ユウスケが目を覚ますまで、一ヶ月が経過した。地霊殿の静けさの中、彼は身体の痛みを感じつも、意志を持ってさとりの部屋へ向かうことにした。
扉を開けると、さとりがすぐに彼の存在に気づき、優しい笑みを浮かべながら声をかけた。「ユウスケさん、大丈夫ですか?身体に異常はありませんか?心配していました。」
その瞳には本心からの心配が宿っており、ユウスケは少し安堵しつ答えた。「正直、まだ少し身体は痛みます。でも、それほどひどい状態ではないので大丈夫です。」
さとりは少し考え込む様子を見せ、「あなたが洗脳されている間に鬼の肉体を取り出して自分の身体を回復させていたのだから、もしかするとまた回復できるかもしれません。試してみてはどうですか?」
ユウスケは、自身の肉体改造について少し悩んでいたが、試しに能力を使ってみることにした。すると、彼の身体はたちまち健康な状態へと戻っていった。目の前で奇跡のような回復を見たさとりは、安堵の表情を浮かべた。「良かったです、本当に驚きました。でも…」
さとりは言葉を選びつ続けた。「ユウスケさんの身体が、鬼の肉体の特性を持ってしまっているみたいです。下手すると、もう人間ではないかもしれません。」
ユウスケは肩をすくめ、微笑を浮かべて答えた。「種族にこだわりはありません。自分が自分であることに変わりはないので、特に心配していません。」
さとりは安心した声で、「それなら良いのですが、念のためしばらくは自室で安静にしていてくださいね。」と優しく言った。
了解したユウスケは、さとりの言葉を胸に、静かに自室に戻った。その後、少し休息を取っていると、こいし、お燐、お空が彼の部屋に入ってきた。
「ユウスケ兄さん、大丈夫?早く元気になってよ!」こいしは無邪気に彼の枕元に駆け寄った。
お燐は心配そうな顔をしながら、「本当に無理しないでね。まだ完全には治ってないでしょ?」と付け加えた。
お空も横で微笑みながら、「ユウスケが元気になってくれて、本当に嬉しいよ。」と言った。
ユウスケは彼女たちの心配と安堵に感謝し、それだけで心が温かくなるのを感じた。「ありがとう、みんな。心配かけてごめん。もうすぐ完全に回復するから、安心してね。」
彼らはしばらくの間、リラックスした雰囲気で会話を続け、ユウスケは友人たちの存在の大切さを改めて感じるのだった。
責任の所在は
ユウスケは回復後、地底を去る決意を固め、さとりにその意向を伝えました。さとりは驚きの表情を浮かべ、引き留めようと口を開きました。「ユウスケさん、お願いです。もう少しここにいて…みんなが心配しています。」
ユウスケは深い息を吸い込み、言いました。「でも、今回の戦闘での被害は全て僕のせいだ。だから、さとりさん、責任を取るために追放処分にしてください。」
扉の隙間から聞いていたこいしやお燐、お空は驚愕し、涙を浮かべながら叫びました。「ユウスケ兄さん、それはおかしいよ!」しかしユウスケの意思は固く、「迷惑をかけるわけにはいかない。自分が選んだ結果だから、受け入れます。」と毅然とした表情で返しました。
こいしは涙をこぼし、顔を背けて泣きました。さとりは辛そうな表情でユウスケを見つめ、不安と悔しさが混ざり合った声で言いました。「ユウスケさん… あなたのことをどうしても手放したくない。こんな形で追放処分を下すなんて、本当に悔しい。」彼女は心からの思いを込め、苦しげに言葉を紡ぎました。
それでもユウスケは「これは僕の決断だ。皆に迷惑をかけることはできない。」と繰り返すばかりです。さとりは涙を流しながら最終的に目を閉じ、「わかりました、ユウスケさん。追放処分を下します… どうか気を付けて。」と無情に告げました。
ユウスケは荷物をまとめ、地霊殿を後にしました。こいし、お燐、お空が見送る中、彼は謝罪と感謝の言葉をそれぞれに掛けました。「ありがとう、皆。さとりさん、初めて地底に来たときに助けてくれて、本当に感謝しています。」
次に、ユウスケは星熊勇儀の家へと向かいました。彼女に全てを庇って地底を去ることを伝えましたが、星熊勇儀は彼を止め、「ユウスケ、あなたは何も悪くない。地震を起こしたのは私だ。」と叫びました。
それでもユウスケの意志は揺るがず、勇儀は激昂し、「嘘をつかせるつもりか!お前が全て原因を持つ必要があるなんてあり得ない!」と襲いかろうとしましたが、ユウスケは無抵抗でした。
直前で拳を止めた勇儀は、ユウスケの真剣な眼差しを見つめ、彼の意思が本物であることを確認しました。「勝手にしろ…」彼女は背を向けて涙を流しました。
ユウスケは最後に水橋パルスィの家に向かいました。扉を開けた彼女は、彼の存在に驚きましたが、その瞬間、扉を閉めてしまいました。扉の向こうから涙声で謝罪が聞こえてきました。
ユウスケは静かに言いました。「パルスィ、君を許すよ。でも、僕はここを去らなければならない。」
彼女は扉越しに動揺し、「考え直して欲しい、ユウスケ!」と叫びました。しかし、ユウスケは「みんなを守るためなんだ。行かなくちゃならない…」と心を決めました。
しばらくの沈黙の後、パルスィは扉を開け、無言で彼にしがみつきました。「どうしてそんなにお人好しなの?!」と涙ながらに怒る彼女。その姿にユウスケは胸が締め付けられる思いでした。
怒り声の後、パルスィは少し落ち着きを取り戻し、彼に深く感謝を伝えました。「ありがとう、ユウスケ。何があっても、あなたのことを忘れないから…」
そして、彼女は一瞬の隙をついてユウスケの首に腕を回し、優しい唇を彼の頬にキスしました。その瞬間、彼の心は甘酸っぱい感情で満たされ、驚きで目が見開き、頬が赤く染まりました。
パルスィは、彼を引き寄せてその温もりを確かめながら、「いつまでも待ってるから。必ず戻ってきてね。」と静かに囁きました。
ユウスケは涙ぐむ彼女の姿に心が痛みました。「約束する。必ず戻るから。」と勇気を込めて伝え、彼女の手をそっと放し、地底を去る決意を固め新たに地上へと向かいました。
ついに地底から去るユウスケ彼は地上へと向かいます。