その夜、特に何も起こらずユウスケは朝を迎えた。しかし、護衛など初体験の彼は神経を使いすぎて、一晩中起きていたため目の下にクマができていた。
「今日は来週のイベントの打ち合わせがあるから、一緒に来て」とヤマメが言う。
眠い身体を起こし、ユウスケはヤマメと共に出かける。ヤマメは「頑張ってくれるのは嬉しいけど、ちゃんと寝なさいよ?寝不足で守れませんでしたとか言ってきたら怒るから、打ち合わせ中だけでも寝なさい、分かった?」と優しく諭す。
ユウスケは了承し、旧都に着くと建物の外で昼寝を始める。
その間、通りすがる妖怪たちがユウスケを見て噂話を始めた。「なぜ人間がここに?」と言う妖怪二人に、通りすがりの鬼が「触らない方がいいぞ、橋姫のアレかもしれない」と忠告する。
前日に勇儀が「パルスィに彼氏が出来た」と騒いでいたこともありおかげでユウスケは無事だった。
しかし、遠くで怪しい妖怪が見つめていた。「あの人間がヤマメと一緒にいるだと?許せない。だがここは人目が多い。」そう思いながら、その場を去っていった。
1時間後、ヤマメの打ち合わせが終わり彼女が外に出てきた。「帰るわよ」と声をかけられ、ユウスケは起き上がる。「どこか行くところがあるならついて行くけど」と申し出るユウスケに、ヤマメは「馬鹿ねえ、負担が増えるだけでしょ。家に帰りましょう。」と答え、ユウスケは少し情けなさを感じながらも共に帰る。
その夜もまた、ユウスケはテントで過ごした。しかし、ずっと起きているのが辛く、監視カメラを設置して何かあればアラームが鳴るように設定することで、ようやく安心して眠ることができた。
3日目、4日目、5日目も何事もなく過ぎていった。しかし、ヤマメは危険を避けようと、あまり家から出たがらなくなっていた。そこでユウスケはあるものを持ってヤマメの家を訪れる。
「ヤマメ、入っていい?」と尋ね、ヤマメが許可すると中に入ってプレゼントを手渡す。「これ、DVDプレイヤー。暇かなと思ってね。」
ユウスケは操作方法を説明し、「スパイダーパニック」を再生する。
ヤマメは興味津々で、「お、箱の中で人が動いている。外の世界の映像なの?」と驚く。
ユウスケは、「演劇のようなものだよ。これを見てみよう。」と誘ったが、ヤマメは「女の子と見る映画なら、もう少し内容を考えなさいよ」と笑う。
それでも二人で映画を楽しみ始めるが、1時間後ユウスケは寝落ちしてしまった。
ヤマメは彼を布団に寝かせ、ひとりで怖いシーンに震えながらも、ユウスケの隣で映画を最後まで視聴したのだった。
怪しい男「男がヤマメの家から出てこない?ああ、これ黒だわあの人間絶対殺す。ヤマメ、何で君はあんな奴と一緒に僕の者にならないなら、、、」
翌日、ユウスケはヤマメと共にアイドルのイベント会場へ向かった。
「ユウスケ、一応スタッフとして裏方にいてもらうから、会場で怪しい人物がいないか見てね」とヤマメは言う。
「おけ。でも、一人で舞台に立って大丈夫?」とユウスケが心配すると、ヤマメは笑って「大丈夫よ。あなただけじゃなくて、ファンクラブの仲間たちもいるからね。紹介するわ」と答えた。
そこに、ファンクラブのメンバーが集まってくる。
「ご紹介に預かりまする、ユウスケ殿。我々ヤマメファンクラブも護衛に協力するでありんす。」と言うのは、金棒を持った小柄な鬼、「鬼子」だった。
「同じく会員No502番、夜行!コイツは相棒の首切れ馬だ!」と続けるのは、一つ目で刀を持つ大男と、その馬。
「、、No503番、野鎌。」と静かに自己紹介するのは、鎌を持ったカワウソのような妖怪だ。
「No504番、青坊主です。おきに。」と名乗るのは、全身青色の僧侶。
「我らヤマメファンクラブの精鋭、ここに見参!」と彼らは戦隊もののように構えを決めた。
「どうもよろしくお願いします。」とユウスケが挨拶すると、ヤマメは「まあ、みんな変わってるけどいい人たちだよ」と微笑む。
「ヤマメ殿の命は必ず守るでやんす!えいえいおー!」と鬼子が気合を入れ、
「不審者がいたら俺がぶっ飛ばしてやる!」と夜行が意気込みを見せる。
「しずかに、、見たい。」と野鎌は控えめに言い、
「運動は苦手、、」と青坊主が少し不安げに呟いた。
こうして、ユウスケはファンクラブの仲間たちとともに、ヤマメのイベントを無事成功させるべく、心強い協力体制の中、護衛任務に挑むのであった。
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