お兄様のことが大好きな雨の魔女トネリコ或いは冬の女王モルガン   作:今井綾菜

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第十一周遊 『旅の終わり/別れ』

 

長いようで短かったレインとのブリテン巡りの旅が終わる。

楽しかったか、で聞かれるとそれはもちろん楽しかった。

 

だってそうじゃん、陛下に命令されたからとはいえ好きな人とこの広いブリテンを2人で巡ることができたんだから。

 

雨の日も、風の強い日も、2人で笑って旅をできたのは間違いなくわたしにとって大切な、わたしだけの記憶になった。

 

……でも、陛下からの命令だって忘れてない。

 

ブリテンをこの目で見て、陛下の統治に納得できるか。

 

たくさんの妖精をこの目で見てきた。

わたしが知っている無垢な悪意を秘めた妖精。

そのブリテンにいる妖精たちは半分はこんなやつらしかいない。

 

でも、そうではない妖精だっていたのです。

 

困っている小さな人間に手を差し伸べる妖精。

 

純粋な向上心を持って直向きな努力をする妖精。

 

誰かのためにその命を捧げようとする妖精。

 

そんな彼ら彼女らまでも陛下の圧政によって苦しめられるのは、割に合わないと……ほんの少しだけ思ってしまうのも確かで。

 

でも、その人たちのためだけに……わたしは戦えるでしょうか。

 

そんなほんの少し見ただけの希望のために、誰よりも苦しんでいるモルガン陛下に杖を向けられるでしょうか。

 

「…………辛いよ、こんなの……選べないじゃん」

 

出来るわけがない、あの笑顔の柔らかいモルガン陛下になる前のモルガン陛下を知ってしまったら簡単に敵対することなんてできない。

 

今は6日目の夜。

レインに黙ってこっそり抜け出した深夜のグロスターのベンチに1人腰掛けていた。

 

深夜であってもブリテン最大の商業都市の明かりは消えない。

明るくてキラキラした街並みが今でも目の前で広がっている。

 

誰かの苦悩と犠牲の上に成り立っている優しい街。

苦しみと罪から目を逸らして忘れることを選んだ街。

ここでは誰だって明るくて、楽しくて、苦痛なんてない。

お金さえあれば誰だって幸せになれる。

そんな、誰もが自由で幸せになれる街だ。

 

そしてなにより、この6日間。

わたしもその1人だった。

 

旅の資金として渡されていたモルポンド。

その他にわたしが個人的に稼いでいたモルポンド。

使ったのは後者だったけど、この街でお金に困ることはないくらいには持っていた。

 

辛い現実から目を逸らしても、問題を先送りにしてるだけ。

優しい夢の街での夢はいつか覚めるものだってわかってる。

 

そして、わたしにとってはそれが明日なんだってことも。

 

旅をして、たくさんの光景を見てきた。

 

モルガン陛下の統治に苦しめられるもの。

 

盗賊まがいのことをして街の衛兵に連れ去られるもの。

 

醜いものだってたくさん見てきたけれど。

 

それでもモルガン陛下の統治が全部間違っているとは思えない。

もちろん、苦しめるための政治をしてるのはどうかなと思う。

でも、あの人なら“そうしなければならない”理由がきっとあったんだ。

 

聞かなければならないと思った。

そして、答えなければならないとも。

 

わたしが、この旅で得た経験とこのブリテンへの感想を。

 

正直に言えば、選べない。

選びたくなんてない。

 

きっとわたしは、モルガン陛下の言葉を聞いて仕舞えば妖精たちの味方はできなくなってしまうと思う。

 

でも、それでも。

 

生まれた時から今日この時まで、わたしの中に輝く嵐の向こう側にあるあの遠い星も。

 

そして今でも鳴り響く、遠い鐘の音の運命からきっと逃げられないのだと。

 

 

なやんで、なやんで、悩んだいまでもそう思うのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

****

 

キャメロット・女王の間。

 

レインとわたしは早朝にグロスターからキャメロットに帰還していた。

どうせなら最後まで街を見て行くかと聞いたレインにわたしは首を横に振ってまっすぐに答えたのだ。

 

『ううん、キャメロットに帰ろう』

 

そうして、水鏡を使ってキャメロットへと帰還し、わたしとレインはモルガン陛下の目の前にいた。

荘厳な玉座の間、目の前の女王にアルトリアはいつかのように気圧される。

ここでの会話、そしてその回答によって、モルガン陛下とわたしの道は交わることになるか否かが決まるのだから。

 

「長い旅路にまずは労いの言葉をかけよう。楽園の妖精、アルトリア・キャスター……ブリテン周遊の旅、ご苦労だった。お兄様も、アルトリアの付き添い、ありがとうございました」

 

玉座に腰掛けたモルガン陛下からは普段よりも幾分か柔らかい雰囲気を感じる。

隣に控えている妖精騎士長アーデルハイトもそれを感じているのか、いつものぶっきらぼうな顔がほんの少しだけ緩んでいた。

 

「では、お兄様はアーデルハイトの横に。ここから先は私とアルトリアの話し合いです」

 

「……ああ、わかった」

 

レインが、わたしの側を離れる。

アーデルハイトがモルガンとアルトリアの間に移動して、その隣へと立った。

 

 

「では、アルトリア……この旅を終えたお前に、私から一言だけ告げよう」

 

「…………」

 

ピンと張り詰めた空気。

玉座に座る冬の女王から、まだ未熟な魔術師へほんの少しの希望を持った言葉が投げかけられる。

 

「アルトリア、楽園の妖精の使命を捨てて私と共に来なさい。この世界、この妖精國に住まう妖精たちにお前が命をかけるほどの価値はない。お前が私と共にくるのなら、公務として巡礼の鐘を鳴らし……そしてお前に掛かった枷を取り払った上で5人目の妖精騎士として迎えよう」

 

「…………ぇ」

 

思いがけない言葉だった。

わたしにとっては、これ以上ないほどの高待遇だった。

欲しかったもの、無くしたくないものその全てが手に入る絶好のチャンス。

 

「妖精騎士になりたくないというのならこのキャメロットで空き店舗を一つやろう、お前が望むのなら彫金師としての腕をこのキャメロットで磨くのも選択肢に入れてやる」

 

「魔術の腕を磨きたいのなら、我が娘と共に魔術の稽古をつけても良い。あの娘とお前ならば良き友人にもなれるだろう」

 

わたしにとって、断る理由がない。

断って幸せになることはないと言えるほどの提案が次々と出てくる。

 

「そしてなにより、このキャメロットにさえいれば……私はお前からお兄様を引き離さなくてもいいのだ」

 

「───ぁ」

 

その言葉は、ダメだ。

よりによって一番失いたくないもの。

絶望の淵にいたわたしを拾って、育てて、愛を教えてくれた人。

 

わたしが初めて、好きになって……離れたくないと思った人。

 

優しくて、暖かくて、このブリテンで唯一、わたしのために手を差し伸べてくれた───

 

視界の端で

 

誰よりもたくさん見てきた

 

青い瞳が

 

揺れているのを見た

 

 

「───っ」

 

ダメだ。

 

このままモルガン陛下に流されていたらあの時と何も変わらない。

 

聞くって決めてきたんだ。

 

そうしないとダメだって、そのためにここに立っているんだ。

 

「───その答えを出す前に、聞かせてほしいことがあります」

 

驚くほどに、自分の声はハッキリとしていた。

 

「……ほう?」

 

そして、そんなわたしの変化にモルガン陛下も気がついていて。

 

「いいでしょう、お前の今後を決めることだ。聞きたいことの一つや二つ、答えてやるのもやぶさかではない」

 

玉座に腰掛けたモルガン陛下はその長い脚を組んで、わたしの言葉を待つ。

 

「わたしが聞きたいのは、どうしてモルガン陛下がこんな統治の仕方を選んだのか」

 

「…………そういえば、話したことはなかったか」

 

何かに納得したようにひとつ頷いた後、モルガン陛下は腕を振るう。

何かの魔術を展開したのはわかったが、それがなんの魔術なのか今のわたしにはわからなかったけれど……

 

「人払いと防音の魔術だ。お前もこれくらいは使えるようになっておきなさい」

 

便利な魔術だ、と内心感嘆する。

あっという間に玉座の間の中の声は外には聞こえなくなって、その上でここに近寄るものすらいなくなるのだ。

そんなものを軽く手を振っただけで出来てしまうのだから天才というのは困る……などと思っても仕方ないのだけれど。

 

「では、お前の望み通り……私がこの玉座に座り、どうしてこのような統治を選んだのかを教えてやろう。これは、女王歴となる前……妖精歴4000年から始まる……長い、長い物語りだ」

 

物語を語りましょう。

 

そんな言葉が聞こえてきそうな穏やかな語り口調だった。

 

それはモルガン陛下の人生そのもの。

わたしと同じように楽園から生まれて、レインのいるオークニーに流れ着いたところからのお話。

 

「私はヴィヴィアンという名を持ってオークニーに流れ着いた。オークニーに住まう雨の氏族、彼らに拾われた私には3人の家族が出来た」

 

レティシア、レインフォート、ルクレティア。

領主としての母、次期領主として全ての業務を担っていたレインフォート、そしてその補佐をするルクレティア。

彼女たちに世界樹からの名をとって、トネリコと名付けられたヴィヴィアンはその愛を一身に受けて優しく、暖かい日々を送っていた。

 

窓の外に流れる雨音を聞きながら一日中物語を読み耽り、それを元に制作した童話魔術の研鑽に明け暮れる日々。

母や兄姉が、自分の図書館を訪れてお茶や菓子を囲んで話す毎日。

 

そんな幸せが16歳の春に終わりを告げる。

 

楽園の妖精を匿っていた雨の氏族を滅ぼすために他の氏族が徒党を組んで攻め入ってきたのだ。

雨の氏族は自衛用の魔術を収めていた、にも関わらず彼らはたった1人を逃すための時間を稼ぐだけで相手を殺そうとはしなかったのだ。

 

それはトネリコの家族も同じ。

たった1人、楽園の妖精を逃すことだけを目的として自分たちを犠牲にした。

 

最後に、優しい言葉をかけられて楽園の妖精はオークニーよりももう少し北にある小島に100年間身を隠すことになったのだ。

 

「…………」

 

絶句して、言葉が出なかった。

故郷が滅びたのもは同じだったけれど、わたしのティンタジェルは醜い内乱での終わりだった。

他氏族が結託してたった一つの氏族を滅ぼした。

そんなことがあっていいのかと思わずギリっと歯がなるほど強く噛み締めてしまう。

 

「アレだけ、愛され……そして愛した家族を失った少女は100年の間悲しみの余り泣き続けた。しかし、それだけしていられない理由ができた」

 

「…………厄災、か」

 

「ええ、オークニーの崩壊から100年後に現れた“ソールズベリーの厄災”。その影を見た楽園の妖精は……どうして立ち上がれたと思う?」

 

突然の問いかけ。

だけど、わたしの中にその答えはもうあった。

 

「大切な人が、生きた土地だから」

 

「そうだ、私の愛した家族のいた土地。私が1人でも生きていけるように用意された孤島、それが壊されてしまわないように……楽園の妖精は一つ目の厄災払いを行うことになる」

 

まさに地獄の再現。

逃げ遅れた妖精たちが次々とモース化していき、被害を増やさないために大規模魔術を連発して。

牙の氏族が助けに入ったことで厄災を祓うための行動に移り……そして眩いばかりの暁の空で厄災は祓われたのだと。

 

そして、そこからトネリコの物語は長く苦しい巡礼の旅へと移行する。

 

はじめの頃は誰も信じてくれなかった。

 

どこに行っても胡散臭いものを見る目をされて、話すら聞いてもらえなかった。

 

でも、諦めず、挫けずに人助けをして、たくさんの冒険をして1度目の巡礼の旅を終えた。

 

楽園の妖精、救世主トネリコの願いは残酷な現実を知っても尚はじめから変わらなかった。

 

“オークニーのように人間と妖精が手を取り合っていける優しい国をつくる”

 

そのために、ブリテン中を駆け回り手を尽くして。

 

同じ志をもつ仲間がたくさん増えた。

 

何度も厄災を払い、その度に感謝されて。

 

みんな幸せになれるブリテンのために協力すると約束をして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───その度に、後一歩のところで裏切られた。

 

 

 

街に足を踏み入れただけで石を投げられたことがあった。

 

助けたはずの街から攻撃を受けたことがあった。

 

寝ているところを斬りかかられたこともあった。

 

罠に閉じ込められて水に沈められたこともあった。

 

死にかけたことなんて一度や二度じゃない。

 

裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて、裏切られて。

 

それでも、楽園の妖精がまとめ役になろうとしたからだと結論つけて。

 

その時、円卓軍の若き人間の指導者を筆頭にしてロンディニウムの街で戴冠式を行うところまで漕ぎ着けた。

 

最後の希望だった、これでブリテンは平和な国になる。

そうしたら、今度はどんな旅に出よう。

 

そう思っていた。

 

戴冠式のその日。

 

ブリテン王になるはずだったウーサーは妖精の盛った毒で殺された。

 

理由はただひとつ。

 

『平和な世の中になったら退屈そう』

 

そんな理由で、最後の希望は粉々に砕かれたのだ。

 

楽園の妖精は慟哭した。

 

この世界はもう救えない。

 

妖精はもう救えない。

 

なら……もう救うのはやめにしよう。

 

妖精は救わない、言ってわからないのなら力で支配するしかない。

幸いにも、この身には数十回行った巡礼の旅の恩恵で強大な力が備わっていた。

 

 

そうして、2017年前。

大厄災がブリテンを滅ぼしたあの時。

 

楽園の妖精は世界樹に秘められた魔力を全て使い、滅びた妖精を再召喚した上で、オークニーに眠っていたたった1人の騎士と共にブリテン全土へ向けて戦争を仕掛け、勝利した。

 

そうして、楽園の妖精は家族からもらった“トネリコ”という名を捨て。

 

ブリテンを支配する冬の女王としてモルガン・ル・フェという名を得た。

 

そうして、幾多の厄災を祓い続け。

数多の戦場を蹂躙し、力と恐怖で支配することで、このブリテンを存続させてきた冬の女王が生まれたのだと。

 

 

 

 

 

「……まあ、この程度でしょう。私がこの結論に至った意味を、理解できたか?」

 

 

「───」

 

理解できたか?ではない。

そんな一言で済ましていい問題じゃない。

わたしならその結論に至るまでに心が折れてる。

なのに、大切な人がいた土地だからって理由だけでここまで頑張れない。

 

「…………あの夜、あなたは言ったよね。大切な人がいた土地だからって」

 

「えぇ、言いましたね」

 

「あなたの過去が、どんなに辛いものであっても……ただ苦しめるだけの統治は、きっと間違いなんだ」

 

「…………」

 

「もちろん、陛下がされたことが許されるわけじゃない。何十回、何百回も裏切られたその心は、わたしなんかが理解していいものじゃないし……きっと一生理解できないと思う」

 

「きっと、最後の絶望は……あなたの優しさを壊してしまうにはあまりにも酷かったのも……」

 

言葉が詰まる。

でも、きっとこの妖精國の間違いはそこにあるんだと理解したから。

 

「罪のあるもの、それを裁くための法を設けたのなら……それが赦されるための仕組みも、作るべきでした」

 

「…………そうか、それがお前の答えなのだな?アルトリア」

 

「これが、わたしの答え」

 

「やはり、私とお前は相容れない運命なのだな」

 

モルガン陛下はほんの一瞬寂しそうな表情を浮かべて、玉座から立ち上がり、わたしの瞳をまっすぐに見つめる。

 

「では、予言の子アルトリアよ……即刻この城から出ていくがいい。慈悲として、お前が巡礼の旅を始めなければ私から手を出すことはしまい。あの林の中にある家であろうと、グロスターだろうとあの廃墟しかないティンタジェルでも、どこへなりとも去るがいい」

 

「………わかり、ました」

 

こうなることはわかっていた。

こうなることは覚悟してここにきて、あの言葉を告げたのだから。

 

「いいや、待ってくれモルガン!アルトリアも……!」

 

しかし、その決定に異議を唱えたのはずっと黙っていたレインだった。

 

「これは女王としての決定です。いくらお兄様であってもそこに口出しは許しません。女王である私が決め、臣民であるアルトリアはそれを受け入れた。この場においてはそれだけが事実です」

 

「しかし……!」

 

「私は、彼女に最善の道となるものをいくつも提示した。それを理解した上で、女王である私の統治に異議を申し立てた……このブリテンにおいて全ての法である私に異議するのは反逆と同意、この対応だけでも特赦……この妖精國ブリテンにおいて前例のない特例中の特例です」

 

この場では、モルガン陛下のいうとこが絶対だ。

むしろここまで口にして立ち去るというだけなら本当に前例だってないんだろう。

 

でも、どうせ立ち去るなら最後にお別れはしないと。

わたしと陛下の間に立っているレインに、視線を向けた。

 

「ありがとう、レイン。でも、わたしはもう大丈夫」

 

「アルトリア……?」

 

「レイン、あの時言ったよね。わたしに生きる力を、生きていくための方法を教えてあげるって……わたしね、もうひとりでも頑張れる。レインからもらった優しさと、今回の旅の思い出だけで生きていけるよ」

 

「まってくれ……それじゃあ、別れの言葉みたいに」

 

「お別れの言葉なの!きっとわたしとはもう会えないかもしれないけど……モルガン陛下のこと、もう1人にしちゃダメだよ?」

 

だから、最後は泣かないで。

弱虫で、泣き虫で、ウジウジしたアルトリアは今はさよなら。

 

「ありがとう、このブリテンで唯一……わたしに愛を教えてくれたひと」

 

「あなたのおかげで、わたしは信じることを続けられたのです」

 

「大事な陛下の目の前で、わたしのために泣いちゃダメ」

 

「わたしも頑張る、陛下とは敵対したくないし……もし戦ったとしてもきっと勝てないけど、それでもあなたの“娘”として胸を張れるように」

 

 

 

「───だから、さようなら。わたしの“おとうさん”」

 

「っ!アルトリア……!」

 

「殿下、それ以上は」

 

その言葉を最後に、わたしはレインから、陛下から背を向ける。

歩き出そうとしたレインがアーデルハイトに止められてるのをみて駆け出した。

泣いちゃダメ、泣いちゃダメだから必死に走って、走って走り続ける。

たくさん走って、キャメロットから出て……城門から飛び出して。

 

そこで、我慢の限界が来た。

 

 

「うぅ……ぐすっ……いやだよぉ……!」

 

溢れ出した涙は止まらない。

陛下が来た時から、別れる日が来るのはわかっていた。

きっと、この選択が間違いじゃないって分かる日が来るのかもしれない。

 

でも、今はこの気持ちを抑えきれない。

 

「レインと……離れたくないよぉ……!お別れなんて、嫌だぁ……!」

 

旅の始まりの草原。

その隅っこで、ただの少女が1人……泣きじゃくるのでした。

 

 

 







──アヴァロン・ル・フェ本編開始。




アヴァロン・ル・フェの更新について

  • 今まで通り月に3〜4話見れればいい。
  • 待ってもいいからストックして放出
  • 別に気にせんでええねんで(^ω^)
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