ムーミンの季節が始まりました。
いやぁ楽しかった。まさかブラックマーケットの商品があれだけ愉快な物ばかりだとは。
我々が見たことのない銃や変わった家具、風変わりなアクセサリなど。意外にも、ケープが見つからなかった。今更思ったのだが、キヴォトスには星の子のようにケープを纏う風習がないのだろうか。
ここを案内してくれた愛好家は、ぬいぐるみを金と交換していた。食卓以外に金を使う場面を初めて見た気がする。
そのぬいぐるみは、鳥の嘴に蝕む闇が生えている。どうやらヒフミが欲しがっていたようだが、これは闇に侵食される光をイメージしたものだろうか。そう考えれば趣のあるデザインだな。まぁ愛好家は嫌いなようだが。
「あっ、帰ってきた。」
「どこ行ってたの!あの後マーケットガードに目をつけられたのよ!」
愛好家はヒフミにぬいぐるみを渡す。
「わぁ!ペロロ様のぬいぐるみ!私のために見つけてきてくれたんですか?」
愛好家は頷く。いい笑顔だ、ヒフミ。フレンドからシーズンパスを貰った時もニヤニヤが止まらなかったので、それと同じだろう。贈り物ってイイヨネ。
彼女らが頬張っている黄色い魚が気になる。食べられるのかアレと思い、周辺を見渡すと売ってる店を見つけた。
「いらっしゃい。出来立てのたい焼き、食べていくかい?」
店のテーブル上には先ほど見た魚が並んでいた。
折角なので金を渡して交換した。キャンドルを渡そうかと考えたが、キヴォトスでキャンドルの交換はあまり対応していなかったので、最初から金でいった。
紙袋いっぱいの魚を貰えた。
食べてみたが……甘い。
中には紫色のモチョモチョが入っている。甘さの理由はこれか。
フレンドも別の魚を食べていたが、そちらは黄色いモチョモチョが入っていた。
見た目は似ているのに、中身が違うとはどういう生き物なんだコイツ。
「うわぁっ!?あれは、マーケットガードです!」
「マーケットガード?」
「先ほどお話しした、ここの治安機関でも最上位の組織です!」
魚の味を吟味している最中、大きめの車が通った。ゴツゴツした精霊を数人ほど連れて。
……おや、どうやらフレンド曰く、あの車は今朝アビドスの前に来てシロコらから金を受け取っていたそうだ。
折角なので追いかけてみることにした。
「パトロール……?護衛中のようですが……。」
「トラックを輸送してる……現金輸送車だね。」
「闇銀行に入っていきました……。」
車の向かった先……そこは見上げるほど高い建物だった。
運転手と思わしき精霊が下りてきて、メット頭の生徒と何か話している。
「今月の集金です。」
「ご苦労様、早かったな。では、こちらの集金確認書類にサインを。」
「見てください……あの人……?」
「あれ?な、何で?あいつは毎月うちに来て利息を受け取っているあの銀行員……?」
お、セリカに反応あり。ということは、あの建物と車に何かがあるな。
ぜひとも中に入って調べたい……のだが、ゴツゴツ精霊が見張っている。あの様子だと、視界に入れば即戦闘になることは容易に想像できる。
すり抜けで入るという手もあるが、この辺りにはリトル抜け出来るような斜面は見当たらなかった。
リトルが駄目ならテーブルで抜けよう。いい感じの壁はないものか……とか考えてたら、野良が壁抜けしてる所を目撃した。
待てぇい!我々も混ぜろぉ!
テーブルを片付けられる前に、めり込んだ方の椅子に座ってすり抜けた。
「ひゃあっ!?壁の中に入っていきましたよ!?」
君には触れるべきではない領域だ。by愛好家
「あの子達、何かいい方法でも思いついたのでしょうか?」
「……まさか銀行を?」
「それはない……と言い切れないのがムカつくのよね……」
裏世界を飛ぶ野良の後を追う。フレンドを乗っけて。
試練のゴールみたいに、大キャンドルでもあったらいいな。
さて、建物内部が見える場所まで来たのだが、例の四馬鹿がいる。
「さて、では一緒にご確認を。お名前は……陸八魔アル様。ゲヘナ学園の二年生ですね。」
「現在は便利屋68の社長…ですか。この便利屋は、ペーパーカンパニーではありませんか?書類上では財政が破綻していますが?」
「ちゃ、ちゃんと稼いでるわよ!まだ依頼料を回収できてないだけで……。」
「それと、従業員は社長含めて4名のみですが、室長に課長、そして平社員……肩書の無駄遣いでは?会社ごっこをしているのですか?」
「そ、それは……か、肩書があった方が仕事の依頼を……。」
金属精霊に問い詰められているが無視。今日は奴らに用はないため、不要な接触は避けるべきだろう。
カウンターを超え、奥の方へ進む。
随分暗い場所だな。一瞬火の試練を連想したが、足元しか見えないほどではないため違うだろう。例の化け物もいないし。
とある部屋の下に着き、野良と共に地上へ上がる。ちなみに道中でキャンドルを寄せ合っているので、大まかな位置情報と姿は確認できる。
そして部屋の中にあったのは……金の山だ。
野良は狂喜乱舞してプエプエと踊る。これが彼らの目的だったというのか。
とはいえ我々にとっても好都合だ。キヴォトスにおいて金はいくらあっても困らない。
ありったけの金を~かき集め~ キャンドルを~作りに~行くのs
ビーッ!ビーッ!ビーッ! うるせぇ。
大勢の足音が聞こえ、勢いよく扉が開かれた。
「そこ、何者だ!」
「ここで強盗をするとは……いい度胸だ!」
何かと思えばゴツゴツ精霊じゃないか。それも沢山の。
火の試練の化け物に比べりゃ、退けられる時点で怖気づく理由はない。フレンドと共に武装する。
「そんなハンドガンで俺たちを倒せるとでも?」
「撃て!こいつらをひっ捕らえろ!」
精霊からの一斉射撃。野良とフレンドをかばうように、自分が盾で銃弾を防ぐ。
彼らはフレンドではないとはいえ、この宝探しを共にした同志だ。見捨てる理由はない。
「チッ、防がれたか!だが、数はこちらの方が……ゴハァッ!?」
当然我々も防戦一方にはならない。
ミリオタの狙撃で戦闘のうるさい奴を黙らせる。いつものやつ。
「隊長!クソッ、怯むな!こいつらを絶対に逃がすなよ!」
また撃ってきたが、盾に気を取られる間に、ミニガン持ちのフレンドが頭上を取った。
頭上にご注意ください。
「なっ!?上に……グアアアアッ!」
そのままミニガンは精霊の頭をハチの巣にした。まるで弾丸の花火である。飛んでるフレンドもぐるぐる回ってるし。
よし、目の前の奴はひっくり返した。出口に向かうぞ。
我々はありったけの金を持って、部屋を出た。
「いたぞ!アイツらだ!」
まぁ当然だが、精霊のおかわりだ。
いちいち付き合う必要はない。先ほどひっくり返した精霊を持ち上げ、飛翔する。
両手がふさがるのが難点だが、盾より防げる面積は大きくなる。幸い、スナイパーライフルとミニガンのおかげで、火力と手数に困っていない。
「アイツ、俺たちの仲間を盾にしやがった!」
「絶対に許さん!撃ち落とせ!」
全く。飛べない精霊は苦労するねぇ我々は天井に沿って動けば被弾のリスクはほとんどなく、万が一当たったとしても、エナジーはすぐに回復できる。
精霊を盾にしたおかげか、気持ち弾が外れやすくなっている。そのままエントランスに直行できた。
「あっ、あいつら、アビドスにいた星の子じゃん。見知らぬ顔もいるけど、銀行から出て来たよ?」
「ま、まさか私たちが目当てでしょうか?それならここで返り討ちに!?」
「待ってハルカ……服の下に札束がある……まさか銀行強盗?」
「(すごーい!あの人たち、ブラックマーケットの銀行を襲うなんて!)」
「(アビドスで戦った時もそうだったけど、敵を盾にするなんて、凄まじいアウトローだわ!)」
何とか外に出られたが、大量の精霊や車が押し寄せていた。
それから何か巨大なロボットもいるし、これ我々を完全につぶす気でいるな。
だったら我々にもそれ相応の考えがある。
一度フレンドを下ろし、
その瞬間、自分とフレンドは超高速で飛び上がった。そう、これこそが「おんぶロケット」である。
「飛んだぁぁぁぁ!?」
「逃がすな!見失う前に撃ち落とせ!」
野良も同じく、おんぶロケットで飛び上がったが、軌道が我々とは別方向にズレてしまった。残念ながら、彼らとはここでお別れだ。
星の子の出会いは一期一会。しかし、空がどこまでも繋がっているように、どこかで再開できる可能性もゼロではない。
そう示すかのように、雲の上を超えた空は青く輝いていた。
読んでいただきありがとうございました。
星の子が独自でコミュニティーを作っているせいもあってか、生徒との交流を描けなくて困ってます。
星の子の鳴き声、何が好き?
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プエ
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ピヨ
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フェ
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ギィッ
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パッポ
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プペッ
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ピィッ
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ファァ