チュンチュン
窓の外から聞こえてくる小鳥の鳴き声で俺は目を覚ました
「・・・?」
いつもの部屋じゃない、ここは──たしか、昨日は遅くまでみんなとゲームしてて・・・そのまま寝てしまったのかな
「気がついたか。無事に目を覚ましたようで何よりだ、君は運がいいな」
昨日のことを考えていると、後ろから声を掛けられた
「おはよう、アリス──」
振り返って視線を少し下に向ける、アリスの手にはコントローラーが握られていた、そしてゲームモニターもついたままだ
「もしかして寝てないのか?」
「肯定、アリスの冒険は始まったばかりです!」
大丈夫なんだろうか、それにしても一日でだいぶ普通?に話せるようになってきたな
立ち上がって周りを見てみるとミドリとユズの二人が寝ていた
「そういえばモモイはどこに行ったんだ?」
「モモイはヴェリタスに向かいました!」
ヴェリタス・・・ああ、アリスの生徒証を作ってもらいに行ったのか
「そっか、じゃあ俺はシャーレに戻るから、みんなによろしく言っといてくれ」
「はい、クエストを受注します!」
アリスに見送られながら俺はシャーレに向かっていった
*
「ふぅ・・・さっぱりした」
シャーレに帰ってきて、とりあえずシャワーを浴びた・・・といってもゲーム開発部の部室はクーラーがずっと付いていたので汗はほとんどかいていないんだけど
"サトル・・・昨日帰ってきてなかったみたいだけどもしかして徹夜した?"
「昨日はゲームしてるうちに寝ちゃったみたいで帰れませんでした・・・アリスは徹夜したみたいですけど──あ、アリスは昨日、廃墟にいた女の子の名前です」
俺がそう言うと先生は少し間を置いて一言だけこう言った
"・・・そっか"
「どうしました?」
"いや、なんでもないよ"
うーん、これは何かあるやつだ・・・もしかしてだけどアリスのことかな?今の先生はアリスのことをどう思っているのか気になる・・・
「先生はアリスのことどう思います?」
素直に聞いてみることにした
"そうだね・・・初めて見た時は不思議な女の子って印象だったかな"
先生はそこで言葉を終わらせた、「今はどう思っているのか」は気になったが俺は「そうですか」と応え、あえて聞かないことにした
先生はまだアリスを、自分の生徒、とはっきり言えるような考えじゃないんだと思う・・・でもパヴァーヌ二章では先生もアリスのことを生徒として見てたと思うし、時間の問題かな
"じゃあサトル、今日もあの子達に呼ばれると思うから、先に仕事を終わらせておこうか"
「了解です」
*
仕事を終えた俺と先生は案の定モモイに呼ばれミレニアムに向かったのだが・・・その集合場所に指定されたのが「廃墟」だった
「あ、先生!サトル!こっちこっち」
廃墟の入口でモモイが手を振っている、周りにはゲーム開発部の面々もいる
「また廃墟に行くのか?もうアリスが入ったから、廃部にはならないんじゃなかったっけ?」
「それがね!いきなりユウカが来て「部活の規定人数を満たすだけじゃなく、同時に部としての成果を証明しないといけない」とか言ってきて!」
「あー、だからG.Bibleを探しにここに来たのか」
「今日はアリスもいるし前よりスムーズにいけると思うんだ!」
モモイがアリスの方を見ながらそういった
「はい!この装備さえあればアリスたちに敵はいません!」
光の剣・・・巨大なレールガンを掲げながらそう言うキヴォトスの生徒でもこれを持ち上げることができるのはほんのひと握りだろうな
"頼もしいね"
「はい、この武器はエンジニア部の人たちがアリスちゃんのために譲ってくれたんです」
「へぇー、太っ腹なんだな・・・ところでユズはさっきからなんでミドリの後ろに隠れてるんだ?」
「えっと・・・」
ユズが一瞬だけ視線を先生の方に向ける・・・ああ、そういえば先生とは初対面だったな
"初めましてかな、私のことは気軽に先生って呼んでくれると嬉しいな・・・よろしくね、ユズ"
先生はユズの傍に近寄り少し屈んでそういった
「は、はい・・・よろしく・・・お願いします・・・先生」
自己紹介をして先生が悪い人では無いと気づいたのかユズはミドリの後ろから出てきたので大丈夫そうだ
「よし・・・じゃあ早速、廃墟に入ろうか!」
*
ルートは昨日と同じらしく先頭はモモイとアリスその後ろに他の三人が居て俺は一番後ろだ
「向かってるのは昨日の工場みたいな場所か?」
「うん、あそこにはまだ何かあると思うんだよね〜私の勘がそういってる」
確かその勘は正しい、G.Bibleはあそこにあるはずだ・・・それと「Key」も──
トサッ
考え事をしていると急に先生が止まってぶつかってしまった
"大丈夫・・・?"
「はい、どうしたんですか?」
俺がそう聞くと先生は前の方を指さしながら小声で言う
"ロボット達が集まっていて通れないみたい・・・"
なるほど、数が多いから一度に倒すのはみんなには無理そうだ・・・ここは俺の出番──
「私に良い作戦があるよ」
俺がやる、と言おうとしたらモモイが先に作戦があると言った
「お姉ちゃんの作戦なんて嫌な予感しかしない・・・」
「大丈夫だよ、頭の中でのシミュレーションはバッチリだし!」
そうか、モモイの頭の中で、か・・・
「それどういう意味?」
おっと、心の声が漏れてたみたいだ
「お、落ち着いて・・・それより作戦って?」
「こほんっ、まずサトルがロボットたちを引きつけるでしょ?それで集まったところをアリスの範囲攻撃で一斉に倒すの!」
結構ちゃんとしてる作戦かもしれない、でもロボットに見つかったら他のところからも集まってくると思うんだけど・・・
「え、でもサトルくんヘイローが・・・」
「はい!サトルは防御力が1しかありません!」
1では無いんだけど・・・
「確かに防御力はみんなより低いけど、どうせロボットの攻撃なんか俺には届かないから大丈夫だよ」
"うん、サトルは不思議な力を使えるんだよ"
「みんなが言うなら・・・」
「サトルのジョブは魔法使いなのですね!」
魔法・・・魔法か、確かに──
「そういうこと、作戦を実行したいと思います・・・先生はタイミングをよろしく!じゃあサトル行ってきて!」
"わかった"
「了解・・・」
俺は塀を乗り越えロボット達がいる場所に走った
「⬛︎⬛︎⬛︎!⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎!
「⬛︎⬛︎!⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎!」
ダダダダダダっ
四方からロボット達が撃ってくる、とりあえず一塊になるようにロボットを誘導しながら走る
「よしっ」
とりあえずこれくらいでいいだろう、次はアリスがいる場所に向かおう
「こっちこっち!」
モモイが手を振っている、その横には光の剣を構えたアリスが立っていた
「魔力充填100%、いきます!」
『光よっ!』
ドカーーーーンッ
俺はアリスが撃つタイミングに合わせ上空に避難した、下を見てみるとボロボロになったロボット達の山が出来ているのが見える
スタッ
「綺麗に作戦が終了したな」
「よしっ、ロボットたちがまた集まらないうちに早くあの場所に行こう」
"そうだね"
*
「ふうっ、ここに来ればもう安心だよ」
工場らしき場所に着いた、ここにはロボットが入ってこないから大丈夫だ
「ここは・・・?」
「あ・・・」
アリスが何かを思い出したような顔で呟く
「アリス、どうしたの?」
「・・・」
「分かりません・・・ですが、どこか見慣れた風景です。こちらの方に行かないといけません」
アリスは迷路のような構造の建物をすらすらと道がわかっているかのように進んで行った
「アリスの記憶にはありませんが・・・まるで、「セーブデータ」を持っているみたいです」
「この身体が、反応しています」
「例えるなら、そう、チュートリアルが無くても進められるような・・・或いは何度もプレイしたゲームを遊んでいるような・・・」
「どういうこと?確かに元々アリスがいたところと似たような場所だけど・・・」
「あっ、あそこにコンピューターが一台・・・あれ?」
「あのコンピューター電源が点いてる?」
ピピッ
《Divi:Sion Systemへ、ようこそお越しくださいました。お探しの項目を入力してください》
「おっ、まさかの親切設計、G.Bibleについて検索してみよっか?」
「いや、ちょっと怪しすぎない?それより「ようこそお越しくださいました」ってことは「ディヴィジョンシステム」っていうのが、この工場の名前?」
ミドリが話を終えるとアリスごコンピューターに近づきキーボードを打ち始める
「G.Bibleと入力してみます・・・」
コンピューターの画面に何かが映し出される
「おっ何か出た!」
《%#^%%>@&^>。#>,#%[#€?*》
「こ、壊れた?アリス一体何を入力したの!?」
「い、いえ、まだエンターは押していないはずですが・・・」
《あなたはAL-1Sですか?》
いきなり表示される文字にみんなが驚く、アリスは疑問の表情を浮かべている
「いえ、アリスはアリスで・・・」
「ま、待って!」
ミドリが止める
「・・・何かおかしい。アリスちゃん、今はとりあえず入力しない方が──」
《音声を認識、資格が確認できました。お帰りなさいませ、AL-1S》
「音声認識付きかー」
「どうするのこれ!?」
「えっと・・・AL-1Sっていうのは、アリスちゃんのことなの?」
「あ、ごめん。そういえばユズちゃんには言ってなかったかも」
「アリスの、本当の名前・・・本当の、私」
「あなたはAL-1Sについて何か知っているのですか?」
アリスがコンピューターに向かって問いかける
《・・・・・・》
《・・・・・・・・・》
「反応が遅い?」
「なんか画面もぼんやりしてきたけど、処理に詰まってるのかな」
《そうで・・・%*^$€@!!!!》
「え、え?何これ、どういう意味!?」
《緊急事態発生》
《電力限界に達しました、電源が落ちると同時に消失します。残り時間51秒》
「ええっ?だ、ダメ!せめてG.Bibleのことを教えてからにして!」
《あなたが求めているのはG.Bibleですか?yes/no》
「yes!」
《G.Bible・・・認識完了、コード・・・遊戯・・・人間、理解、リファインス、ライブラリ登録ナンバー193、廃棄対象データ1号・・・残り35秒》
「廃棄!?どうして!それはゲーム開発者達の、いやこの世界の宝物なのに!」
《G.Bibleが欲しいのであれば、提案します。データを転送するための保存媒体を接続してください》
「えっ・・・?G.Bibleの在り処を知ってるの?」
《あなたたちも知っています・・・一人を除いて》
「ど、どういうこと!?」
《正確には、私の中にG.Bilbeがあります。しかし現在私は消失寸前、新しい保存媒体への移行を希望します》
「そ、そうは言っても急に保存媒体なんて──
「USBメモリ持ってるけどこれ使えるか?」
《可能です》
よし、じゃあ接続して──
「なんでちょうどよくそんなもの持ってるの!?」
「何かに使うかな〜って思って」
《データの転送が完了しました》
「お?やったー、じゃあ早く帰ってユズのパソコンで中身を見よう!」
「私の・・・?」
俺たちはゲーム開発部の部室へと帰った
新しく投稿するならこの小説は残しておきます、タイトルは変えますが・・・上書きだと残念ながら元の話を読み返すことは出来なくなります
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