!?」
「・・・今私たちに足りないのはなんだと思う?」
「それは──ってもしかして!」
「ちょっと二人とも、その話は後にしてくれ!アリスが色んなもの口に入れて困ってるんだ」
「えっ?」
ミドリがこちらを見ると慌てた様子で近寄ってきた
「ああっ、私のweeリモコンを口に入れないで!ペッてして!ペって!」
何でもかんでも口に入れようとしている、まるで赤ちゃんみたいだな・・・お菓子でもあげれば収まるだろうか
俺はバッグから、持ってきたお菓子をアリスに与えた
「ほら、これなら食っていいぞ」
「・・・」 サクッ
「味覚データを解析中・・・エネルギー補給に適していません」 サクッ サクッ
・・・大丈夫そうだな
「ねえねえ、サトルさっきこの子のことアリスって言ってなかった?」
モモイにそう聞かれる、そういえばまだ名前決まってなかったか・・・
「あー、あれだよこの子が座ってた場所にAL-1Sって書かれてただろ?だからアリス」
「やっぱり?実は私も同じこと考えてたんだ〜!」
「お姉ちゃんと同じセンス・・・」
別に俺が考えたわけじゃないから同じでは無い、それにモモイのネーミングセンスは結構上位に入ると思うけど
「じゃあ名前はアリスで決定だな」
「・・・本機の名称、「アリス」。確認をお願いします──承認しました」
これで下の名前は決まったけど、名字って誰が決めたんだろ・・・確か天童だよな
「よしっ!それじゃ次のステップに行ってみよっか」
「・・・話の流れは大体聞いてたけど、あれだよな?アリスをゲーム開発部に入れるとかそういう話だよな」
「その通り!私たちの目的はG.Bibleを使って良いゲームを作ることだったけど、まずは部活の維持が最優先、そのため二つの条件の内の一つ、部員を規定人数集める!」
「アリスがいればこの条件はクリアしたも同然だよ!」
つまりモモイが言いたいことはアリスをミレニアムの生徒に偽装してゲーム開発部に入れようってことだ
「アリス!私たちの仲間になって!」
「・・・肯定」 サクッ サクッ
「「「・・・」」」
*
「でも今のままじゃ、書類偽装したってすぐバレるんじゃないか?だって──
「食料の在庫を確認・・・検出不能。直ちに補充してください」
「ほら、こんな感じだと誰でもすぐ気づく」
俺がそう言うと二人はうーん・・・と頭を悩ませている
「まあとりあえずそれは二人に任せて、私はアリスの学生証を作ってくるから!よろしく!」
「ちょ、ちょっと待って!」
ミドリの声を振り切ってモモイは部室を出ていった
「はぁ、私たちでやれるだけのことはやってみるしかなさそう・・・」
「そうみたいだな」
「とりあえず、えっと・・・アリス、ちゃん?」
「肯定。本機の名称、アリスです」
「うん、じゃあアリスちゃんって呼ぶね。それにしても話し方かあ・・・よく考えると、どうやって習得するんだろ。普通は動画を見たり、周りの言葉を真似していくうちに自然にって感じだと思うけど」
「言葉を真似する?それなら良い物があるな」
「そんなものあるかな?」
「えっと・・・ゲーム開発部に入部する子っていったらゲームが好きな人だろ?」
「・・・?そうだね」
「ゲーム内の言葉をよく使う子がいたらその子のことはゲームが好きなんだなって思わないか?」
「思うかも・・・」
「つまり、アリスにゲームをやらせればゲームっぽい喋り方を覚えて、ゲーム開発部に居ても不思議じゃなくなるってことだ!」
「なるほど、でもなんのゲームをやらせれば・・・」
「それは、テ──
「正体不明の物を発見、確認を行います」
俺がゲーム名を言いかけた時、さっきから部屋を動き回りながらキョロキョロしていたアリスが何かを手に持ってそういった
「ん?」
「あっ、それは!」
アリスが手に持っていたのはテイルズ・サガ・クロニクルのゲームだった、丁度良かった・・・
「えっと・・・ちょっと恥ずかしいけど、実はそれ私たちが作ったゲームなの。まあ、すごい酷評されちゃったやつなんだけどね」
「俺もやらせてもらったけど普通に面白かった」
ガタッ
「アリスちゃんも良かったらやってみない?会話をしながら進められるから、勉強になるかも」
「ここまでの言動の意図、完璧には把握しかねます しかし・・・」
「・・・肯定、アリスはゲームをします」
その言葉を聞いたミドリは嬉しそうにゲームのセッティングを始めた
「ちなみに俺はもうクリア済みだからな、わからないところがあったら言ってくれ」
「本機、アリスは完璧な演算システムを備えています・・・助言は不要です」
フラグかな
*
「よし、準備完了!」
セッティングを終えたミドリがそう言う、アリスはコントローラーを持たされ──
「アリス、ゲームを開始します・・・」
「タイトルから分かるかもしれないけど、このゲームは童話テイストで、色彩豊かな王道ファンタジーRPGなの」
・・・タイトルからわかるだろうか?
そんなことを考えていると、画面に文字が映し出されていく
《コスモス世紀2354年、人類は劫火の炎に包まれた・・・》
「・・・?」
アリスの困惑した表情を見て、ミドリが説明を始める
「えっと、王道とは言っても、色々な要素を混ぜてたりするんだけどね。トレンドそのままでもダメだけど、王道に拘りすぎても古くなるからってことで」
それは説明になってるのか?と思ったが口には出さないでおいた
「・・・」
「ボタンを押します・・・」
《チュートリアルを開始します》
《まずはBボタンを押して、目の前の武器を装着してみてください》
「Bボタン・・・」
ポチッ
《ドカーーーン!》
「???」
《 GAME OVER 》
「!?!?」
「あはははっ!」
入口の方からモモイの笑い声が聞こえてくる、もう帰ってきたのか
「まあ、初見だと絶対引っ掛かるよな」
「予想できる展開ほどつまらないものはないからね!本当はここで指示通りじゃなくて、Aボタンを押さなきゃいけないの!」
「これがこのゲームの面白いところだよな!」
「???」
「お姉ちゃん・・・?学生証を作りに行くって言ってなかった?」
「行ってきたんだけど、遅い時間だったから誰もいなかったの。また明日行く」
「それはさておき、あらためて見てもこの部分はちょっと酷いと思う」
「面白いって言ってくれる人もいるよ?」
「一人だけでしょ」
俺のことかな、探せばこの部分を面白いって思う人他にも沢山いると思うけど・・・
「・・・も、もう一度始めます」
あ、さっきまで混乱していたアリスがいつの間にか復活している
「再開・・・テキストでは説明不可能な感情が発生しています」
「あっ、私それ分かるかも!きっと「興味」とか「期待」とかわそういう感情だと思う!」
「アリスの顔を見て本当にそう思ったのか?これは多分「困惑」だぞ」
「「怒り」もありそうだけど・・・」
俺たちが喋っている間、アリスはゲームを続けようと画面を進めている
*
「こ、ろ、し、て・・・」
アリスが死にそうな顔でそういう
「変な言葉覚えちゃったな」
「大丈夫でしょ!それよりすごいよアリス!開発者二人とサトルが一緒とはいえ、3時間でトゥルーエンドなんて!」
「そ、それもそうだけど」
「もしかして、本当にゲームをやればやるほど・・・」
「アリスちゃんの喋り方のパターンが、どんどん多彩になってきてる・・・!?」
「勇者よ、汝が同意を求めるならば、私はそれを肯定しよう」
「・・・最初よりはマシになったな」
まだちょっと拙いところもあるが・・・やっとアリスっぽくなってきた
「確かに、そう・・・かも?」
「アリスちゃん、ところでその・・・」
「こういうのを面と向かって聞くのはちょっと緊張するんだけど・・・」
「わ、私たちのゲーム、どうだった?面白かった?」
「・・・説明不可」
「え、ええっ!?なんで!?」
「アリスにはまだ早かったか?」
「・・・類似表現を検索」
「ロード中・・・」
「・・・面白さ、それは、明確に存在・・・」
「おおっ!」
「プレイを進めれば進めるほど・・・」
「まるで、別の世界を旅しているような・・・」
「夢を見ているような、そんな気分・・・もう一度」
「もう一度・・・」
「・・・」 ポロッ
アリスが涙を流す
「ええっ!?」
「あ、アリスちゃん!?どうして泣いてるの!?」
「・・・」
もう一度って言葉に反応した?
「決まってるじゃん!それぐらい、私たちのゲームが感動的だったってことでしょ!」
「それは無い」
「なんでさっ!?」
このゲームのストーリーに感動的なところなんて一つも無かった
「このゲーム、ギャグ寄りのRPGでしょ?お姉ちゃん」
「そういえばそっか、でも──」
「ありがとうアリス!その辺の評論家の言葉なんかより、その涙の方が100倍嬉しいよ!あー、早くユズにも教えてあげたい!」
「・・・ちゃ、ちゃんと、全部見てた」
ロッカーの方から声が聞こえてきた気がする・・・
ギギーッ
「え?ロッカーが勝手に開いて・・・」
「きゃあああっ!お、お、お化け!?」
「落ち着いて、ミドリ!プライステーションを投げちゃダメ!そろそろ壊れる!」
ここから外に投げてまだ壊れてないのが驚きだよ
「ユズ!」
「ユズちゃん、あれだけ探しても見つからなかったのに!いつからロッカーの中にいたの?」
「み、みんなが、廃墟から帰ってきた時から・・・」
「だいぶ前じゃん!?その時からずっとロッカーの中にいたの?あ、もしかしてアリスちゃんが怖かったから?」
「・・・」チラッ
ユズが俺の方を見る、とりあえず怖がらせないように笑顔で手を振った
「アリスとサトルは初めてだよね、この人が私たちゲーム開発部の部長、ユズだよ」
モモイがそう言うと、ユズはアリスの方に近づいていく
「えっと、あの、その・・・」
「あ、あ、あ・・・」
「あ・・・?」
「・・・ありがとう」
「ゲーム、面白いって言ってくれて・・・もう一度やりたいって言ってくれて・・・」
「泣いてくれて・・・本当に、ありがとう」
「面白いとか、もう一度とか・・・そういう言葉が、ずっと聞きたかったの」
「あ、あなたも・・・」
今度は俺の方に来てくれた
「面白いって・・・言ってくれて・・・ありがとう」
「どういたしまして?」
「・・・」 コクっ
ユズは頷いて離れた
「とにかく、あらためまして」
「ゲーム開発部の部長、ユズです」
「この部に来てくれてありがとう、アリスちゃん、サトルくん・・・」
「これからよろしくね」
「よろ、しく・・・?」
「よろしく、ユズ」
「・・・理解、ユズが仲間になりました、パンパカパーン!」
「合ってますか?」
「あ、うん。だいたいそんな感じ、かな」
「ふふっ、その様子だと、本当にわたしたちのゲームを楽しんでくれたんだね・・・仲間が増えるのは、RPGの醍醐味の一つだもんね」
「あ、もしRPGを面白いなって思ってくれたなら・・・」
「私がおすすめのゲームを教えてあげる」
「ちょっと待ったぁ!アリスにおすすめするのは私が先!」
「良質なゲームをやればやるほど話し方も自然になって、私たちの計画の成功率も上がるんだし!」
「俺にもおすすめのゲーム教えて欲しい」
「もちろん!まずは「英雄神話」と「ファイナルファンタジア」と「アイズエターナル」と──
*
・・・結局次の日の朝までゲームをやることになった
新しく投稿するならこの小説は残しておきます、タイトルは変えますが・・・上書きだと残念ながら元の話を読み返すことは出来なくなります
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