星見の影の地探訪記   作:助動詞

1 / 1
プロローグ

 

 

───褪せ人よ、おお褪せ人よ

 

───破片の君主、デミゴッド共を

 

───神たる女王に呪われし、火の巨人を

 

───運命の死の、守り手を

 

───蛮地を統べし、最初の王を

 

───黄金律、ラダゴンを

 

───大いなる意思の眷獣を

 

───彼らを殺し、そして異界へ旅立った王たる者よ

 

───行くが良い。狭間の外、『影の地』へ

 

───そして、見えるとよい。

 

───神獣獅子舞に、双月の騎士に

 

───狂い火の王に、串刺し公に

 

───泥濘の騎士に、影樹の化身に

 

───猪乗りの宿将に、指達の壊れた母に

 

───蕾の聖女に、ギザ山の暴竜に

 

───そして、最後にお前は出逢うだろう

 

───無垢なる黄金、その世紀と、彼の王、蘇った赤獅子に

 

ELDEN RING

SHADOW OF THE ERDTHREE

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

「やあ。久しぶりだな、先生」

 

こうして彼が私の仕事を手伝いに来てくれたのは、果たして何度目だろうか。

彼の名前は『星見ユウ』、外の異世界、『狭間の地』からやって来た、廃校寸前の砂漠の学校、アビドス高校の一年生だ。ちなみにここ『学園都市キヴォトス』における唯一の男子生徒にして不死の魔法使いである。

 

「"ああ、また来てくれたんだ!ありがとう!"」

 

「何、礼には及ばないさ」

 

彼は私の仕事がちょっとヤバ目の時、私のオフィスのある『連邦捜査部シャーレ』にこうして手伝いに来てくれる。勿論、あくまでも手伝いの範疇だ。ちょっとした書類の整理とか、データの入力なんかをお願いしている。

 

「……それで、今日は何をすれば?」

 

「"ええっとねぇ……今日はこの書類を……"」

 


 

「失礼します、先生」

 

暫く二人で作業していると、不意に声を掛けられる。振り返って見ると、ちょっと信じられない位の量の書類らしきナニカを持つ『七神リン』───現在失踪中の連邦生徒会長の代理を務めている生徒だ───の姿が。

 

「"えっと……リンちゃん、それはまさか「ええ、追加のお仕事です、先生。それと『リンちゃん』ではありません」Oh……"」

 

目の前の机に、『ドサッ!』と凄まじい音を立てて積まれる山の如き紙の山。

 

「"……ねえ、これ本当に全部お仕事なの?"」

 

「ええ、そうです。期限は明後日まで、大変お忙しいとは思いますが……」

 

「"ゔゑァッ!?"」

 

「まあ、やればいずれ終わるだろう。……根気強く、取り組もうじゃないか」

 

「星見さん、いらしていたのですか。また、先生の手伝いに?」

 

「ああ、そうだな」

 

「"……ほんとに、いつもありがとうね…………。"」

 

違法な兵器の取り引きに関する、近年の傾向や発生数の推移について。それが、リンが持ってきた書類の内容だった。

連邦生徒会長の失踪、まさにその日を境に発生数が跳ね上がっている。……具体的には、2000%位に。

 

「……そこまで、犯罪が増えているのか」

 

「"……うん"」

 

「そうか……。ここキヴォトスは、私に取っては楽園の様だと思っていたのだがな。……いや、確かに爆発が日常茶飯事な上に小競り合いもよく起こるが、しかし狭間に比べれば楽園のようだよ」

 

「"……そうなの?"」

 

……そういえば、私は彼の出身地について殆ど知らないなぁ……。

 

「ああ。……狂った住人や兵共が殺しにかかって来ない、人外の怪物も居ない、血の指や背律者に侵入される事も、大地が腐敗に蝕まれる事も、死角から不意打ちで殺される事も無い。……まさに、ここは私にとっては楽園の様だよ。実際、向こうではここまで長く生き長らえる事は無かったな。こうして数日、数週間、数ヶ月生きるなど……本当に、初めての事だ」

 

「……」

 

「"……そっか"」

 

「……まあ、話はひとまずここまでだ。作業に取り掛かろうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お……終わった……

 

「……お疲れ様です、2人共」

 

「"お疲れ様……星見君……それじゃ、今日はここまでで……"」

 

「ああ……貴公も……」

 

何とか作業を終わらせたのは、あれから何時間も経った夕方だった。

 

「さて、それでは私はアビドスに……いや」

 

「……どうかしましたか?」

 

「狭間の地に用事があった。……すっかり忘れていたよ」

 

「"そっか。……その、どんな用事?"」

 

「ああ、矢などの消耗品が尽きかけているので、買いに行かなければ。……では、行ってくる」

 

「"うん、気をつけてね!"」

 

彼はどこからか手のひらサイズの紋章を取り出すと、左手に三又の槍みたいな光が灯って───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

モーグウィン王朝

 

こうしてここにワープするのは何度目か。

 

『───』

 

使用した『純血騎士褒賞』の効果でいつものようにこの場所に訪れた訳だが、しかし今回は何かがおかしい。

 

『───』

 

例えるならば……そう、何かに呼ばれている様な、そんな感覚。

 

『───』

 

方向は……恐らく、血の君主と死闘を繰り広げたあの場所。枯れた腕の繭の置かれた、あの場所だ。

 

目的地とは違うが……まあ、良いだろう。行ってみようか。

 

あなたは祝福へのワープを用いて、その場所に向かった。

 

 


 

 

目的地に現れたあなたは、人影を発見した。自身を呼んだのは、この人物だろうか。あなたは内心警戒をしつつ、その人物に話しかける。

 

「……誰だ?……私を呼ぶのは、君か?」

 

「……呼ぶ?いや、それは私では無い。……ああ、君も、ミケラ様に導かれたのだね」

 

「…………ミケラに?」

 

「ああ。私はレダ。君と同じように、導きに従い、あの方の足跡を追っている。そこの枯れた腕に触れれば、君も導かれるだろう。ミケラ様が向かわれた、影の地に。……そこには、同志がいる。私たちと同じように、ミケラ様に導かれた者たちが。もし彼らと出会うことがあれば、君に協力するだろう」

 

「影の地……同志……?」

 

「ああ、いきなりの事で困惑するのも無理は無い。……準備ができたら、そこの枯れた腕に触れ、向かうが良い。ミケラ様の向かわれた、彼の地で再び見えよう」

 

「……分かった。すまない、消耗品を補充して来る」

 


 

 

───褪せ人よ、おお褪せ人よ

 

───夜の律の王よ、黄金樹に導かれる者よ

 

───その力を、示すがよい

 

───立ち塞がる強者共に、そして新しい律の誕生に

 

 

 

 

 




と言う訳で、影の地編の始まりです。

……本当に申し訳ないのですが、ラニ様はアビドスでお留守番で、ブルアカ要素もうっっっすくなります。

筆者の三週目のDLCを、星見君ロールでプレイしたものをベースに執筆しています。当然作中世界は一周目の設定ですので、取得できるルーンの量や受けるダメージの描写が原作と矛盾する場合がございます。ご了承ください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。