地底スタートの幻想郷生活   作:四国の探索人

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永夜抄
第七十三話 地上に戻ると明けぬ夜


ユウスケは地上に戻り、博霊神社へと帰り着いた。「よいしょっと、地底にいたからか時間感覚が狂ってるな。夜か。」そう呟きながら、彼は夜空に輝く満月を見上げた。

 

縁側に腰掛けていたユウスケは、心地よい夜風を感じていたが、神社の中から人の気配がしないことに違和感を覚えた。「おかしいな、霊夢が戻ってると思ったけど…」彼は神社の中を探し回ったが、霊夢の姿は見当たらなかった。

 

一度帰ってきた後の痕跡はあったが、彼女はどこにもいなかった。ユウスケは悩みつも、「泊まっていた紅魔館にいるのだろうか。まあ明日にでも行ってみるか」と呟き、一人睡眠についた。

 

数時間後、ユウスケは目を覚ました。しかし、外の景色に違和感を覚えた。夜が明けていないのだ。驚くべきことに、まるで時間が止まっているかのようだった。「なんでだ?丸1日寝ていた覚えはないのだが、もしかして異変?本当に寝てただけなら馬鹿晒すから里の様子を見てみるか。」

 

急いで里に向かい様子を見ようとしたその時、誰かに話しかけられた。「そこのお兄さん、人間かい?」声の主は、二本の触角が生えた、緑のショートヘアに黒マントを羽織り、白シャツに短パンを身につけた虫のような姿をしている。

 

ユウスケは少し目が点になった。「そういう君はその触角、、ゴギブリの妖怪?」

 

「いや、蛍だよ!失礼な奴だな。僕の名前はリグル・ナイトバグ!」目を輝かせて返した。

 

「やあ、リグル。僕はユウスケ。何か用かな?」

 

リグルは嬉しそうに答えた。「いや、人間が出歩いているとは思ってなくてね。里にいなくて大丈夫かい?」

 

「心配どうも。僕は里の外に住んでるから気にしなくていいよ。今は夜が明けないから異変が起きてないかと思って人里に向かってるんだよ。」

 

「へぇ、そうなんだ。夜が明けないということは、蛍がキレイに輝き続けられるんだよね。異変なんて放置していいのじゃないかな?」

 

ユウスケは首を振り、「そういう訳にはいかないよ。」としっかりした声で言った。

 

「そうなんだ、じゃあお兄さんには虫の相手をしてもらおうかな。」リグルが手を出すと、ユウスケの周りに無数の虫が現れた。

 

「これが何か分かる?」ユウスケはポケットから特製の筒を取り出し、リグルに向ける。

 

「そっ、それは!」リグルは驚愕の表情を浮かべる。「外の世界で多くの虫たちを葬ってきたゴキジェット。ひどいよ!!僕はゴキじゃないのに、動けなくして何をするつもりだ!」神妙な顔で言うと、リグルは顔を青ざめさせて逃げ去っていった。

 

「なんだったんだ。」ユウスケは呆れた様子でその小さな妖怪を見送りながら、先を急いだ。

 

 

 ユウスケが竹林を進む中、どこからともなく流れてくる歌声に足を止め、歌のする方向へと向かいました。

 

そこには、ピンクの髪に帽子を被り、羽の生えた夜雀の妖怪、ミスティア・ローレライがいました。彼女は木の上から優雅に歌っていました。

 

「竹林の奥には

影ひそむ闇の道

ひとり歩けば

危険が潜む

 

見えぬ夜道で

足音が響くたび

そっと囁く

夜の鳥の歌

 

ホーホー、ここはどこ

迷い込む旅人よ

蹴られぬように気をつけて

ここは暗き夜の巣さ」

 

歌い終えたミスティアは木から降り立ち、ユウスケの前に現れました。「お兄さん。リグルを倒すとは…。しかし奴は仲間の中でも最弱!!私は奴ほど弱くはないぞ!」

 

そして、彼女は息を吸い込み、さらに歌い始めました。ユウスケは先に進もうとしましたが、なぜか身体が言うことを聞かず、ここから離れることを拒むようでした。

 

彼はミスティアの歌に誘導され、そのま屋台に入ってしまいました。

 

「さあ、いらっしゃい!注文はヤツメウナギ、ヤツメウナギ、ヤツメウナギがあります!」とミスティアは元気よく言います。

 

ユウスケは困惑し、「何故ここに…」と尋ねたかったが、ミスティアはにこやかに話を続けました。「ヤツメウナギですね!分かりました。30円になります。」

 

諦めてヤツメウナギを食べたユウスケは、お代を払い、ミスティアの案内で元の道に戻されました。

 

「時間を費やしたが…人里は…」ユウスケは心の中でぼやいて、人里に急ぎました。

 

なんとか人里に辿り着いたものの、信じられない光景が目に入りました。「人が…いない?夜とはいえ、居酒屋ですらやってないとは。」人里のいつも賑やかなはずの街並みが、まるで何かから隠されているように静まり返っているようでした。

 

 

 ユウスケが辺りを見回していると、一人の女性が彼に近づいてきました。

 

「おや、君は新聞で見たことがあるな。確か博霊の巫女の所の男だね。」その女性はそう言って微笑みました。

 

ユウスケは彼女に尋ねました。「何故人がいないんですか?やはり異変が起きて…?」

 

「まあ、博霊の巫女のところの人間ならいいだろう。私は上白沢慧音。ここで寺子屋をしている。異変から人間を守るため、私の能力で皆を隠しているのだ。」彼女の名は慧音、頭に赤いリボンを付けた青い帽子を被り、長く美しい髪に青い服装を纏った女性でした。

 

ユウスケは理解しながら頷きました。「そうなんですね。異変というのはやはり月が関係しているのですか?」

 

慧音は深く息をつき、「そうだな、ここ1週間続いている。というか、君は知らなかったのか?」と返しました。

 

「ちょっと地下にいたものでね。」ユウスケは事情を簡潔に説明しました。

 

「まあ、いいだろう。霊夢なら迷いの竹林に行ったぞ。今回の異変の原因も多分そこにあるだろう」と慧音は教えてくれました。

 

「ありがとうございます。それでは行ってみます。」ユウスケは礼を言って立ち去ろうとしましたが、肩を優しく掴まれました。

 

「まあ待ちなさい。行くのはいいが、あそこは一度入ると抜けられない場所だ。私の友人を頼るといい。竹林の中で“もこたん”と呼んでごらん。きっとすぐに来るだろうさ。」慧音は助言を与えます。

 

「見ず知らずの私に、どうもありがとうございます。」ユウスケは感謝の意を込めて言いました。

 

「まあこれは君が以前異変を一つ解決したお礼のようなものさ。気をつけてね。」と慧音はほ笑みました。

 

ユウスケは再び頭を下げてから、迷いの竹林へと向かって行きました。霊夢のいる竹林で何が待っているのかを確かめるため、そして住民たちを守るために、彼は勇敢にもその道を選びました。慧音のアドバイスを胸に、彼は次の一歩を踏み出しました。

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