地底スタートの幻想郷生活   作:四国の探索人

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第二十八話 分断

パチュリーが戦場を去ったことで、咲夜と美鈴は大きな戦力ダウンを余儀なくされました。咲夜は、一部の相手に自分の時間停止能力が効かないとわかり、このまでは勝てないと現状を冷静に分析します。そのため、少しでも厄介なユウスケを道連れにしようと考えました。

 

咲夜は決意を胸に、美鈴に向けて軽く指示を出し、ユウスケを指さします。そして、次の瞬間、目の前が白く染まるような濃い煙幕が広間に投げ込まれました。煙は瞬く間に視界を遮り、魔理沙、霊夢、ユウスケは周囲が見えなくなってしまいます。

 

「何だこの煙は!」と魔理沙が叫ぶ中、美鈴はユウスケの気配を捉え、正確な一撃を準備しました。彼女の強靭な脚力でユウスケを蹴り飛ばし、その体は勢いよく館の外へと放り出されました。

 

咲夜と美鈴は、すかさずその流れに乗じて外へと進んでいきます。互いに言葉を交わすことなく、その動きからは双方の間に存在する暗黙の了解と固い絆が見え隠れしていました。

 

取り残された霊夢と魔理沙は、一瞬焦りを感じます。「やられたな…」と魔理沙は苦々しく言いましたが、すぐに気を取り直します。「でも、紅い霧が幻想郷を覆い尽くす前に、異変を解決しないとならない。」

 

霊夢は決意を固めた表情で頷きます。「ユウスケにはあの二人の相手をしてもらって、私たちはレミリアの元へ行ってこの原因を突き止めるわよ。」

 

「分かった。任せておけ!」魔理沙が力強く答え、二人は速やかに館の奥へと駆けていきます。

 

ユウスケは外での戦いに意志を集中します。彼は孤立した状況を悟りつも、内なる力が湧き出るのを感じました。時間停止に対処した経験は彼の自信を強化し、咲夜と美鈴に立ち向かわんと意気込んでいます。

 

戦いはまだ続き、幻想郷の命運を賭けた決戦はこれからが山場です。

 

 同じ頃、紅魔館の上空では、翼をはためかせて闇夜に舞う二人の吸血鬼、フランドールとレミリアが激しい戦いを繰り広げていました。二人の打ち合う影が、月明かりの下で不気味な舞踊のように浮かび上がり、その衝突は火花を散らす音と共に夜の静寂を裂いていました。

 

フランドールは再び猛然と迫り、鋭い一撃を繰り出しますが、レミリアは冷静にその攻撃をかわし、瞬時に彼女の武器を空中に弾き飛ばしました。フランドールはその勢いで宙を舞い、攻撃の失敗を確信した瞬間、空中でふっと停止させられました。

 

レミリアは穏やかな笑みを浮かべ、妹を優しく抱き締めたのです。フランドールは意表を突かれ、一瞬息をのみました。「ごめんね、フラン。今まで閉じ込めていて。」レミリアの声は優しく、真摯そのものでした。彼女の言葉が夜の澄んだ空気に溶け込むように響きました。

 

「この紅い霧の異変はね、幻想郷を吸血鬼のための世界に変えるためのものなの。それは、私たちが外の世界で安心して歩けるようになるため。そして、二人でどこにでも行けるようになるためなのよ。」レミリアの目には、フランドールへの深い愛と昔からの約束を守りたいという決意が宿っていました。

 

フランドールは、一度も口に出さなかった不安と孤独が次々と心に浮かび上がると共に、姉の真摯な謝罪と愛情に胸がいっぱいになりました。虐げられているのではなく、愛され守られていたことを今初めて、真に感じ取ったのです。

 

「お姉様…」フランドールの声は小さく震えました。その瞬間、彼女の心にあったわだかまりは解け去り、レミリアへの想いが純粋な喜びと感謝に変わりました。「ごめんなさい、わたし…わかってなかった。」

 

レミリアは微笑み、今度は妹の髪を優しく撫でました。「いいのよ、フラン。これからは、もっと一緒にいられるわ。」

 

この瞬間、フランドールはレミリアとの絆をただの姉妹愛ではなく、たぐいまれな友情と信頼に変えることに決めました。彼女は理解しました。自分たちが作り出す世界を守るために、この異変を生かし、憎むべき存在から彼女たちの新たな日常を守らねばならないということを。

 

フランドールは決然とした表情を浮かべます。「姉様、私は一緒に戦うわ。私たちの新しい世界を、夢を、守るために。」

 

レミリアもまた、フランドールの決意を嬉しく受けとめ、彼女の手をしっかりと握り返します。「そう、フラン。共に頑張りましょう。」

 

空には二人の新たな決心が刻まれ、紅い霧がたゆたう幻想郷の空は、その決意に応えるように静かに広がっていました。妹との再会と、新しい世界への希望に満ち、レミリアはフランドールと共に、自分たちの運命を切り開くべく進んでいく決意を新たにしました。

 

そこには、姉妹による新たな戦いの始まりと、深い愛が交錯する物語が流れ、その結び目は強固に結ばれ、彼女たちを未来へ導いていくのでした。

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