読みやすくなったと思います。
前回のストーりーの抜けていたシーンをここらで一つ書きます。
騒動が終わり二人で帰る時
銀時が月詠をちらりと見やりながら、何気なく話しかけた。
「なぁ、ツッキー?」
月詠は少し間を置いて応じる。
「なんじゃ、銀八。」
銀時は気怠そうに頭を掻きながら続けた。
「あいつがさ、ヘッドホンの胸に触ったとき……俺、妙にデジャブ感じたんだよねぇ。」
その何気ない一言に、月詠は一瞬で表情を硬くし、次第に頬が赤く染まっていく。
「……ッ////」
銀時はそんな彼女の様子に気づき、目を細めて口元を緩めた。
「あれ? 照れてんの? お前、今、照れてんだろ!」
月詠は慌てて顔をそらすが、耳元まで赤く染まっているのがはっきりと見える。
「誰が照れるか、バカものめが!……話を戻せ。」
銀時はその反応にニヤニヤと笑いながら、手を叩いたように何かを思い出す。
「あー、思い出した! あれだよ。麻薬取り締まりの潜入捜査のときだ!」
月詠がピクリと反応する。
「……なんの話じゃ?」
銀時は大げさに手を広げながら説明を始める。
「ほら、あのときだよ。潜入中に蜘蛛が俺の前に出て俺が誤ってお前の胸に手を伸ばしちゃったこと、あったろ?」
月詠の表情が一瞬で険しくなり、持っていた煙管がピキリと音を立てる。
「……貴様、それをここでわざわざ掘り返すんか?」
銀時はその反応にも怯むことなく、むしろ楽しそうに続けた。
「いやぁ、あの反応がどうにも忘れられないんだよなぁ。今でも手が覚えてるっていうか、あのときのデジャブだなって……」
言葉の途中で月詠が苦無を持ち上げた。それを見た銀時がすかさず手を振りながら後ずさる。
「おいおい、待てって! 今のは褒めてるようなもんだろ?!」
月詠の目が鋭く光る。
「死にたいのか、この色ボケめが……!」
彼女が煙管を振り下ろした瞬間、銀時は身をひねって何とか避ける。そのまま部屋中を逃げ回りながら、軽口を叩き続けた。
「ま、まぁまぁ! そんな昔の話、今さら怒んなって! でもほんっと、あのときの感触が……ぐえっ!」
月詠の拳が銀時の腹に突き刺さり、彼はその場で崩れ落ちる。
「……全く、何年経とうと変わらんな、お主は。」
月詠は呆れたように息をつきながら、銀時を見下ろす。そして、背を向けながら一言付け加えた。
「二度目はないと思え。」
銀時は地面に伏しながら、かすれた声で呟いた。
「なんていうか……期待しちゃうだろ、普通……」
その瞬間、再び月詠の苦無が振り下ろされ、部屋には銀時の悲鳴が響き渡った
銀八「アァァァァァ!!目があァァァァ!!目がァァァァ!!」
次の日の朝 銀八と風紀委員たちの会議
学校の朝が静かに始まりつつある頃、銀八は風紀委員の主要メンバーを教室に集めていた。集まったのは、風紀副委員長の土方、風紀委員学年長の沖田、そして姿を見せない委員長の近藤。
銀八は腕を組み、やや疲れた様子で教壇にもたれかかる。
沖田は大きなあくびをしながら椅子にだらりと腰掛け、手持ち無沙汰に木刀を回していた。「ふぁ〜……なんですかい、旦那? こんな朝っぱらから呼び出して……」
彼は銀八をチラリと見ながら、軽く肩をすくめて付け加えた。「土方さんの風紀副委員長の座解任ぐらいインパクトある話じゃねぇと、俺のロケランぶちかましますぜ?」
その一言で、土方のツッコミが出る。「なんでお前はいつもいつも俺の座を貶めようとしてんだよ!! それに、風紀委員の学年長でロケランぶちかますな!!」
銀八は二人を軽く手で制しながら、面倒そうに溜息をつく。「はいはい。いつものくだりも終わったところで、今日の業務予定を伝えるか……。で、肝心のゴリラは?」
沖田は何食わぬ顔で木刀を肩に乗せ、にやりと笑った。「ああ、近藤さんなら……」
一方その頃――
近藤は電柱に隠れ、少し先の通学路をじっと見つめていた。彼の目の前には、今にも登校してきそうなお妙の姿が浮かんでいる。
「お妙さァァァァァん!!!」
彼女の姿を見つけた瞬間、近藤は勢いよく飛び出し、彼女に向かって両手を広げて飛びつこうとする。
だが――
「ストーカーゴリラには……」
お妙の顔が怒りでひきつり、ピキリと音を立てるように凍りついた。
「ドカァァァァァ!!!」
鋭い蹴りが近藤の腹に炸裂し、彼は宙を舞った。
「ヘボォォォォ!!!」
近藤は電柱に激突し、地面に転がる。だが、それでも手を差し伸べて言う。
「お妙さァん、愛してる――!」
お妙はその声を冷たく無視し、学校へと颯爽と歩き去る。
「用事はねぇんだよ、クソゴリラァァァァァ!!!」
風紀委員会議に戻る
沖田は近藤の顛末の予想を簡潔に説明し、飄々と笑った。「って具合に、たぶん今頃はどこかで吹き飛ばされてると思いますが?」
土方は額を押さえ、疲れた声を漏らす。「……こりゃ、風紀委員長っていうよりストーカー育成委員長の間違いだな。」
銀八は深くため息をつきながら、書類を机に投げ出す。「ま、いいや。それよりも本題だ。ひとまず、昨日起きた出来事について話すから、耳の穴かっぽじってよーく聞けよ。」
沖田が興味津々の顔で銀八に向き直る。「へぇ〜、あの女万事屋の旦那に手ぇ出したんですかい? しかも睡眠薬って……なんか、それっぽい話じゃないですか。」
土方は半眼で銀八を見やり、ぼそりと呟く。「……まあ、原作通りっちゃ原作通りだな。予測できねぇでもねぇ。」
沖田はその言葉に反応し、にやりと笑う。「土方さぁん。銀魂唯一のマガジン派ってのでマウント取りたいのはわかりますが、メタ発言しながらマウント取るのうざいんで……」
木刀をロケランに持ち直し、軽く構えながら続ける。「ここらで一発、土方さんとマガジンの記憶全部を吹き飛ばすってので、良いですかねぇ?」
土方は怒り、拳を握りしめた。「お前、どんだけ俺を吹き飛ばしてぇんだよ!!」
銀八は二人を横目で見つつ、だるそうに言った。「はいはい、そこまで。どうでもいいから、業務内容を伝えるぞー。」
銀八は書類をバンと机に叩きつけ、指を土方に向ける。
「まずマヨネーズ。お前は風紀委員を集めて、生徒指導室を拷問バージョンに変えとけ。」
土方は目を見開いて固まる。「……は?」
銀八は意に介さず、今度は沖田を指差す。「で、ドSキング。お前は二乃の野郎が学校に登校したら、ナンパしろ。」
沖田は不満げに木刀を肩に乗せ直し、顔をしかめる。「へぇ〜……あの女調教するのは面白そうですけど、ぶっちゃけ好みかって言われたら別にそこまでねぇんですけどね。」
銀八は手を振りながら、ニヤリと笑う。「話は最後まで聞けよ。あいつはかなりの面食いらしいからな。お前は顔だけ見りゃ優良物件。そんなお前にナンパされたら、さぞテンションが上がるだろうよ。」
沖田は笑みを浮かべながら頷いた。「なるほど、そりゃどうも。」
銀八はさらに話を続けた。「で、テンションが上がったところを生徒指導室に連れてけ。その後はお前の好きな調教の時間ってわけだ。」
沖田は目を輝かせ、木刀をクルクル回しながら笑う。「なるほど! 上がりまくったテンションをとことん落とすって戦法ってわけですねぇい。こりゃ腕が鳴りますでさぁ!」
土方は眉間にしわを寄せ、ため息をつきながら銀八に尋ねる。「……で、俺の仕事、拷問室だけで終わりか?」
沖田は楽しげに笑いながら、軽く言い放つ。「いやぁ土方さんには他の仕事も頼みますぜ」
土方は額を押さえて嘆くように呻く。「……また面倒な事が増えやがた」
その後も銀八のだるそうな声と、沖田の笑い声、土方の嘆きが会議室に響き続けた――。
ーーーーーーーーー
五つ子、それぞれのクラスに登校する
朝日が差し込む教室の窓際、二乃は席に座りながら、大きなため息を一つついた。
「はぁ……」
近くにいたクラスメートたちが、その様子に気づいて声をかけてくる。
「どうしたの二乃ちゃん?」
「朝からため息なんかついてさ、何かあったの?」
二乃は頬杖をつきながら、少し不機嫌そうに答えた。
「あのね〜、転校そうそう私の家に部外者が入ってきて、私たちに面倒かけた奴がいたことに疲れたのよ。」
クラスメートたちは顔を見合わせ、心配そうに声を上げる。
「えぇ! 大丈夫だったの?」
二乃は肩をすくめ、ため息をもう一つついた。
「まぁね。その件はひとまず解決したんだけど、はぁ〜……なんか、良い顔の男子来ないかな〜」
その一言に、クラスメートたちは呆れたような笑顔を浮かべる。
「な〜んだ、本当の理由はそれか〜!」
「二乃ちゃん、相変わらず面食いだもんねー。でも難しいと思うよー?」
二乃が口を開きかけたその瞬間――
ガラガラッ
教室の扉が開く音が響き渡った。
教室は一瞬で静まり返る。誰もが扉の方に目を向けると、そこには一人の男子生徒が立っていた。
「あのー、中野二乃って子、いる?」
その声は教室に緊張感を漂わせた。柔らかい声色だが、どこか冷たさも感じさせる響き。そして、男子生徒の整った顔立ちは、教室中の注目を一瞬でさらってしまった。
「え?」
「えェェェェェェェェェ!!」
クラスメートたちはざわめき始める。
「あの人! 顔はS級、中身はドS級! 風紀委員の学年長の沖田総悟君だよね!!」
「聞き間違えじゃないよね!? あの沖田君が二乃ちゃんを呼んでるって……!」
一部の女子は興奮気味に声を上げるが、もう一人のクラスメートが首をかしげながら小声で言った。
「でも二乃ちゃん選り好みすごいから……好みじゃないって断るんじゃ……」
しかし、そんな不安をよそに――
二乃は目を輝かせながら席を立ち、沖田の元へと歩み寄っていた。
「ねぇ、あなたが私を呼んだの? 風紀委員の沖田君だよね? なにか用があるの?」
沖田は無表情を保ちながら、淡々と答える。「ああ、メ……二乃。昼休みちょっと来てもらえるか?」
それだけのやり取りにもかかわらず、二乃の顔には満面の笑みが浮かんでいる。
「もちろんいいわよ! それで、どんな用件なの?」
二人が楽しげに話し始める様子に、教室の空気が変わる。
「話してたァァァァ!!!」
クラスメートたちが驚きの声を上げた。
「めっちゃ目を輝かせて話してるゥゥゥゥゥゥ!!」
二乃の輝く表情と、沖田の淡々とした態度が対照的で、教室中の視線は二人に集中していた――。その後二乃は沖田と昼休みに会う約束して、
午前の授業を受けた。
昼休み
昼休みの賑わう廊下を、沖田と二乃が並んで歩いていた。沖田は肩の力を抜いた軽い歩調で、穏やかな表情を浮かべている。一方、二乃は彼の隣で、どこか浮き足立ったような様子だった。
「……ねぇ、沖田君。」
二乃が話しかけると、沖田は顔を向けずに、やや柔らかい声で返した。
「ん?」
「風紀委員の学年長が私に直接用があるなんて、少し意外だったわ。で、何の話なの? まさか……私に告白とか?」
冗談めかした二乃の言葉に、沖田はわずかに笑みを浮かべながら首を振る。
「告白なんて大それたこと、俺にできるわけないっすよ。むしろ、お前みたいに可愛い子とこうして話せるだけで光栄ですけどねぇ。」
その言葉に、二乃は一瞬驚き、そしてすぐに笑顔を浮かべた。
「ふふ、意外と礼儀正しいのね。」
沖田は手をポケットに入れながら、軽く肩をすくめる。
「そりゃあ、風紀委員としてちゃんとした態度を見せないと、学校の評判にも関わりますからねぇ。」
二乃はさらに嬉しそうに笑った。「そうね、風紀委員としての自覚があるのは大事なことよね。」
周囲の生徒たちは二人のやり取りを遠巻きに見つめながら、ひそひそと声を交わしていた。
「沖田君って、あんなに優しげな話し方するんだね……」
「でも、ただの良い人ってわけじゃない気がする……」
それを耳にすることなく、二人は廊下を進んでいく。
二乃の心情
「……ふぅん、意外と真面目な人じゃない。」
二乃は歩きながら、ちらりと沖田の横顔を盗み見た。整った顔立ちに、飄々とした雰囲気。少し生意気な態度を想像していたが、むしろ紳士的な一面があることに、彼女は驚いていた。
(顔もいいし、優しそう。……意外といいかもね。)
そんな風に考えながら歩く彼女の足取りは、次第に軽くなっていた。
生徒指導室の前にて
やがて二人は生徒指導室の前に到着した。沖田は軽く足を止め、部屋の扉を指差した。
「着きましたね。どうぞ、先に入ってください。」
二乃は少し戸惑いながらも、扉を見上げる。「ここって……生徒指導室よね? 私、何か悪いことしたかしら?」
沖田は優しく笑みを浮かべて答える。「いやいや、そういうんじゃないっすよ。ただ、ここなら落ち着いて話せると思いまして。」
その穏やかな声に、二乃の表情は少し和らいだ。
「ふぅん、そうなのね。……じゃあ、お言葉に甘えて入らせてもらうわ。」
彼女は一歩前に出て、扉を押し開ける。
沖田はその背中を見つめながら、柔らかい笑みを崩さずに続けた。「どうぞどうぞ。中で、ゆっくり話しましょう。」
二乃が部屋に入ると、沖田は一瞬だけ表情を変えた。
その笑みは――調教師沖田の本性を表すものだった。
しかし、彼はすぐにいつもの柔らかな表情に戻り、静かに扉を閉めた。
二乃は周囲を見回した。机と椅子、そして書類が無造作に置かれた普通の部屋……のはずだったが、どこか異様な空気が漂っている。
「さて……こちらのメニュー表から何にするか選んでくだせぇ。」
沖田がそう言いながら、机の上に一枚の紙を置いた。手書きの文字がぎっしりと書かれた紙――だが、内容はどうにも普通ではなさそうだった。
「くだせぇ?……まぁいいわ。分かった……」
二乃は不審げな表情を浮かべながらも、メニュー表を手に取る。しかし、内容に目を落とした瞬間、その顔は引きつった。
「………何これ?」
彼女が見たのは――「調教メニュー表」と書かれたタイトルと、並ぶ怪しいメニューの数々だった。
沖田はニヤリと笑い、あくまで楽しげな声で答える。「何って見たら分かるでしょ? 調教メニュー表でさぁ。」
二乃は一瞬、何かの冗談かと思いながら沖田の顔を見つめた。しかし、彼の表情は本気そのものだ。
「…………」
言葉を失った二乃に、沖田は追い打ちをかけるように続けた。「他にも、三角木馬のBコース、ロウソク攻めのCコース、DコースEコースなんかもご用意しておりやす。」
二乃は椅子から立ち上がり、声を荒げた。「ちょっと、ふざけないでよ! 何なのよこれ!」
だが、沖田は涼しい顔のまま、椅子に深く腰を下ろしながら答える。「おやおや、お嬢さん。怒らないでくだせぇ。風紀委員として、悪い子にはそれなりの指導をするのが俺の役目でさぁ。」
「悪い子って、私が一体何をしたって言うのよ!」
沖田は紙を指でトントンと叩きながら説明を始める。「あんたさぁ昨日
万事屋の旦那と………誰かに睡眠薬飲ませたらしいじゃねぇですか?」
二乃「被害者の名前ぐらいおぼえときなさいよ!ってなんでその事を知ってるわけ?」
沖田「おやおや、天下のドSキング沖田総悟を舐めないでくだせぇこちとら調教……指導対象になりそうな奴の情報はすぐに掴んでるんで」
二乃「今調教って言ったわよね?今本音漏れて調教って!!」
た。「ほらほら、そんなに怒らないで。怒るとお嬢さんの可愛い顔が台無しですよ。」
彼の柔らかい笑みに、二乃は一瞬言葉を失う。しかし、すぐに机を叩いて言い返した。
「顔のことなんてどうでもいいの! あなた、こんな変な紙を用意して、何考えてるのよ!」
沖田は机の上で指を組み、ニヤリと笑った。「そりゃあもちろん、お嬢さんを生徒指導室に連れてきたからには、ちゃんと反省してもらうためのメニューを用意しただけですよ。どれも効果抜群でさぁ。」
二乃は再びメニュー表を見て訊ねる。
「これ本当にやるの?」
沖田は飄々とした笑みを浮かべながら、椅子にもたれて答えた。
「当然でさぁ。さっさと選ばないと……次のスペシャルコースが始まりますぜ?」
「スペシャルコース……?」
二乃が怯えたように尋ねると、沖田はわざとらしく深刻そうな声で続けた。
「土方さんのマヨネーズ推薦付きスペシャルコースでさぁ。」
その言葉が終わるや否や、廊下から響く重い足音。そして、ドアが勢いよく開いた。
「……あぁ、めんどくせぇ!!」
土方が乱暴に生徒指導室に入ってきた。その手にはいつものマヨネーズボトルがしっかりと握られている。
二乃は目を見開き、思わず後ずさる。「な、なによ……!」
沖田は笑いを堪えきれない様子で、土方に向かって軽く手を振った。「おやおや、土方さん。遅いじゃねえですか。」
「お前が勝手に俺を巻き込みやがったんだろうが!」
土方は面倒そうに頭を掻きながら、二乃に視線を向ける。
「俺だって、マガジンキャラにはあんまり悪いことはしたくねぇんだが……」
「……な、何を言ってるの?」
二乃が困惑する中、土方は深いため息をつき、マヨネーズボトルを振りかざしながら続けた。
「公私は分けねぇといけねぇ。それにな……」
彼はボトルをグッと握り締め、目を輝かせて宣言する。
「マガジンのキャラクターに、マヨネーズの素晴らしさを教えられるなら、問題ねぇだろ。」
「い、いやぁ……!」
二乃は完全に怯えきり、椅子を後ろに引きながら叫び声を上げた。
沖田はそんな二乃を見て、楽しそうに笑いながら肩をすくめた。
「残念ですねぇ。さっさとメニューを決めとけば、楽な調教で済んだのに。」
土方はマヨネーズを片手に、沖田はもう片方の手で机をトントンと叩き、にやりと笑った。
「さぁ、お嬢さん。土方さんのマヨネーズ&スペシャルコースを存分に味わわせてやりますぜ。」
「いやァァァァァァァァ!!」
生徒指導室から二乃の叫び声が学校中に響き渡った。
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学食の一角で、上杉風太郎は三玖に昨日の件を詫びに来ていた。
「よ、よう三玖! 偶然だな!」
上杉は気まずそうに口を開き、三玖がトレーに載せたサンドイッチと飲み物に目を留めた。
「……350円のサンドイッチに、抹茶ソーダ……? なんだその組み合わせ。逆に気になるな。」
三玖はそっぽを向きながらつぶやいた。
「意地悪するフータローにはあげない。」
「は? どの辺が意地悪なんだよ。」
「人の気持ちも考えずに物を言うところ。それに、無理やり勉強させようとするところ。」
淡々と言い放つ三玖の態度に、上杉は肩をすくめた。
「その理屈でいくと、先生たちは全員お前に意地悪してることになるけどな。」
三玖は視線を逸らし、返事をしない。そのタイミングで四葉の元気な声が響いた。
「上杉さーん! お昼一緒に食べませんかー?」
「うおっ!? 四葉か、びっくりした!」
「はい! リボンがトレードマークの四葉です! 昨日は逃げちゃってごめんなさい!」
―四葉は上杉と話すとき、妙にテンションが高い。
「それで三玖――」
上杉が話を続けようとした瞬間、四葉が問題集を掲げて割り込んできた。
「これ見てください! 英語の問題です!」
「さっきの話――」
「全部間違えてました! あははは!」
四葉が笑い飛ばすその瞬間、ペシッという音が響いた。
「あいたっ!?」
いつの間にか一花が立っていて、軽く四葉の頭を叩いたようだ。
「ごめんね? 邪魔しちゃって。」
「一花も勉強見てもらおうよ!」
「うーん、私はパスかな? だってほら、私たちは馬鹿だし。」
三玖は黙ってトレーのサンドイッチを見つめていたが、一花は話題を変えるように口を開いた。
「ねえ、風太郎君。高校生活、勉強だけってどうなの? もっと青春をエンジョイしようよ。」
「青春?」
「そうそう。例えば恋とか。」
「……恋?」
上杉は一花の言葉を聞き流すように冷静に口を開いた。
「青春? あれは学業から最も離れた愚かな行為だ。したいやつは勝手にすればいい。その人生のピークは学生時代になるだろうな。」
その冷たい言葉に、一花は口を尖らせる。
「そんな言い方しなくてもいいじゃない。もっと柔らかく言いなさい」
四葉も慌ててフォローするように言った。
「上杉さん、青春だって大切だと思いますよ? ほら、思い出にもなるし……。」
だが、上杉の目は冷たいままだった。
「思い出なんかに価値はない。未来を見据えない行動は無駄以外の何物でもない。」
その冷徹な一言に、三玖まで目を見開いた。その静寂を破ったのは――銀時だった。
「おーい、お前らー! 青春がどうとか無駄がどうとか、何難しい話してんだよ!」
銀時は両手をポケットに突っ込み、フラフラと歩いてくる。後ろには新八と神楽が続いていた。
上杉が眉をひそめる。「……銀時。」
銀時は椅子を引き、どっかり座り込むとニヤリと笑った。
「俺はお前みたいに青春否定してる硬いやつをぶっ壊しに来たヒーローだ。」
新八が即座にツッコむ。「ヒーローなわけないでしょ! 学食に突撃してくるヒーローなんて聞いたことありません!」
神楽も銀時を指差して笑う。「あはは、銀ちゃんがぶっ壊すって、銀ちゃん自身が一番壊れてるネ!」
銀時は二人を無視して上杉に向き直る。
「で、青春が無駄だとか言ってるらしいけど、お前の人生のピークってどこなんだよ?」
上杉は冷静に答えた。
「人生のピークは、結果を最大化できる瞬間だ。それが訪れるまで努力を続けるだけだ。」
銀時は一瞬ポカンとしたが、悪戯っぽく笑った。
「なるほど、つまり今のお前は、ピークにすら届いてねぇ半端者ってことか。」
「……そういう言い方をするなら、銀時、お前はピークどころか下り坂で転がってるように見えるが?」
その一言に銀時の顔が引きつり、新八が思わず吹き出す。神楽は腹を抱えて大笑いした。
「銀ちゃん、完全論破されたネ!」
銀時は椅子に深く座り込み、ぼやく。
「ったく、マガジンのガキは口が減らねぇな……。」
四葉はぽつりと呟いた。「……なんだか、ちょっと楽しそう。」
一花が微笑む。「そうね。こういうのも青春って感じじゃない?」
三玖は静かに頷きながら、上杉と銀時のやり取りをじっと見つめていた
四葉が机をバンと叩きながら、突然話題を変えた。
「そうだ! 三玖はどうなの? 好きな人はいる?」
その言葉に、三玖は驚き、スプーンを持つ手をピタリと止めた。
「……えっ?……い、いないよ……!」
声は小さく、どこかぎこちない。だが、四葉の目は輝きを増していた。
「あの表情は……! 姉妹の私なら分かります!!」
彼女は勢いよく立ち上がり、指を三玖に向けてズバリと言い放つ。
「ズバリ、三玖は恋をしています!!」
「えぇ!?」
三玖は顔を真っ赤にし、慌てて否定しようとするが、その様子を見ていた一花が静かに笑った。
「間違いないね。」
優雅な笑みを浮かべた一花の言葉に、三玖の赤みはさらに増す。
「そ、そんなことない…………!」
一花は余裕たっぷりに顎に手を当てながら言う。「いやいや、その焦り方、完全に図星でしょ?」
四葉も勢いを増して言葉を続ける。「そうだよね! 姉妹の私たちには隠し事なんて通じないから!」
三玖は反論する言葉も見つからず、下を向いたままスプーンを弄る。
そんな様子を見て上杉は思った。
『これ……銀時が家庭教師として参加するって伝えたら三玖も勉強捗るんじゃ…』
上杉「あの三玖」
三玖「?」
上杉「昨日の謝罪と一緒に、お知らせなんだが……銀時も家庭教師として参加するんだけど……」
それを横で見ていた一花が、銀時をじっと見つめながら口を開く。
「確かに!銀さんに協力してもらうのもいいかもね。家庭教師としてどういう指導をしてるのか興味あるし。」
四葉も手を叩きながら賛成の意を示す。「確かに! 坂田さんが家庭教師してくれたら、なんだか楽しそう!」
三玖は目を丸くして二人の言葉を聞き、慌てて銀時に視線を向けた。
「えっ……? 家庭教師……?」
銀時はニヤリと笑い、椅子を勢いよく回しながら答えた。
「そうだよ。俺もお前らの家庭教師に参加してやっから、そのつもりでいな。」
「えええ!?」
三玖の顔は瞬く間に真っ赤に染まった。
「なんで……そんな勝手に……!」
一花は肩をすくめながら微笑む。「いいじゃない、三玖。ほら、銀さんも一緒にいれば賑やかになるし。」
四葉も楽しげに笑いながら言った。「うんうん!坂田さんも増えれば勉強が捗るかもしれないしね!」
三玖は二人の勢いに押され、どうすることもできず視線をさまよわせた。
「えっと……そ、それは……その……」
銀時がそんな三玖を見て、さらにからかうようにニヤリと笑う。「おーい、ヘッドフォン! 顔真っ赤だぞー? 恋だなんだの話でそんなにテンパってんのか?」
「ち、違う! ……もう、分かった」
三玖はテーブルに向き直り、思わず顔を隠すように俯く。
「……好きにして。」
その小さな声に、銀時が勝ち誇ったように笑う。「おーし、決まりだな! 今日から俺も家庭教師、よろしくな!」
新八はため息をつきながら頭を抱えた。「……まぁ収まったからいいか。」
神楽は満足げにカレーを頬張りながら、楽しげに言った。「これで私たちも行く理由ができたネ! 万事屋式家庭教師、スタートアル!」
一花がふと思い出したように口を開いた。
「そういえば二乃は? 朝から姿を見てないけど。」
四葉も首を傾げながら答える。
「確かにね〜。いつもなら私たちのことを『何だかんだ』って小言言いにくるのに。」
銀時が腕を組んで眉をひそめた。
「あぁ、あのちょっと気が強そうなやつか……そいつなら」
そのとき、不意に三玖が口を挟んだ。
「二乃なら、そろそろ戻ってくると思う。」
その言葉と同時に、部屋の襖が勢いよく開かれた。そこには沖田総悟が立っており、手に何かを引いている。
「お待たせしました。」
沖田の声が部屋中に響き渡る。
銀時が目を丸くして振り返る。
「おお、終わったのか……って、何だこれ?」
視線の先には、縄で繋がれた二乃の姿があった。髪は少し乱れ、目にはどこか戦い抜いた痕跡が宿っている。しかし、その堂々とした姿とは裏腹に、彼女は何故か四つん這いのまま沖田に引かれていた。
一花が思わず口を手で覆う。
「これ……何?」
四葉も目を丸くして指を指す。
「犬みたいになってるよ、二乃!」
沖田はまるで日常茶飯事のような態度で説明を始める。
「昨日の睡眠薬の件で調教……いや、指導は終わらせましたぜ。あとは煮るなり焼くなり好きにしていいです。」
新八は一瞬で状況を飲み込み、頭を抱えながら叫んだ。
「オイィィィィ!!何を“調教”って言ってるんですか!? ヒロインを縄で繋いで“調教”ってどういうことですか!? しかも相手は『五等分の花嫁』で人気ランキング第二位の人気キャラですよ!? 勝手にイメージ崩壊させないでください!!」
沖田はその叫びをどこ吹く風とばかりに、片手に持ったマヨネーズを二乃に差し出した。
「心配ご無用。ちゃんと餌は人間用の食べ物にしてるんで。」
そう言いながら、マヨネーズを豪快にかけた奇妙な料理を二乃に差し出す。彼女は眉をひそめながらも、それを渋々と口に運び始めた。
沖田は誇らしげに胸を張りながら言い放つ。
「土方さん直伝、“土方スペシャル”がこいつの餌でさぁ。」
新八はそれを見てさらに声を荒げる。
「餌って言葉をヒロインに使うなぁぁぁ! そもそも土方スペシャルって食べ物じゃないでしょ! 一体どうやったらそれをヒロインに食わせようなんて思うんですか!!」
二乃はそんな新八の声を無視して、無心で土方スペシャルをもぐもぐと食べ続けている。その姿に銀時はため息をつき、呟いた。
「……まあ、次回にでもなれば元に戻んだろ?作者の都合で。」
神楽は一連の騒ぎを見ながらカレーを口いっぱいに頬張り、満足げに笑う。
「これで益々賑やかになったネ! 勉強どころじゃなくて楽しいアル!」
そんな彼女の一言で、部屋中が笑いに包まれた。
そして、一花と四葉と上杉は心のどこかで思った。
――この家庭教師計画、大丈夫なのか?
それでも、今日も新たな騒動を予感させながら、学校での生活がゆっくりと進んでいくのだった。
キレ悪いけど…すぐにでも新しく話作るんでお願いします。