お兄様のことが大好きな雨の魔女トネリコ或いは冬の女王モルガン   作:今井綾菜

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第五節 『視覚星アモン』

ありとあらゆる神秘の具現、英霊たちの宝具がこのソラヘと煌めく。

聖剣の解放を無尽蔵の魔力炉心から放ち続けるレインフォートの尽力もあり、既に5つの領域が陥落した。

 

溶鉱炉ナベリウス、陥落。

 

情報室フラウロス、制圧。

 

観測場フォルネウス、機能欠落。

 

管制塔バルバトス、停止。

 

兵装舎ハルファス、撃沈。

 

ここまでそれぞれの特異点を縁に集まってきた英霊たちが、今度は聖剣を導に再召喚されて第六、第七の領域へと傾れ込む。

 

「待っていましたよ、最果ての賢者」

 

「キミにまでそう言われるとはね、それに……今度は味方として共に戦ってくれるとは心強いよ」

 

「ええ、それは私もです。それに……そうですか、ヴィヴィアンに選ばれたのですね」

 

聖槍を手にしたアルトリア・ペンドラゴン。

第六特異点にて邂逅した女神ロンゴミニアドは僕の手に収まっている今は遠き常雨の剣(エクスカリバー・ヴィヴィアン)を見て頷いた。

 

「貴方になら確かにその資格がある。かつて聖剣使いであった私にも分かります、しかし……あそこまで使い熟されると所有者としては複雑な気持ちにはなりますが」

 

女神ロンゴミニアドは先ほどまで別の領域にて猛威を奮っていた青白い聖剣の光を思い出して苦笑する。

あれから少しだけしか経っていないが、ベディヴィエールによって行われた聖剣返還のお陰で女神としての側面は落ち着き、人らしい感情もだいぶ戻ってきていた。

 

「ああ、これだけは言っておきますが……ここに集った英霊たちは確かにカルデアのマスターとの縁で集いましたが。女神ロンゴミニアド(アルトリア・ペンドラゴン)は貴方との縁でここに馳せ参じたこと、忘れないように」

 

「───は?それは、どういう」

 

あまりにも美しい笑みを浮かべた彼女は彼女の元へと召喚された名馬・ドゥン・スタリオンへと跨る。

その手には輝ける最果ての槍が構えられ、少ないおしゃべりの時間は終わりというのが理解できた。

 

「今ここにはエクスカリバー、ロンゴミニアド、ガラティーン、アロンダイトが揃っている。さあ、我が騎士たちよ……世界を救う戦い、騎士の本懐だ。今この瞬間、賢者レインフォートを円卓の騎士として任命。聖槍の名の下に【最果て】のギフトを授けます」

 

その言葉と共に与えられたのは騎士としてのギフト。

この宙域にて活動する円卓の騎士と同じく、世界を救うための正しきギフトの力。

 

太陽のガウェイン。

 

湖のランスロット。

 

嘆きのトリスタン。

 

銀腕のベディヴィエール。

 

叛逆のモードレッド。

 

聖槍のアーサー。

 

そして、“最果て”のアーデルハイト。

 

それは最果ての槍、世界の楔からの直接のバックアップ。

世界を救うため、その剣としての加護。

 

それは、秩序・善の属性を持つものに対しての絶大な霊基の強化。

その対象として、亜麗たるレインフォートはあまりにも最適だった。

この作戦中に限り、レインフォートの霊基は第六特異点における女神ロンゴミニアドにすら匹敵する。

 

「一掃します……!ガウェイン!トリスタン!」

 

女神ロンゴミニアド。

いや、騎士王の号令に円卓の騎士たちが応える。

太陽の騎士、ガウェインを中心に太陽フレアの如き炎が溢れる。

それはまさに太陽の具現、星の聖剣エクスカリバーの姉妹剣。

万象の悉くを焼き尽くす焔の陽炎───!

 

「この剣は太陽の写し身!あらゆる不浄を祓う焔の陽炎ッ!焼き尽くせ、転輪する勝利の剣(エクスカリバー・ガラティーン)!!!!」

 

凄まじいほどの熱気、エクスカリバーの光に負けず劣らずの湖の姉妹剣。

撃ち出された炎の斬撃は魔神柱たちを成すすべなく飲み込んでいく!

プロミネンスの奔流の如き灼熱の斬撃は正しく太陽の騎士の宝具に相応しい究極の宝具たりえる威力だった。

 

ポロロン……

 

だが、それだけでは終わらない。

ここにいるのは太陽の騎士だけではない。

嘆きのトリスタン、その宝具は彼の手に収まる不可視の斬撃を放つ妖弓。

 

「痛みを歌い、嘆きを奏でる。 痛哭の幻奏(フェイルノート)

 

瞬間、湖の騎士が駆け抜ける先にある魔神柱がその形を失う。

威力、そんなものは誰にもわからない。

ただ、その弦に彼の指が触れただけで対象の死は確定する。

回避不能の必中の矢、最速を謳う英霊でさえ全弾回避は不可能と呼ばれる不可視の斬撃が次々と魔神柱を切り裂いていく。

 

「流石は円卓の騎士たちだ。たった2人の宝具解放で数騎分の殲滅数を誇ってる」

 

「では、我々も往きましょう。聖槍、抜錨───!」

 

騎士王の聖槍が号令と共に暴風を引き起こす。

既に何度か目にした聖槍ロンゴミニアドの真名解放。

ブリテンの騎士王にのみ許された世界の楔の影。

 

「後に続いてください!」

 

「了解した……聖剣、抜刀!」

 

アーサー王に託された二つの宝具が同時にその真名解放に備えて膨大魔力を収束させていく。

星の楔、星の聖剣。

眩いばかりの光の槍と蒼き光を放つ究極の聖剣。

 

聖槍の効果範囲を計算してそこに追い打ちをかける位置に水鏡を使って転移する。

天空から堕ちてくるのは光の槍。

駆け抜けるのは名馬・ドゥン・スタリオンとその主たる聖槍を持つ騎士王。

その姿はまさに流星の如く、眩い光の槍が一直線に魔神柱へと落ちていく。

 

着弾、そして爆発。

着弾地点から半径数キロ以上を光の奔流が天へと立ち昇る。

 

その後を追うように、聖剣の真名を解放する。

 

蒼き光の斬撃が聖槍が取りこぼした有象無象を焼き払う。

 

そしてその中を、駆け抜ける騎士が1人。

手にした湖の聖剣が輝く。

聖剣の解放を限界まで剣の内に蓄えて、切り付けるのと共に放出するというアロンダイトとランスロットの技量を持ってのみ許される究極の絶技。

 

「我が王よ……!この光をご覧あれ!縛鎖全断・過重湖光(アロンダイト・オーバーロード)!!!!」

 

視覚星アモン、この領域に残った最後の魔神は確かに円卓の騎士によって討ち取られた。

 

 

 

 

第六特異点・視覚星アモン、暗転。

 

 

 

 

 

「あのファラオに無理を言って前衛をやらせた甲斐がありました。見事な一撃でした、サー・アーデルハイト」

 

「こちらこそ、円卓の騎士たちと共に戦えて光栄だったよ。エジプトのファラオたちにもゆっくり礼をして行きたいが……そうも行かないかな」

 

遠くの方に、新たに現れる魔神柱の領域が見て取れた。

8つ目の領域、それが確かに出現したと確信を持っていえる。

 

「では私たちは先に彼方へ、貴方は第七の領域へ向かうのでしょう?」

 

「ああ、そうだね。円卓の騎士たちにも心からの感謝を」

 

誠意を持って彼らに礼をする。

見据えるのは第七の領域。

生命院サブナック、戦っているのはウルクで縁を結んだ英霊たちだ。

 

『レイン!君たちの奮闘のおかげで現在6つの領域の活動が停止している。残り一つ、と言いたいところだけどさらに新しく一つの領域が観測された』

 

「こっちでもそれは確認した。第六領域で共に作戦行動をとってくれた円卓の騎士たちがそちらに向かってくれている。僕も7つ目の領域を閉じたらそのまま最後の領域へ向かう」

 

『了解だ!立香ちゃんたちもそろそろソロモンとの戦闘を開始する予定だ。作戦完了まで後少し、僕らも最後まで全力で君たちをサポートする!』

 

「ああ、よろしく頼むよ」

 

親友の声を背に、僕は水鏡へと飛び込む。

 

7つ目の特異点の領域、生命院サブナックへと。

 




昨日一晩でめちゃくちゃ評価いただけました!ありがとうございます!!!
黄色が見たいなー(チラッ
なんて思ってたら黄色バーももう終わり方面、作者はビビり散らかしております。

もっと甘やかしてくれていいのよ?(厚顔無恥)

だってほら、ね?
お気に入り登録してくれてる方4500人もいらっしゃるんですもの(チラッ

皆様からの応援でお兄様とモルガンが再開するまでのスピードが速まるかもしれません。


それはそれとして冠位時間神殿も残すところ後数話。
第一部ももう終わりですね……(爆速カット勢)

第二部も同じようにカット、カッター、カッティングといった感じに進んで参ります。

僕は早くブリテン異聞帯に行きたい()

昨晩からランキング掲載もいただいてるのでニコニコの作者でした。
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