地底スタートの幻想郷生活   作:四国の探索人

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第四十二話 狂気フランの対策

 ユウスケはフランの手を優しく取り、彼女をフランの部屋にあるベッドへと導きました。彼女は少し不安そうな顔をしていましたが、ユウスケの真剣な表情を見て安心しようとしていました。何が起きるのか理解しているわけではなかったものの、ユウスケが彼女を傷つけるつもりなど毛頭ないことは十分にわかっていました。

 

 「フラン、まずはここに座ってくれる?」とユウスケは柔らかく声をかけました。フランは少し首を傾げながらも、静かにベッドに腰を下ろしました。

 

 「何があっても驚かないようにね。これから君の内側に入り込む作業をするから、しばらくの間、心と体をリラックスさせてほしいんだ。」ユウスケは優しい声で説明しました。

 

 フランは少し戸惑ったように見えましたが、勇気を振り絞り深く頷きました。「うん、ユウスケ兄があたしを助けようとしてくれてるんだよね。何が起きても大丈夫、信じてる。」

 

 彼女のその言葉にユウスケは心を打たれ、決意を新たにしました。少しだけ間を置き、フランの前に立って彼女の頭に手をそっと置きました。フランの金色の髪は光を浴びて輝いており、その姿はまるで純粋な無垢さそのもののようでした。

 

 「大丈夫だよ、フラン。リラックスして…」と言うと、ユウスケは心を集中させ、月読を発動させました。

 

 その瞬間、ユウスケの意識はフランの精神世界へと引き込まれていきます。彼の視野は一瞬で暗闇に包まれ、次第に明るくクリアになっていきました。彼が立脚した場所は、フランの心そのもので、彼女の内なる世界が広がる場所でした。

 

 この精神世界をゆっくりと歩き始めると、ユウスケは目の前に現れる風景を注意深く観察しました。そこには、フランの考えや感情が具現化したカラフルな情景が広がっています。鮮やかな色彩、異形の生物、そして安らぎを感じさせる小さな花々がどこまでも広がっていました。

 

 彼が進んで行く中、前方から小さなフランに見える少女が歩いてくるのが見えました。彼女は好奇心に満ちた目でユウスケを見つめていました。ユウスケは彼女に近づくと、静かに話しかけました。「フラン?」

 

 その少女は少し微笑んで答えます。「そうだよ。でも正確には、フランの中の好奇心の部分が私だね。この精神世界では、フランの性格がそれぞれ分かれて生きてるの。」

 

 ユウスケは理解し、興味深そうに観察しながら、「狂気の部分はどこにいるか分かる?」と尋ねてみました。

 

 好奇心のフランは少し顔を曇らせ、「ユウスケ兄、やめたほうがいいよ。狂気はすごく好戦的だし、私も話しかけるのは怖いけど、それでも気になる私もいるからね…あっちにいるよ。」と指を指します。

 

 ユウスケはその指し示す方向を見て、好奇心のフランの頭を軽く撫でてから、「ありがとう、好奇心のフラン。それでも試してみるさ。」と言いました。

 

 しばし歩みを進めると、丘の上に座り込み、遠くを見つめている狂気のフランを発見しました。彼女はユウスケの予想通り、鋭い視線を投げかけてきます。「あっ、ユウスケ兄、何しに来たの?また殺されるつもり?」

 

 彼女はにやりとしながら、首を指差しましたが、ユウスケは冷静に応えます。「精神世界の中じゃ体がないから、お互いに攻撃できないでしょ?」その言葉に少し苛立ちを見せながらも、狂気フランは話を続ける。

 

 「ふん、まあそうかもね。でも、ユウスケお兄さん、倒しにきたわけじゃないんでしょ、だから?」

 

 ユウスケは少し微笑んで、「君がフランを乗っ取らないように、もう一度話ができないかと思って来たんだ。」と提案します。

 

 その提案に対し、狂気フランは冷静な口調を崩さずに、すぐに「無理ね。」と一蹴します。「私はフランの破壊する力から生まれたのだから、私がいなくなれば能力も消えちゃう。そうなればフランはか弱いだけの吸血鬼になり、力が無くて死んじゃうかも。それに、体を乗っ取っている時は自由に動けるし、やめるつもりはないわ。」

 

 ユウスケはそれでも諦めずに話を続けました。「もし、君が自由に動ける体を持てるなら?」

 

その言葉に一瞬の沈黙が続き、やがて狂気フランが半信半疑で返答しました。「それができるなら、そうね…。でも、それでも暴れない保証にはならない。お兄様が私を止められるの?」

 

 ユウスケは彼女の目をまっすぐに見つめ、「僕がいれば、君が孤独に苦しむことはない。だから、方法を探してみよう。それはフランのためでもあるけれど、君にだって世界を違う形で見てほしいから。」

 

 その言葉に狂気フランは少しだけ目を細めて微笑んだ。「じゃあ、そのお兄様の努力を見せてもらおうかしら。期待してるわ。」

 

 ユウスケは狂気フランとの話を終え、深呼吸すると意識を現実世界に戻しました。視界がクリアになり、彼が目を開けると、フランが心配そうに彼を見つめています。

 

「どうだった、ユウスケ兄?」フランが焦るように尋ねました。

 

ユウスケはほっとした表情を浮かべ、少し微笑んで答えます。「何とかなりそうだよ。でも、ちょっと驚くことがあるから、目を閉じてくれる?」

 

フランは少し不安になりながらも、ユウスケを信じてそっと目を閉じました。ユウスケは彼女の横に立ちながら、心を集中させました。そして、彼の前にフランの体をもう一つ生成し始めました。フランの姿が二つ並ぶことになり、その光景は静かに輝きを放っていました。

 

「フラン、手を出して」とユウスケは静かに言うと、フランの(本体)の手を取り、生成したフラン(複製)の手と握手させました。「さぁ、彼女の意識を新しい体に移動させるよ。」

 

精神世界の狂気フランは、その瞬間に複製された肉体へと移動し、ゆっくりと目を覚まします。彼女は新しい現実の感覚を試すように指を動かし、周りを見回しました。

 

「おい、本体、起きろ。」狂気フランは隣にいるフランの肩を軽く叩いて言いました。

 

フランは、少し混乱しながら目を開けます。そこには自分が立っていました。「鏡じゃない…この感じは、私の狂気ね。」

 

狂気フランは少し笑みを浮かべて答えました。「正解だよ。ユウスケ兄が私のために体を用意してくれたから、もうお前の体を乗っ取る必要もなくなった。これからは安心していいよ。」

 

フランは少し戸惑った様子で問いかけます。「でも、あなたがユウスケ兄を殺したんでしょ?本当にもう暴れないの?」

 

狂気フランは肩をすくめ、「まぁ、ユウスケ兄がお兄様として私の面倒を見るって言うから我慢することにしたよ。頼むぜ、雑魚雑魚のお兄様♡」

 

それに対してフランは少し怒りながらも安堵の表情を浮かべ、「ユウスケ兄は私のだからね、忘れないで!」

 

狂気フランはにやりと笑いながら応えます。「せいぜい頑張ってね。でも、心配しないで。今はお兄様も仲良くしてくれるみたいだから、しばらくは落ち着いて過ごせそうだし。」

 

ユウスケはその光景を微笑ましく見守りながら、フランたちが新しい形で共存することを願いました。彼の心の中には、フランたちがそれぞれ自分らしさを大切にしつも、共に過ごしていける未来の展望が描かれていました。これで、皆が少しでも穏やかに過ごせる日々が訪れればと、彼は心から思っていました。

 




月読
 NARUTOのうちはイタチが使用していた幻術。相手の精神世界に入り込み術者の思い通りの幻術を見せる。
 今回はユウスケがフランの精神世界に入るために使用された。

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