One four all ~1人の中に4人おる~ 作:木奉 間人
すっごい時間が経ちました。
ありそうでなかった個性をどこぞの仮面ライダーをイメージして書いてみました。
温かい目で見守ってください。
個性、それは現代人類の8割が所持している人智を超えた超常現象。
あらゆる人間がそれぞれ一つずつ自分の「個性」を持ち、あるものはそれを活かして人の命を救う
だが、あらゆる物には例外が存在する。それが例え、未だ解き明かされていない世のことわりだとしても…。
埼玉のとある家庭。平凡な父と母の間に生まれた
「ねぇおとおさんおかあさん!ぼくどんなこせいになるかな!」
「そうねぇ、お父さんみたいな物を浮かべる個性かもね」
「いやいや、母さんみたいに人を癒す個性かもしれないぞ!」
どの家庭にもあるごく普通だったが、次の日、この夫婦は我が子のとんでもない個性に振り回されることになる。
「おはようおふくろ!見ろよ!オレこんなはやくはしれるようになったぜ!」
「え、ええ…?」
次の日の朝母親が目を覚ますと、息子は盛大にキャラが変わっていた。瞳の色は元々黒だったのに真っ赤になっており、庭をとんでもない速さで走り回り身体から熱を出し煙を吹いている。何よりかつての大人しめな性格から漫画にありがちな熱血漢になっていたのだ。
「え、えっとちょっと待って…熱っ!?」
「え、ごめんおふくろ!だいじょうぶ!?」
「う、うん。大丈夫よ。そっか、キリちゃんも個性が出たのね」
あまりにも自分たちとかけ離れた個性に少し戸惑ったが、自分を心配する息子の泣きそうな顔を見てこの子は間違いなくうちの子だと確信した。
とはいえ近所の病院は改装工事で3日後まで再開しないので、ひとまずその日は性格的にも物理的にも熱くなった息子を宥め、1日を終えた。
「おはようございますははうえ」
「え、え?お、おはよう?」
「にわのきのえだがのびていたので、じぶんがきっておきました」
「あ、ありがとう…?」
また次の日、今度はどこか騎士を彷彿とさせる硬い言葉遣いになっていた。おまけに昨日は身体中熱くなって走り回るような個性だったのに、今は両手首から青いビーム状の剣を伸ばしている。しかも瞳は同じ青色だ。
昨日とは余りに違う様に混乱したが、我が子には変わり無かったので、ひとまずストイックな性格の息子を1日相手し、その日は眠りについた。
「おはようかあさん、よくねむれた?」
「は、はい…何してるの?」
「みそしるつくってみたんだ。のんでみて」
「うん…うわ美味しっ」
今度は爽やか癒し系男子になっている。和やかな笑顔で朝食を作っているが、腕からは植物の蔦が何本も伸びており、同時に皿を洗い、鍋をかき回し、ネギを切っている。
また全く違う個性と性格、そして緑の瞳。何がどうなってるか分からないが、家事が大助かりだったのでとりあえず保留にした。明日になれば病院も再開する。そう思い、今日も眠りについた。
「ねぇママみてみて!すっごくキレイでしょ!」
「キュウ…」
「母さん!?」
ついには女の子のような明るい性格まで現れた4日目。しかも腕がダイヤモンドのようにキラキラ輝いている。おまけに目の色も黄色くきらきらだ。
これ以上はさすがにキャパオーバーで、母親は床に倒れ込んだ。
父親は母と驚く息子を車に乗せ、超特急で病院に向かい検査を頼んだ。すると恐竜のような顔をした医者はとんでもないことを告げた。
「おそらく、息子さんは多重人格が発現したのでしょう。そしてその人格一つ一つに別の個性が宿っている…そう考える他ありません」
「そ、そんなことがあり得るんですか!?」
「なにぶん個性に関してはっきりそうだとは言い切れませんが…キミ、別の子に代われるかい?」
「いいわよ!…どうしたの、おとうさん?」
「き、切札!?お前、切札だよな!?」
「う、うん…ごめんね、おとうさん」
話を聞くと、切札は誕生日の夜、自分の中に自分以外の4人の人格が芽生えたことに気づいていたらしい。そして彼らと精神の中で話し合い、1日おきに身体を貸す約束をしたのだ。だが発現したばかりで切札自身には制御が難しく、なかなか元に戻ることができなかったという。
ひとまずほっとした両親は4人の人格と個性について医者と詳しく検査を行った。
1人目の個性は「血流加速」。血の流れを加速させ血圧を上げることで擬似的にドーピングを起こし、パワーとスピードを底上げする個性である。長く続ければ身体から熱が発生し攻撃力も上がるが、スタミナが切れやすく長時間は続かない。
2人目は「蒼剣」。両手首からビーム状のブレードを伸ばす個性。力めば伸ばせるし縮めることもできる。用意した10枚の瓦を唐竹割りにしたときは全員目が飛び出かけた。
3人目は「植物化」。身体を植物に変化させ、腕から蔓を伸ばしたり葉っぱを出したりできる。また植物特有の感覚を持つ影響で某海賊漫画の見聞◯のような芸当もできる。
最後の4人目は「ダイヤモンド」。体をダイヤモンドに変える個性。最強の矛にも盾にもなるシンプルかつ強力。炎や衝撃には少し弱いが、壊れた側から再生していく。
どれか一つの個性だけでもプロに通用する程強力。しかも新たな人格も4つ。両親は焦った。こりゃ大変だ、と。
とりあえず人格一人一人に名前をつけ、きちんと話をすることにした。
赤は「
心だけちょっと感じが可愛いと少し不評だった。
その後、切札は他の人格たちともう一度真剣に話し合った。最初こそ難航するかと思ったがみんな意外と素直で、話はスムーズに進んだ。そして話し合いの結果、基本人格の切札が普段は表に出て、自分が出たい時は一言許可をもらうというルールを設けた。
両親も最初こそ戸惑っていたが子供が4人も増えたと喜んだ。
ある日、馬場一家は実家のある静岡に来ていた。両親は少し忘れ物をして、切札を1人公園に残して取りに行った。最初は2人とも1人で大丈夫かと思ったが、「みんながいるから大丈夫だよ、しりとりしてるね」といって待つことになった。両親も他の人格たちがいれば寂しくはないかと思い、すぐに撮りに走り出した。
(しりとり!)
『リンゴォ!』
『ゴリラ』
『ラッパ』
『う〜ん、パンダ!』
(ダ、ダ…ん?)
『どうした、切札?』
公園のベンチで座わりながら頭の中で5人でしりとりをしていると、少し遠くの方で自分と同い年くらいの子供たちが見えた。
どうやら緑の髪の子達が爆発したような髪の子達にいじめれているらしい。それも普段は使用を禁止されている個性を使おうとしている。
まともに当たったら怪我では済まない。
「や、やめろよ…これ以上は僕が許さにゃへ…」
「けっ、無個性のくせにヒーロー気取りかデク!」
「う、うわぁぁ!」
緑の髪の子は、爆発で顔に怪我を負わされると思い、思わず目を閉じた。だがその考えとは裏腹に妙な声が聞こえた。目を開けると、いじめっ子が赤い目の男の子に蹴り飛ばされていたのだ。
今まで誰も逆らえなかった彼が一撃をもらうなど初めての経験で、思わず目が飛び出そうになったとのちに彼は語る。
「ってぇ…なんだテメェ!」
「おいおい、こんなところで個性を使ったら、怒られるぞ?」
「ウルセェ、お前には関係ねぇだろ!」
「あるよ、俺はヒーローを目指してるからな!」
そのまま2人は激しい喧嘩に突入した。他のいじめっ子もいじめられっ子も思わず見入ってしまうほど激しいものだった。
どちらもまだ実践的な訓練を積んでいるわけではない。にもかかわらず2人の喧嘩の速度はどんどん加速していく。
「しねぇえええ!!!!」
「ウルせえぇえええ!!!!」
2人のクロスカウンターが双方の両頬に激突した瞬間、辺りに煙が広がった。徐々に煙が晴れると、なんと爆発頭の少年は殴られたまま気絶している。
対する切札は目が黄色になり、頬がダイヤモンドのようになっている。
実は拳が互いに当たる前に心と大弥が入れ替わり、頬を硬くしてダメージを抑えつつ、パンチの力を上げたのである。
熱で少し頬がかけたが、すぐに再生したが、相手はそうはいかず、そのまま気絶した。
「うわぁかっちゃんが気絶した!」
「お、覚えとけよぉ!」
そのまま他のいじめっ子達はかっちゃんと呼ばれた爆発頭の少年を抱えて逃げていった。1人翼が生えた個性の子がいたため、とんでもない速度でいなくなった。ちなみに緑髪の少年が助けようとしていた子はバトルにビビって逃げていた。
「あ〜疲れたわ、あいつったらアタシ達の話も聞かないでいきなり仕掛けちゃうんだから…ごめんね、大丈夫だった?」
「あ、うん…君こそ、すごいね。かっちゃん相手に勝てちゃうなんて」
「かっちゃん?ああさっきの子か、僕の個性の相性が良くてたまたまなんとか勝てたよ」
「そ、そっか…」
そんな感じでしばらく見つめ合っていると2人が帰ってきた。
「キリちゃんお待たせ!って、怪我してるじゃない!大丈夫!?」
「ごめん、ちょっと一緒に遊んでたら盛り上がっちゃった」
「あらそうなの!?ありがとうね、うちの子と遊んでくれて!じゃ行くよ、明日早いんだから!」
「そっか、じゃまたねぇ!」
「う、うん…」
緑髪の少年はあっという間にいなくなった彼をみて、元々持っていたヒーローへの憧れをますます強くした。
これが知らず知らずに
そして、新たな物語の始まりである。
次回、雄英高校入試編!
ヒロアカ二次創作第一話は大体これですな。