「最近、先生がおかしい」 作:Raitoning storm
ミノリィ!!デモすんじゃねぇ!!とか言わせてー。
D.U.地区の路地裏に面する一つの団地。その角部屋で二人の男子が向かい合っていた。
一人は軽いとも重いとも言えないような、ユニ⚪︎ロや⚪︎ーユーのような洋服チェーンで買ったような、まあよくある男子高校生といった感じの服装をしており、もう一人は紺色のパーカーに普通のズボンといった、こちらも特になんとも言えないような服装をしている。
「最近、先生のお見舞い行ってるんだってね。本人から聞いたよ。」
「…そんな大層なもんじゃない。ちょっと心配になったから行ってるだけだ。」
「それをお見舞いって言うんだよ?」
「…そうか。じゃあそうなんだろうな。」
彼は、いや彼"も"「藍方アイ」。並行世界から来た別の存在だ。
この世界に来てすぐのときはシロコと共にこの世界のアイと生活をしていたが、本人の希望で手頃な部屋を借り、今はシロコと二人で暮らしている。
「今日はシロコさんはいないの?」
「…自転車のメンテだそうだ。サイクリングにまたハマってる。配達のバイトもついでにやってる。」
「いいことじゃない。趣味があった方が楽しいよ。バイトもできたほうがいいし」
「…そうだな」
「君の方は?最近何かあった?」
「そうだな…ああ、最近苦情があった地域で害獣の駆除をやってる。給料もいいし森にも入れるしな。
「へー。いいね。僕もシャーレの業務が落ち着いたらやってみようかな。」
「…身体の方はどうなんだ?あのときから変化とかは…」
「んー?特にはないかな。目立った変化はないよ。」
「そうか…」
彼らがこんな会話をするのには理由がある。
約一ヶ月前、
先生たちはプレナパテス討伐のためにアトラハシースに乗り込み、そこにいた別世界のシロコとアイと激闘を繰り広げた。だが、すでに決着が着くところだった。
「…俺たちの負けだ。すでに俺たちの動きをお前たちが上回っている。このまま戦っても勝ち目はない。あと少しでここも無くなる。これ以上の戦いは無意味だ。」
「そんな…まだ戦えるよ!わたしも、まだ装備なら持ってる!」
「もう戦わない。もういいんだシロコ。これ以上戦ったって、苦しいだけだ。みんなも、きっとそんなこと望んでない。」
別世界のアイは装備を捨て、戦闘しない意志を見せる。
「…そっか。また、負けちゃったんだね。わたしたち。時間も、次元も飛び越えて、自分自身さえ裏切ったのに、何も変わらなかったんだね。」
別世界のシロコも絶望したように崩れ落ち、もう戦う気力なんて残っていないように見える。
「俺たちはもういい。もう戦う装備も気力も尽きた。煮るなり焼くなり、殺すも生かすもお前たちの自由だ。」
「…でも、俺たちの先生だけは生かしてやってくれないか?」
「…え?」
彼の側で崩れ落ちていたシロコ、そしてそこにいた、彼以外の人間全員が、驚いた表情を隠せなかった。
「自分でも無理なお願いをしてることはわかってる。俺とシロコは今と未来に絶望し、反転してしまった。でも先生は、先生だけは最後まで生徒のことを思っていた。俺は、そんな人が悲しい目に合うなんて許せない。」
アイは力強く、拳を握りしめながら語る。
"…彼だけじゃない、君たちだって助けるよ。"
先生はアイたちに語りかける。
「…ありがとうございます。でもいざとなったら先生を優先してください。」
「ところで、先生を助ける方法は、あるんですか…?」
もう一人のアイは語る。
「まず先生の持っている色彩の力を全部取り込む。その後、俺の神秘を先生にあげれば体の中でそれらが打ち消しあって、先生が助かるはずだ。」
"でも、そんなことしたら"
「だめ!」
先生とシロコが必死に止める。
「そんなことしたらアイでも死んじゃうよ…いやだ!アイまでいなくならないで!みんないなくなっちゃったのに、アイもいなくなっちゃいやだよ…」
「…死にに行くわけじゃない。先生を助けるためにやるんだ。それにまだ死ぬと決まったわけじゃないさ。」
「それなら、わたしもやる!一緒にやればきっと…」
「シロコはだめだ。俺がやらないと…」
「どうして!?わたしもそんなに弱くない!」
「…俺のせいだから。先生を守るのが俺の役目だったのに、守りきれなかった。だから、俺がやる。」
「でも…」
「大丈夫さ。きっと、なんとかなる。」
彼は続ける。
「俺たちの方のアロナ!こっちの世界の方のシッテムの箱に接続して転移プログラムを作動させろ!先生の方は俺がなんとかする!」
『…!わかりました!』
そう言うと彼は、つけていた手袋を投げ捨て、プレナパテスへと手を伸ばす。すると黒いオーラのようなものが彼へと伸びて彼の身体を侵食していく。
「ぐっ…」
少しずつ彼の身体を蝕んでいく色彩。それに比例し彼の苦しみも強くなっていく。だが、
「…僕もやる!」
こっちの世界のアイも飛び出して来た。
"…!だめだよ!"
「…!おい!やめろ!」
もう一人のアイと先生が止めるが、
「いやだ!僕も、僕も先生を助けたい!」
アイは力強く自分のやりたいことを語る。
「…そっちもアイだもんな。きっと止めてもやめないんだろう…やるぞ!」
「…うん!」
二人は手を伸ばしながら、先生の色彩を取り込み、自分たちの神秘を先生に渡した。
そして今、
「…まあ、何かあったら連絡してくれ。」
「うん。じゃあまたね。」
「ああ。」
アイが帰っていった。
…結局俺はどうすればよかったんだろう。あのときあいつを止めればよかったのか。だがそうすれば俺は死んで、先生やシロコを悲しませたかもしれない。あいつは気にしてない様子だが、いつ影響が出てもおかしくない。
生徒を守るって、先生と約束してしたはずなのに…
「ほんとうに、どうすればよかったんだろうな。」
壁にかけられた、たくさんの戦いによって汚れてしまったシャーレの社員証の、かろうじて読める自分の苗字を見つめながら、そんなことを呟いてしまう。
「あなただったら、どうやったんでしょうね。」
立てかけられた、「破壊者」の名を持つ、自らに授けられた銃に語りかけるが、返事は帰ってこなかった。
みんなが全部書けって言うからさ!次回から全部書いてやるよ!
アイ君がいる本編見たい?
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別に…
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書いてくれたら嬉しい。
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そんなことよりハピエンの続きを書けよ。