秦こころは夕飯の準備が整ったことを思い出し、ふと立ち上がった。「じゃあ、私はこれで帰るね。夕飯だから。」無表情のまま、彼女は三人に別れを告げる。「バイバイ。」
さとり、こいし、勇儀の三人は驚きつ、こころの後ろ姿を見送った。さとりは「気をつけて帰ってね」と声をかけたが、秦こころの反応を待つ前に、彼女は去ってしまった。
その後、三人は改めて水橋パルスィの家の玄関に立つ。
さとりが玄関をノックする。「パルスィさん、いますか?」
ドアが開くと、パルスィが彼女たちの前に現れた。険しい表情をした彼女は、明らかに不機嫌そうだ。「地霊殿の主が何か用?」
冷静に状況を説明するさとり。「ユウスケさんが最近見当たらないのです。街の妖怪に聞き込みをしたところ、あなたと一緒にいるのをよく見たという話を得ました。念のため言っておきますが、私の能力を忘れないでくださいね。」
パルスィは数秒黙り込む。彼女の目の奥に苛立ちの色が見え、無言でさとりを見つめていた。しかし数秒後、彼女は口を開いた。「ユウスケは望んでここにいます。あなたたちが心配するようなことはないので帰ってください。ユウスケはあなた方と会いたくないと言っています。」
こいしがその言葉に反応する。「お兄ちゃんがそんなこと言うわけないじゃん。」
パルスィはさらに感情的になり、「関係ない!彼は私と一緒にいたいと言っているの!外に出たいとは思っていない!」
さとりは、パルスィの様子を落ち着いて観察し、再度申し出る。「では、一度ユウスケさんと合わせていただいてよろしいですか?パルスィさん。」
しかし、パルスィの怒りは収まるどころか、ます激化する。「彼は外に出たくないと言っているの!!もし彼を危険な外に出そうというのなら、無理矢理追い返すわよ!!」
星熊勇儀が介入する。「おい、パルスィ、冗談だろ?落ち着けって。お前が無理しているのはわかるけど、みんな心配しているんだ。」
しかし、パルスィは強い口調で答える。「黙れ!!お前らが悪いんだ!!お前らがいるからユウスケは私を見てくれないんだ!!」
その瞬間、さとりは冷静に言った。「これは戦闘は回避できなさそうですね…。」
パルスィの怒りは頂点に達し、彼女の周囲には不穏なエネルギーが漂い始める。彼女は深く息を吸い込み、力を込めて動き始めた。「私はあなたたちを許さない。ユウスケを連れ戻そうとするのであれば、強制的に追い返す!」
さとりと勇儀は互いに目を合わせ、パルスィを宥めようとする。勇儀が口を開く。「パルスィ、お前の気持ちもわかるし、無理に戦おうとは思っていない。でも、ユウスケがどう思っているのか、彼と話したいだけなんだ。」
こいしは不安そうに、「お願い、パルスィさん、私たちもユウスケを心配しているの。お兄ちゃんに会わせてほしい…」と訴えた。
パルスィは二人の言葉を受け止めつ、心の中で葛藤を抱えていた。「私は、彼を守りたいだけなのに…」その思いが重なり、彼女の心が揺れる。
しかし彼女の能力がそれを裏切る。心の奥で、彼女自身の感情が制御を失っていく。「私の気持ちなんて、無視してしまえばいいのよ!彼は私といて、私を必要としているはず!」
その瞬間、彼女の意志とは裏腹に能力が暴走し始めた。周囲の空気が一変し、重く寒々しい雰囲気が漂い、まるで彼女自身の感情が具現化しているかのようだ。パルスィの怒りが波となって広がり、三人に向かって押し寄せる。
「お前たち、私の気持ちを理解するつもりなんてないくせに!私のユウスケを傷つけさせるなんて、絶対に許さない!!」
内心が揺れ、彼女は次第に自分の感情に支配されていく。その力が強まる中、パルスィは戦う覚悟を固め、三人に向けて立ち向かう準備をする。彼女の目は光を失い、感情の嵐にのみ込まれてしまう。「これは私の護るための戦いなのよ!」
その場は異様な緊張感に包まれ、パルスィは自らの力を振るうことを決意する。彼女の心にある想いと、混乱が渦巻く中、友人たちとの対峙の場が整えられた。