なんで…俺にはできなくてあんたにはできるんだよ 作:棒棒鳥
『プレナパテス……沈黙を確認しました!』
学園都市の上空に浮かぶ方舟での決戦。それに、今終止符が打たれた
シッテムの箱、大人のカード、先生がこれまで紡いできた絆。それら全てを用い、目の前の敵を打ち倒したのだ。
これで、この戦いは……この物語は、終幕を迎える
はずだった
……そう、本来であればここに敵は居ない。居るのは、絶望を感じてしまった少女と、それを救わんとした聖人のみ。
しかし、この物語にはイレギュラーが存在した。
『これで……!』
「悪いが、そうはいかない」
『っ!?』
安堵や喜びに包まれた空気の中、それを切り裂く様にして放たれた言。それの主は、本来であればこの場……延いてはこの世界にすら存在し得ない者。
全員がそちらの方を向き、皆一様にして目を見開く
「なぜ……君がここに? 君は地上で他の子達と……」
「ああ、そこは安心して良い。任された地点の敵は全て殲滅した。それに、ここに来る途中で危険そうな者達にも手助けはしてきたからな」
「……そっか。それは良かった。けど、もう一度聞くよ。なぜ、君がここに?」
嫌な予感。確証もない、そんな曖昧な感覚に襲われながら、先生は彼へと問いかける。それに対し、彼は一息ついてから、語る。
「……あなた達を倒す為だ」
「なっ……」
二度目の驚き。先程の驚きとは違い、疑問を多く含む物ではあったが、その驚きは先程の比ではない。
「……冗談で言っている訳ではない。俺は、俺の全てを以って、あなた達を否定する」
「……なぜ?」
努めて冷静に、胸中の焦りを押しとどめ、全員の疑問を代弁する。
「……分からないんだ」
「……?」
「俺は、強さこそ絶対だと思っていた」
「……」
「自分の意見を通せるのも、何かを得ることができるのも。……そして、誰かを守れるのも。全て、強さによって得ることのできる権利だと思っていた」
だが、と。少し強い口調で言い放つ
「あなたが来た」
「……私?」
「そう、あなただ。俺達と違い、ヘイローもなければ自衛手段もない。俺からすれば、正しく……弱者だった」
「しかし、あなたは持っていた。自分の意見を通す権利も、何かを得る権利も。……誰かを救う権利も。あなたは、俺が欲しかったモノを全て持っていた」
「なぜだ? なぜ、あなたにできて俺にはできなかった? 俺は"あの時"から、全てを切り捨てて、ただ強さを求めた。……だが、俺の手からは何もかもすり抜けていった」
「学校も、家も、名前も…………友も」
「なあ、教えてくれよ……先生。俺は、どうすれば良かったんだ?」
「……それは」
言葉を続けようとしても、彼に答えられる物が出てこない。
「……冗談さ。自分では分かっている」
「っ……」
「あなた達にあって、俺に無かったモノがある。……絆、信頼さ」
「……」
「俺が過去に切り捨てたモノ。人の気持ちという曖昧なモノが、俺とあなた達の違いさ。それがあるから、あなたは誰かを救えた。誰かを信じるあなたを、みんなが信じた。……そう、そうなんだよ」
「だからこそ」
気に食わない
『っ!?』
その言葉が発されたと同時、彼からとてつもない何かをその場に居た全員が感じた
「他者との絆、信頼。そんなもの、簡単に消え去るんだ。なら、最初からそんなものを持たなければ良いと、そう思った。……なのに、なのになんでお前らはそれを持ったまま生きる事ができる!? なんで、そんなに楽しそうに生きれるんだよ!!」
「強さこそ正義、強さこそ絶対だ! なのに、なのになんでお前みたいな弱者が全てを持っている!?」
「なぁ! 教えてくれよ先生! 俺とあんたで何が違う!?」
「……」
「……俺は、あんたを否定する。あんた達の絆の力を、俺がへし折る。そして、俺は俺の正しさを証明する」
「それは……」
「もう、俺にはこれしか無いんだよ!!! 俺があんた達を認めてしまえば、俺はこれまでの俺を否定する事になる! 切り捨てたあいつらが、無駄になるんだよ!!!」
「っ……」
「もう……これしかないんだ。……頼むよ。先生、みんな」
『……』
「……分かった」
「せ、先生!?」
「みんな、お願い。彼の……願いを叶えてあげたいんだ」
「願い……? それはつまり、私達に彼と戦って負けろ……ということですか?」
その言葉に先生は首を横に振る
「いや、そうじゃないんだ。……全力で彼と戦って、彼を負かしてほしい」
「な、なぜですか?」
「……きっと彼は……ユウヤは、それを望んでいる」
『……』
「お願い。みんな」
先生からの、頼み。そして、先程彼が見せた苦しそうな表情。それらを見て、彼女達は静かに首を縦に振る
「……ありがとう」
「……よし、やるよ。ユウヤ」
「……ああ。来いよ!! 俺の全てを以て、お前らを打ち負かす!!!」
ー天城 ユウヤ(あまぎ ゆうや)
オリ主。この後普通にシバかれる
・幼馴染が居た。家も近く、気も合うし、趣味も同じな幼馴染。ずっと一緒に居ると、そう思っていたのに。その子は、不良生徒同士のいざこざに巻き込まれ植物状態になってしまった。しかも、運び込まれた病院が悪く、多額の治療費を請求される。その子を死なせたくない一心で仕事を始め、寝る間も惜しんで働く。その中で気の合う友人もできるが、いつの間にか自分が稼いだお金をパクられ、どこかに消えた。
その後なんやかんや仲良くなったやつら全員に裏切られ、勉強に時間が回せず学業が疎かになり退学処分。身分を証明出来る物も無いため家も借りれず、極限状態が続きついには自分の名前を忘れてしまう。さらには金が足りずに借金をするが、借りた先がまさかの悪徳業者で普通に詐欺られて多額の借金。そんなこんなで幼馴染の延命処置も満足に行えずに死去。あの時幼馴染と一緒に居ればとか色々余計なことを考えて、強くなければ何もできないって思考になってずっと修行してた。めっちゃ強くなった
そんな中先生が来て、その生き様とか行動を見て頭おかしくなっちゃった。戦いを始める前から自分が負けるのは分かっており、この戦いは彼にとってのケジメだった
因みに普通に人助けはするしみんなからも好かれてる。ただ本人は人を信用できないからいつもビクビクしてる
長くなっちまったぜ…