「嫁魂~騒がしすぎる青春模様篇~」   作:時代に遅れている

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遅れましたすいません。
クリスマス

銀時「俺今年彼女とクリスマスパーティに行くんだ〜。とか」

銀時「クリスマスという聖夜を利用して仲良くなった女子に告白して成功しましたとか」

銀時「クリスマスでイチャイチャラブラブしてる奴ら……」

銀時「来年から全員死刑!!」

銀時「そんなネタはなぁ〜。聖夜とラブコメが誕生している時から使い古されてんだよ」

銀時「もうウンザリなんだよ!!彼女いるアピールしてニヤケる高校男子の顔!!どうせすぐ別れるってのに」

銀時「辞めるべきだろこんな悪習!!辞めるべきだろこんな茶番!!」

銀時「てなわけで来年から彼女いた奴ら全員死刑に処すからファナルアンサー!!?」

新八「ファイナルアンサァァァァ!!」

神楽「銀ちゃんの彼女いなくて寂しいアピールもとことんウザいから辞めるヨロシ」

上杉「そうだな彼女いなくても過ごしていけるし……」

銀時「テメェの意見は聞いてねぇんだよ独り身推進課所属の上杉風太郎!!」

二乃「アイツら何やってんのかしら?」

一花「さぁ…なんか悲しくなりそうな考え方が飛び交っているのは分かるけど……」

五月「それより挨拶が……全員揃いませんよ!!」

一花「うーんあの様子だと……しばらく続きそうだし……始めちゃおっか」

四葉「では5人揃って……せーの!!」

5人「メリークリスマス」





第十講 五つか子は何もかもを五等分

祭りの喧騒の中、近藤と土方は夜空に次々と打ち上げられた花火の後をぼんやりと眺めていた。花火の明かりが彼らの横顔を明るく照らしては消えていく。

 

近藤がぽつりと呟いた。

「トシ、総悟のやつが『ちょっとウンコしてくる』っつったきり、全然戻らんのだが……?」

 

土方はため息をつきながら腕を組んで。

「……あの野郎、どうせどっかでサボってるに決まってるだろ。」

 

「トシ、仲間を疑うのは良くないぞ。」

近藤が鋭い声で言い放つ。

 

土方が肩をすくめると、近藤は拳を固く握り締め、熱い目で続けた。

「俺は総悟を信じる。きっとウンコのキレがものすごく悪いんだ。俺はそう信じたい!」

 

土方はその言葉にわずかに目を細め、皮肉っぽく呟く。

「そんな信じ方されるくらいなら、疑われた方がマシだと思うがな……。」

 

近藤は真剣な顔を崩さず、土方を無視して再び空を見上げた。遠くでまた一発、花火が夜空に咲く。

 

土方は上を向いてふと思い出したように言った。

「それより山崎の野郎、おせーな。」

 

近藤が首を傾げて土方を見やる。

「何だ?何かあったか?」

 

「いや、ちょいと小腹が減ってな。焼きそばを買ってくるように頼んだんだよ。」

土方は自分の腹を軽く叩きながら、もう片方の手で煙草を灰皿に押しつけて消した。

 

その時だった。人混みの中から慌ただしい足音が近づいてくる。

 

タッタッタッ……

 

「副長ォォ!!」

人混みをかき分けながら、山崎が声を張り上げて駆け寄ってきた。

 

「……あっ、間違った。副委員長ォォ!!」

山崎が慌てて言い直し、息を切らしながら土方の前で立ち止まる。

 

土方は腕を組み、低い声で睨みつけた。

「おせーぞ!!マヨネーズもちゃんと付けてもらったんだろうな?」

 

山崎は恐縮した様子で、手に持っていた焼きそばの箱を土方に差し出す。

「す、すみません!ちゃんと買ってきました!」

 

土方は箱を受け取ると、勢いよく蓋を開けた――が、そこで動きが止まった。

 

「……オイ、これ……。」

 

近藤も興味津々で箱を覗き込む。中には、焼きそばがほんの少しだけ残っているだけだった。

 

土方が冷たい目で山崎を見上げる。

「ほとんどねぇじゃねぇか。」

 

山崎は気まずそうに頭を掻きながら言い訳を始める。

「じ、実は急いでいたもんで……途中ですっ転んでぶちまけちまいました。」

 

山崎は胸に手を当て、真剣な顔で答えた。

「すみません。山崎退、一生の不覚です。」

 

だが、土方の視線は山崎の顔――いや、口元に釘付けだった。彼の口元には、青のりがくっきりと付いている。

 

土方は、ゆっくりとその口元を指差しながら言った。

「……そーか。俺は口元の青のりの方が一生の不覚だと思うがな。」

 

その言葉に、山崎は思わず口元に手を当てる。そして気まずそうに目を逸らしながら、ぽつりと呟いた。

 

「あっ……。」

 

その後山崎が急いで逃げるが

 

土方が「山崎ィィィィ!!」と叫びながら追いかけて

 

山崎が転倒し、土方がその上に追いすがる形で蹴りを入れ始めた。

 

「違うんですよ!副委員長ォォ!これは途中で買ったもんじゃ焼きが原因で……!」

山崎は必死に弁解するが、その声は花火の音にかき消される。

 

ボカッ!ボカッ!ボカッ!

 

土方は止まらず蹴りを繰り返す。

「知ったことか!」

 

山崎は苦しげに呻きながら小さく呟いた。

「やばい……もんじゃ……もんじゃになる……。」

 

「ぐへッ!」

ついに山崎は息絶えたように地面に倒れ込んだ。

 

土方は荒い息をつきながら一息つき、振り返る。

「オイ……俺の焼きそばどーするよ……」

 

その瞬間、土方の視界に入ったのは――

 

「って食ってる!!?」

 

近藤が、ほとんど残っていなかった焼きそばを器用に掬って食べているところだった。

 

近藤は、のんびりした口調で答える。

「そうカリカリするなよ、トシ。今日は無事花火も終わったし、何も怒らんさ。ハメはずそーぜ。」

 

土方は眉間に青筋を立てながら、近藤の襟を掴みそうな勢いで詰め寄る。

「何寝ぼけたこと抜かしてんだ!こういう油断してる時に限ってだな……!」

 

その言葉を遮るかのように、遠くから騒がしい声と轟音が近づいてきた。

 

「わーハッハッ、そのまま一直線だエリザベス!!」

桂の声が響き渡る。彼はエリザベスに乗っかりながら、風を切って突進している。

 

「ドケドケェェェ!」

エリザベスはプラカードを掲げ、人々を跳ね飛ばしながら猛進していく。

 

 

その後ろから、さらに喧騒をかき分けて追いかける影があった。

 

「待てェェェ!!桂ァァ!!」

沖田が笑みを浮かべながらロケットランチャーを構えている。

 

「雌豚ァァァァ!!」

沖田が発射したロケットが空中で爆音を響かせながら飛び去る。

 

その爆発を避けながら、エリザベスに乗っているもう一人の影――二乃が怒鳴り声を上げる。

 

「もう!何でこうなるのよォォォォ!!」

二乃も必死にエリザベスにしがみつきながら、場外乱闘の渦中に巻き込まれていた。

 

近藤は焼きそばを食べる手を止め、土方に向けて言った。

「……トシ、これ夢じゃないよな?」

 

土方の顔が引きつる。

「だから言っただろ!油断してる時が危ないって!!」

 

すぐに土方は木刀を抜き、沖田たちの方向を睨みつける。

「この祭りをぶっ壊される前に、あいつら止めるぞ!!」

 

近藤も腰を上げ、威勢よく叫んだ。

「よし!テメェら、行くぞォォォ!!」

 

「おォォォォ!!」

 

他の風紀委員も近藤の掛け声に合わせて立ち上がり桂たちを追いかける。

 

- 「エリザベス!もっとスピードを上げろ!」

- 桂の指示に応じて、エリザベスはその巨大な体を揺らしながら地を蹴った。一瞬で周囲の人々が吹き飛ぶように散らばり、エリザベスは花火大会会場を突っ切るように走り抜けていく。

- プラカードには「通行中、どけ」とだけ書かれているが、その威圧感は周囲の客たちを凍りつかせた。

- 後ろにしがみついている二乃は、風に髪をなびかせながら必死で叫ぶ。

- 「ちょっと待ってよォォォ!!こんなスピードでどこ行く気なのよ!」

-

- 桂は振り返りもせずに冷静に答えた。

- 「決まっているだろう!約束の地までだ。」

-

- 「アンタと約束した覚えはないわ!だからその約束の地ってどこなのよ!?」

- 二乃のツッコミも届かないまま、エリザベスはさらにスピードを上げていく。

-

-

- 一方、後方から猛追しているのは沖田。彼の手にはなぜかロケットランチャーが握られている。

-

- 「ほらほらぁ!逃げられると思ってんのか、桂ァァ!!」

- 沖田は笑みを浮かべながら、エリザベスを目がけて照準を合わせる。

-

- 「止まれって言ってんだろ!止まらねぇなら容赦なく撃つぜェェ!」

-

- 桂は振り返り、プラカードを掲げて答える。

- 「撃てるものなら撃ってみろ!だがエリザベスのスピードに追いつけるかな!?」

-

- 二乃「アンタまでプラカードで会話する必要ないでしょ!!」

-

- 沖田の目が光る。

- 「そうかい。じゃあ撃たせてもらうぜェェ!!」

-

- ドゴォォォン!!

- 轟音とともにロケット弾が発射される。

-

- そのとき、沖田がロケットランチャーを再び構えるのが見えた。

-

- 土方は自分の目を疑いながら怒鳴った。

- 「オイ総悟!何で交通整理する奴がロケラン持ってんだァァァ!!」

-

- 沖田は満面の笑みで振り返り、軽い口調で応じる。

- 「いやぁ、副委員長ぉ。これは警備用ですぜ?」

-

- 土方の目が完全に据わる。

- 「どこの警備がロケラン持ち歩いてんだ!ぶっ飛ばされてぇのか、コノヤロー!」

-

-

-

- しかし、エリザベスは驚異的な反射神経で身をひるがえし、ロケット弾を難なく回避。爆発音が後方に響き渡り、人混みはさらにパニックに陥る。

-

-

- エリザベスは花火大会会場を抜け出し、街中へと突入していた。その巨体が道路を揺らすたびに、道行く人々が悲鳴を上げて飛びのく。

-

- 二乃は必死でエリザベスの背中にしがみつきながら叫ぶ。

- 「何でこんなことになってんのよォォ!!」

-

- 「はぁ……何であの時OKしちゃったのかしら………」

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- 二乃は屋上に佇み、冷たい夜風に吹かれながら遠くの夜空を見つめていた。祭りの喧騒はまだ続いているが、彼女の心には静かな諦めの気持ちが広がっていた。

 

「はぁ……結局、集まれなかったわね。」

 

自嘲気味に呟きながら、二乃は手すりに寄りかかる。ふいに思い出されるのは、今日の花火大会に寄せた姉妹たちの期待だった。

 

「何でアイツら……風太郎たちに期待なんてしちゃったのかしら……」

 

自分への苛立ちが増していく。

 

「あーもう!腹が立ってきたわ!」

 

その怒りがふと静まり、今度は呟きが切なさを帯びる。

 

「………みんなで花火、見たかった。」

 

その時、静かな声が背後から聞こえてきた。

 

「見れるぞ。」

 

二乃は驚いて振り返る。

 

「!?」

 

そこには、堂々と立つ桂とエリザベスの姿があった。エリザベスはプラカードを掲げている。

**「諦めるのはまだ早い!」**と書かれていた。

 

二乃は彼らの突然の登場に困惑しつつも声を上げた。

 

「あ、アンタは……」

 

そして、桂を指差して叫ぶ。

 

「NTRの変態ィィィィ!!」

 

桂は眉を吊り上げ、怒りを露わにした。

 

「NTRの変態じゃない桂だ!!」

 

しかし、エリザベスは淡々とプラカードを掲げる。

「あながち間違ってはない」

 

二乃はエリザベスの冷静な反応に目を細めながら、呆れたように言った。

 

「で?何の用なのよ。花火はまだ終わってないって……もう終わってるじゃない。」

 

桂は真剣な表情で、胸を張りながら答える。

 

「二乃殿と言ったか?そなたは風太郎や銀時たちが約束を守らん男に見えたのか?」

 

その問いに、二乃は一瞬言葉を詰まらせた。

 

「そんなふうには見えなかった。けど!花火は終わって、姉妹で見ることは叶わなかった!」

 

桂はにやりと笑みを浮かべ、力強く頷く。

 

「言っただろう二乃殿。花火はまだ終わっていないと。」

 

そして懐からスマホを取り出し、画面を二乃に見せながら言葉を続けた。

 

「先ほど銀時から連絡を受けてな。そなたのいる場所と共に、連れて来てくれと頼まれたのだ。『姉妹で花火を見せられる場所に』とな。」

 

その言葉に、二乃は目を見開く。

 

「!?」

 

「………それほんとうなの?」

 

桂は真摯な表情で頷いた。

 

「武士に二言はない!」

 

決意と出発

桂は堂々と二乃に向き直り、問いかけた。

 

「どうする?ここで不貞腐れるまま祭りの余韻に浸るか。それとも、俺たちと共に銀時たちを信じて花火を見るか。」

 

二乃は一瞬迷うように視線を落としたが、やがて顔を上げた。

 

「行くわよ。………行く!少しでも姉妹揃って花火を見られるなら、私はアイツらを信じる。」

 

その言葉に、桂は満足そうに頷き微笑む。

 

「ほう。」

 

二乃は眉を吊り上げ、桂を指差しながら叫ぶ。

 

「だから!あんたたちも道案内しなさいよ!」

 

桂は手綱を引き、エリザベスにまたがりながら答えた。

 

「あい分かった。なら今すぐにここを出るぞ。」

 

二乃は眉をひそめ、前を見つめた。

 

「でもこの人混みよ。うっかり迷子にだって……」

 

桂がエリザベスの背中を軽く叩き、優雅に言い放つ。

 

「何って出発の準備だが?」

 

エリザベスがプラカードを掲げた。

「出発準備完了。」

 

二乃はエリザベスと桂を交互に見ながら声を荒げた。

 

「まさか……それに乗るって言うわけじゃないでしょうね?」

 

桂は真剣な表情で言った。

 

「覚悟は決めたはずだ。行くぞ!夕陽の向こうへ!!」

 

二乃は頭を抱えながら叫ぶ。

 

「いや夕陽はとうの昔に沈んでるし!!もう何なのよー!!」

 

街中での逃走準備

エリザベスは街灯に照らされながら、堂々と歩道の中央で構えた。桂は手綱をしっかり握り、二乃がよじ登るのを待っている。

 

二乃はため息をつきながら、仕方なくエリザベスの背中にまたがった。そして、振り返って言い放つ。

 

「絶対に落とさないでよ!」

 

桂は前方を指差しながら宣言した。

 

「安心しろ、エリザベスの走りは天下一品だ!」

 

エリザベスが前足を軽く上げ、次の瞬間猛ダッシュを開始する。

 

「きゃあああああ!!!」

 

夜の街に二乃の悲鳴が響き渡った。桂はそんな二乃を気にする素振りもなく、ひたすら前を見据え、目的地へと向かっていた――。

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エリザベスの背中で揺られながら、二乃はため息をついた。

 

「…………」

 

思わず漏れた言葉は、自分自身を納得させるようなものでしかなかった。

 

「アンタたちのせいじゃない……」

 

だが、それに対して桂はどこ吹く風。堂々と胸を張り、プラカードを掲げた。そのプラカードには、大きな文字でこう書かれている。

 

「逃走中。ごめんなさい。」

 

二乃はその文字を一瞥し、目を細めて呟く。

「謝るくらいなら、最初からやらなきゃいいのに……」

 

だが、そんな冷静な指摘が通じる相手ではなかった。桂は背筋を伸ばし、指を前方に向けて声を張り上げる。

「エリザベス!目的地は学校だ!あそこまで粘れ!!」

 

「学校!?」

二乃は驚きのあまりエリザベスの背中から身を乗り出し、桂に詰め寄る。

「こんな騒ぎ起こして学校に行くって、どういう神経してんのよ!!」

 

エリザベスは冷静な顔で、再びプラカードを掲げた。

「あそこが約束の地」

 

「え……?」

二乃は困惑したまま桂の言葉を聞き返す。

 

桂は満足そうに頷きながら言った。

「到着だ。」

 

その言葉とともに、エリザベスが急ブレーキをかけた。

 

「きゃああああああ!!」

 

エリザベスの急停止による強烈な勢いで、二乃は見事に前方へ飛ばされた。そして、そのまま学校のグラウンドに転がり込む。

 

「ぐふっ……!ちょっと!もう少し丁寧に止まりなさいよ!!」

 

エリザベスは何事もなかったかのように、無言でグラウンドに着地した。桂は悠然と背筋を伸ばしてエリザベスから降り立つと、二乃に手を差し出した。

 

「二乃殿、花火を見る準備はできているか?」

 

「……アンタ、本当に頭大丈夫?」

二乃は転がったまま、桂をじっと睨みつけた。

 

その後桂は追ってきた風紀委員たちに拘束された。だが、そんな状況にも関わらず、桂の目には確信めいた輝きが宿っていた

 

手を振りながら駆け寄る四葉の姿が見える。

 

「二乃が到着しましたよ!」

四葉の声に反応して、五月も嬉しそうに頷いた。

 

「良かった。間に合ったようですね。」

 

二乃は周囲を見回して驚いた表情を浮かべる。

「アンタたち、もしかして!アイツらが花火を見せる場所ってここだったの?」

 

背後から静かな声が響いた。

「そうじゃな。」

 

振り返ると、そこには月詠が腕を組んで立っていた。

 

「月詠先生?アンタまで……?」

 

月詠は軽くため息をつきながら答える。

「わっちも詳しく知らんが……昼間から源外が花火打ち上げ装置を作っておったらしくてな。」

 

その話に、二乃は思わず眉をひそめる。

「花火装置?それが何か……?」

 

すると月詠に続けて陸奥が説明を始めた。

「あまりに大きな花火を打ち上げるもんじゃったから、銀八とわっちが止めたんだが……」

陸奥は苦笑しながら首を振る。

 

「そしたら、あのバカ(源外)が、祭りで花火が終わって悲しんでる五月と神楽を見つけて……そこでとち狂ったんじゃ。『花火砲を使うしかねぇ』ってな。」

 

二乃は呆れたように頭を押さえた。

「つまり、たまたまそこにあった花火砲のおかげでこうなってるってわけ……?」

 

「ううん、それはちょっと違う。」

二乃の疑問に、三玖が静かに口を開いた。

 

「三玖?」

 

三玖は手に持っていたものをそっと差し出す。

「これ……。」

 

「……花火セット?」

二乃はそれを見て驚く。

「どうしたのよ、これ?」

 

三玖は少し微笑みながら答えた。

「これ、銀ちゃんがもし全員で花火を見られなかった時のためにって、買っといてくれたらしい。」

 

「……あの天パが……?」

 

「それだけじゃない。」

三玖は小さく首を振った。

「フータローも、一花を連れ戻そうとして頑張ってた。それに、みんなも……。」

 

二乃はしばらく無言だったが、少し顔を赤らめながら小さな声で言った。

「……そ、そうなの。……お、お礼くらいは言ってあげるとするわ。」

 

その瞬間、周りの皆が一斉にニヤニヤと笑みを浮かべた。

 

四葉が先陣を切る。

「二乃ったら素直じゃないんだから〜!」

 

らいはも可愛らしく笑いながら続けた。

「二乃お姉ちゃん、素直じゃないね〜!」

 

お妙はらいはの頭を撫でながら、口元に手を当てる。

「らいはちゃん?ああいうのはね、ツンデレって言うのよ。」

 

「ツンデレ?」

らいはが不思議そうに首を傾げると、お妙はさらに得意げに話し出す。

 

「ツンデレっていうのはね、最初はツンツンしてるんだけど、後でデレっと甘えちゃう人のことを――」

 

らいはが大きく頷く。

「うん、わかったー!」

 

その様子を見て三玖が苦笑しながら呟く。

「二乃もだいぶキャラが板についてきたね。」

 

五月が少し困ったように手を振る。

「ちょっと皆さん。二乃をいじるのもほどほどに……。」

 

だが、その言葉を最後に、二乃の怒りが爆発した。

「アンタたちいい加減にしなさいよ!!」

 

皆が一斉に驚いて逃げ出す。

 

「うわぁー!!」

 

二乃はすぐに追いかける。

「待てェェェェ!!」

 

五月も巻き込まれたようで悲鳴を上げた。

「何で私までェェェェ!!」

 

その騒動を少し離れたところで見ていた桂は、呟く。

「ふっ、平和な世が一番だな!」

 

土方がマヨネーズをくわえながら、ため息交じりに突っ込む。

「おい、一番平和をぶち壊した張本人が何言ってんだ。なぁ、近藤さん?」

 

だが、返事がない。土方が顔を向けると――

 

「お妙さぁ〜ん!」

近藤はすでに猛ダッシュでお妙を追いかけていた。

 

「追いかけ回されてるらしいね!だったらこの風紀委員長、近藤勲が助けてあげるゥゥゥ!!」

 

お妙が振り返り、拳を構える。

「オメェの助けなんか頼んでねぇんだよ、クソストーカーゴリラがァァァ!!」

 

その騒動を見つけた沖田が笑いながら現れる。

「おい、雌ブタァァァ!テメェまた問題起こしたな!次は一時間コースでさぁ!大人しくお縄につけェェェ!!」

 

二乃が必死で逃げながら叫んだ。

「いやァァァァ!!捕まりたくないし、アイツらには鉄槌を下す、その時まではァァァァ!!」

 

土方は、どこか呆れたように肩を落とした。

「……ダメだこりゃ。」

 

ーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーー

場面は一花のオーディション会場前、上杉が血を流しながら、定春の背中で一花たちと合流する。

 

上杉は定春の背中で、顔から血を流しながら深いため息をついた。

「……Zzz」

 

銀時がちらりと上杉を見ると、皮肉な笑みを浮かべながら口を開く。

「何だ?学年一位は目を開けて寝るくせでもついてんのか?」

 

その言葉に新八が不思議そうに上杉を覗き込む。

「改めて思いますけど……気持ち悪い寝方ですよね……。」

 

「んで、神楽ちゃん?何やってんの?」

新八が疑問に思って神楽の方を振り向くと――

 

神楽「定春、食べてみるヨロシ。」

ニヤリと笑いながら、神楽は定春に合図を送る。

 

定春「バクンッ」

 

その瞬間、上杉の顔が定春の巨大な口に包み込まれる。

 

上杉「……!!!」

 

血が流れ出す。上杉はバタバタと暴れ、叫び声を上げた。

「ぐああああ!!」

 

新八は仰天して神楽に詰め寄る。

「オイィィィィィ!!神楽ちゃん、何やってんだ!!」

 

神楽は特に悪びれる様子もなく首を傾げた。

「いや、過労死で死んでるのかと思って処理してやろうと思っただけアル。」

 

新八は額に手を押さえてため息をつく。

「過労死なら、そもそもお前らのせいで過労死してるよ!!」

 

「それに、死んでたとしても定春に処理を任せちゃダメでしょ!!」

 

その時、不意に声が響いた。

「……お待たせ――って、えっ!?風太郎君、大丈夫!?頭から血が出てるし……怖っ!」

 

一花がオーディションを終えて戻ってきたところだった。神楽は定春に手を振って指示を出す。

「定春、離していいヨ。」

 

定春が口を開き、顔中血だらけの上杉が解放される。息を荒げながら上杉が叫ぶ。

「はぁ……はぁ……っ!ね、寝てないぞ!目を閉じてただけだ!!」

 

一花は目を丸くしながら口元を手で覆った。

「え?」

 

銀時が腕を組みながら、呆れた様子で上杉を見下ろす。

「おいおい、あんだけZzz連続出しときながら、寝てねぇはないだろ?」

 

新八は銀時に同調しながら頭を抱えた。

「もうどこから突っ込めばいいのか……。」

 

一花は困惑しながら笑顔を作る。

「き、気にしないでおくね……。」

 

上杉が態勢を整え、真剣な顔で問いかける。

「それより、オーディションはどうだったんだ?」

 

一花は少し困ったように頬を掻いた。

「うーん……どうだろう……。」

 

その時、後ろから拍手と共に声が上がる。

「どうも何も、最高の演技だったよ!」

 

現れたのは一花の所属事務所の社長だった。満面の笑みで一花に近づきながら、一行にも視線を向ける。

 

「それもこれも、君たちパートナーのおかげだろうね。私も個人的に君たちに興味が湧いてきたよ――」

 

社長は唐突に、銀時たちに投げキスを送った。

 

神楽「オエッ!」

新八「銀さん……。」

 

銀時は目を細め、即座に声を張り上げる。

「逃げろォォォォ!!」

 

上杉もすぐに反応した。

「ああ!」

 

一花が混乱する。

「えっ?」

 

上杉は一花の腕を掴み、その場から引っ張り出した。

「用事が終わったのなら、一花を借りてくぞ!」

 

社長が慌てて追いかけようとする。

「ま、待ちたまえ!どこへ行くんだ!」

 

だが、銀時たちは定春に乗り込み、その場を一気に離脱する。

 

定春の背中での会話

 

上杉は額を押さえながら息を整える。

「間一髪だったな……。」

 

銀時は渋い顔で舌打ちをする。

「何だアイツ。マダオからの投げキスなんて、誰も欲しくねぇっての!」

 

新八が冷や汗をかきながら手に持っていた袋を神楽に渡す。

「はい、神楽ちゃん。」

 

神楽が受け取りながらお礼を言う。

「ありがとうアル……」

しかし、その直後に再び吐き気を催す。

「オエッ……。」

 

一花は定春の背中に座りながら、どこか呆れた様子で口を開いた。

「それより……すごいね。この犬。こんな大きな犬がいるなんて。」

 

銀時は手を振りながら定春の頭を撫でる。

「万事屋のアイドル定春だ。食費代が高くてたまらねぇがな。」

 

一花は少し笑いながら続けた。

「アイドルにしては、風太郎君の頭にかぶりついてたけど……。」

 

新八が顔を真っ赤にしながら慌てて訂正する。

「そ、そこには触れないでいただけると……。」

 

銀時が真剣な目で一花に問いかけた。

「おい、一花。」

 

「うん?」

 

「お前、まだ偽るつもりかよ。」

 

一花はハッとした顔をして銀時を見つめた。

「え?な、何のこと?」

 

上杉が静かに口を開いた。

「心配ごとがあることぐらい、俺たちにはバレバレだ。」

 

その言葉に一花は短く息を飲み、うつむいた。

「……全く敵わないな……。」

 

そして、弱々しい声で呟いた。

「みんな……怒ってるよね……。」

 

上杉は腕を組みながら静かに答えた。

「……ま、そうだな。」

 

その言葉に一花の肩が震えた。

「……花火も一緒に見れなかった……みんなを裏切っちゃった……。」

 

銀時は軽く鼻を鳴らしながら言葉を続ける。

「……お前は確かに、あいつらの気持ちに応えられなかった。」

 

その一言に一花は顔をさらに俯かせた。

「……。」

 

だが、銀時は続けた。

「だが、それは裏切ったことにはならねぇよ。」

 

一花は顔を上げ、銀時を見つめる。

「……え?」

 

上杉が銀時の言葉に頷きながら補足する。

「……だって、あいつらはお前を信じてるんだ。お前が戻ってくることを……これまでも、これからもな。」

 

その言葉に、一花の瞳が揺れた。

「……っ!?」

 

上杉は少し苦笑しながら続けた。

「裏切ったと思う相手を、姉妹だろうと兄弟だろうと、俺だったら信じることなんかできない。でもあいつらはどうだ?お前のことを、まだ信じてる。」

 

銀時は軽く肩をすくめた。

「何当たり前のこと聞いてんだよ。」

 

新八も頷きながら口を開く。

「僕も同じですね。やっぱり、信じられる相手ってのは特別ですから。」

 

神楽は手を振りながら顔をしかめた。

「私も……オエッ……。」

 

新八は神楽に向き直り、苦笑する。

「神楽ちゃん、いつまでゲロイン引きずってるんだよ……。」

 

神楽は何事もなかったかのようにすぐに笑顔に戻る。

「ほら、戻ったアルよ。」

 

新八は唖然とした表情で呟いた。

「戻るの早っ!」

 

上杉が一花の肩に軽く手を置きながら微笑む。

「まぁ、あんな感じでな。きっとすぐに仲直りできるさ。」

 

だが、一花はまだ不安そうな表情を浮かべていた。

「……でも、私がしたことは……。」

 

その言葉に、上杉は一歩前に出て、一花の目を真っ直ぐに見つめた。

「それでも難しいなら、俺が一緒に頭を下げてやる。」

 

一花は目を見開き、驚いた顔をする。

「え……?」

 

上杉は真剣な表情のまま、力強く言った。

「だって、俺たちは協力関係にある。パートナーだからな。」

 

その言葉に一花の目から涙が滲む。

「……っ。」

 

銀時、新八、神楽、そして上杉の言葉が、一花の心を温かく包み込んでいた。

 

一花は涙をぬぐい、少しずつ笑顔を取り戻す。

 

「……本当に、みんなには敵わないなぁ。」

 

上杉は腕を組み、いつもの冷静な口調で返す。

「そう思うなら、少しは俺たちを頼れよ。……お前一人で抱え込むな。」

 

銀時は定春の頭を軽く叩きながら振り返る。

「さーて、そろそろ行くぞ。お前らの姉妹たちが待ってる場所にな。」

 

新八も立ち上がり、定春の背中で準備を整える。

「銀さん、戻ったらすぐ花火の準備ですかね?」

 

神楽は軽く手を挙げ、笑いながら叫んだ。

「早く帰るアルよ!私、花火楽しみにしてるアル!」

 

定春が一声吠え、勢いよくその場を駆け出した。

 

一花は定春の背中でしがみつきながら、小さくつぶやく。

「……ありがとう、みんな。」

 

銀時は軽く振り返り、口角を上げた。

「礼はいいから、あいつらにちゃんと言っとけよ。お前の本音をな。」

 

その言葉に、一花はしっかりと頷く。

 

夜空にはわずかに残った花火の煙が漂い、定春はその下を駆け抜けていった。

 

定春から降りた一行は、目の前の光景に絶句する。

 

新八「え?何これ……。」

 

銀時「おいおい、マジかよ……。」

 

校庭には、風紀委員や近藤、土方、沖田、さらには桂までもが、苦無を体中に刺された状態で転がっていた。

 

神楽「これ、ツッキーがやったアルな……間違いないネ。」

 

新八「いや、間違いないじゃないですよ!こんなになるまで誰も止められなかったんですか!?」

 

銀時は額を押さえながら苦笑した。

「おい、これ学校だよな?どう見ても戦場跡にしか見えねぇんだが。」

 

上杉は冷静を装いつつも目を逸らす。

「俺は何も見ていない。見ていないぞ……。」

 

そんな彼らの背後から、軽快な声が響く。

 

辰馬「おーい、やっと来たか!準備は整ったぜ!」

 

振り返ると、辰馬、源外、そして銀八が花火砲の前でこちらに手を振っていた。

 

源外「おいおい、何やってんだテメェら!せっかくの花火だぞ、楽しむ準備はできてんだろうな?」

 

銀時「いやその前に、そこの死体みたいな奴らをどうにかしろよ!」

 

源外はケラケラと笑いながら、花火砲を叩いた。

「いいから見てろ。この花火砲の威力に感動して、そんなの全部忘れるぜ!」

 

辰馬「そうぜよ!さぁ、準備は整った!花火大会の真のフィナーレを飾るぜよ!」

 

銀時がため息をつきながら、四葉に目配せする。

「ったく、ここにも話を聞かねぇ奴らばっかりだな。まぁ、やるっきゃねぇんだけど。ヨシ!四葉、仕切れ。」

 

四葉は大きく息を吸い込み、全員に向かって声を張り上げた。

「さぁ、本格的に始めましょう!」

 

その声を合図に、一同が準備を始める雰囲気になったその時だった。

 

「みんな!ごめん!」

 

一花の声が静寂を破るように響いた。

 

「私の勝手でこんなことになっちゃって……本当にごめんね。」

 

そう言って、一花は深く頭を下げた。

 

五月が慌てて前に出て、一花をフォローしようとする。

「一花、そんなに謝らなくても……。」

 

しかし、その言葉を遮るように二乃が割って入った。

 

二乃「全くよ。なんで連絡くれなかったのよ。今回の原因の一端はあんたにあるわ。」

 

二乃は一拍置いてから、少し恥ずかしそうに付け加えた。

「……けど、目的地を伝え忘れてた私も悪い。」

 

五月も申し訳なさそうに呟く。

「私は神楽さんと一緒だったとはいえ、自分の食いしん坊ぶりに嫌気がさしました……。」

 

三玖も、どこか申し訳なさそうに口を開く。

「私も今回は失敗ばかり……。」

 

四葉は元気よく手を挙げた。

「よく分かりませんが、私も悪かったということで!」

 

姉妹たちの一連の言葉に、一花は驚いたように顔を上げる。

 

銀時がニヤリと笑いながら、彼女たちを見渡した。

「良いな。俺にも欲しかったよ。テメェらみたいな家族がな……」

 

辰馬も満足げに頷きながら、花火砲に手を置いた。

「さぁ、そろそろ真のフィナーレを飾るぜよ!」

 

その言葉に、空気が一気に和らぐ。姉妹たちが顔を見合わせ、笑顔を交わす中、夜空には最後の花火の準備が整っていた。

――ヒューン!

 

夜空に巨大な花火が打ち上げられ、満天の星空を彩る。

 

「わぁ……!」

姉妹たちが歓声を上げ、全員の顔が笑顔に包まれる。

 

 

銀八が横で頷きながら言う。

「ジジイ、たまにはやるじゃねぇか。」

 

「何を言っとるんじゃ金◯、いつもじゃろ?。」

 

「だから俺は金八じゃねぇって言ってるだろうが」

辰馬が軽く笑い、源外と銀八も同じように笑みを浮かべた。

 

一花は花火の光を見上げながら、静かに呟いた。

「……ありがとう、みんな。」

 

夜空には、最後の花火が大輪の花を咲かせていた。

そして最後の目玉の花火が打ち上がろうとしたその時

……ボンッ……ボンボボボボボボッ!!

 

突然、花火砲が煙を吹き出し、激しい音を立て始める。

 

銀時「おいおいおい!これ、どう考えてもやべぇ音してるだろ!?おいジジイ!これ大丈夫なのか!?」

 

源外「こ、こんなはずじゃねぇんだが……!」

 

花火砲の口から漏れる煙がますます増え、辺り一面が白い霧に包まれる。

 

神楽「アル!!定春がむせてるアル!!」

 

新八「花火ってこんなに煙が出るもんでしたっけ!?」

 

上杉「いや……普通はこんなことには……」

 

ドンッッ!!

 

突然、花火砲がものすごい音を立てて爆発した。衝撃で周囲の地面が揺れ、煙が晴れると、そこには花火砲の残骸が無残に散らばっていた。

 

銀八「おいぃぃぃ!これが最新の科学技術かよ!?ぶっ壊れてんじゃねぇか!」

 

源外「……わしの計算では完璧だったんだが……」

 

辰馬は腹を抱えて大爆笑している。

「これが最高のフィナーレぜよ!いやー、祭りってやっぱり最高じゃ!」

 

……その後。

 

花火砲の爆発音に驚いて駆けつけた教師たちが、現場を取り囲む。

 

月詠「……おい銀八。これどういうことじゃ?」

 

銀八「いや、花火砲が暴走して……」

 

陸奥「暴走?いや、どう見てもテロ現場にしか見えんのだが。」

 

銀時は真っ白な煙に包まれた空を見上げて呟く。

「なんてこった……夜空どころか学校までぶっ飛ばしやがった……。」

 

エリザベスは真顔でプラカードを掲げる。

「またしても無実。」

 

二乃は呆れ顔で銀時を見つめた。

「アンタたち……本当にどうしようもないわね。」

 

銀時は煙に咳き込みながら、頭を掻いた。

「おいおい、なんだこれ……俺らただ花火を見せたかっただけなんだぞ……?」

 

そんな中、四葉だけが大声で笑い出す。

「わぁー!こんな大きな花火、初めて見ました!」

 

三玖「……四葉、それは花火じゃなくて爆発……」

 

神楽「まぁいっか!ド派手で楽しかったアル!」

 

二乃は涙目で叫ぶ。

「何でこうなるのよ〜!!」

 

夜空には花火ではなく、爆発で舞い上がった粉塵が広がっていた。こうして、「史上最悪の花火大会」は幕を閉じた――かのように見えたが……

 

銀時はベンチに腰を下ろし、頭を掻きながらぼやいた。

「全く……あのジジイ碌なことしねぇな……」

 

神楽はすかさずツッコミを入れる。

「それ……銀ちゃんも一緒アル。なんなら一番タチ悪いアルよ。」

 

新八は肩をすくめ、ため息をついた。

「いやー、なんかもう今日一日で何回ため息ついたか分からないですよ。」

 

五月も疲れた様子で近くに座り込む。

「はぁ……大変な目に遭いましたね。でも、みなさん無事で良かったです。」

 

そこへ、二乃が何かを手に持ちながら歩み寄ってきた。彼女は無言で、その小さな花火を一人ひとりに手渡していく。

 

二乃「はい、あんたの分。」

 

上杉は渡された線香花火を眺めながら、怪訝そうな顔をする。

「良いのか?銀時が買ってきたとは俺たちはお前らの約束を果たせなかったのに……」

 

二乃は呆れたように溜め息をつく。

「いいのよ。アンタたちだって頑張ったことは知ってるから。それに問題なのは全部あのジジイがぶっ壊したことなんだし。」

 

新八は苦笑いしながら、自分の分の花火を手に取った。

「まぁ確かに。これ以上大きいのやったら、今度こそ学校どころか町ごと吹っ飛びますからね……。」

 

三玖が花火をそっと眺めながら口を開く。

「……線香花火って、終わり方がちょっと寂しいけど……それが綺麗また味を出す。」

 

四葉は線香花火を眺めながら、はしゃいだ声を上げる。

「それに!みんなでやった方が賑やかで良いですから」

 

二乃が火をつけた花火を見つめながら、ふっと静かな声で呟いた。

「……お母さんがよく言ってたわね。」

 

その言葉に、全員の視線が彼女に集まる。

 

二乃はそっと目を閉じて続ける。

「誰かの失敗は五人で乗り越えること、誰かの幸せは五人で分かち合うこと……。」

 

五月が優しい表情で微笑みながら、言葉を継ぐ。

「喜びも。」

 

三玖が静かに頷く。

「……悲しみも。」

 

四葉は元気いっぱいに声を張り上げた。

「怒りも!」

 

最後に一花がそっと微笑みながら呟く。

「……慈しみも。」

 

全員が線香花火を手にして、静かにその光を見つめる。

 

五人「……私たち全員で、五等分ですから。」

 

銀時はその光景を見て、ふっと力を抜いたように笑った。

「……祭りの終わりが見え始めたな。」

 

新八も同じように笑みを浮かべる。

「そうですね。なんだかんだ言って、羨ましいくらいですよ。」

 

銀時はふと花火の火が消えるのを見届けて、静かに言った。

「……さて、この平和も長く続くといいんだがな。」

 

その言葉は誰にも聞こえず返事が返ることはなかったが、穏やかな時間が流れていった。

 

 

 

 

 

 

 




一花のオーディション追加しておきます 
「では最後の中野一花さん」
 
「はい、よろしくお願いします」
 
場所は変わってオーディション会場。一花の審査が始まった。 
 
「卒業おめでとう」
 
審査員が台本を読み上げ、一花は台本通り答えていく。
 
「先生、今までありがとう」
 
──────上手く笑えてるかな。こんな時…………皆ならどうやって笑うんだろう。
 
四葉なら。三玖なら。五月なら。二乃なら。
 
─────────
 

「お前はいつも大事なところで笑って本心を隠す。ムカッと来るぜ……」

「お前の些細な違いなんて気づくはずもない。ただあいつらと違う笑顔だと思っただけだ」

 
──────。  
 
「……………先生。あなたが先生でよかった。あなたの生徒でよかった」
 
そうして見せた笑顔は作り笑いでもない、嘘偽りでもない、心からの笑顔だった。
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