Sky:星を紡ぐアーカイブ   作:紙コップ113

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アフヨに変なイメージがあるのは自分だけではないはず。
1話より少し前の回想を含めつつ、今まで語り手を務めていた星の子とは違う視点での話となります。


アフヨと黒ハゲ

このキヴォトスと呼ばれる大地に降り立ってから数日が経過した。

 

書庫の例のゲートで瞑想し、目を開けば秘密のエリアに類似した場所にいた。

屋内は暗く、灯して光のかけらを集められるようなキャンドルも置かれていない。

 

辺りを探索していると、扉が開いて二人の精霊が入って来た。

一人は頭の上に輪っかが付いている。今は”生徒”と呼ばれているアレだ。

もう一人は輪っかが付いていないが、生徒と似た特徴をしていた。何か板のようなものを持っていた覚えがある。

 

当時はそんなことは無視して探索を続けた。

箱に火を付けたり、引き出しを開けたりと、光の子でもいないか調べてみたけどなかった。

その間、生徒がプルプル震えていたのがちょっと面白かった。

 

ん?我々が誰かだって?

我々はアフヨを愛用する同好会だ。まぁ、ここでは『アフヨ団』と呼ぶことにしよう。

キヴォトスでもアフヨの集まりが作られた。

アフヨ団としてキヴォトスを探索していると、何か興味深いものを発見した。

ゲットできないかと思い、それに触れると、要求キャンドルは240本。

だが心配はない。アフヨを愛するものとして、日々のキャンマラを怠らなかったのでキャンドルには余裕がある。だからすぐに交換できた。

 

四角い箱の中に四人分の椅子が入っており、右前の椅子の前には輪っかが付いている。

足元の板を踏めば前に進み、止めることが出来る。

左にある棒を弄れば後ろに進んだりできる。

 

これらの特徴を経て考察すれば、この箱は『車』と定義できるだろう。

王国には車は存在しなかった。秘密のエリアにはあった。

しかしアレも会話ができるだけで動きはしないハリボテだった。まさかキヴォトスで実際に動かせる日が来るとは。

 

「そこの車!止まりなさい!」

 

「クソッ、コイツら信号とか見え……グフォッ!?」

 

地形に左右されるとはいえ、歩きよりかは断然速い。

更には襲い掛かって来た奴をぶっ飛ばすことが出来る。移動と攻撃を兼ねた便利なアイテムだこと。

 

「絶対に逃すな!」

 

「あーもう!ただでさえ連邦生徒会長が失踪してから治安が悪くなってるのに!」

 

生徒が追いかけてきているが、当然捕まるわけがない。

折角なので、最近話題になっているアビドスへ向かうとしよう。

 

 

 

 

「クックックッ……便利屋68の戦闘を観察させてもらいましたが、彼らがあそこまで戦えるとは……」

 

カメラのズーム機能で観察する形だが、変わった精霊を発見した。

パンツは初日にいた輪っか無しの精霊の色違いだが、とにかく黒い。

顔にはマスクがなく、目と思わしき場所から亀裂が入っている。そしてハゲ。

以下の特徴をまとめて仮称『黒ハゲ』と呼ぶことにしよう。

 

「連邦生徒会長の失踪とほぼ同時期にキヴォトスに出没するようになった未知の生命体。」

「インターネット上では『星の子』と呼ばれ、個体差はあれど、人間の幼児に似た体格を持つ。」

 

しかし、この精霊を見ていると、砕ケル闇ノ季節で交換できた贈り物を思い出す。つい最近まで再訪していたから尚更だ。

 

「一部を除き顔には仮面を被り、鳥の翼に似たようなケープを纏っている。」

「原理は未だ不明ですが、短距離の飛行も可能、と。少なくとも、キヴォトス外の存在であることは間違い無いでしょう。」

 

亀裂から光が漏れ出してる。アレは記憶を全て辿り、キャンドルを掲げて解放する前の姿だ。なのに平然と動いている。どういうことだ。

 

「二年前に死亡した梔子ユメの蘇生、アビドスとの交流がある……。」

「小鳥遊ホシノの懐柔に多少なりとも支障がありますが、まだ対応できる内に成功すれば問題ないはず。」

 

折角なので近づいてみようか。

 

「……おっと、見つかってしまいました。」

「まぁ……私も彼らと同じキヴォトス外の存在、興味を持たれるのはそこまで不思議なことではありませんか。」

「基本的に星の子は武器を持たない……私から危害を加えることがない限りは無害でしょう。」

 

黒ハゲの頭をじっくり観察する。黒くて動くもの……コイツ闇の生き物か?

ギィッ!と大鳴きしてみたが、ひっくり返らない。

 

「むっ……これは私を彼らの概念とすり合わせているのでしょうか。」

 

だったら新種の蝕む闇か?闇にも花っぽいのもいれば、玉みたいなもの、大きな木のようなものがある。動く奴は初めてだが、光のかけらと蝶が出てくれば問題ない。

なのでキャンドルをこの黒ハゲに近づける。

 

「キャンドルを取り出しましたね。」

「確か、あのキャンドルは彼らのコミュニケーションツールだと推測していますが……。」

「私を同胞だと認識しt……アッツ!?

 

あ、クソ。離れたぞコイツ。お前の存在価値は光のかけらなんだよさっさとお縄につけ。

 

「何故?何故?」

「同胞の私を何故燃やそうと……!?」

 

囲め囲め。奴を一片たりとも残さずに焼き尽くせ。

 

「アッツ!熱い熱い!何故ですか!?私は彼らに危害を加えていないというのに!」

「グッ……ここで殺されるわけには!」

 

黒ハゲは我々を押しのけ逃走した。

逃がすわけないだろ。車に戻り、奴を追跡する。

 

「……は?」

「何故……彼らが車を所持して……?」

 

そのまま突撃。ぶつけてでも落とす。

 

「ま、待ってくだ……グファッ!?

 

おー(感心)。黒ハゲはぐるぐる回りながら宙を舞い、墜落した。

 

「ガッ……ガハッ……」

 

うーむ。車で敵を吹き飛ばす感覚。コレ、暗黒竜が星の子に突っ込むのと似ているのだろうか。

そう思えば、奴らと同じ立場に立つので爽快だ。

 

何とか黒ハゲを気絶させたが、どうしようか。

念のためもう一度キャンドルを寄せるが、燃えて縮む気配はない。ということは蝕む闇ではないということが分かった。

蟹みたいに火鉢に近づけると赤くなるのだろうか。もしくは闇の破片に関連があるのだろうか。

 

とにかく奴を調べたい。

我々は黒ハゲを車に積み、アビドスを去るのだった。




読んでいただきありがとうございました。

かわいそうな黒服。でもこうして、星の子の探求心を満たす手掛かりが立派に出来上がりました。
きっと空の向こうから見ていて下さってますよ。
ええ……

黒服は死んでませんので悪しからず。

星の子の鳴き声、何が好き?

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