お兄様のことが大好きな雨の魔女トネリコ或いは冬の女王モルガン 作:今井綾菜
1ヶ月ちまちまと書いていたせいでほんの少しおかしいところがあったりするかもしれませんが楽しんでいただけると幸いです。
ひとまず、FGOアプリ内であの2人がピックアップされているので恒例の挨拶だけさせていただきます。
㊗️モルガンピックアップ!
㊗️アルトリア・キャスターピックアップ!
第九旋律
キャメロット・女王の間
水鏡を抜けた先、そこに広がっていたのは荘厳な空間と最奥に佇む玉座。
その玉座に座するのはカルデアの面々にもどこか見覚えのある顔の女王だった。
妖精騎士たちとレインフォートはモルガンの玉座の近くまで歩き、各々決まった位置で停止し、モルガンの言葉を待つ。
そして、一番玉座に近いレインフォートの隣にはいつのまにか現れていたベリル・ガットの姿があった。
「…………どうして僕の隣に来たんだ」
「どうしても何もここは2人揃って『人理の裏切り者です』って声を大きく告げるところだろ?もっとも、その立場すら裏切ったやつもいるみたいだけどよ?」
「陛下の御前だ、黙っていろベリル・ガット」
「ハイハイ、妖精騎士長殿のお言葉のままにってな」
軽口を叩くベリルを射殺さんばかりの視線で睨みつけるアーデルハイト。
妖精騎士たちの表情は様々だが、モルガンはその場に揃った面々を見つめて口を開く。
「───まずは此度の厄災の討伐、その褒賞を貴様たちに与える。そうだな、貴様たちカルデアで扱えるのはクォンタム・ピースという魔力資源であったか」
モルガンは考え込むやような仕草を見せ、すぐに左手を振る。
「今回の規模の厄災討伐であればこの程度で十分だろう。1億QPをお前たちの旗艦である海岸の艦に与えることとする」
「い、いちおく……」
モルガンが提示した1億QPという額に思わず立香がその数字を反芻する。
一億QPを稼ぐのにどれだけシミュレーションをこなして魔力リソースを獲得していると思っているのか、そんな『お小遣い』感覚で貰っていい物ではないと思いつつも目の前にいる女王に口を出す事はできずにいた。
「さて、厄災討伐の謝礼はこれで終わりだ。次はお前たちがこのブリテンにきた理由を聞こう、返答次第では今この瞬間からお前たちは私の敵となることが決まるが……」
「そ、その前に、モルガン陛下に聞きたいことが……!」
立香たちへの問いかけ、それを遮るように一歩前に出たのは厄災を祓った張本人であるアルトリア・キャスターであった。
「久しいなアルトリア、息災だったか?」
「……は、はい。なんとか」
「最近はあの南部平原付近の治安維持を積極的にしていたと聞く、お前にも後で別途褒美をやろう。今のうちに何か欲しいものを考えておくように」
「ありがとうございます……じゃなくて」
「お前が聞きたい事は大体わかっている、私がなぜ即座に厄災を水鏡で転移させなかったかだろう?それも後で答えてやる。だが、お前がなぜその者たちと共にいるかも答えてもらうが……?」
「……はい、わかりました」
「よろしい、では改めて聞こう星見の魔術師とその一行。お前たちは何が目的でこのブリテンに足を踏み入れた?」
アルトリアの問いかけを流して、モルガンの鋭い瞳がカルデア一行を捉える。
何か一言間違えればその時点で終わり、そんな気さえする空気感の中で立香の視線はレインフォートへ向き、そして隣にいるアルトリアへ向い……最後にモルガンへと向けられた。
「私たちの目的はオリュンポスに撃ち込まれた聖槍を提供していただくことです。このブリテン異聞帯に来たのはそれだけでそれがいただければ私たちはこの異聞帯から立ち去ることを約束します」
「このキャメロットに装填された聖槍十三基はこのブリテンに於ける国防の最重要装備だ。それを一基、お前たちに提供しろと?」
モルガンの冷たい視線が立香を射抜く。
息を呑むような重圧、ただ見られただけなのにその視線に乗せられた魔力のようなものな圧力となって全身に襲いかかる。
「我が國の最重要兵装であるロンゴミニアドを一基お前たちにくれてやったところでお前たちは私に何を提供できる?厄災の撃退か?反女王軍の殲滅か?それとも我が國に楯突く妖精どもを間引くことか?」
「くだらん、今ここで聖槍をお前たちに渡さなければそのどれかの勢力と共にお前たちはこのキャメロットに攻め込むのだろう」
「だが、敢えてお前たちに告げよう。我が聖槍の一基に至ってもお前たちに渡してやる用意はない。それで汎人類史が滅びる?お前たちの未来など知ったことか、私が守護するのはこのブリテンに他ならない」
モルガンは玉座から立ち上がり、レインフォートの隣に立つ。
そして、そのまま酷く冷え切った表情で告げたのだ。
「───汎人類史など、この上なく無様に滅びるがいい」
その言葉に隣に立っていたレインフォートは苦い顔をする。
本当なら口を出すべきではないとわかっていてもレインフォートは口を挟んだ。
「……モルガン」
「なんですかお兄様。私はこの國の女王として至極当然のことを言ったまでですが」
「ベリルはともかく、この子達は今回厄災を祓ったんだ。そんな物言いは少しばかり失礼じゃないかな」
「……はぁ、勝手に部屋を飛び出して行ったと思えばお小言ですか?おおかたアルトリアのために飛び出したのでしょうが、それを追求しなかったのをお忘れで?」
「それについてはすまなかった。君の言葉を訂正しろ、とは今の僕にいう資格はないけれど……」
「わかりました。まったく、この場に気の知れた妖精騎士たちしかいないのをいいことに……」
呆れたようなモルガンにレインフォートはため息に苦笑いする。
「……どう転んでも私がお前たちに聖槍をくれてやることはない。欲しければ力尽くで奪うがいい。だが……この聖槍を扱うための“資格”を持ち得なければ起動すらできないがな」
「出来るのなら、あなた達とは戦いたくありません」
「ならば諦めることだ。言っておくがお兄様をお前達カルデアに返してやるつもりはない」
「……っ」
「人理の修復、お兄様がお前達に手を貸して解決したのはそこのベリル・ガットの口から聞いて識っている。お前達にとっては取り戻したい戦力であろうが、それはこのブリテンにとっても同じだ」
「ならっ……ほんの少しだけでも話を……!」
「お前達にくれてやった褒美はもう終わった。これ以上を求めるのならば我が國にとって有益な行動をしてみせよ」
「それは……!」
「それは少し横暴じゃないかい?女王陛下?」
言葉を詰まらせる立香に変わって、口を開いたのはこの状況を黙って見ていたオベロンだった。
「確かに、僕たちは1億QPという莫大な資産を貰った。けれどそれは女王陛下が僕たちの意見も聞かずに渡してきたものだろう?褒美というのなら僕たちが望んだものを一つくれるのが筋ってものじゃないのかな?ましてや、今回は厄災を祓うという大仕事だったんだからさ」
「貴様……女王陛下に向かって口の利き方を!」
「よい、貴様は確かウェールズの森の領主だったか」
「その通り!お初にお目にかかります女王陛下!僕はウェールズの森の領主、“妖精王”オベロンだとも!」
「……確かにその名なら“妖精王”と嘯くのも納得だ。ではクソ虫」
「………………なんて?」
「クソ虫、と言ったのだ。虫型妖精の王ならその呼び名で十分でしょう」
「は、ははは……さっすがにキツくない?」
「ぶふっ……聞いたかよランスロット、クソ虫だって……」
「言いたいことはわかるけど、流石に口にするのはどうかと思うよトリスタン」
「お前達、黙っていろ」
悲しきかな、モルガンに適当にあしらわれたオベロンは空笑いをして撃沈してしまった。
「アンタたち……情けないわね」
これには口は出すまいと黙っていた虞美人も思わずそんな言葉を漏らしてしまったほどだ。
「まあいいわ、ベリルはどうだっていいけどレインフォート!アンタ、そっち側ってことでいいのね?」
「世界と家族なら誰だって家族をとるだろう?それだけの話だよ。だから、僕としてはそこにいるアルトリアも返して欲しいんだけど」
「……えっ!?わたし!?」
「お父さん、なんだろう?」
「た、確かにそう言ったけど……」
「あんまり戦力の引き抜きは感心しないわよ」
「失礼だな、娘に怪我をさせないために帰ってくるようにいうのは親として当然じゃないかな」
レインフォートと虞美人の視線がぶつかる。
カルデアでは確かに交友のあった2人だが、お互いに譲れないものがあったのは同じだった。
「それに、君だって担当した異聞世界ではカルデアと戦ったんだろう?探していた“彼”とは出会えたのかい?愛する者のために世界を敵に回すのは君だって同じだと思っていたけれど」
「チッ……」
結局のところ虞美人がカルデアに味方しているのは項羽というサーヴァントが所属しているからに過ぎない。
項羽が世界の敵となるというのならば、彼女は喜んでその道に同行するだろうというのは誰もがわかっていたことだった。
「結局はそういうことさ。だが……」
「お兄様、私は彼らに言葉を交わす権利は許可していませんが」
「僕が話す分には構わないだろう?大切なことだからこれだけは言わせてくれ」
「はあ……」
やれやれ、と呆れたようにモルガンが首を振る。
「僕はモルガンの味方であり、アルトリアの味方だ。この世界が、全ての世界がこの子たちの敵になっても……僕だけは2人の味方であり続ける。君たちがモルガンの敵になるのなら僕は君たちの敵になるし、君たちがアルトリアを泣かせるのなら容赦なく切り捨てるだろう」
「それが……国も民も家族も切り捨ててたった1人を生かす選択をした男がこれからも取り続ける選択だ」
「だから、僕をカルデアに連れ戻したいのなら力ずくで連れて行くといい。完膚なきまでに君たちに叩きのめされるような男がまだ必要だというのならその時は君たちの旅に同行しよう」
「…なるほどね、そういうことなら話は早いわ」
レインフォートの言葉、それに返ってきた言葉は短くもやることは決まったという声音だった。
虞美人の両手に真紅の剣が現れる。
彼女の真祖としての魔力が玉座の間に満ちる。
「短気は感心しないな。ここがどこで何が目の前にいるのかわからない君じゃないだろう?」
「どこぞのバカマスターに充てられたのかしら。案外こういうのも悪くないわよ」
「悪いけど、今の僕の霊基でも君ひとりなら相手にならないよ」
「言ってくれるじゃない。逃げ癖のついた情けない王子様?」
軽い口の叩き合い。
しかしその勢いのまま戦闘が始まるところか次の言葉を発することすら叶わなかった。
この玉座の間、その主たるモルガンから発せられる圧倒的な威圧にその場の誰もが息を飲んだからだった。
「貴様、今なんと言った?私の耳が間違っていなければ……いま、お兄様に“逃げ癖のついた王子様”と言ったように聞こえたが?」
異聞帯の王たるモルガンからの魔力放出による空間に干渉するレベルの圧力が玉座の間だけでなくキャメロット市街にまで影響を及ぼすような規模にまで拡大していく。
「履いた唾は飲めぬぞ星見のサーヴァント。謁見の時間はこれで終わりだ、此度はこの場が褒賞を与える場であったことで見逃そう」
放たれる威圧は変わらないまま、しかしモルガンは一切カルデアの言葉を聞くつもりはなく。
「お前たちは私の敵と認めよう。このブリテンで見かけ次第徹底的に排斥する。履いた言葉の重みを感じながら罪人のように死んでいけ」
「衛兵たち!この者たちを城外へ!」
アーデルハイトの言葉に反応して扉の外から雪崩れ込んでくる騎士たち。
十数人の騎士に囲まれたカルデア一行はなす術もなく玉座の間から連れ出されて行く。
「あ、あの……モルガン陛下」
「アルトリア、まさかお前もあの真祖と同じことを思っているわけではあるまいな」
「それはもちろん、思ってないけど……」
「ならよい、私はお前の意思を咎めはしない。だが、巡礼の鐘を鳴らし奴らの味方をするのなら話は別だ。その時は多少の怪我も厭わずに帰城させるつもりなので心に留めておくように」
「は、はい」
「では、本日は解散とする。ガウェイン、あの者たちをキャメロットの外までつまみ出してこい。妖精騎士たちは本日はキャメロットに滞在するように、ベリル・ガット……貴様にも離れの部屋を用意してある、そこは自由に使うがいい。それとお兄様」
「…………」
「後で話があります、アルトリアとの会話に一区切りついたら私の部屋まで来るように」
「わかった」
モルガンが虚空を指でなぞり、その先に水鏡が現れる。
その中に消えて行く彼女を見送ってその場にいた全員がそれぞれ指示通りに動き出した。
「……レイン」
「積もる話もあるだろう。彼女たちと一緒に行くのなら城の外に出るまで話しながら歩こう」
「…………うん」
そうしてアルトリアとレインフォートも城の外を目指しながら歩き始めたのだった。
えー、まずは1ヶ月ぶりの更新となったことをお詫び申し上げます作者です。
FGOもイベントをこなすだけと落ち着いたこともあって本格的にFF14に復帰してストーリーを消化、極コンテンツで羽をむしりに行き始めたことで光の戦士業が捗ってしまって。
うわー!うちの子可愛いー!世界一!
なんてテンションでパッチ7.0を踏破、ストーリー後半で出てくる敵側の理王陛下にハートをぶち抜かれた1ヶ月間でした。
そんな時ふと思い出したんですよ。
「あっ、謁見回中途半端に書いたままじゃん」
ちまちまテキストを開いてはいたんです。
ちまちま打ち込んでもいたんです。
しかし終わらない!!!!!!
6月からは新章もくるし光の戦士とマスターと二次創作は並列して行わなければならないことを改めて実感した1ヶ月でございました。
と、まあ……こんなことがあって1ヶ月ぶりの更新となったわけでございます。
こちらでは次話かもう一話でアヴァロン・ル・フェの前半が終了となって後半へ話が広がっていきます。
アルトリアがこのままカルデアと共に行動するのか……いやメタ的に言えば行動してもらわなければ困りますがその辺りも見守っていただければと思います。
それではみなさまからの感想や高評価、ここすきお待ちしてます!
アヴァロン・ル・フェの更新について
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今まで通り月に3〜4話見れればいい。
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待ってもいいからストックして放出
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別に気にせんでええねんで(^ω^)