お兄様のことが大好きな雨の魔女トネリコ或いは冬の女王モルガン 作:今井綾菜
祝!モルガンピックアップ!!!!
カルデアに来てから数年が経過し、スタッフたちとの交流もそれなりにうまく出来ていた。
アドバイザーという立場からほんの少し特別な立場からの意見を求められることも多いがそれでも僕を慕って話しかけてくれる人が多いのは事実だ。
レインフォート・アーデルハイト、もしくは最果ての賢者などと初めの頃に染み付いていたイメージを払拭するべく『レイン』という愛称で呼んで欲しいと提案していたのが功を奏したのだと思う。
問題としては数ヶ月前に僕をこの組織に招いたマリスビリーが命を落としたこと、そしてこの組織の後継として彼の娘であるオルガマリーがこのカルデアの所長となったこと。
彼女を支えるために付きっきりになっているライノールと時折アドバイスをするロマニの姿はなかなかに様になっている。
最も、ロマニへの態度は相変わらず……というよりも以前にもましてキツくなっていると言った方が正しいだろうが。
「って、聞いているのレイン!?」
「聞いているとも、君のロマニ嫌いは今に始まった事ではないだろう」
「別に嫌いなわけじゃない、ただあのなよっとした態度が気に入らないだけで……」
「あはは、君が現場の空気を締めるように彼が適度にガス抜きをしているのさ。特にカルデアという組織の重荷を背負った今の君に彼は必要な存在だと思うよ」
「…………」
そこまで言って目の前にいる少女、オルガマリーは黙り込む。
ここは司令室から少し離れた休憩室の一角、このカルデアの新所長となったオルガマリーが僕に愚痴をこぼす時に呼び出してくるお決まりの場所でもある。
「君の肩に乗った責任は重たいだろう。人理の保障という大任は君のような少女が背負うようなものではない。けれど、君はその責任を追う道を選んだ。一癖も二癖もある魔術師揃い、天才や秀才が当たり前のこの組織で君を所長と認めさせるその手腕があるからこそ僕たちも協力は惜しまないさ。ライノールやロマニだって君に意見を求められたら嫌な顔をしないで答えてくれるだろう?」
「それは、そうだけど」
「なら、君が卑下する必要はない。君は上手くやれている、誰がなんと言おうとも僕がそれを保証するよ」
「…………流石は最果ての賢者様ね。そうやって甘い言葉で何人のスタッフをたらし込んできたの?」
「おや、風向きが変わって来たね。僕が愛するのは今のところ1人だけなんだけども」
「そう、あなたシスコンだものね。カルデアのスタッフの中では有名よ?最果ての賢者レインフォートが愛するのは自身の妹だけだって」
「ひとまずその最果ての賢者というのをやめないかマリー。僕自身に認識がない分その名前で呼ばれるのはむず痒いんだ」
「なら、もっと呼んであげたほうがよさそうね。神域の天才魔術師、最果ての賢者様?」
「……勘弁してくれ」
つい先程まで真面目な話をしていたというのにどうしてこうなるのか。
彼女と話をするとすぐにこうして話を逸らされた挙句、僕を揶揄うことにシフトしてしまうのだ。
それが彼女にとってのガス抜きになっているのなら僕としても問題はないのだが、それにしても方向性を少し変えてくれないものかとは思う。
それからほんの少しだけ談笑をしてオルガマリーは仕事に戻って行った。
僕の眼から見ても帰り際の言葉に嘘はなかったことから今のところ空元気ではないのはいいことかもしれない。
そして場所は変わり医療区画。
僕はロマニに頼まれて毎日同じ場所に通っていた。
「やあ、レイン。今日も来てくれてありがとう」
「いや、いいんだ。彼女と話すのは僕としてもいい刺激になる」
「それじゃあ、いつもどおりお勉強の時間だ。マシュのことよろしく頼むよ」
「ああ、時間になったらアナウンスしてくれ」
ロマニと別れてさらに奥へと進む。
部屋に入る前に細菌を消滅させる魔術を使って部屋の中に入った。
「こんばんはマシュ。今日も読書に励んでいたかな?」
「はい、こんばんはレインさん。昨日貸してくれた4冊の英雄譚は既に読み終えました。どれも素晴らしい物語でまるで私自身が物語の主人公になったような気分が味わえて……素晴らしかったです」
「そうか、それは良かった」
「それで、今日はどのような事をしますか?歴史の勉強でしょうか?それとも魔術に対しての講義を?」
わくわく、といつものように椅子に座る彼女を見て思わず微笑む。
初めの頃から見たらだいぶ成長したかなと感慨深くなりながらも今までとったことのなかった選択肢を彼女に出してみることにした。
「そうだね、マシュはどれがいい?今日は君の好きなことをしてみよう」
「私の好きなこと……それなら、レインさんの話が聞きたいです。なんでもレインさんはイギリスでは最果ての賢者と呼ばれていたとか。一体どのような魔術を修めていたらそのように呼ばれるのか、気になります」
「……誰だい君にそんなことを教えたのは」
「ドクターでしたが……もしやいけませんでしたか?」
「いいや、気にすることはないとも。ロマニには後で痛い目にあってもらうとして……そうだね、じゃあ僕の昔話を少しだけ聞いてくれるかい?」
「はい、是非とも教えてください」
彼女の答えが返って来て、僕は昔話をすることにした。
剪定事象の出身であることやあまり人には話せないことをぼかしながら軽く僕自身のことについて語っていく。
それはそれとして、ロマニ……君は後で覚えておくといい。
僕の生まれたブリテンという世界。
そこは妖精郷ということにして、そこで会った日常やトネリコとの日々。
もちろん名前は伏せたし“妹”としてしか話していない。
だが、それでも彼女は僕の話に夢中になって聞いていたしそこに住む人々のことも興味深そうに聞いていた。
「お兄様の話ですか?うーん、そうだなぁ。とにかく優しい人だったかな。私に魔術の基礎を教えてくれたのもお兄様だし、生きるための知恵を教えてくれたのもお兄様で、今着てるこの旅装束もお兄様がくれたものだから。私にとってどんな人、と聞かれれば1番大好きな人かな」
「へぇー、トネリコにも好きな人っていたんだな」
「なにトトロット?もしかして喧嘩売ってる?」
「あはは!そんなわけないんだわ!」
妖精の住まう土地ブリテン、さらに森の中で焚き火をしていた救世主一行。
トネリコがよく口にしている“お兄様”という人物について彼らはトネリコに質問をしていたのだ。
お前がよく口にする“お兄様”という人物はどんな妖精なのか、と。
「私がオークニー出身なのはもうみんなには話したよね?私を育ててくれたのが雨の氏族で、そしてお兄様は雨の氏族の長の系譜の妖精だった。お母様が大地に還ったあと、本来なら雨の氏族長になるはずだったひとでね」
「つまりはトネリコの兄でもあり……父のような人でもあったのかい?」
「そう、ウーサー君は本当に私の言いたいことがよくわかるね」
「君のことはよく見ているからね」
「うわ出た。ウーサーのトネリコ惚気」
「ちがっ!別にそういうつもりはなくて!」
「隠す必要もないだろう。少なくともここにいる全員にはもう見慣れた光景だ」
「エクター!」
「それに、お前がトネリコと仲睦まじく話しているとライネックの機嫌が悪くなるからな。すぐにわかる」
「オレは別に機嫌が悪くなってなどいないが」
いつもの光景、トネリコが冒険を始めて得た大切な仲間たち。
大好きなキャンプでの仲間たちの会話を聞きながら、彼女は遠い過去に失った大切な家族へと思いを馳せる。
「お兄様、お姉様、お母様……私、大切な仲間が出来たよ。許せないと思っていた他の氏族の妖精たち、人間と妖精の仲間が」
いつのまにか発展しているトトロットとライネックの口喧嘩。
それを見て仲裁に入ろうとするウーサーにみんなの武器の手入れをしているエクターの金槌の音。
それを見ながらケラケラ笑ってヤジを飛ばすグリム。
冒険を始めた頃は何もかもうまくいかなくて、自分の隣にいない兄にどうしたらいいのかよく泣き言を溢していたのが懐かしく感じる。
『どうしたらいいのか教えてくださいお兄様』
そんな口癖ももうここ1000年以上は口にしなくなっていた。
「ト、トネリコ!この2人の仲裁を手伝ってくれ!」
どうにもならなくなったのかウーサーがトネリコに助けを求めてくる。
感傷に浸るのはここまでと切り替えて笑顔で応える。
「もー!仕方ないですねぇ!ほら!2人ともそこまで!その辺でやめておかないとアコーロンクラスター叩き込みますよ!」
「そんなもの食らったらそのまま消滅するんだわ!」
「フン、甘いなトトロット。オレはもう何度も食らったがピンピンしているぞ」
「それはライネックがおかしいだけなんだわ。普通の妖精はあんなもの食らったら跡形もなく消し飛ぶんだわ!」
「えー?お兄様は一度も直撃してなかったから避ければ余裕余裕!」
「トネリコのお兄様も大概ヤバいやつなんだわー!」
そんなトトロットの叫び声が夜の森に響く。
その日も救世主一行の笑い声が絶えることはなく、希望の旅路はまだ続いていく。
ちょっとトネリコのお話も書いておかないとタイトル詐欺になっちゃいそうでぇ……もう気がついたら書いてちゃってぇ……
それはそうとお久しぶりです。
みなさん、モルガンのピックアップが来ましたね!
石の貯蔵は十分?もしくは全部ブッパした?
もちろん目指すのは宝具レベル5ですよね!
作者は宝具レベル3から6になりました!
掛かった金額はまあ……ちょっと眼を逸らしますけども。
我らが女王陛下も仰っていましたね。
「これは必要な消費、そう『必要消費』と名付けましょう」
その作品を見ているモルガン陛下の夫或いは妻のみなさん。
今こそ貯蓄した石を使い切る時です!
みなさんのガチャの報告を作品の感想と共にお待ちしてます。
ガチャだけの報告だとせっかくの感想も見れなくされてしまうので……
あ、あと高評価とかお気に入り登録もたくさんお待ちしてます。