お兄様のことが大好きな雨の魔女トネリコ或いは冬の女王モルガン   作:今井綾菜

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ガンダムブレイカー4ばっかりやってて他のことに手が回りません。


第四雨

今日はオークニーにとってはとても珍しい1日だ。

なにしろ雨が降り頻るこのオークニーで今日の天気は曇り。

そう、雨が降っていないのだ。

 

「お兄様!お兄様!今日は晴れてるので一緒に街に出ませんか!?」

 

領主館のレインフォートの私室には朝からトネリコが押しかけていた。

年に数回あるオークニーの晴れの日……まあ正確には晴れというよりは曇りの方が正しいのだが、毎日雨が降り頻るオークニーでは曇りであっても晴れであることに変わりはない。

滅多にない雨上がりに、テンションの高くなってしまう妹にレインフォートはいつもの優しい笑顔で出迎えた。

 

「もちろん、今日は滅多にない晴れの日だ。街のみんなも活気ついてるはずだからね。お姫様のエスコートは任せて欲しい」

 

「お、お姫様だなんて……で、でもお願いします……」

 

「じゃあ、早速行こうか。滅多にない晴れの日だ。少しでも長く楽しめたらいい」

 

トネリコの手を取って私室を出る。

領主館を出る前にルクレティアにあった時に「今日は私がお兄様を誘おうと思っていたのに、やるわねトネリコ」なんてニヤニヤしながら二人を送り出していた。

 

 

 

 

****

 

エスコートは任せて欲しい。

そんな言葉を1時間ほど前に言ったわけだけど。

 

「あっ!見てくださいお兄様!新鮮なりんごですよ!」

 

「帰りに買って帰ろう。またアップルパイにでもしようか」

 

露天に出ている果実に目を輝かせ。

 

「わぁ〜!この星形のアクセサリ、すごく綺麗ですね!」

 

「店主、これをひとつ」

 

装飾店に飾られている商品に釘付けになってみたり。

 

「脂っこい食べ物は好きじゃないですけど、このお肉は脂身が少なくて美味しいです」

 

「確かに、これならルクレティアや母上でも食べられそうだ」

 

見つけた串焼きを一緒に食べたり。

 

「これ、私の図書館にもない本です!お兄様!これ買ってもいいですか!」

 

「ああ、もちろん」

 

まだ見ぬ物語が描かれた本を手にして嬉しそうな顔をしたり。

 

結果的に言えば、エスコートをするといった手前なんとかしようとしたが……むしろレインフォートがトネリコに手を引かれていろんな店を巡った形になったのだった。

 

時間は経って昼食時。

オークニーではレインフォートがよく使っているレストランで一息ついた時には手荷物は既に両手に抱えきれないほどに多くなっていた。

なんだかんだ、食べ歩きをしたり買い物を楽しんだ二人は軽食を取るためにやってきたレストランで紅茶とサンドイッチをお供に他愛のない話に花を咲かせていた。

 

「それにしても、オークニーの食事も美味しくなりましたよね。これもお兄様がみんなに料理を広めて、レシピを広めてくれたおかげです」

 

「そんなことないさ、雨の氏族は勤勉だからね。キッカケさえあればそのうちここまで成長していたはずだよ」

 

「ふふっ、そう言うことにしておきましょう」

 

そういって微笑んだトネリコは綺麗に並べられたサンドイッチを摘みながらにへらと頬を緩ませる

 

「それにしても春に雨が止むなんて本当に珍しいですよね。いつもなら夏に何日か止んだりやまなかったりなのに」

 

「確かに、この時期に雨が止むのはこの数百年でも滅多になかったからね。本当に今日は特別な日で間違いない」

 

「それもこれもきっと日頃の行いがいいからですね!」

 

「そう言うトネリコは……」

 

「私もきっと日頃の行いはいいはずですよ?」

 

「この間新しい魔術を試すといって山を一つ形を変えたのを忘れたのかい?」

 

「ゔっ……」

 

思い出すのは数日前、「お兄様見てください!」と意気込んで行われた攻撃魔術の破壊力。

いつもなら自分に向けて放たれる魔術の数々は直撃すると流石に身体が消し飛びそうな気がしているから水鏡で他の場所に飛ばして……もとい、迷惑のかからない少し距離の離れた場所に着弾させるわけだが。

そう、何を隠そういつものように対応をしたその攻撃魔術は直撃したら身体が消し炭になるどころではなく地形を変えるレベルのやばい攻撃魔術だったのだ。

 

「アコーロンクラスターはちょっと出力を間違えただけですし……」

 

「あれは、僕以外には撃たないように……いや、僕にも撃たないように」

 

「むぅ……わかってますー!もう少しだけ出力の調整はするつもりですけど」

 

「……まあ、そこは要修練ということだね。僕のお墨付きが出るまではケモノ以外には使わないように」

 

「はーい」

 

少し不貞腐れたようなトネリコと結構本気で命の危機を感じたことを思い出して若干背中に冷たいものが流れるレインフォート。

だが、妹の成長はレインフォートとしてはもちろん嬉しい。

ただ、ちょっと成長の度合いを自分で確かめる可能性が高いのがほんの少し恐ろしいというだけで。

 

そんなこんなで昼食もとり終えて、レストランを出る。

両手に持った荷物をどうするかと考えていたが、それこそ水鏡の出番だろう。

目の前にゲートを開き、私室に繋げて手に持った荷物を送り込む。

随分と軽くなった両手を軽く振ってトネリコに再び手を伸ばした。

 

「さあ、午後も楽しんでいこうかトネリコ」

 

「はい!お母様とお姉様にもお土産を買って帰りたいです!」

 

レインフォートの手を取ったトネリコは再び街の中へと手を引いて歩いていく。

2人が領主館に戻ったのは街が街灯に照らされてから数時間経った頃だったという。




こんな明るくて可愛いトネリコがこのあとガン曇り確定してるのあまりにも人の心ないですよね。
でもオークニー編→カルデア編(ダイジェスト)→アヴァロン・ル・フェ編(ダイジェスト)→モルガン召喚編(エピローグ)→おら!いちゃつけオークニー兄妹!と進めていく予定なのでお兄様も雲るしトネリコ/モルガンはずっと曇り空だしで作者の心が続くかどうかが不安なんですよね()

感想や高評価、お気に入り登録たくさん待ってます。
咽び泣きながら作者のやる気が維持……もとい上がるのでよろしくお願いします
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