お兄様のことが大好きな雨の魔女トネリコ或いは冬の女王モルガン 作:今井綾菜
祝!トネリコピックアップ!!!
祝!アルトリア・キャスターピックアップ!!!
「旅をしろとは言ったが、流石に今すぐ出ていけとは言わない。お兄様も同行してもらう必要がある以上、何の準備も無しに放り出す訳にもいかない」
あの後、朝食を僕とモルガンとアルトリアでとった訳だが、その時にモルガンが口にしたのは僕から見ても意外なひと言だった。
「流石にキャメロットの中を自由に彷徨いていいとは言えないが、お前に貸し与えた部屋中でなら何をしてもよい。そこには誰も近寄らないように厳命しておく、お兄様とどこから見て回るかくらいは決めておくのもいいでしょう」
モルガンとアルトリアは仲が悪い、どころの騒ぎではないというのが汎人類史の円卓の騎士に由来のあるものたちにおける常識だ。
いや、それ以前にアーサー王伝説を知るものならこの2人が同じ場所で食事をとっているこの事態こそあり得ないというはずだ。
しかし、僕の妹であるヴィヴィアンの側面のみのモルガンは汎人類史における【湖の乙女】としての属性がとても強い。
おそらく、汎人類史のモルガンの記憶を持っている、といってももとよりアルトリアへの憎悪はそこまで強くはないのだろう。
もとより、生真面目で優等生。
優しく思慮深く、思いやりに満ちた子だった。
長い旅の中で擦り切れてしまったとしても、その根底にある優しさまでは変わらなかったのだろう。
食事を終えて、モルガンは『では、公務に戻ります。ああ、お兄様。おそらくランスロットが午後から来ると思いますが、約束通りにお茶の一つでもしてあげてください』と言い残して再び玉座の間へと戻っていった。
アルトリアはといえば、とりあえず朝の出来事とモルガンに言われたことを整理するために1人になりたいと与えられた部屋へと帰った。
そして、僕は……
「ふふっ、やっと2人っきりでお茶をする機会ができたね」
妖精騎士ランスロットに与えられたキャメロットの一室。
そこに備え付けられたバルコニーでお茶菓子と紅茶を前にして向かい合って座っていた。
「それにしても、あの時は焦ったよ。私を先に水鏡へ押し込むんだもの、あの後存在が欠けたりはしなかった?」
「幸いにも僕の中の人間としての属性がほんの少し欠けたくらいだ。いや、僕にとってはとても大きな属性なんだけど、妖精としての割合が強くなったという面だけでいうなら……純妖精に戻りかけている、という感じかな」
「それっていいことじゃないの?人間の要素が入っていると出力も下がるし傷の治りも遅いでしょう?」
「まあ、悪いことではないんだけどね」
存在としての話をするのならば悪いことではない。
純妖精としての能力が戻ってくるのならそれに越したことはない。
越したことはない、のだが……。
(人間としての属性を得て喜んでいた僕としては複雑な気持ちだけどね)
非常に複雑な気持ちなのは変わらない。
むしろ妖精として完成するということは曖昧だった僕にとっての使命がはっきりするということでもある。
あの時間神殿でわかった聖剣を扱うための資格。
しかもただの聖剣ではなく、星の内海で鍛造される神造兵装の担い手の資格。
だとすれば、この世界で僕に与えられるはずだった役割は……
「むぅ……私と2人きりなのにいま、余計なことを考えているでしょう?」
「……すまない、少しばかり自分の使命のことについて考えていた」
「使命?ああ、妖精にとっての存在の意味のことだね」
メリュジーヌは「それならわかるよ」と頷いて微笑んだ。
「私は自分のためには生きられない妖精でね。あの暗い湖から引き上げてくれたオーロラのために生きることが、この身体の存在意義だ。オーロラの願い事は何だって叶えないといけないし、彼女に反発することは私の崩壊を意味する」
「…………それは、キミはそれでいいのかい?」
「もちろん良くないさ。だからこそ、私はモルガン陛下と契約した。妖精騎士としてのギフトに私の存在意義を誤魔化すための歪みを組み込んでもらったんだ。ランスロットというこのギフトは私にとって枷でしかない、けれど……こうしてオーロラの為にならないことをしても、私という存在が崩壊しないのは、モルガン陛下のおかげなんだよ」
メリュジーヌは“どうしてそうしたのか”は語らなかった。
しかし、オーロラの意にそぐわない事をしたとしても彼女の存在を保てるようなものを作ってしまうモルガンも流石というべきか。
「モルガン陛下と初めて会った時、驚いていたなあ」
「それは驚くだろう。ましてや竜の妖精として新生したばかりのキミが会いにいったんだろう?いくら彼女でも驚かないわけがない」
「ふふっ、でも、流石はキミの妹だ。私の在り方をすぐに見抜き、私の提示した条件をすぐに呑んで妖精騎士のギフトに本来ないものを組み込んだんだからね」
「彼女は神域の天才だからね。オークニーにいた時ですらその片鱗は見せていたさ」
「教えていた師がよかったんでしょう。
ティーカップを傾け、紅茶を一口飲む。
まるで美しい思い出を語るかのように彼女は優しく微笑んだ。
でも、きっとその話はここで終わりなのだ。
メリュジーヌの口からその始まりの空の話を聞くことは叶わないのだろう。
「それよりもあの妖精、今代の楽園の妖精の子とブリテンを見て回るんだって?」
「ああ、そういうことになったね」
「いいなぁ、私も一緒に行きたかった」
口を尖らせて彼女は拗ねたような表情をする。
妖精眼を使うまでもなく、きっと本心で言っているのだとすぐに察することができた。
メリュジーヌはきっと嘘をつくのが苦手だ。
発言の節々にどこか空気を読めないというか、思った事をそのまま言ってしまうようなところが見受けられる。
だからこそ、あそこまで擦り切れてしまったモルガンといい関係を築けているのかもしれないが……少なくとも悪意のある嘘をつかないのは彼女の美点の一つなのだろう。
「今のこのブリテンの街並みがあるのは、間違いなくモルガン陛下の頑張りのおかげだよ。キミの知る通り、彼女の圧政というやり方に不満を募らせている国民は決して少なくない。けれど、彼女の圧政がなければ妖精たちはとっくに滅びていただろう。それは、2000年前の大厄災の時にはっきりとわかっていた事だからね」
「……言葉で言ってダメなのなら、力で従えるしかない、か。そうする事でしか、ブリテンを守ることができなかったと泣いていたよ」
「……そうでしょうね。信じられる?あの子が最後に泣いたのは2400年も前だって」
「…………」
「私もあなたが帰ってきて嬉しかったけれど、それ以上にあなたを心待ちにしていたのは誰なのか……ちゃんと考えたほうがいいわ」
「そうだね……それは、わかっているよ」
バルコニーに静かな風が吹き抜ける。
どうすることが正解なのか、今の僕にはわからない。
世界を救うカルデアの職員としてのレインフォート。
このブリテンに生まれてモルガンの兄としてのレインフォート。
僕は間違いなく、選択を迫られている。
モルガンの話から察するに、異聞帯として汎人類史に介入してしまったこのブリテンは間違いなくカルデアが攻略するべき対象だ。
その時僕は、どちらのレインフォートとして動くべきなのか。
その時僕は、誰の味方をすることができるのか。
その時僕は……どのように命を使えるのか。
今はまだ、その答えを出すことは出来ないでいた。
ちゃんと、話す必要がある。
モルガンと、アルトリアと。
ちゃんと見ていく必要がある。
モルガンの治めるこのブリテンと、そこに生きる命を。
「今度は、きっと間違えないさ」
「そうなるように、私も応援しているよ」
バルコニーに響いた声は、誰に届くわけでもなく風に乗って消えていった。
えー、昨晩僕にはトネリコへの愛が足りなかったと僕と滝のような涙を流しながら宝具5で妥協しようと思っていたんですが……まあ、その我慢できなくてですね。
苦し紛れのおはガチャ、涙の単発召喚の結果……
何と6人めのトネリコ降臨!!!!
ばんざーい!!!!ばんざーい!!!!
というわけであとは絆上げだけで完全体への道が出来上がりました。
ふっ、やはり僕の愛は届いていたようですね……(自惚れ)
それはそうと、たくさんのフレンド申請ありがとうございます!
初めて見ましたよ、フレンドリクエスト20件とかいう表示。
フレンド登録できた方はよろしくお願いします!
フォローしてくださった方は是非ストーリーでたくさん連れ回してください!
多分年内にはトネリコもアペンド3解放して完全体になる予定なのでそちらも使っていただけたら嬉しいです。
余談ですが、あらすじに置いてあるSpotifyのプレイリストも聴いていただいてる方がいらっしゃるようで嬉しいです。
この小説のエンディング(ブリテン編)までの曲が入っているので興味のある方は聴いてみてください。
皆様の感想と高評価、お待ちしてます。
お気に入り登録とここすきもお待ちしてます。
それでは、また次回でお会いいたしましょう。