お兄様のことが大好きな雨の魔女トネリコ或いは冬の女王モルガン 作:今井綾菜
アヴァロン・ル・フェ編もこの時を迎えることが出来ました。
蛇足も込みで合計120話、今回で2部6章アヴァロン・ル・フェ編最終話となります!
読了後は是非『fields of hope(ラクス・クラインcv田中理恵)』を聴いてみてください。
きっとこの物語の終わりとして1番のエンディングテーマとなるかと思います
ちなみに、前回の最後に書いたお兄様。
ビーストと厄災討伐が専門の聖剣使いが簡単に弱体通るわけないでしょうということで。
クラススキル公開します!(後出しのカス宣言)
対魔力A(弱体耐性20%)
最果ての加護Ex(弱体耐性100%/強化成功率100%)
是非ともみんな泣いてください(愉悦)
崩壊したブリテンの大地を、ただ1人で踏み締めている。
三つの厄災、その後に現れたこのブリテンを飲み込まんとした奈落の虫。
そのきっかけを作ってしまった僕に出来るのは世界が終わるその時までこのブリテンを自分の目で見て回ることだった。
それが、2000年このブリテンを守護し続けてきたモルガン陛下の治世を終わらせた罪人である僕に課せられた最後の償いだからだ。
妖精國ブリテンの叛逆者 パーシヴァルの手記冒頭より。
奈落の虫の討伐、この世界の真の王が正しい世界を取り戻すために空飛ぶ船で旅だってからオークニーを目的地として僕は崩壊したロンディニウムからブリテンを回る旅を始めた。
もとより、この身体は限界が近く特別なことは何もできない。
けれど、炎の厄災と戦ったあの時に告げられた事をなすためにこの身体は動いている。
厄災が始まったあの日、多くの妖精たちは魔犬に食い散らかされ、炎に焼かれ、呪いに侵され姿を消した。
残ったのはほんのわずかな人間たちとそんな人間を庇う妖精だけ。
小さな町の残骸で身を寄せてモースに怯える人間たちがいた。
あの厄災以降、モース毒は妖精にだけ影響のあるものという常識が通用しなくなった。
まるで人間のような姿のモースも現れ、現に人間を侵食しやがてモースへと変えてしまったのである。
だが、そんな彼らを守護するものたちもいた。
そう、元・女王軍の女王騎士たちと妖精騎士バーゲスト直下の騎士たちである。
妖精騎士アーデルハイトが彼らに与えた使命は「国民を守護すること」であり「弱きものの盾となる事こそ騎士の本懐」とした。
また、バーゲストもアーデルハイトの教育を受けた騎士の1人であり、自身の直下となる騎士たちにも同じように言い聞かせていた。
そんな2人の遺志を引き継いだ数百名の生き残りたちはブリテン各地に広がり、いまも王なき国家の国民たちを守護している。
妖精國ブリテンの叛逆者 パーシヴァルの手記第一節より抜粋。
結果として、ロンディニウムからあの最果てのオークニーに辿り着くまで4ヶ月もの時間がかかった。
たくさんの人々に出会い、たくさんの妖精たちに出会った。
たくさんの集落や街に赴き、時には復興の手伝いをした。
誰もがあのときのブリテンがおかしかったと嘆き。
モルガン陛下を失ったのは間違いだったと吐き捨てた。
その言葉を受け止めるのも、反乱軍を指揮していた自分への罪だとして受け入れた。
僕の正体を知った女王騎士からは恨みのこもった視線や言葉を投げられたこともある。
当然だろう。
本来なら主君の仇である僕のことを、それでも守護する対象として判断したうえでその程度で済ませた彼らの理性に感謝するしかない。
そうして、たくさんの出会いを経て僕は残されていた小さなボートを使ってオークニーの大地に降り立った。
御伽話で聞いたグロスターやキャメロットよりも栄えていた都市。
人間の妖精が手を取り合い幸せが満ちていたという救世主トネリコの故郷。
そして、妖精たちの裏切りにより滅びた古の理想郷。
旅の始まりから綴ってきたこの手帳もこれが最後かもしれない。
もう指先に力が入らなくて、足も動かない。
いろいろ無理をしてきた身体も限界がきたみたいだ。
どうか僕の罪がいつまでも許されぬように。
いつかこの手記がこのブリテンの真実に……最後の罪人が歩んだ道を知れるように。
妖精國ブリテンの叛逆者 パーシヴァルの手記第九節より抜粋。
オークニーの大広間。
かつて美しい噴水が立ち上がっていたそこで、大きな柱に背中を預けたパーシヴァルが薄れゆく意識の中最後の一言を手帳に書き記した。
ぼんやりとした視界の先には懐かしい面々が映る。
あの戦いで失った円卓軍の友たち。
一番元気に手を振っているのはガレスだろう。
「……ああ、みんな……迎えにきてくれたんだね。会いたかった、会いたかったんだ。聞いて欲しい話もたくさんある、そうだなぁ……空を飛ぶ船に乗って竜と戦った話なんてどうだろう」
自然とパーシヴァルの口から溢れた言葉。
何度も何度も仲間たちに会いたいと願った。
あの戦いの話を何度したいと思っただろう。
少年の意識が、肉体から離れていく。
仲間たちの元へと走って、走って、そんな自分の顔を見て仲間たちが笑った。
そして、何かに躓いて地面に突っ伏して……
──まったくもう、おっちょこちょいなところは変わらないね。泣きながら走ってくるやつがいるか、ほら……パーシヴァル。
その声に、導かれるように顔を上げる。
そこには昔のように手を差し伸べる困り顔の姉の姿が……。
差し出された手を取り、今度こそ彼は歩き出した。
姉さん、聞いて欲しい話がたくさんあるんだ。
なんだい?どんな話だって聞くよ、だって時間はたくさんあるんだ。
僕の友達もたくさん紹介したい。
もちろん、いくらでも。
決して同じ道に交わることのなかった姉弟がお互いの手を握ってヒカリの中に消えていく。
もう2度と、離れ離れにならないように。
オークニーの大広間に1人残された少年は幸せそうな表情をして眠りについていた。
****
ブリテン異聞帯での作戦終了から数日後。
カルデアに正式に復帰したレインフォートは“特別顧問”という役職を与えられ、懐かしいスタッフのメンバーとの顔合わせを済ませ、日々の業務をこなす毎日を送っていた。
「おほん、アーデルハイト特別顧問。今少しいいかね?」
「ええ、僕の方は特に急ぎの用事もないから」
「……改めて話がしたいと思っていた。あの南極基地でのファーストコンタクトは最悪だったからね。私なりの誠意としてまずは同じ卓で食事をと思ったわけだ」
そう口にしているゴルドルフが手にしているのはついさっきオーブンから出してきたであろうトレー。
そしてその上に乗っているのはホカホカと湯気を上げ……手はいないが芳醇なバターの香りがする焼きたてのクロワッサン。
「……とはいってもここは資料閲覧室ですが」
「キミも細かいことを言うねえ!ほら!とりあえずここに置かせてもらいますからね!」
資料が置かれていないスペースにトレーを置き、クロワッサンをひとつ手に取ってレインフォートに渡す。
「あの作戦で得たのは勝利だけではない。大切な家族を失ったあとに平常心を保てと言うほど私だって冷酷な男ではないつもりだ。美味いものを食べて一息つく、そんな時間も必要だと私は思う」
「……まったく、それで冷酷な魔術師を自称しているんですか?」
「自称ではない!まったく誰だねそんなこと言っているのは!」
レインフォートか笑えばゴルドルフがいつものように思わず叫び返す。
そんな彼を見てレインフォートがまた笑い、差し出されたクロワッサンを受け取った。
「うん、美味い。所長もどうです?同じ卓で食事をするのが目的なんですよね?」
「ま、まあそうなんだが……まあその、私たち時計塔に居たものとしてはやはり緊張するというかなんというかだね」
ぎごちなくトレーからクロワッサンを一つ取り一口台にちぎって口に運ぶ。
「くそう!美味いじゃないの!この滲み出るようなバターとサクサクふわふわのクロワッサン!今日は会心の出来だぞぅ!」
「ふふっ、やっぱりあの子達が懐くだけある。僕の偏見も少し見直す必要がありそうだ」
そしてそれから数十分。
談笑しながらトレーの上のクロワッサンを全て平らげ、今度はレインフォートが何か焼いてご馳走するという約束までしたところでゴルドルフはトレーを持って出て行った。
今日はこの後も彼らがこれまで駆け抜けてきた異聞帯と特異点の記録を閲覧することしかひとまずはやることがないが、今日はリソースがある程度溜まったらしく立香ちゃんの英霊召喚の予定が入っていたはずだ。
まあ、しばらくはこれまでのカルデアの歩みを閲覧するためにこの部屋に鮨詰めなわけだが、召喚された英霊には後日改めて挨拶することにしよう。
「チェイテピラミッド姫路城……?チェイテピラミッドでも頭を抱えたのに姫路城まで乗っかったのか?なんでもありだなハロウィン……」
元指揮官としては本当に頭の抱える特異点ばかりで、閲覧を途中でやめてしまおうかとも何度も思ったがそれでも送り出したあの子達が乗り越えてきた旅路をしっかり見届けるために黙々とレポートを読み続ける。
そうして、幾ばくか時間が経った頃。
資料閲覧室の扉が開いた。
概ねスタッフの誰かかホームズあたりだろうと「お疲れ様」とだけ声をかけ、視線は手元のレポートに集中していた。
しかし、代わりに響いたのはヒールの音。
もしかして、スタッフじゃなくて英霊の誰かかと見当をつけて視線はレポートに落ちたまま。
ヒールの足音が背後で止まり、邪魔になるかと席を立とうとしたとき、目を何物かの手で塞がれた。
「誰でしょうか」
耳元で囁かれる聞き覚えのある声。
どこか艶やかで、甘えるようなそんな声だった。
「……っ」
手に持っていた資料を隣のデスクに置いて、椅子から立ち上がりそのまま僕の目を塞いできた張本人を抱きしめた。
「おかえり……!トネリコ……!」
「…………ええ、トネリコ改めモルガン。バーサーカークラスのサーヴァントとしてお兄様の元に帰ってきました」
最果ての兄妹が再びお互いの温もりを感じるために抱き合う。
その目尻に、雫がこぼれ落ちたのを気付かぬように。
ただ、互いの存在を感じるためにずっと、ずっと抱き合ったのだ。
「ねえ、陛下だけずるくない?私達も部屋入ろうよ」
「流石にあの2人のところに行く勇気はわたしにはないなぁ」
「お前相変わらず空気読めないよな。伯父様との再会はお母様が一番先って話し合ってきただろ」
モルガンとレインフォートが再開を喜んでいるその頃。
部屋の外には同じくカルデアに召喚されたアルトリア・キャスターとメリュジーヌ、バーヴァン・シーがいるのだった。
改めまして、読者の皆様ここまでの応援誠にありがとうございます。
初めから応援してくださっていた方や途中から追いかけてくださった方。
ランキングで見かけたから追いついてきてくださった方、たくさんの読者様のおかげで強化の時を迎えることが出来ました!
本当に感謝の言葉が尽きません、いまこの話を投稿しようとしている作者自身がここまでこれたことを信じられていません。
多分同じことを2度やれと言われると、きっと無理だと投げ出してしまうことでしょう。
ですが、それでもやりきれたのは応援してくれる皆様がいたから。
本当にここまで来れたことに全力で「ありがとう」と言わせてください!
私の物語はどうでしたか?
美しい物語でしたか?
優しい物語でしたか?
そうであったならこれに勝る喜びはありません。
どうかいつまでも、この物語が“あなた”の記憶に残りますように。
さて、いっときの区切りとしてアヴァロン・ル・フェは最終話となります。
ですが、以前から何度も言った通りこれからが本番です!
だってみんな!カルデアでのモルガンとお兄様の話見たいよな!!!!
アルトリアとバーヴァン・シーが買い物行く話見たいよな!!!!!
鯖フェスでイチャつくお兄様とベタベタに甘えるモルガン見たいよな!!!!!
これから全部見せてやる!!!!!!
だからこれからもこの作品を応援してくれますか!!!!!
完結のお祝いに皆様からの感想や高評価お待ちいたしております!
アヴァロン・ル・フェの更新について
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今まで通り月に3〜4話見れればいい。
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待ってもいいからストックして放出
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別に気にせんでええねんで(^ω^)