お兄様のことが大好きな雨の魔女トネリコ或いは冬の女王モルガン 作:今井綾菜
すごーーーい!
もっと応援して!(ペンライト全力でぶんぶん振る作者)
それではこのブリテンにおける最後の別れをご覧ください。
妖精國最後の決戦が幕を下ろすのにそう長く時間はかからなかった。
元より戦闘に特化していないオベロンという存在と戦闘に突出した性能を持つアルトリアとレインフォート。
オベロンの胸に深々と突き刺さるエクスカリバーを見て、貫かれた本人は何を言うわけでもなく笑った。
「結局、今までと同じじゃないか。なあ、レインフォート……お前今どんな気持ちだ?守るものも、愛したものも全部無くして……またこうして俺を殺して、立派にお役目を果たしたわけだ」
「…………それでも、託されたから。全てが終わるその時まで迷わずに歩き続けるよ。妹が、娘がそうであったようにね。あの子達が誇れる存在であるために」
「ハッ……!お前のそういうところ、本当に嫌いだ」
オベロンの身体が揺れる。
全速力で上昇を開始したストーム・ボーダーだが、奈落から這い上がるには明確なゴールが判明していない。
「……オベロン」
「アルトリア……そんな顔をするなよ。お前たちは勝ったんだ、崩落を起こしたその原因を止めたならその先は大団円だろ?勝者が敗者を憐れむ顔をするものじゃない。俺は全力で戦って負けた、お前たちは全力で戦って勝った。舞台を降りる役者を見送るのも残り続けるものの役割だ」
「ええ……貴方がそういうのならそうなのでしょう。だから、せめてこの言葉だけは伝えさせて欲しい。
“ありがとう”オベロン。幼いあの子に希望を与えてくれて」
「………………ぁぁ。本当に」
その言葉にどれだけの想いが込められていたのか、オベロン本人にしかわからないことではある。
だが、それでも彼は覚えているのだ。
はじめて杖から語りかけた時、あの目を輝かせていた少女を。
何日もかけて習得した魔術を教えた時、それをつかってすごいと笑っていた少女を。
1人で孤独な夜に縋るように声をかけてきたあの少女を。
その言葉の先は、決して語られることはない。
だがそれでもそれでいいのだ。
大嘘つきのオベロン、それでもあの幼い少女と過ごした時間は嘘じゃないのだから。
ストーム・ボーダーが大きく揺れる。
それと同時にオベロンの身体が大きく揺れ、その肉体が落ちていく。
「……けど、お前も道連れだろ」
その瞬間、胸を貫くエクスカリバーの柄とレインフォートの腕を掴んでオベロンとレインフォートがストーム・ボーダーから落ちていく。
「っ!レイン!!!!!」
アルトリアの悲鳴にも似た叫び声が響く。
しかし、ストーム・ボーダーとの距離は離れていくばかりでアルトリアにもレインフォートにも為す術はなかった。
「……流石にみっともないと思わないか?」
「この座標が定まらない奈落の中じゃあ水鏡は使えないだろ?虫にも最後の意地があるってだけさ」
「なるほど、さっきの煽りはそこそこ効いてたらしい」
「一度くらいは勝っておきたいじゃないか」
奈落の底に自由落下していく男2人。
しかし、2人の間にあるのは相手への怒りや憐れみでもなく、お互いに対しての純粋な気持ちだった。
「まあ、全部終わったから本音を話すとさ。俺はモルガンが紡いできたこの物語は嫌いじゃないんだ。厄災として立ち塞がる立場だったけど、ずっと見てきたんだぜ?そういう意味では1番の観客だったとも言える」
「君、本当にそういうところだぞ」
「カルデアが気に入らないのも本当さ。あの娘が泣きながら綴ったこの物語を当たり前のように否定した。間違ってる、意味がないってね。俺はそれが気に入らないんだ。俺個人が感じる気持ち悪さを忘れるくらいにね。いいか、この物語が壊れたのはお前が死んだ6000年前のあの日だ。そうじゃなきゃ他の物語にも負けない強い歴史と国が出来ただろうよ」
「……もしそうだったなら、今と立場は変わっていたかい?」
「さあ?ありもしなかった“もしも”の話はやめてくれる?俺とお前は根本的に相容れない存在だ。ブリテンの守護者とブリテンの終わりの意思。俺たちの関係は初めから決まってるだろ?」
「まあ、それもそうだ」
他愛のない会話をしながら、2人の男が落ちていく。
****
「よし!藤丸とキリエライトは無事入艦したな!しかしアーデルハイトは連れて行かれてしまった!どうにかならんのか!!」
「無理だ!加速しているストーム・ボーダーから落ちてもう何分になると思ってる!」
「見捨てるなど出来るものか!彼は
ゴルドルフの言葉にブリッジにいた全員が息を呑む。
「このブリッジにいる全員があの日、助けられたのだろう!?彼に助けられた我々が彼の生存を諦めていい理由はない!せめて聖剣の反応から位置くらいはわからんか!」
「……あーもう!マリーン!誰か1人聖剣の反応を追って!」
「もうやってる!1500km下方にエクスカリバーの反応!でも、今から降下してたら崩落に巻き込まれたまま抜け出せないよー!」
「しかし、この空洞には出口がない。我々にその手段が無い以上、駆け出すこともできないのが現実かと」
「ええい!感心している場合かね!?こんな……出口がないという程度で……!」
ギリッとゴルドルフの歯が鳴る。
ブリッジにいるメンバーも上昇しながら落ちているというこの現実に対抗する手段は誰も思いついていない。
このままでは埒が開かない。
解決策もないまま、奈落からの脱出は叶わないと誰もが判断したその時。
「っ!3000km先で謎の爆発を確認!」
「空洞が切り裂かれて空が見えてる!」
「この熱線間違いない!アルビオンだ!アルビオンの魔力放出!」
「それと同時にこっちに向かって突っ込んできてる!!」
「わー!アルビオンと接触するまで5.4.3.2───」
「「「「「うわあああああああああ!!!!!」」」」」
ブリッジに無数の悲鳴が響く。
マリーンのカウントが進み、まさに直撃すると思われたアルビオンはストーム・ボーダーの真横を通り過ぎ、そのまま一直線に奈落の底へ向かって飛び去っていく。
「よくわからないがアルビオンの空けた切れ目に向かって全力で飛べ!まずはこの奈落からの脱出を最優先にする!」
ネモの号令にストーム・ボーダーのエンジンが最大稼働する。
時速18000kmにも及ぶ加速力で人理を守護するための船は奈落の虫から飛び出し、再び空の元に帰ってきたのだった。
****
「チッ、ここにきてアルビオンが介入してくるとかある?」
「まあ、約束したからね。これであの子たちは空の元に帰る。“また”僕の勝ちだなヴォーディガーン」
「あーはいはい」
呆れたようにそう返したオベロンの視界に入ったのは何千年と見慣れた黄昏の空ではなく……。
「……見えてるかヴォーティガーン。あれが汎人類史の青空だ」
レインフォートが指差した先。
アルビオンが穿った穴のその先に見えるのは澄み渡る青空。
「まったく、吐き気がするほどキレイじゃないか」
その言葉を最後に、オベロン・ヴォーティガーンの意識は途切れた。
胸を貫かれ元より限界が来ていたのだ。
ただ、その最後に見たものが、あまりにも美しくて。
最後に吐き捨てるように呟いた言葉は確かに聖剣の王にも届いていた。
「……あとは僕がどうするかだな」
レインフォートに焦りはない。
問題は、この奈落を落ちていくのに話し相手がいなくなってしまったことを悔やんでいるくらいで。
オベロンの語った通りこの奈落の中では自身の座標すら把握できないことから、ゴールとなる空が見えていたとしても水鏡のゲートを開くことができない。
上下左右どれだけの距離があるのかもわからない状況では結局何もできないのがオチだ。
最後まで進むと啖呵を切っておいて為すすべもなくこうして奈落に落ちていくだけとはなんとも恰好のつかない姿であった。
だが、そんなレインフォートの耳にこの静寂に相応しくないジェットエンジンのような駆動音が聞こえた。
音のする方に視線を送る。
空の見えるあの切れ目から徐々に大きくなってくる影。
超音速で加速し続ける機竜の姿が接近してきていた。
「……っ!メリュジーヌ!!!」
その姿はアルビオン。
オークニーで別れる時、確かに約束したのだ。
『僕が僕でなくなったとしても、『私』の翼はきっとあなたを迎えに行く。だから───私を信じてくれる?』
そう、妖精としての姿を無くしても彼女の翼は確かに聖剣の王を迎えにきたのだ。
───やくそく、した……でしょ、う?。
彼女の微かに残った意識が、レインフォートに語りかける。
「ああ、待ってた。君を信じていた」
───そう、よかっ、た。つかま、っ……て。いっしょ、に……さいごの。
アルビオンの背に、レインフォートが捕まる。
それを確認する間もなく、アルビオンは自身が開けた亀裂へと加速していく。5000km以上にも及ぶ距離をアルビオンの翼が駆け抜けるのはあっという間だった。瞬く間に空洞から澄み渡る青空へ、そしてそのまま彼女の進路はあの滅びた雨の国へ向かっていた。
途中、ストーム・ボーダーの横を通り過ぎ……彼らもアルビオンに追従するようにオークニーへ向かっていく。
崩落に巻き込まれた地域はひどいものだった。
エディンバラを超え、湖水地方を抜けた先、かつて人と妖精が栄えた都市オークニーの大広間にアルビオンは着陸する。
それと同時に竜としての姿が解け、現れたのは妖精の頃の名残を残しながらも竜の因子をその身体に表した姿だった。
「よかった……最後にあなたに逢えて」
「メリュジーヌ……」
もはや、彼女の命も風前の灯火。
そもそもトネリコに霊核を穿たれた時点で残りの命は僅かだった。
ただ、微かに残る彼女の意識が約束を果たそうとその命を繋いでいただけで。
「ずっと、夢だったの。あなたと共に空を駆けるあの瞬間が……ずっと後悔してたの、あの崩壊の日、この身体が腐り落ちた腕ではなく、竜の姿だったらって……そしたら、あなたは死ななかったのに……って」
力なく倒れ、レインフォートがメリュジーヌの身体を抱き止める。
「ねえ、レイン。私は……今度こそあなたの力になれた……?」
「ああ、ありがとう、メリュジーヌ」
「ふふっ……よかった…………ああ、私、今ほんとうにしあわせ、なの。だれよりも、ずっと愛してきた、あこがれてきた、あなたの腕の中で……」
「あなたのやくに、たてて、死ねる、なんて……ゆめ、みたい、ね」
その言葉を最後にこの星で最古の神秘が瞳を閉じた。
妖精騎士ランスロット。
妖精メリュジーヌ。
境界のアルビオン。
三つの名を持つ愛のために生きた少女は最後の最後に後悔も夢も全て精算して、7000年愛した男の腕の中でその生を終えた。
最後に残ったのは、アルビオンという強大な存在が武器としてその姿を変えた二振りの剣。
境界剣テュケイダイト、それは確かに聖剣の王へと。
メリュジーヌが旅立ち、数分後。
オークニーにストーム・ボーダーが到着しカルデアの面々が降り立ってくる。
「レインフォートさん!」
広場に真っ先に駆け込んできたのは藤丸立香。
その後に続くようにマシュが駆け込み、その後ろにゴルドルフをはじめとするメンバーが揃っていた。
「奈落の虫は討伐された。これでこのブリテン異聞帯が汎人類史に及ぼす影響は完全に解決したと言っていいだろう」
「……では、今回の作戦はこれにて終了。ノウム・カルデアの所長としてレインフォート・アーデルハイト“特別顧問”として復職を要請する。人理を取り戻す戦いのため、再び私たちに力をかしてはくれないだろうか」
真っ直ぐに、だれよりも先に。
ゴルドルフはレインフォートの前に立ち、手を差し出した。
「……嬉しい申し出だが」
「……?」
「忘れてないかな。今の僕はこのブリテン異聞帯の王だって」
「そ、そんなことも言っていたようは気はするがね」
「もう王として守るものは何もない。けれど、今再び旅を共にするのなら、君たちが歩んできた道程を見せてもらおうか」
レインフォートが聖剣を構え、全ての武器を翼として展開する。
圧倒的な魔力が場を満たし、世界が彼を中心に書き変わっていく。
「さあ、世界を取り戻さんとする星たち。これがこのブリテンで最後の戦いだ!」
「よし、やろうマシュ!私たちの旅の成果を見てもらうために!」
「っ!はい!マシュ・キリエライト。胸を借りさせていただきます!」
最果てのオークニー、そこでブリテン異聞帯における本当に最後の戦いが始まる。
次回、最終話 エピローグ。
ついに次回で2部六章は最終話を迎えます。
ここまで応援してくださった皆様、本当にありがとうございます。
ハーメルンにおいては数少ないアヴァロン・ル・フェ完結作品に名を連ねられることを誇りに思っております。
ひとえに、ここまで感想をくださった方々、高評価をつけて応援してくださった皆様のおかげです。
正式なご挨拶は次回のエピローグにてさせていただきますが、それでも感謝の心は何度でも……。
さて!それじゃあ皆様気になってますね!?
この世界におけるブリテン異聞帯最後のバトルそのギミックを公開します!
クラス・セイバー
レインフォート・アーデルハイト
Hp226.408
Hp311.000
Hp462.592
3ゲージ合計100万。
CT4
ギミック
『きみを抱く希望の星』戦闘開始時、3Tに一度ランダムで使用
対粛清防御3回/3T
攻撃力アップ
最果てのカリスマEX(毎ターンランダム)
攻撃力アップ、CT2増加
妖精炉接続A++
CT3増加、宝具威力アップ、クリティカル威力アップ。
宝具1ゲージ目
《
ターゲットランダム単体に超強力な無敵貫通攻撃。
《
敵全体に超強力なやけど付与攻撃+延焼を付与、スタンを付与。
《
敵単体に超強力な呪い特攻攻撃、ダメージ前に『呪い』状態を3個付与
上記のうちからランダムで使用
ゲージブレイク1回目。
武器翼展開、装備換装。
CTフルチャージ自身に無敵貫通、必中、宝具威力アップを付与
宝具
敵全体に超強力な防御無視攻撃。
基本行動は1ゲージ目と同じ。
宝具2ゲージ目CTチャージ後
敵全体に超強力な[悪]属性特攻攻撃、味方全体に無敵付与1回1T
ゲージブレイク2回目ラストゲージ突入時
最果てよりA++
自身にガッツ付与3回[解除不能]
クリティカル威力アップ
宝具威力アップ
聖剣抜刀
攻撃力をアップ×4[解除不能]
毎ターンCT1上昇
きみを抱く希望の星
基礎行動は1ゲージと同一。
宝具
敵全体に超強力な[人類の脅威]特攻攻撃、宝具使用後に敵全体に強化解除と自身のCTを2進める。
というような仕様になっております。
読者の皆様なら現環境、または当時の環境でどのようにお兄様に挑みますか?
また、敗北してもストーリーは進むので勝つこと自体が高難易度というフェイクコラボのリチャード戦のような気持ちで挑んでください!
アヴァロン・ル・フェの更新について
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今まで通り月に3〜4話見れればいい。
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待ってもいいからストックして放出
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別に気にせんでええねんで(^ω^)